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タカをくくっていた安倍政権は、ツイッターデモの力を正しく評価できるだろうか……


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<シリーズ> メディア激動時代 (136) ──神余 心


初めて政治を動かした「ネット世論」
ツイッター、検察庁法改正案を粉砕!

■もはや「世論をリードするのはマスメディア」という時代ではない。世論の担い手となった
若年世代中心の「ネットの民意」という現実に真摯に向き合うことが求められる──

 ツイッターデモの盛り上がりによる検察庁法改正案の廃案は、「ネット世論」が国内で政治を動かした初めての出来事として、記憶に残ることになった。
 素朴な疑問を抱き、率直な気持ちをつぶやいた1通のツイッターが、多くの人の共感を呼び、これまで政治とは無縁だった芸能人や文化人も賛同。関連する投稿は1000万件近くに膨れ上が、大きな抗議のうねりとなって、ついに安倍晋三政権がゴリ押ししようとした検察人事介入の目論見を粉砕した。
 その上、直後に、検察庁法改正案の起点となった黒川弘務・東京高検検事長の定年延長問題は、週刊文春の賭けマージャン報道で本人が辞職するというお粗末な幕引きで終わり、安倍政権は二重の恥をさらすことになった。
 ネットによる民意の形成や広がりは、メリットもデメリットもあるものの、署名やデモに加えて、新たな政治参加の道を開いたといえる。

一通のツイートから
始まった……

              ◇
 1人でTwitterデモ #検察庁法改正案に抗議します 笛美
 右も左も関係ありません。犯罪が正しく裁かれない国で生きていきたくありません。この法律が通ったら「正義は勝つ」なんてセリフは過去のものになり、刑事ドラマも法廷ドラマも成立しません。絶対に通さないでください。
19:40 2020年5月8日
              ◇
 過去に例を見ない最大規模のネットデモとなり、安倍政権の思惑を打ち砕いた「ネット世論」は、ツイッターの1通のツイート(自ら発信した投稿)から始まった。投稿者は、東京都内在住の広告代理店に勤める三十代の女性。これまで政治にはあまり関心がなかったが、「民主主義がヤバイ」と不安が募り、「ツイッター仲間に自分の気持ちが伝われば」と、初めてツイッターデモを発信したという。衆院内閣委員会で検察庁法改正案の審議が始まった5月8日(金曜日)の夜のことだった。
 ところが、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグ(検索目印)をつけたツイートは、笛美さんが予想もしなかった展開をたどる。
 翌9日(土曜日)午前、俳優の豊原功補が「これ絶っ対ダメ!汚すぎる!」とツイート。夕方から夜にかけて、芸能関係者による抗議の投稿が続いた。日本では、芸能人は政治的な発言を避ける傾向があるが、今回は違った。総ツイート数は40万件に達し、ツイッターで話題のキーワードを示す「トレンド」は3位に急上昇した。
 日付が10日(日曜日)に変わる頃、俳優の浅野忠信に続いて、女優の小泉今日子がツイートすると、俳優の野間口徹、元AKB48の秋元才加、声優の緒方恵美らもツイート。明るくなる頃には、お笑いタレントの大久保佳代子、俳優の井浦新、落語家の立川談四楼、演出家の宮本亜門、いきものがかりの水野良樹、タレントの松尾貴司、モデルの水原希子、女優の鈴木沙羽らが続々と参戦した。多くのフォロワー(投稿の読者)をもつ芸能人の影響は大きく、普通の人たちのリツイート(ツイートの引用・転載)が急増した。
 そして、午前11時2分、500万人以上のフォロワーをもつ歌手のきゃりーぱみゅぱみゅがツイート。検察庁法改正案に抗議するツイッターデモの存在を多くの人々が知るところとなり、ネットによる抗議の渦は一気に広がった。
 この後も、俳優の宍戸開、歌手の加藤登紀子、ミュージシャンの世良公則、作詞家の松本隆、俳優の西郷輝彦、氣志團の綾小路翔らが続いた。
 芸能関係者だけではない。著名な文化人も次々に加わり、抗議のうねりはさらに拡大した。
 作家の乃南アサ、室井佑月、島田雅彦、漫画家の羽海野チカ、江口寿史、しりあがり寿、美内すずえ、吉田戦車、さらにコピーライターの糸井重里、クリエイターのいとうせいこう、歌人の俵万智、音楽評論家の湯川れい子、元格闘家の高田延彦……。
 年齢もジャンルもさまざまである。
 抗議の列に加わった有名無名の人たちには、「検察庁法が改正されれば政権が検察人事に介入できるようになり、首相をも刑事訴追できる検察の独立性が危ぶまれる」という危機感が共有されていた。

証明された
「ネットの民意」


 ツイートが爆発的に広がるケースでは、ボット(コンピューターを外部から遠隔操作するためのコンピューターウイルス)やスパム(大量かつ無差別に送られてくるWeb上の迷惑行為)による不正操作が疑われる。
 だが、有識者が分析した結果は、それを否定するものだった。
 SNSの分析を専門とする鳥海不二夫・東京大学大学院准教授(計算社会科学)によると、「#検察庁法改正案に抗議します」に関わる投稿は、8日20時から11日15時までの間に約473万件に上った。このうち、ツイート数は約56万件、リツイート数は約417万件。投稿者は約59万人で、「ツイートだけ」「リツイートだけ」「両方とも」という人がいた。
 投稿者の内訳を精査すると、ツイートした人は約32万人、そのうち約25万人は1回しか投稿していなかった。つまり、投稿者の大半が1人1回の投稿なので、「ほとんどがボット」という推測は正しくないという。
 また、約56万件のツイートの80%は当該ハッシュタグで10回以下しか投稿していないユーザーが占めているため、「ほとんどがスパム」という仮説も成り立たないという。
 さらに、この間に新規登録して投稿した人は5000余人、関連ツイート全体に占める割合は0.7%で、新規のアカウントを急造して大量投稿が起きた可能性は低いともいう。
 ただ、リツイートの過半数は2%ほどのユーザーによる投稿だったことも明らかになった。これを見る限り、少数のユーザーによって大量に拡散されたということはいえそうだ。
 一方、こうした政治的なツイートの場合、賛否両論がひしめくケースが多いが、検察庁法改正案に限っては、賛成のツイートはほとんどなかったという。
 こうした分析を踏まえ、検察庁法改正案関連の投稿の主役を担ったのは、これまであまり投稿したことがないライトユーザー(累計ツイート数400件以下)とみられる。
「投稿者が3日間で59万人」という数字は、これまでの政治案件の投稿に比べると、異例の多さだ。
 同様の分析は他にもあり、あるSNS調査会社の調べでは、8日から13日までの5日間でツイート総数は約564万件、投稿者は約76万人に達したといい、「ネット世論」の爆発的な広がりが裏付けられている。
(以下、本誌をご覧ください)
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