ダミー
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 安倍政権のコロナ対策はやることなすこと不評

 コロナ禍発生以後、安倍官邸のやることなすこと不評の連続である。自治体への事前説明など根回しもなく唐突に出された小中高校の一斉休校要請。所管の文部科学相も国内外すべての情報が集まる官房長官も知らされていなかった。首相会見はいきなり決定事項を発表するだけで、要請されたほうはそこからドタバタ対応に終始した。その首相会見たるや、官僚が用意した文面をプロンプターを通して読むだけで「台本営発表」と揶揄される始末。自分の言葉で国民に語りかけたドイツのメルケル首相との表現力の差は歴然だ。
 安倍官邸内の事情に詳しい人によれば、小中高校一斉休校要請は、今井尚哉首相秘書官兼補佐官の進言を受け入れ、中韓両国から入国制限強化(3月9日)は北村滋・国家安全保障局長の考えに沿ったものだ。今井氏や北村氏らは「チーム安倍」と呼ばれ、いくつかの状況に応じてシミュレーションが練られ、その結論は安倍晋三首相の言動を左右するといわれる。換言すれば、安倍首相は「チーム安倍」の振り付け通りに動いているだけのことになる。これでは「官僚への丸投げ」とか「良きにはからえ」政治などとネット上で批判が溢れるのも当然だ。
 極め付きが、安倍首相が自宅とみられる部屋で犬とくつろぐ姿を、シンガー・ソングライターの星野源氏が演奏する「うちで踊ろう」とともに公開したツイートだ。安倍氏の優雅な姿に「あきれて凍りついた」「まるで王様気取り」など大炎上、さらには外出自粛が叫ばれていた時に昭恵夫人が平然と大分旅行を行う姿に、「国民より先に奥方に外出自粛を出してほしかった」という皮肉も国民の間で飛び交うありさまだ。


 現実味を帯びてきた今夏の衆院解散

 新型コロナウイルス感染が続く4月、立憲民主党のベテラン議員がこうつぶやいた。「衆院解散・総選挙は案外早いかもしれない。六月までに収束すれば、安倍晋三首相が七月にも衆院解散・総選挙に踏み切る可能性がある」。
 共産党幹部も「夏の解散は十分あり得る。長期間続く割に実績が少ない安倍政権にとって、コロナ危機を乗り切れば、それを『成果』としてアピールできる」と語った。
 首相自身は3月28日、緊急事態宣言後に行った記者会見で解散について問われると「今はそういうことを一切頭の中には置かず、この感染症との闘いに集中したい」とけむに巻いた。ただ、来年九月末に自民党総裁任期切れを迎え、翌10月には、衆院議員の任期が満了となり、解散を先送りした場合は、五輪後の短期間に総裁選と衆院選が続くことになる。こうした状況に与党側からは「解散を先送りすれば首相の解散時期の選択肢が減り、『追い込まれ感』が強くなる。自民党総裁四選論や、首相が目指しているとされる岸田文雄自民党政調会長への禅譲戦略も取りにくい。議席を大幅に減らせば、引責辞任を強いられるかもしれない。それは首相としても避けたいはずだ」(公明党幹部)との声も聞かれる。
 そうなると、六月までに新型コロナウイルス危機が収束すれば、7月5日投開票の東京都知事選とのダブル選もあり得る。先の韓国総選挙で、コロナ危機を追い風に文在寅大統領が与党を圧勝に導いた例もある。
 国民民主党の中堅議員は「コロナ収束直後に支持率が急回復し、消費税率引き下げを公約に解散に打って出られると、野党は太刀打ちできない」と警戒感をあらわにした。


 コロナ禍の米国を尻目に中国は空母艦隊の訓練

 新型コロナウイルスの感染拡大が米軍の抑止力を低下させ、米中の戦力バランスが崩れつつある。
 米海軍は保有する空母11隻のうち、インド太平洋に6隻、太平洋に5隻を配備しており、インド太平洋で警戒監視の任務にあたっていたのは「セオドア・ルーズベルト」のみだったが、艦内の感染爆発により、グアムに寄港したまま機能不全に陥っている。
 インド太平洋で残るのは5隻だが、米本土で出港準備中だった「ニミッツ」のほか、やはり横須賀からの出港を控えていた「ロナルド・レーガン」、シアトル郊外のブラマートンで定期整備中だった「カール・ビンソン」の3隻の乗組員にも感染者が発生した。現状で米海軍はインド太平洋で運用できる空母はゼロという異常事態を迎えている。
 この「米軍の不在」を確認するかのように中国海軍の空母「遼寧」とフリゲート艦など6隻からなる空母艦隊は4月11日、東シナ海から太平洋へと進出し、本格的な戦闘訓練を実施した。その後、同艦隊は台湾海峡を通過して、南シナ海でも訓練を行った。
 中国は世界で最初に新型コロナの感染が広がったが終息も早く、軍を含む中国社会は通常通りの活動を取り戻しつつある。「環球時報」は「遼寧」による戦闘訓練について、「人民解放軍は防疫措置が成功したと証明し、どのような状況下でも国家主権と領土の統一を守る能力があることを示した」と報じ、新型コロナに苦しむ米軍との違いを強調している。


 不平等な“喧嘩両成敗”? AMED理事長vs.大坪女史

「不平等な“喧嘩両成敗”ではないのか」という声が医療関係者の間で上がっている。今や、有名人になった厚生労働省の大臣官房審議官、兼内閣官房健康・医療戦略室次長の大坪寛子氏を巡る人事だ。大坪氏は京都大学の山中伸弥教授が所長を務める京大iPS細胞研究所への予算削減を突然、通告する騒動を起こしたかと思うと、その足で上司に当たる安倍政権の和泉洋人・首相補佐官と京都のホテルで密会をしていたことが週刊誌に暴露され話題になった人物だ。別の出張でも和泉補佐官と部屋の奥が繋がっているコネクティングルームに宿泊していたことが曝露された。
 医療研究の司令塔である日本医療研究開発機構(AMED)の末松誠理事長も大坪氏の行動を批判する。昨年九月に大坪氏がAMEDの役員級ポストである「統括役」の泉陽子技官を転出させ、難波吉雄北海道厚生局長と交代させる人事を通告したことだ。突然、人事を通告された末松理事長は「AMEDのオートノミー(自律性)が失われる」と猛反発したが、和泉補佐官の威を借りて人事交代を押し通したという。以来、末松理事長と大坪氏は犬猿の仲となった。
 それでも内閣府の平将明副大臣が人事の「見直し」を示唆したことで喧嘩両成敗になるとも思われたが、安倍政権が下した判断は、3月末に任期が切れる末松氏の後任に医療分野の経験がない元東京工業大学学長の三島良直氏を指名。一方、大坪氏は内閣官房の次長職を辞任させただけで、厚労省の大臣官房審議官の職を残した。和泉補佐官が演出した人事ではないかといわれているが、医療研究者の間では不平等な“喧嘩両成敗”だという声が上がっている。


 コロナ禍で捜査も中断、社会秩序は守れるのか

 検察、警察を軸とする捜査機関が、コロナ禍で機能不全に陥っている。
 検察は、4月に発令予定の検事と副検事を含め1000人以上の人事異動を取りやめた。「引っ越しは、新型コロナウイルスの感染を引き起こしかねない」というのがその理由。大阪地検に配属中の司法修習生が新型コロナに感染、検事3人と修習生30人が自宅待機となったことが原因だ。
 全国約30万人の警察官は、警備や捜査、巡らなど人との接触が欠かせないだけに、都道府県警で次々に感染者が発生。最も人数の多い警視庁では、赤坂署、町田署、玉川署、大塚署などで感染者が確認されているが、発生すると濃厚接触を疑われる署員は自宅待機となり、警視庁本部はその補充に頭を痛めている。
 検察捜査も同じである。官邸VS検察という対立構図を生んだ河井克行元法相、河井案里参院議員の公職選挙法違反捜査は、広島地検が公設秘書らを逮捕、買収罪で起訴した。その後も検察は捜査の手を緩めず、河井夫妻から首長、県議、市議らに渡ったカネの流れを捜査しているが、夫妻の立件に向けた動きに時間がかかっている。
「政治家逮捕の可能性もあると、事件を東京地検に移送、特捜部の手で仕上げることになっていたが、聴取の際、長時間の移動を伴うことでもあり、延期された」(検察関係者)
 ただ、検察、警察が捜査して立件しても、それを受ける裁判所が執務を中断している。東京の裁判所は、4月8日から5月6日までの大半の公判日程を取り消した。公判もまた、密室での長時間の尋問を伴うからだ。かくして司法とそれを支える準司法の検察は動きを止めた。この状況が5月6日で終わらなければ、社会秩序が大きく揺らぐことになる。


 企業業績悪化を予想して会計ルールも緊急事態対応

 政府は4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、GDPの2割に相当する事業規模108兆円の緊急経済対策を講じることで景気の下落をできる限り抑え込むと発表した。
 だが、緊急経済対策が効果を発揮するまでには相応の時間が必要で、直近の3月末決算での企業業績の悪化は避けられない。とりわけ市場が懸念するのは企業や金融機関が保有する株式や生産設備の減損処理に伴う過大な損失の顕在化だ。
 減損損失とは稼働率の下がった工場や価格が下落した株式など、保有する資産の価値を切り下げる際に生じる損失で、会計ルールに基づいて測る企業の財務力は低下、最終損益が減少することになる。株価への影響は避けられない。
 こうした事態を憂慮した金融庁は、企業決算を監査する日本公認会計士協会や企業会計基準委員会、東京証券取引所、経団連などと連絡協議会を設置して、緊急事態宣言を踏まえた企業決算への対応について協議を行っている。これまでに有価証券報告書の提出期限の延長や、金融機関に対しコベナンツ条項(融資先企業が最終赤字や債務超過などに陥った場合に借入金の一括返済を求める条項)の柔軟運用を要請することを決めた。さらに資産の減損処理についても、新型コロナウイルスに起因するものについては一時的な価値低下として、減損処理による損失計上を見送る。会計ルールも「緊急事態対応」となりつつある。


 高島屋とSBIが提携へ異業種の金融業参入加速

 大手百貨店の高島屋とインターネット証券最大手のSBI証券は4月13日に業務提携し、投資信託など金融商品の販売に参入する準備を進めている。高島屋の子会社で金融事業を担う高島屋ファイナンシャル・パートナーズが今春にも独立系金融アドバイザー(IFA)として金融商品仲介業に登録し、高島屋日本橋店(東京都中央区)に相談の専用カウンターを設置、来店客に金融商品を訴求する計画だ。
 高島屋の客層は年齢が高く、富裕層も多い。一方、SBI証券は40代以下が顧客の6割を占める。顧客層の違いから、相互に新たな顧客開拓の余地があると見込む。「高島屋は本業の百貨店事業のほか、不動産事業など子会社を通じた多角化で成功を収めている。今回の金融商品仲介業もその延長線上にある施策だろう」(メガバンク幹部)とみられる。
 いまや異業種の金融事業への参入は花盛りだが、SBIグループは地方銀行とのネットワークを軸にした「第四のメガバンク構想」を推し進めるなど、提携攻勢をかけている。金融商品仲介業サービスで37の地域金融機関と連携し、地銀7行と共同で「マネープラザ」を設立、地域住民の資産形成ニーズに応えているほか、資産運用の高度化として37の地域金融機関と共同出資の「SBI地方創生アセットマネジメント」を設立し、運用ノウハウの高度化や人材育成を図っている。
 高島屋との提携もその一環で、多様な業種とネットワーク構築を進めるSBIグループから目が離せない。


 コロナ緊急融資のツケは結局、国民が払う

 新型コロナウイルス感染拡大は底なしの様相を呈し、1929年の「世界恐慌」の再現すらささやかれ始めている。
「消費関連については、売り上げがT蒸発しているU」。全国地方銀行協会の笹島律夫会長(常陽銀行頭取)は3月の記者会見で、こう取引先企業の現状を憂えた。新型コロナの影響で売り上げがほぼゼロになった中小企業も少なくない。GDP(国内総生産)の約6割を占めるといわれる消費が干上がっているわけだ。
 こうした中小企業の苦境を救うため政府は、第1弾の緊急経済対策として、インバウンド急減の影響をもろに受ける観光業などの中小企業向けに5000億円の低利の金融貸付・保証枠を設けたのに続き、第2弾として中小企業を対象に実質無利子・無担保で融資する新制度を創設、総額1兆6000億円規模の金融支援に乗り出すことを決めた。
 また、民間金融機関も企業や個人事業主に対し金利を優遇するなどの特別融資や貸出条件の緩和に踏み出している。融資審査はほぼノーチェックで、「財務に関する資料を揃えなくても条件変更に応じてくれた」(中小企業経営者)という声が多数聞かれるが、その多くは信用保証協会の保証付きで、「不良債権化しても信用保証協会がカバーしてくれるので安心。あとは野となれ山となれ」(地銀)という仕組みだ。「リーマン・ショックの時は信用保証協会の焦げ付きは約8%だったが、今回は10%を超えることも覚悟しているようだ」(信用情報機関)とされ、その損失は税金で補填される。結局ツケは国民が払わされることになるというわけだ。


 存在感の消えたホンダ、生き残りへ戦略転換も

 今や、自動車業界から存在感が全く消えたホンダ。2月に2020年3月期の連結純利益(国際会計基準)を前期比3%減の5950億円と、従来予想から200億円上方修正したが、新型コロナウイルスの影響でそのわずかな上方修正も吹き飛ぶ。
 昨年、4〜12月期の世界販売は380万台と4%減。残りの今年1〜3月期にはコロナ禍の影響で「1000億円前後の減益圧力がホンダを襲うだろう」と、大手証券アナリストは口をそろえる。
 八郷隆弘社長は前任の伊東考紳社長の拡大路線に伴って相次いだリコール騒動などの火消しのための「リリーフ」とみられていた。「調整型」の八郷氏は、電動化や自動運転など「CASE」への対応を急ぐために、「低公害型エンジンやヒト型ロボットの『ASIMO』やホンダジェットを生んだ本田宗一郎氏が創設した本田技術研究所から4輪車の開発部門を切り離すなど、聖域にメスを入れてきた」(ホンダ幹部)。だが「開発陣からは不評で、ホンダを去るエンジニアが止まらない」(同)。
 今や日本の自動車業界は「トヨタとその他」に2分される。マツダ、スバル、スズキはトヨタの傘下に入った。日産自動車はカルロス・ゴーン氏の問題以降苦しいが、世界販売1000万台クラブがいくつもできるなかで、400万台程度のホンダが「このままの状態で生き延びることは難しい」(大手証券アナリスト)のは共通の認識だ。ホンダは米GMとEV開発や自動運転などの分野で提携している。「GMと資本提携を含めたアライアンスを組んで、トヨタやフォクルスワーゲン、ルノー日産三菱連合に対抗する」方向がホンダ内部でささやかれる。「孤高」を貫いてきたホンダに、大きな戦略転換の日がくるかもしれない。


 食品スーパーに舵を切るイトーヨーカ堂

 イトーヨーカ堂の創業者は伊藤雅俊氏だが、同氏もこの4月30日で96歳となった。伊藤氏が存命中は同社を解体させるようなことはできないが、同氏の?デー以後はどうなるかわからない。そのヨーカ堂の行方を占う上で、「6月にスタートするグループ再編の将来が注目だ」とする声が高まっている。
 セブン&アイHD傘下の食品スーパー、ヨークマートが6月1日付でヨークへ商号変更するのがそれだ。ヨークが新たに統括するのはヨークマートのほか、ヨーカ堂が首都圏で展開する食品館やザ・プライスといった食品スーパーなど。ヨークがグループで手掛ける食品スーパーの総本山となるのだ。
 かつてのヨーカ堂は、同業の中でも粗利の高い衣料品に強かったため、利益率でトップを走っていた。その衣料品事業をさらに盤石なものとするべく、不動産会社の秀和が伊勢丹株を買い占めた際には、ヨーカ堂がホワイトナイトとして名乗り上げたこともあった。だが、その後はファストファッションの台頭もあって、「衣料品のヨーカ堂」の代名詞は色褪せていき、慢性的な不振に陥った。
 現在の活路は流行り廃りのない食品スーパーで、セブン&アイHDは展開エリアも首都圏に照準を定めており、その強化の表れが前述のヨーク設立である。その意味ではまだ序章だ。あの鈴木敏文氏追い落としでは伊藤氏についた井阪隆一・セブン&アイHD社長だが、伊藤氏の?デー後はヨーカ堂を段階的に消滅させ、食品スーパーに特化していく任を、伊藤氏の次男で常務執行役員の順朗氏に次期社長として託すものとみられている。


 新型コロナの影響でFRB議長が方針大転換

 FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長の大変身が市場関係者で話題となっている。米議会で2兆ドルの大型経済対策が成立。これを受けてFRBは大企業など事業会社に直接資金を供給する緊急措置を発動した。さらに、経済対策にはFRBに最大4250億ドルの政府保証を付与することも盛り込まれた。まさに「戦時体制」を意識したFRBの変身である。
 これらを主導したのはパウエル議長だ。パウエル氏は経済対策が成立する直前の3月26日にNBCテレビに緊急出演し、「企業は通常ルートで資金調達しにくくなっており、緊急資金を供給するなど持てる手段を総動員する。弾切れはしない」と豪語。そのパウエル議長の企業への無制限の資金供給ともとれる発言に、市場は驚きをもって好感した。
 そもそもFRB議長がテレビに出演するのは異例で、2009年にバーナンキ議長(当時)が出演して以来とされる。しかも、パウエル氏は弁護士あがりで、就任時についた渾名は「ミスター普通」。議長就任後も手堅い・保守的な運営を貫いてきた。「トランプ大統領とことあるごとに対立し、トランプ氏はパウエル氏をクビにすると何度となく周囲に囁いたほどだ」(エコノミスト)。
 そんなパウエル議長を大変身させたのは、まさに新型コロナウイルスの猛威にほかならない。今や米国は世界の感染国になり、経済への影響は深刻の度を深めている。「FRBは日銀と異なり、雇用維持も政策目標になっている。大恐慌を超える30%の失業率に達するとの試算もあり、FRBの慌てぶりがうかがえる」(同)というわけだ。


 新型コロナで見えたロシア、ビザなし渡航も中止の現実

 日露両国の交流を進める北方領土へのビザなし渡航が、新型コロナウイルスの感染拡大で今年は全面中止になるもようだ。1992年に始まったビザなし交流の中止は初めてで、平和条約交渉に大きな打撃となる。
 両国は3月初め、今年度の交流計画をサハリンで討議する予定だったが、新型コロナウイルス問題の余波で中止になり、今後の予定は未定の状態。当初、北海道で感染者が増えたことから、ロシア側島民の間で日本人の上陸拒否を求める声が強まった。しかし、その後ロシアの感染者が急増。日本の3倍以上になり、地方の劣悪な衛生状態から、ロシアが「第2の武漢になる」(英紙フィナンシャル・タイムズ)との見方も出ている。サハリン州でも感染者が増え、4島への波及も時間の問題だ。
「交流では密閉、密集、密接の船舶を使い、日本側は高齢者が多いため、感染しやすい。管轄する内閣府の担当者は、今年の訪問はないと断言しています」(外務省クラブ記者)
 サハリン州は来訪する外国人に2週間の隔離を義務付けており、これに従うとロシアの主権を認めることになる。外務省もこれを警戒し、今年の実施に反対しているもようだ。一方、ロシアの税関や国境警備隊など保守組織は普段から日本人の訪問を苦々しく思っており、これを機に交流の縮小を狙っているとされる。
「ロシアは全土がコロナに汚染されつつあり、プーチン政権の不手際に批判が出ています。日露交渉どころではなく、交渉も交流も先送りになるでしょう」(モスクワ特派員)
 任期中の平和条約締結という安倍首相の悲願も風前の灯だ。


 新型コロナ以上の脅威、水面下で急増するAMR

 新型コロナウイルスの脅威の裏で静かに進行しているのが、AMR(薬剤耐性菌)の増加だ。抗生物質が効かない細菌のことで、2013年の時点で、少なく見積もっても世界で年間70万人以上の死者が出ている。
 現在、新型コロナ治療の最前線で奮闘している国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長が中心となって、AMR研究を実施し、昨年12月に報告した日本の死者数は年間約8000人。ただし、これはAMRの代表MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)など一部のものにすぎず、実際の死者数はもっと多いと推定されている。
 対策はできるだけ不必要な抗生物質の使用を控えることだが、医療先進国でもなかなか徹底されていない。日本や英国では、風邪や上気道炎に対し、安易に抗生物質を処方する医師もいて、英国の場合は処方箋の25%が不適切使用だという。
 医療先進国では抗生物質の不適切使用をやめるために国家レベルでの対応を行い、日本でも厚労省や学会が、風邪に抗生物質は処方しないというガイドラインを作成している。問題なのは、中国での濫用だ。中国の統計は信頼性が低いとされているが、推計で欧米の数倍から10倍といわれている。特に食用とする豚や鳥などへの過剰な使用が指摘され、さらなる多剤耐性菌の出現が懸念されている。世界は新型コロナウイルスだけに目を奪われているが、AMRをはじめとするあまり知られていない病原体の蔓延にも要注意だ。


 コロナ禍のサブスク人気で再評価される新聞業界

 コロナ禍で、さまざまな産業が軒並み凄絶な悲鳴を上げる中、堅調に推移している数少ないビジネスが定期・定額契約事業(サブスクリプションビジネス)だ。そんな中で健闘しているのが、斜陽産業といわれて久しい新聞事業。ニュースの信頼度の高さも相まって、多くの読者から頼りにされているようだ。
 いわゆるサブスクは、一定の期間に一定の金額を支払うことで、所定のサービスを享受できる仕組み。アップルミュージックの音楽聴き放題、ネットフリックスの映画見放題、dマガジンの雑誌読み放題など、ネットを利用した多種多様なサービスがすぐに思い浮かぶ。外出自粛や在宅勤務で、家の中に閉じ籠もらざるを得ないため、こうした楽しみ方が利用者にとって有用であることは想像に難くない。
 サブスクのネットメディアが賑わう中、再評価されているのが新聞業界だ。というのも、月決め購読で宅配中心の新聞のビジネスモデルこそ、サブスクの「元祖」ともいえるからである。大手新聞社のトップは「世の中が騒然としている中で、新聞社は意外と強いことがわかった」と、得心したように語った。この新聞社では、販売店の従業員が感染したものの、それを理由にした解約は30部程度にすぎなかったという。
 あるリサーチ会社によると、日本では7割以上の人が新型コロナウイルスに関するデマやフェイクニュースを見聞きしたとされる一方、回答者の約8割が新聞の情報を信頼していると答えた。東日本大震災に続くコロナ禍で、右肩下がりの新聞業界は壊滅的打撃を受けるとの見方もあったが、どうやら当面は持ちこたえそうだ。新聞ビジネスが将来にわたって永らえる保証はないのだが……。


 リストラ続く産経新聞社に第2労組結成の動き

 産経新聞社の中に「第2労働組合」という不気味な妖怪が蠢動している。
 産経の公称部数は140万部だが、全国紙の中では際立って押し紙の比率が高く、実売は「80万部あればいいほう」(他紙の販売局幹部)という。窮地の産経にあって飯塚浩彦社長の打つ手は、ひたすら人員削減だ。希望退職の募集に加えて地方支局網の統廃合。東京のベテラン記者は全く畑違いの地方支局に飛ばされた。「辞めるのを誘導するような嫌がらせの人事でした。異動が嫌ならば辞めろ、というやり方です」(中堅記者)。中高年記者を中心にこうした不本意な異動が後を絶たないという。
 頼みの綱の産経労組は役に立たない。産経労組は1960年に新聞労連を脱退し、経営側と協調する労使協定を締結。一切争議行為を行わない約束を結び、60年代の「産経残酷…」という過酷なリストラ策を唯々諾々とのんだ。そして、すでに飯塚リストラ路線に応じて社員の1割弱の200人が希望退職に応募した。
 そして、身の安全を守る防波堤を設けようと、産経記者数人が今、秘密裏に新たな労働運動を模索。不倶戴天の敵である朝日新聞社に昨年、「朝日新聞再生機構」という第2組合ができ、経営側と対峙しているのを参考に「フラクション」づくりが始まっているのだ。
「まだ労組の結成をしたわけではなく、具体的な労使交渉を始めているわけではない。これ以上の不当な嫌がらせが続いた場合、このまま黙っていないぞと信頼できる仲間と話し合いをしているところだ」と関係者。産経の飯塚社長は「リストラしかしない最悪の経営者」(産経記者)と評判は悪い。朝日と産経の戦う労組が手を取る日が近いかもしれない。


 不安と不信が渦巻く五輪選手村の今後

 東京五輪開催の1年延期がさまざまな波紋を呼ぶ中、報道されない水面下の動きもある。その1つが、竣工しつつある東京都中央区晴海の五輪選手村建物の利用法だ。五輪後は「晴海フラッグ」として大規模なマンション群に衣替えする予定だ。
 新型コロナウイルス感染が首都を急襲中の3月、小池百合子都知事は、都内の病院の集中治療室不足など大規模病院の部分的な「医療崩壊」に直面しつつあった。そこで軽症者を病院以外に行ってもらうことが緊急の課題となり、稼働率が1〜2割程度に落ち込んだホテルの利用のほか、五輪選手村など23区内外の都の複数の大規模施設も検討先となった。選手村の場合は、マンションに転用する際に徹底した清掃やリフォームを行う予定なので、軽症者を受け入れても、入念な消毒をすれば「大丈夫」という考えもあったようだ。
 ところが小池知事が報道陣に「選手村が候補」と発言をしたことで、選手村建物がある地元の晴海地区の一部住民の間で大騒ぎになったのだ。選手村周辺の住民は「選手村の出現で眺望が悪化する」、「座る座席があった電車やバスも、(2万人のフラッグ住民に)占拠されてしまう」という不満を抱えていた。そこへコロナ感染者の収容だ。「選手村に感染者が集まれば、晴海地区全体に風評が起きる可能性もある」として、意外にも地域住民が、購入予定者の「猛反対」に加勢する側に回ったのだ。
 購入予定者のほうも、五輪延期が取り沙汰された3月、「晴海フラッグ」(選手村)への入居時期も五輪延期に伴い1年延期するのか?」、「そうすれは、一時的に購入者の住むところがなくなるのか」という不安が広がり、感染者収容で怒りの矛先が小池知事に向かい始めた。その結果、世間の風を読むことに長ける小池知事は、選手村利用案には触れなくなったというわけだ。巨費をかけて「自粛」のテレビCMを連日打っても、「7月の都知事選の選挙運動みたいなもの」という批判もある中だった。
 しかし、選手村の1部が感染者施設とならなくても、マンション購入者にとって問題は終わったわけではない。五輪の1年延期で入居を先送りする可能性も残り、そうなれば「補償問題」が持ち上がるからだ。
 すでに1億円近い物件価格の1割を払い込み、預貯金が底をつきそうな購入者もいるようで、「手付金を払ったので、我々が物件を所有しているのと同じだろう」、「入居を待たされても、近場の晴海や勝どきに良い賃貸物件を紹介してくれるのか」、「その場合、引っ越し代や賃貸家賃は誰が負担するのか」といったさまざまな不安や不信はまだ氷解したわけではないのだ。


 ネット上で中国と反目する「ミルクティー同盟」とは

 中国とタイのネット民がツイッターなどを通じ、相手国をののしり合う舌戦を展開している。きっかけは、タイの有名女優がツイッターで、新型コロナウイルスの出所は中国の研究所ではないかというツイートを共有したこと。女優が過去にインスタグラムに「台湾は中国の一部ではない」と書き込んだほか、女優の恋人が香港を「国」と表現したことも判明し、中国側の怒りに火が付いた。
 民政移管後も軍が政治に大きな影響力を持ち続けるタイについて、中国ネット民は「民主主義を論じるなんて最高のジョーク」と投稿。すると、現政権に不満を持つタイのネット民は「もっと大声で訴えてくれ」「タイ国民が真の民主主義を望んでいると世界に伝えてほしい」ときれいに切り返した。
 タイ側からは「香港は中国のものではない。台湾は中国のものではない。チベットは中国のものではない。新型コロナウイルスは中国のものだ」。また、中国で習近平国家主席と比較することが禁じられている「くまのプーさん」に触れ、「タイはプア(貧しい)だが、中国はプーだ」という書き込みもあった。
 タイには中国に不満を持つ台湾と香港のネット民も同調。タイがタイミルクティー、台湾がタピオカミルクティー、香港が香港式ミルクティーの発祥地であることから「ミルクティー同盟」という言葉も生まれた。
ネット上のたわいない言葉遊びに在タイ中国大使館も参戦。フェイスブックに大使館報道官名で声明を出し、「1つの中国は反論できない原則。いかなる場所であれ、この原則に沿わない誤った見解に断固反対する」とかみついた。


 新型コロナ禍の陰で中国が示威行動を活発化

 新型コロナウイルスが世界で蔓延し、国際社会が感染拡大阻止や対応に忙殺される陰で、中国が南シナ海や尖閣諸島周辺で示威行動を相次いで行っている。関係国・地域の当局は「コロナ禍という『火事場』のどさくさに紛れて自分たちの権益拡大を図っている」(東南アジアの軍事消息筋)と、暗雲漂う東アジアの安全保障環境に危機感を強めている。
 ベトナム政府によれば4月初旬、西沙(パラセル)諸島付近で同国漁船が中国海警局の船舶に体当たりされて沈没し、別の漁船も拿捕された。ベトナム外務省の抗議に対し、中国側は「漁船が(中国の)管轄海域に侵入した」と反論している。
 また、尖閣諸島周辺の日本の領海や接続海域には中国海警局の船舶の出没が頻発し、台湾近辺の上空での中国軍機の飛行も確認されている。さらに、中国海軍は同国初の空母「遼寧」が南シナ海で演習を行ったと発表した。軍事専門家は「コロナ対応をめぐる国内の不満を逸らすため、強硬姿勢を打ち出した」と指摘し、示威行動が続く可能性を指摘する。
 東アジア・太平洋の安保の要は米軍の存在だ。3月初めには空母「セオドア・ルーズベルト」がベトナム中部ダナンに寄港し、海洋進出を続ける中国を牽制するために米越両国が連携することを改めて印象付けた。
 しかし、その後「セオドア・ルーズベルト」を含む米空母四隻で乗組員の新型コロナ感染が判明し、乗組員の待避・隔離などにてんてこ舞いだ。中国は「米軍の能力が弱体化した状況がしばらく続くだろう」(環球時報)と分析しており、機に乗じた中国の行動に端を発する不測の事態も懸念される。


 コロナ対策での後手続きに怒り心頭のトランプ氏

 トランプ政権を日夜取材しているホワイトハウス担当の記者たちは、この1カ月間でトランプ大統領のこれまでにない怒りと怯えた顔を何度も目撃している。原因はコロナウイルス対策がうまく機能しないためだ。特にニューヨーク州、中でもニューヨーク市の状況は悲惨だ。
 しかし、ここは民主党の基盤でもあり、その陣頭指揮を執るクオモ知事の評価が高まっており、それに手を貸すのも嫌だという思いがある。それでもニューヨーク市はトランプ氏がオーナーであるトランプインターナショナルの本拠地で既に相当の被害を受けており、長男のトランプジュニアは数千人を超える従業員の解雇を発表している。
 そうした中、公衆衛生に関する行政に疎いトランプ氏は、コロナウイルス対策をペンス副大統領に丸投げしてきた。しかし、ペンス氏にも荷が重く、次第に実質的な指揮権は娘婿のクシュナー上級顧問に移ってきている。だが、彼は医者でも軍人でもなく、行政経験もない。全米各州から寄せられる医療要請に、連邦政府備蓄分の物資を使うことを拒否しており、その態度があまりにも冷たいと全米中の非難を浴びた。
 そこでトランプ氏は、批判の的を中国とWHO(世界保健機構)に向けている。また、支持基盤である共和党保守派の反中国気運も盛り上がり、台湾との国交樹立法案を作ろうとしている。それに同調しそうなのが、ジョンソン首相の英国だ。国全体が反中国に傾いており、政府内では約2600億ポンドの対中国損害賠償も検討中だ。対中国をめぐって米英の足並みが揃い始めた。








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