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第1次安倍内閣の菅義偉総務大臣の肝煎りでスタートしたふるさと納税制度は最高裁判決を転機に改善すべきだ


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褒められるやり方ではなかったが……


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■行政の横暴体質――水野泰志(ジャーナリスト)


「後出しジャンケンの総務省」を断罪!
ふるさと納税判決は安倍政治への警鐘

■ふるさと納税訴訟で大阪・泉佐野市が最高裁判所で国に逆転勝訴した。本来、ふるさと納税のメリットは大きい。自治体、地場産業、寄付者にプラスになる良策である──

 ふるさと納税をめぐる総務省と大阪府泉佐野市のせめぎ合いは、最高裁が、泉佐野市に軍配を上げた。
 判決は、国の意に沿わない地方自治体に対する「見せしめ」的制裁を「違法で無効」と一刀両断し、法改正前の実績を理由に処分した総務省の「後だしジャンケン」の裁量行政を断罪した。
 今回のふるさと納税訴訟は、表面的には総務大臣が泉佐野市を新制度の対象自治体から除外したことの是非が争われた。だが、その深層では自治体を力でねじ伏せようとする国の傲慢な姿勢が問われていたことを見逃してはいけない。判決は、憲法や法律を都合のいいように解釈変更する安倍晋三長期政権の強権的体質への警鐘にほかならない。
 自治体の競争心につけ込んだ民間業者の相次ぐ参入で、ふるさと納税は導入当初の目的からそれて過度の返礼品競争を招いてしまったが、法令に違反しているかどうかは別次元の問題だ。
 制度設計の不備を棚に上げ、第3者機関の勧告も無視し、「法の安定」を侵した高市早苗総務大臣と総務省幹部は、総懺悔しなければならない。
 司法が行政府の独善を許さなかった意義は大きい。

総務大臣告示の規定は
「違法で無効」


「地方税法上の『(ふるさと納税の)募集の適正基準』は、過去の募集実績を理由に(特例控除の対象から)除外できるとは読み取れない。泉佐野市を除外する根拠とした部分は総務大臣の委任の範囲を逸脱した違法なもので、無効だ。また、施行前の状況で施行後も同様の提供を続けるとは推測できない」
 ふるさと納税の新制度で泉佐野市を対象自治体から除外した総務大臣の決定は違法として、泉佐野市が除外処分の取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は6月30日、泉佐野市の主張を全面的に認め、5人の裁判官が全員一致で、国勝訴とした大阪高裁判決を破棄し、総務大臣の決定を取り消す国敗訴となる逆転判決を下した。
 裁判では、ふるさと納税をめぐり、過熱した返礼品競争を抑制するための新制度をスタートするにあたり、総務大臣が、法令上の規制がなかった法改正前にさかのぼって、返礼品の取り扱いを審査し、新制度の対象自治体から泉佐野市を除外した処分の是非が最大の争点になった。
 第1審の大阪高裁は2020年1月、「ふるさと納税の趣旨に沿った運用に戻すために過去の取り組みを考慮したのは総務大臣の裁量の範囲内」として、泉佐野市の請求を棄却し、国勝訴となる判決を下した。
 上告審で、泉佐野市は、寄付金集めの手法について「違法なことはしていない」と主張。「新制度の下では新たな規制に従う」と表明しているのに、過去の運用を理由に除外したのは「総務大臣の裁量権の乱用だ」と訴えた。
 一方で、国側は「社会的な儀礼を超えた返礼品を提供したり過剰な宣伝をしたりする募集は、地方の応援というふるさと納税の趣旨に反している」と強調。泉佐野市の「乱用的運用」で制度の存続が危ぶまれる事態になったとし、「過去の行いを考慮しても許される」と反論していた。
 判決は、地方税法の改正の趣旨や経緯を踏まえれば、過去の合法的な行いを持ち出して自治体に不利益を科すことは許されないと指摘。「過去にさかのぼって審査する」という総務大臣告示の規定を「違法で無効」とした。また、新制度の開始後も泉佐野市が過度な返礼品を提供する可能性があるとする国の主張は「推認できる事情はない」と退けた。「遡及」を認めないという法律の大原則を逸脱した国の完全敗北であり、千代松大耕泉佐野市長は「地方自治にとって新しい1歩になる」と胸を張った。
 判決を受けて、総務省は7月3日、新制度から除外した泉佐野市、静岡県小山町、和歌山県高野町の三市町に、19年6月の新制度施行時にさかのぼって復帰を認めると通知した。

懸念を具申の局長は左遷
変質したふるさと納税


 ふるさと納税制度は08年、第1次安倍内閣の菅義偉総務大臣の肝いりでスタートした。人口集中と過疎化で都市部に税金が集まる構造を是正して地域を活性化しようというのが狙いで、「ふるさとを応援しよう」という触れ込みで都市部に移り住んだ住民が故郷に寄付する形を想定していた。
 居住地以外の自治体に住民税の2割を上限に寄附すると、寄付金のうち2000円を超える額が所得税や住民税から控除される仕組みだが、当初は制度の理解が進まず、確定申告も必要なため、寄付金の総額は年間80億円程度(約5万件)にとどまっていた。ところが、11年の東日本大震災の復興支援で広く認知されるようになり、寄付額は一気に伸びて120億円に達した。
 その後、一部の自治体が寄付のお礼として地場の特産品などを用意するようになったが、自治体の職員には寄付金集めのノウハウがない上、事務量が膨大になることもあって、広がりは限定的だった。
 そこに目をつけたのが、ネット通販や決済システムに通じた民間事業者たちだ。14年頃から、高額の手数料を目当てに、「ふるさとチョイス」(トラストバンク社)や「さとふる」(ソフトバンクグループ)などが続々と参入。自治体に代わって、広報や宣伝活動はもちろん、返礼品の企画・開発や事務の肩代わりまで請け負い、自治体は民間事業者に丸投げすれば多額の寄付金を集められる状況が生まれた。
 加えて、総務省が15年度から、1人当たり寄付額の上限を2倍に引き上げ、確定申告も不要になるように制度を拡充。主導する菅官房長官に、過剰な返礼品競争に陥りかねないと具申した平嶋彰英自治税務局長が自治大学校長に「左遷」され、推進の流れは加速した。
 この辺りから、ふるさと納税の趣旨は一変。全国の自治体が参戦してさまざまな特産品が並ぶ巨大なネットショッピング市場と化し、寄付金争奪のための返礼品競争が一気に過熱する。寄付金の総額は、一五年度に1000億円(約720万件)を超えると、16年度2800億円、17年度3700億円、18年度5100億円(約2300万件)と、またたく間に急増した。
 そのかたわら、地場産品とは無縁の返礼品が続出したり、人気のある返礼品を提供できる自治体に寄付が集中する自治体間格差の問題も浮上した。
(以下、本誌をご覧ください)
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