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 批判を浴びる黒川検事長に政権を裏切る可能性あり

「法務・検察」でナンバー2の黒川弘務東京高検検事長が、内外から総攻撃を浴びている。本来なら2月8日の63歳定年を守って退任しなければならないのに、官邸が圧力をかけて半年間、定年を延長。検事総長の芽が出てきたことで、「そこまでして総長になりたいのか」という侮蔑の声が内部から、そして「これで検察は政権のいいなり」という声が外部から上がっている。
 だが、「そう単純ではない」(ベテラン司法記者)という見方もある。「官邸の意向は大切にするが、検察の意地も通そうとする人。だから別名は『腹黒川』。政界に切り込んで、アッといわせることがあるかもしれない」(同)というのだ。
 黒川氏は官房長と法務事務次官を7年半も経験。政界と「法務・検察」のパイプ役であり、調整能力と与野党政治家へのロビーイングでは定評がある。菅義偉官房長官とのパイプが太くなるのは当然だが、露骨に政権寄りでは野党の反発を食うし、検察内部からも批判される。昨年末の秋元司元代議士を逮捕したカジノ事件がそうだったが、黒川氏は「捜査すべし」という積極派だった。
 パイプ役を担わされたのは、2010年、証拠改竄の大阪地検事件を特捜部が引き起こし、「検察改革の事務局を任せるのは黒川しかいない」という当時の検察首脳の判断によって、松山地検検事正をわずか2カ月で退任、東京に戻されてからだ。検察全体が牙を抜かれて雌伏の時を過ごすが、その間、刑事訴訟法改正などの業務を遂行、「司法取引」「通信傍受の拡大」といった新しい武器を捜査権力に与えた。
 それがどれだけの威力を発揮するかは、世界を驚嘆させたカルロス・ゴーン事件が証明する。司法取引なしに日産を私物化した「独裁者の罪」を暴くことはできなかった。また、刑事法廷においてLINEなど通信記録の証拠採用が急増、改正通信傍受法による通信傍受の拡大が捜査に寄与しているのは明らかで、これらは、雌伏の間に成し遂げた黒川氏の功績だろう。
 一方、森本宏特捜部長は、「検察のエース」として特捜復活を託され、わずか2年半の間に文部科学省事件、カルロス・ゴーン事件、秋元司事件を仕上げ、期待に違わぬ活躍を見せた。といって強引に捜査を進めるのではなく根回しにも長けており、政官財に切り込むに当たって、黒川氏の調整能力に期待して根回しを行い、黒川氏もそれに応えたという。
 つまり黒川・森本コンビは、したたかに検察の存在感を示してきたと言えるわけで、「政権の言いなり」という批判を黙って受け入れるタイプではない。官邸が検事総長人事に口を出したのは、秋元代議士逮捕のカジノ事件をさらに広げ、菅原一秀、河井克行・案里夫妻の公職選挙法違反事件に着手するなど検察の怒濤の攻めを恐れたからだ。すでに、その奸計が広く国民に知れ渡る中、官邸を慮って「何もしない」という選択肢はなく、それが「腹黒川なら、政権の期待をうまく裏切るんじゃないか」という観測に繋がっている。


 2月の日米共同訓練でオスプレイの欠点が露呈

 北海道で2月に行なわれた日米共同訓練「ノーザンヴァイパー」に参加したことにより、垂直離着陸輸送機「オスプレイ」の「寒さに弱い」という欠点が表面化した。同訓練は2017年8月に続いて2回目。冬場に実施されたのは初めてだ。
 沖縄の米海兵隊普天間基地所属のオスプレイ2機は、予定より8日も遅れて2月4日に千歳基地に到着。翌5日に2機揃って慣熟飛行を行ったものの、6日と7日はそれぞれ1機が千歳基地と北海道大演習場間の往復のため、10分ほど飛行しただけ。訓練にはまともに参加しないまま終わった。
 大遅刻した理由について、米側は当初、防衛省に「運用上の理由」としか説明せず、自衛隊には「悪天候が理由」と伝えられた。
 帰還も1機は予定より3日遅れて同10日に飛び立ち、途中、「凍結警告灯が点灯した」ことを理由に仙台空港に緊急着陸した。この1機は翌日、気温が高くなった午後になって、ようやく帰還の途についた。
 米海兵隊の操縦マニュアルによると、凍結警告灯が点灯すると「正常な飛行ができなくなる」とし、「ただちに着陸する」よう指示している。
 8日も遅刻した間、北海道は寒波に見舞われた日もあったが、千歳基地に隣接する新千歳空港では民間航空機が何の問題もなく離発着していた。また帰路の途中、緊急着陸した仙台空港でも民間航空機は通常運航していた。
 民間機が問題なく飛べる程度の低温でも飛行に障害が出るのだとすれば、これほど脆弱な軍用機でよいのかという疑問符が付く。しかも陸上自衛隊はこのオスプレイを17機も米政府から購入するのだ。
 在日米軍の場合、オスプレイは温暖な沖縄に配備しているからまだいい。自衛隊版オスプレイは今年6月以降、千葉県の木更津駐屯地に順次配備され、寒冷地の北海道や東北地方でも飛行する。冬場に弱い特性があるのだとすれば、自衛隊はとんだお荷物を抱え込んだことになる。


 パワーバランス崩れ、菅・二階両氏が弱体化

 安倍晋三首相を支える三本柱、菅義偉官房長官、二階俊博自民党幹事長、麻生太郎副総理兼財務相のパワーバランスに異変が生じている。一言で表現すると、菅官房長官と二階幹事長の力が下降し、それを横目に麻生氏がほくそ笑んでいる構図だ。一強の安倍首相は、国会混乱のヤジも何のその、体よく「我関せず」と模様眺めである。
 昨年の参院選までは「令和おじさん」として人気、権力とも絶頂だった菅官房長官が内閣改造で、自分に近かった河井克行前法相と菅原一秀前経産相を押し込んだが、これが大誤算だった。河井氏は妻の案里参院議員と共に公選法違反容疑で広島地検の家宅捜索を受けた。菅原氏も公選法違反の疑惑が報じられている。両氏とも閣僚を辞任した後、菅氏も意気阻喪に陥っているという。
 菅氏は首相官邸近くのホテルのレストラン個室を朝食懇談用に月曜から金曜まで借り切っているが、今年に入って使用頻度が極端に減っている。懇談する気にもなれないのかもしれない。加えて、定例記者会見で「桜を見る会」問題についての質問の応答に窮する場面が続出し、20分間に秘書官が11回もメモを差し入れたことがあった。菅氏の答えは簡潔、正確とされてきただけに、官邸ウォッチャーから、河井・菅原問題がボディーブローで効いている、との見方が出ている。
 一方、二階氏本人の疑惑ではないものの、IR(カジノを含む総合型リゾート)汚職に関係する議員はすべて二階派である。東京地検特捜部が収賄容疑で起訴した元内閣府副大臣(IR担当)だった秋元司被告をはじめ、関連で事情聴取を受けた国会議員がすべて二階派のメンバーだ。さらに、秋元被告がパチンコ関連企業の支援による選挙丸抱えだったことは、永田町関係者の間では周知である。特捜部はすでにパチンコ大手ガイアに家宅捜索を行っている。
 また、昨年の参院選前、都内のホテルで自民党比例代表候補、尾立源幸氏(選挙では落選)の「励ます会」が開催された。二階氏主導で公認候補に決定した人物だ。主賓挨拶が二階氏、続いて平沢勝栄総務会長代理、秋元被告の順で、いずれも二階派である。この会を仕切ったのが全日本遊技産業政治連盟で、二階派には「パチンコ族議員」が多いとされる。
 特捜部がどういう事件の図柄を描いているのか定かでないが、IRとパチンコの「合わせ技」で一本取ることになるのか、永田町ウオッチャーは注目している。


 民法改正で銀行が警戒、アパートローン

 全国銀行協会の高島誠会長(三井住友銀行頭取)は1月16日の記者会見で「SMBCにおいても、各種手続きの見直しを進めており、例えばアパートローンについては、今回の法改正の趣旨も踏まえ、原則として法定相続人になることのみをもって連帯保証人には徴求しない方針である」と述べた。
 高島会長が「今回の法改正」と指摘したのは、2017年5月に成立し、今年4月1日に施行される民法の改正債権法である。民法制定以来、実に120年ぶりの大きな見直しであり、「社会経済の変化への対応を図るために実質的にルールを変更したものや、従来から判例や実務のなかで通用してきている基本的なルールを明文化されたものが入っていると理解している」(高島会長)とされる。
 改正内容は多岐にわたるが、なかでも金融機関にとって影響が大きいとみられているのが、経営者以外の個人が保証人になる場合、公正証書による保証意思の表明が必要になること。いわゆる「第3者保証の弊害の除去」である。
 具体的には、改正債権法では、運転資金や設備資金、アパートローンなどの事業性資金を融資する場合、「経営者等」以外の個人から保証を得る場合には、保証人予定者は公証役場で保証の意思を明らかにする公正証書を作成しなければならなくなる。金額の多寡にかかわらず、保証契約日前の1カ月以内に公正証書を作成しなければ、保証契約の効力は生じない。この公正証書の作成は新規融資の契約時のみならず、条件変更時も必要で、保証人予定者の負担は相当なものとなると予想される。
 一方、主たる債務者は自己の財産や収支の状況について、保証人予定者に情報提供する義務が課される。この義務を履行しない場合、保証契約自体が取り消される可能性があるため、金融機関も「主債務者と保証人予定者の双方にサインしてもらう」など、一定の関与が必要になると見られている。金融機関の負担も増すことは避けられない。
 そもそも今回の法改正の趣旨は、「第3者保証の弊害の除去」にある。金融庁も11年に監督指針を改正し、金融機関に対し第3者を連帯保証人にしないよう求めている。改正債権法の施行に伴い第3者が保証人になること自体が徐々に減っていくことになろう。例えば現状、アパートローンなどについては相続人などを含む第3者が連帯保証人になっているケースが多いが、冒頭の高島会長の発言に見られるように、相続人=連帯保証人ということではなくなっていこう。


 ご意見番も去っていまや孫氏は四面楚歌?

 ソフトバンクグループ(SBG)を率いる孫正義氏への投資家としての「真贋」が、かつてないほどに問われている。米シェアハウス大手のウィーワークへの投資の失敗で2019年7-9月期は最終損益で7001億円もの巨額赤字に転落。配車サービスの米ウーバーテクノロジーズなど他の投資先企業でも株安が進行。主力のファンド事業で9702億円という多額の損失(前年同期は3924億円の利益)が発生したのが響いた。
 さらにSBGが出資する案件では、インドの新興ホテル運営会社OYO(オヨ)ホテルズアンドホームズも経営が厳しくなっている。インドや中国で1800人規模の人員削減を迫られている。このほか、カナダのリチウム鉱山会社であるネマスカ・リチウムも破綻、そこに前出のウーバーテクノロジーズなど上場した投資先も株価の低迷に歯止めがかからない。SBGが抱える投資先の含み益は減少が続いている。
 こうした投資失敗の責任を取る形で、このほどSBGの米国における投資を統括するマネージング・パートナーの一人、マイケル・ローネン氏が同ファンドを離れる意向を表明。同氏はウィーワークなどの投資を担当しており、責任を取らされた格好だ。
 さらにユニクロを率いるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長もSBGの社外取締役から身を引いた。柳井氏は孫氏に請われる形で01年からSBGの社外取に就任。「ストッパー役」を自任してきた。SBGが10兆円ファンドによる人工知能投資やグループ内での大型買収を加速する際も、投資の社会的意義や買収額の適正さなどを取締役会で問い、「正面から物言うご意見番として貴重な意見をいただいてきた」とSBGの幹部はいう。
 柳井氏は退任の理由を表向き「本業に専念したいため」としているが、「最近の孫氏のファンドの無規律な投資が相次いで失敗を重ねているのに対し、社外取締役として責任を持てなくなった」(ファーストリテイリング幹部)とされる。17七年には孫氏が信頼を寄せてきた日本電産の永守重信会長が社外取を退任、「孫氏を止められる人物がいなくなった」(大手証券アナリスト)と市場ではSBGの経営への警戒感が高まっている。
 そして、SBGの投資の相次ぐ失敗につけ込む形で米国の有力アクティビスト、エリオット・マネジメントがSBGに対して最大200億ドル(約2兆2000億円)の自社株買いや社外取締役の増員などを要求してきた。内憂外患に見舞われるSBG。後ろ盾を失った孫氏がこの危機をどう乗り越えるのか──。


 強気の三木谷氏が躓く楽天ユニオンの反旗

 強気な体育会経営で知られ、役所や既存の財界にもケンカを売ってきた楽天の三木谷浩史会長兼社長が、出店者の任意団体である楽天ユニオンの反撃を受けて揺らぎ始めた。「3月18日から実施する3980円以上の送料無料は、楽天にとっても出店者にとってもいい」といっていた主張を後退させ、「送料込み」に切り替えたからだ。
 楽天ユニオンは、送料無料を打ち出した楽天に反対する300内外の出店者が集まった任意団体。会長の勝又勇輝氏が取りまとめ役だが、労働運動の指導者や経験者がいるわけではなく、ネットの掲示板で知り合ったメンバーが、昨年10月に自然発生的に立ち上げた。したがって手作り、手探りで活動を始め、顧問の川上資人弁護士も手弁当である。
 当初、楽天は歯牙にもかけなかった。出店者五万のなかの一部であり、いずれ楽天の方針に従うと思っていた。だが、粘り強く運動を継続、1月22日には公正取引委員会に楽天を独占禁止法違反(優越的地位の乱用)で告発、約4000人の署名を提出した。これを受けて公取委は、1月28日から調査を開始、2月10日には立ち入り検査を行った。
 このスピード感は、公取委と楽天ユニオンの問題意識が重なっていたからである。なによりユニオンに参加する出店者が不満だったのは、楽天がこれまで優越的地位の乱用を繰り返してきたからで、送料無料は最後のひと押しに過ぎなかった。
 ユニオンは「違反点数制度の廃止」「楽天ペイの撤回」「アフィリエイト(成功報酬型広告)最大8%の撤回」の署名も集めた。いずれも一方的な通告によってなされ、抗弁できない。例えば、アフィリエイトは、それまでは1%だったのに、突如8%に上げられて効果の確認もできず、黙って徴収されるだけ。この種の不平不満の積み重ねがユニオン設立に繋がっているわけだ。
 三木谷氏とすれば、アマゾンとの競争に勝ち残るためには、送料無料を打ち出さざるを得なかった。プライム会員はすべて、2000円以上なら非会員でも無料のアマゾンと、各店舗に裁量を任せた楽天との差は大きく、三木谷氏は「送料無料で売上高は15%増えるので、店舗にとってもいい話」と強調。だが、株式時価総額で100倍のアマゾンとの戦いを、店舗を犠牲に行うような商法は、出店者からも公取委からも認められなかった。


 34年ぶり上場来安値、日銀株が現わすジレンマ

 日銀の株価が下落の一途をたどっている。日銀株はジャスダック市場に上場しているが、1月21日に一時30300円まで下落、1985年以来、34年3カ月ぶりに上場来安値に沈んだ。(2月20日現在、31300円)。日銀は資本金1億円で、政府が55%、民間が45%を出資している。日銀株は厳密にいうと出資証券で、日銀に対する出資の持ち分を表す有価証券だ。浮動株は少なく、値動きは大きくはないが、黒田東彦日銀総裁が就任する直前の2013年3月に94000円の高値を付けた。バズーカ砲と呼ばれた異次元緩和への期待が背景にあった。「日銀株は個人投資家の金融政策に対する関心の高さを表す指標的な銘柄」(市場関係者)というわけだ。
 その日銀の株価が下落の一途を辿っていることは、日銀の金融政策に対する個人投資家の関心が低下し続けている表れであり、同時に、「異次元緩和に伴い大量のリスク資産を購入し続けている日銀に対し、個人投資家が財務内容の悪化を懸念している」(同)とも見られている。
 日銀は、1月21日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和の現状維持を決めた。16年1月に異例のマイナス金利政策の導入を決めてからちょうど4年目。今、黒田総裁に金融緩和を緩める考えはない。強気の背景は、株価の上昇に支えられた経済の安定だ。マイナス金利を決めた四年前から、日経平均株価は4割上昇し、不動産価格も上昇した。
 しかし、日銀は国債やREIT(不動産投資信託)、ETF(上場投資信託)を大量に買い上げており、これにGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式投資分を加えれば、「官製資金」に支配された歪んだ市場ともいえる。日銀株の下落は、日銀のジレンマの現われだろうか。


 サービサー法改正案は今国会で成立するか

 今国会で金融関係者が固唾をのんで見守っている法案がある。議員立法で提出されたサービサー(債権回収会社)法の改正案。従来の主対象であった銀行が抱える不良債権等に加え、電気・ガスといった公共料金、保険料、奨学金まで回収の対象が広がることになる。法案が成立すれば、電気料を滞納した場合、電力会社に代わってサービサーの担当者が回収に自宅を訪ねてくるケースも登場しよう。当然、回収のプロの取り立ては厳しくなることが予想される。消費者にとっても見過せない事態だ。
 サービサー法は、銀行の不良債権が社会問題化した1998年に制定された法律で、「銀行の不良債権処理のスピードを上げるために、債権を買い取り、回収する特別な会社が必要との判断から制定された。法律成立を受け銀行はこぞって系列のサービサーを設立し、不良債権処理に奔走した」(メガバンク幹部)という。
 しかし不良債権問題も峠を越し、経済の回復とともにサービサーが対象とする不良債権も減少、業務も縮小の一途だ。そんな危機の打開のため、改正法案は4〜5年前から超党派の事業再生・サービサー振興議員連盟(会長・山本幸三・衆議院議員)を中心に準備されてきた。ただ、単なる延命ではなくサービサーを社会に不可欠な事業として定着させるカギは、法の適切な運用であろう。


 終戦か、一時的な休戦か、村上氏vs.レオパレス

 村上世彰氏が率いる投資ファンド「レノ」と「エルグランドコーポレーション」は1月28日、レオパレス21に突き付けていた現取締役十人全員の解任提案を撤回した。事実上の終戦宣言だ。表向きの理由は「施工不備問題の是正と繁忙期の営業を優先するため、現経営陣を解任しない」というものだが、実態は、「村上氏が主張する経営陣の総入れ替えに他の大株主の賛同が得られなかったようだ」と市場関係者は指摘する。
「レオパレスが存続し得るかどうかは、新入社員や新入学生の入居が見込めるこの1〜4月の入居率を上げられるかにかかっている。その大事な時期に経営者の総退陣や臨時取締役会の開催要求で揺さぶりをかける村上氏の言動は、レオパレスの企業価値を向上させたいという主張と矛盾していた」と取引銀行幹部は語る。
 レノはレオパレス株の14.46%を親密会社と共同保有していた。ほかに英運用会社オディ・アセット・マネジメントが14.34%、国内運用会社のアルデシアインベストメントが16.1%の株式を保有しており、3社の持ち分を合計すると発行済み株式の四五%を占める。これに5%超の一般株主が賛同すれば、臨時株主総会で村上氏はレオパレスの経営権を事実上握ることができたわけだ。しかし、「アルデシアは村上氏の主張に賛同しなかったようだ」(市場関係者)。
 村上氏は「(TOBと買収防衛策で対立する)東芝機械とのディールに専念したい」と周囲に語っており、レオパレスについては6月の定時株主総会まで静観する構えだ。終戦となるか否かは1〜4月の入居率の実績次第だ。幸い1月の入居率は「逆ざや」転落のメドとなる80%割れを4カ月ぶりに脱したが、主戦場の今春に入居率が改善しなければ、対立の第2幕が開く可能性もある。


 東京センチュリーが興銀系主導のみずほ離れ?

 総合リース大手の東京センチュリーは2月6日、NTTと資本提携を発表した。総額約938億円の第3者割当増資の一部をNTTが引き受け、株式の10%を取得する。同時に、NTTはグループのリース事業を分離して、両社が折半出資する共同運営の新会社「NTT・TCリース」を設立。再生可能エネルギーや次世代移動サービスなど成長分野で協業する。
 この資本提携に少なからずショックを受けているのは、東京センチュリーの母体銀行のみずほフィナンシャルグループだ。東京センチュリーは旧第一勧銀系のリース会社であったセンチュリー・リーシングシステムと東京リースが2009年に合併してできた会社で、現在の浅田俊一社長はじめみずほOBが多数在籍している、超がつくほどの親密企業だ。にもかかわらず今回のNTTとの資本提携でみずほの出資比率は低下する。これがTみずほ離れUと受け止められかねないためだ。
 実はみずほは、ちょうど1年前に系列リース会社の統合を模索した経緯がある。「旧興銀系の興銀リースと、旧富士銀系の芙蓉総合リース、そして東京センチュリーの3社を統合して日本最大級の総合リース会社を立ち上げる構想だった」(みずほ関係者)という。しかし、蓋を開けてみれば、構想に賛同したのは興銀リースのみで、逆に東京センチュリーと芙蓉総合リースはみずほに距離を置いた。結果、みずほは興銀リースを持ち分法適用会社にし、「みずほリース」に改称すると発表した。系列リース3社の糾合構想は尻すぼみを余儀なくされた。
「最も規模の大きい東京センチュリーが統合構想に理解を示してくれるかが焦点だったが、伊藤忠商事が25%の株式を保有するなど資本面でも独立色が強く、統合に賛同してくれなかった。同様に芙蓉グループ各社が出資する芙蓉総合リースも否定的だった」(みずほ関係者)という。背景には「銀行の持ち分法適用会社になることで、銀行法上の規制が課されることを嫌った」(同)という事情もある。しかし、根底には「みずほの有力OB間の確執が影を落としている。興銀主導の現みずほとは一緒になれないというわけだ」と別のみずほ関係者は指摘する。「親密リース会社には、かつて銀行の頭取レースを争って敗れた有力OBが転出しており、現在も隠然たる力を保持しているところもある。そこにはこのOBの派閥に属していた人材が数多く移籍しており、銀行の言うことなど聞く耳を持たない」(同)という。
 リース事業の大同団結ははたして実現するのか。みずほの悩みは深い。


 「ブラック企業大賞」? 三菱電機の実態

 弁護士やジャーナリストによる企画委員会が運営する「ブラック企業大賞」において2018、19年と史上初の2年連続で大賞を受賞する不名誉な記録を持つ三菱電機。受賞理由は、パワハラによる若手社員の相次ぐ自殺や長時間労働だ。
 昨年12月に同社の男性新入社員が上司からパワハラを受けて自殺していたことが発覚した。同社ではこれ以外にも過去に何度もパワハラや長時間労働による自殺を引き起こしている。12年には名古屋製作所の社員が精神障害で自殺。16年11月には新入社員が社員寮(兵庫県三田市)で自殺。さらに19年8月には新入社員と同じ三田市の社員寮で自殺者を出している。
 これらも含め、少なくともこれまでに男性社員5人が長時間労働などを原因とした精神障害や脳疾患を発症して労災認定され、うち2人が自殺。いずれも20〜40代で、研究やシステム開発に従事していた。
 三菱電機は1月に「労務問題の再発防止に向けた取り組みについて」と題する文書を公表。今後のパワハラ防止策として社長直轄の「職場風土改革プログラム」を強力に推進すると言っている。
 一方、業績は堅調で、日立製作所に次ぐ総合電機2位の座を確たるものにしている。家電から重電、人工衛星まで幅広く手掛け、多くの産業用電機機器で国内トップシェアを誇り、特に防衛エレクトロニクス分野では抜きんでている。役員報酬でも年収1億円以上が19年3月期決算で21人と国内企業で最も多く、前年も22人でトップ。だがその中で若い社員は自殺に追い込まれるという、なんとも言いがたい「ブラック」な構図だ。
「三菱電機は事業部制が敷かれ、1度配属されたら、他部門への異動は少ない体制になっている。そのため、社内の上下関係が絶対視されがちで、嫌な上司に長く仕えないといけない。さらに、役員たちの報酬は業績連動部分がほとんどなので、事業部間の競争が激しく、若手など現場の社員にプレッシャーがかかりやすい」(同業他社の幹部)とされる。社員約3万人のうち、システムエンジニアや研究、経営の企画立案などに従事する約1万人に裁量労働制を適用していたが18年3月に廃止している。
 最近では防衛事業を手掛ける企業なのにサイバー攻撃で防衛省関連の機密情報が流出するなど、不祥事に事欠かない。市場関係者も同社のガバナンスを注視している。


 「医師不足・偏在改善を」青森ほか6県の知事集結

 新型コロナウイルス騒ぎの陰に隠れてしまったが、青森県、岩手県、福島県、新潟県、長野県、静岡県の6県が発起人になった「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」が設立された。仕掛けたのは岩手県の達増拓也知事。昨年2月に発表された厚生労働省の医師偏在指標で最下位にランクされたことから、1つ上の46位の新潟県に声を掛けて相談、さらに下位に並ぶ県に呼び掛けて6県が発起人になった。
 達増知事は「知事の会」を設立した理由を「地域医療の現場では医師の絶対数の不足や地域間・診療科間の偏在が極めて顕著になり、地域医療崩壊の危機的状況になっている。今までこうした状況を打開しようと努めてきたが、もはや限界。国全体で医師不足、地域偏在、診療科偏在に取り組む必要がある」と語る。そのために「医師不足に直面する県が連携して情報の発信、政策提言を行い、医師不足、地域偏在の解消を目指したい」と訴える。
 医師偏在指標は、人口10万人当たりの医師数で表す今までの方式に代わって、医療ニーズや現在・将来人口を踏まえた医療ニーズに基づき医師の多寡を統一的に測る新しい「ものさし」である。昨年2月に発表された医師偏在指標では最下位が岩手県で、下から順に新潟、青森、福島、埼玉、茨城、秋田、山形、静岡、長野、千葉県……と続き、47都道府県のうち3分の1の16県が医師不足とされた。
 医師不足の主な原因は2004年に新臨床研修医制度が導入され、自由に研修病院を選べるようになったことが大きい。新卒医師が出身医大を研修先に選ばなくなったことから医大が医師不足になり、系列病院に派遣していた医師を引き上げた結果、今度は地方の病院が医師不足に陥ったのだ。岩手県では医師確保対策として全国で最も早く奨学金制度を始める一方、県民に医療機関の役割に応じた受診や日々の健康管理を訴える運動を行っている。だが、「現状は医師不足から医師に過重負担が掛り、疲れ果てた医師が退職。残った医師はさらに負担増になるという悪循環に陥っている。今や、地方の医師は武士道精神で過重負担に耐えている」と窮状を訴える。
 新潟県では「市民の高齢化だけでなく、医師も高齢化が進み、医師不足が進んでいる」という。医師の働き方改革を進めると、医師不足に拍車が掛りそうだと憂慮している。
「知事の会」は今後、同様に医師不足に悩む県に参加を呼び掛け、来年度予算編成に向け、6月頃には地方の医師不足、偏在を改善するための要望をまとめ、政府に提言したいという。


 銀座、オフィス街に変貌? “独自ルール”見直しへ

 新型肺炎の余波で訪日客が急減する銀座に新たな街づくりの動きがでてきた。全国で1番地価が高い商店街の東京都中央区の銀座中央通りには、「銀座ルール」という地区計画(地元住民と区が協議して作成)の建物用途使途について地元商店街の要望を踏まえて、2020年度にも大幅に見直すことになった。
 商業振興を街づくりの基本としてきた銀座地区では現在、地区計画で、「(ビルの)商業用途の床面積を2分の1以上、事業所用途の床面積を3分の1以下とする」ことが、新しい建物の容積率緩和の条件である。大きな建物を建てるに当たっては容積率のボーナスがあるが、それを引き出すための引き換え条件が用途規制だ。今までは店舗など商業重視の規制だったが、そうではなくなる。
 現在の誘導用途は1998年、「銀座ルール」と呼ばれる地区計画によって定められた。銀座ルールとは、銀座通り、晴海通り、並木通り、みゆき通りなど各道の幅ごとに建てられる建物の高さを56メートル、屋上工作物を含め66メートルとするものが有名だが、この「銀座ルール」には、容積率の数値など銀座独自のルールが決められている。
 現実には、それが銀座の発展の足かせになっていた。ネット販売に押される物販や飲食に頼った商業重視の街づくりには限界も見え始めた。
 そこで、商業用途については現状の2分の1以上に義務づける項目を見直し、オフィス(用途)を現行の3分の1以下から2分の1以下まで引き上げる。銀座の看板事業だった商業は3分の1以上となるが、商業優遇は大きく後退した。
 飲食業種テナントの苦しい台所事情が垣間見えるが、増えすぎた銀座の商業床について今後も制限が緩いと、銀座の変化を嫌う旦那衆は「銀座にふさわしくない店が増え、街の格式を落とす」と心配するだろう。中央通りにファストファッションの大型ビルがひしめく現状を快く思わない老舗の商店主も増えているのだ。
 折りしも、新型肺炎の余波で銀座の物販も低迷を余儀なくされている。
 商業賃料は銀座中央通りの中心地の一階路面では、1坪当たり20万円前後の賃料が稼げる。ただし、それでも上層階は家賃が高くない。古いビルや裏通りなら、商業賃料はガタ落ち。実際、裏通りの零細の古ビルの上層階でないと家賃を払う体力が乏しい飲食テナントは、家賃が安い上に入居期間も短めだ。


 事業再編待ったなし、川重の新社長の決断は

 川崎重工業は橋本康彦取締役常務執行役員が社長に昇格する人事を発表。金花芳則社長は会長に退く。橋本氏は精密機械・ロボット部門を担当し、同部門からは初のトップ就任。川重は金花氏の出身部門である主力の鉄道車両事業などが低迷し、「実質的な引責」とささやかれている。
 多くの事業を手掛ける「コングロマリット経営」について「総花的でどれも中途半端」と市場から厳しい視線を向けられ、金花氏も社長就任時に不採算部門の撤退基準を提示し、事業の選択と集中を加速すると意気込んでいた。しかし、社内の反発などから撤退基準を撤回した。
 そうした経営規律を失った代償は大きく、各事業が伸び悩んだことに加え、金花氏の出身母体の鉄道車両事業の不振が全体の足を引っ張った。2017年には新幹線の台車に亀裂ができるトラブルが発生し、製造段階の不備があったと認定された。
 造船では13年に三井造船(現三井E&Sホールディングス)との統合を模索するなど、事業再編の絵を描いたこともあった。だが統合交渉を主導した当時の社長は、社内の猛反発を受けて更迭された。結局、川重はここ数年、大規模な事業再編には踏み切れず、低迷が続いている。
 一方、国内のライバルは再編に動いている。造船では三菱重工は長崎造船所の売却に踏み切ったほか、三井E&Sも三菱重工との提携などに動いた。日立も火力発電事業を三菱重工に売却、鉄道事業で伊鉄道車両・信号メーカーを買収するなど選択と集中を進めている。社長に就任する橋本氏が「決断できない」川重の体質にメスを入れられるのだろうか。


 アサヒの開示豹変に怒り心頭のキリン

 シェアナンバーワンの座を賭けたビールメーカーの攻防が今年から見られなくなった。昨年の12月も終わりかけの頃、アサヒが突如2020年から販売数量での開示を止め、金額ベースで公表すると発表したからだ。これには、「長年、売り上げナンバーワンの謳い文句を使ってきたトップ企業のアサヒさんが、いまになってシェアの開示は非公表とはいかがなものか」といった声が同業他社から相次いだ。
 中でも1987年にアサヒから「スーパードライ」が出て以降、首位陥落期間が長く、雌伏期間を強いられたキリンは、ようやくビール王者奪還に手が届くところまで追い上げた矢先にライバルから肩透かしを受けたとあって、「到底、納得できる話ではない」と怒り心頭だ。去る2月5日、アサヒが第3のビールの新商品「ザ・リッチ」を発表した際も、販売目標が、400万ケースと数量表示だったことで、「金額ベースに変えるんじゃなかったのか。(アサヒは)ちょっとひどい」と吐き捨てるキリン幹部もいた。
 ビールメーカー各社は毎年、年頭に事業方針説明会を行い、その際、昨年の実績と振り返りを社長が説明したうえで今年の戦略や方針を語るのがお約束なのだが、アサヒだけはいきなり今年の戦略を滔々と社長が語ったことで、「昨年も『スーパードライ』の販売が前年比で落ち込んだので、振り返りには触れたくなかったのだろう」と、違和感を覚える記者もいたらしい。当分の間、キリンの社内では憤懣やるかたなしの怒りが燻りそうだ。


 違法薬物でNHKがとる出演者に一筆要求のお粗末

 大河ドラマなどの出演者が違法薬物事件などで次から次へと降板して大パニックに陥ったNHKが、4月から大河ドラマや連続テレビ小説などの定時番組にレギュラーで出演する俳優と所属事務所に対し、「違法薬物や反社会的勢力と関わりがない」ことを宣言する誓約書を提出させることになった。特に違法薬物については、現時点で使用や所持をしていないことに加え、今後、捜査機関に嫌疑を持たれたりする恐れがないことも誓約してもらうという。
 NHKには、これ以上の被害の拡大を避けたいとの思いがあるようだが、出演が決まった俳優が「私は違法薬物をやっています」と名乗り出るはずもなく、あまりにお粗末な発想に首をかしげる向きは少なくない。
 2019年の大河ドラマ「いだてん」では、3月に、主人公にマラソン用の足袋を提供する足袋店の店主を演じていた俳優のピエール瀧が麻薬取締法違反で逮捕されて降板。三宅弘城を代役に立てたが、過去の出演シーンにまで遡って撮り直しを余儀なくされた。さらに11月には、20年の大河ドラマ「麒麟がくる」の濃姫役で出演予定だった女優の沢尻エリカが合成麻薬MDMAの所持容疑で逮捕されて降板。急きょ、代役に若手の川口春奈を起用した。
 看板番組の不祥事続発で、NHKはついに堪忍袋の緒が切れたようだが、ピエール瀧は「20代の頃からコカインや大麻を使っていた」と供述。沢尻エリカも「10年以上前から違法薬物を使用していた」と説明しており、芸能人の「身体検査」は容易ではなさそうだ。もはや役者を信じられず、被害者として悲鳴を上げるNHKは、視聴者に夢を与えられるだろうか……。


 治療薬の開発目指して開催、世界希少・難治性疾患の日

 毎年世界百カ国以上で開催される「世界希少・難治性疾患の日」が、今年も2月29日に世界各地で一斉に開催された。この国際イベントは、患者数が少なく原因が不明で治療が難しい「希少・難治性疾患」をより多くの人に知ってもらい、治療法の確立や治療薬の開発、患者支援を目的として開催されている。
 希少疾患には、ゴーハム病(骨の一部が溶ける病気)、ファブリー病やライソゾーム病(遺伝的な代謝異常疾患で心臓や腎臓、皮膚などに異常が出る)といったほとんど知られていない極めて珍しい病気をはじめ、現在わかっているだけでも数千種類、全世界では3億5000万人の患者がいると推定されている。日本ではこの疾患の多くが、厚生労働省が定めた指定難病(告示番号331)、小児慢性特定疾患(同756)に該当する。例えば、よく知られている血友病、潰瘍性大腸炎、クローン病、筋ジストロフィー、小児の気管支喘息や白血病などだ。それ以外にも指定疾患になっていない病気や、病名さえもついていない病気もある。
 希少・難治性疾患は原因が複雑で遺伝が関与するものが多いため、治療法の研究が難しい場合が多い。また、患者数が少ないため、製薬メーカーは治療薬の開発に消極的だった。というのも、新薬の開発には「10年100億」といわれるほど時間も金もかかり、一定量の売り上げがないと経営的にうまみがないどころか、赤字になる恐れもあるからだ。それに対して、がんや糖尿病、認知症などの新薬は莫大な費用をかけても、患者数が多いため、確実に利益が見込める。うまくいけば世界中で多くの需要があり、特許期間中はほぼ独占的に販売ができる。製薬メーカーにとっては、どうしても患者数の多い病気の治療薬を優先することになる。
 ところが、最近になり、製薬メーカーの中に希少難病の薬を開発しようという積極的な動きが出始めてきた。例えば、患者数が少ない希少がんの治療薬もその1つ。日本でも昨年、開発されたばかりの難治性白血病の治療薬キムリアが保険適用された。対象患者数は250人程度と少ないが、ついた薬価は3349万円と高額だ。
 背景には、希少難病薬開発を促そうとする世界各国の優遇措置がある。日本では2014年に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が制定され、希少難病に対する公的支援策が強化され、15年から希少難病の審査手続きの手数料を軽減する措置が取られている。欧米でも希少疾患の治療や薬の開発を促進する対策が打ち出され、3〜4年前から税制優遇措置や排他的販売権などが認められるようになった。
 製薬メーカー側も、これまで主力だった病気では競合する薬が増え、開発の余地が狭まった。それに優遇措置もあり、希少・難治性疾患に目を向けだしたのだ。
 さらに、希少・難治性疾患の治療薬が、他の疾患にも効果が認められ、より多くの需要が見込めるケースも出ている。がん治療薬オプジーボも患者数が少ない皮膚がんから適用が広がり、より多くのがん患者が対象になっているし、関節リウマチの治療薬、生物学的製剤も、他の自己免疫疾患にまで使われるようになり、需要が大幅に増えている。製薬メーカーにとっても大きなメリットが生まれることになる。
 医療の狭間にいた希少・難治性疾患の患者にこの動きは朗報だ。


 当面の危機乗り切っても混迷の伊2次コンテ内閣

 昨年8月に発足した中道左派と左派系ポピュリスト政党による連合政権、第2次コンテ内閣(ジュゼッペ・コンテ首相)は、不安定な政局運営を迫られてきたが、注目されていた1月26日の北中部エミリア・ロマーニャ州の地方選で勝利、当面の危機はどうにか乗り切った。
 第1次コンテ内閣から結果的に追放された野党第1党の極右「同盟」の追い上げを許さなかった形だが、連立を組む「5つ星運動」のディマイオ外相は支持低迷の責任を取り選挙前に党首を辞任。「民主党」も新内閣発足直後に前首相のレンツィ氏が新党「イタリア・ヴィーヴァ」(元気なイタリア)を結成して連立を離脱するなど分裂気味だ。こうした中、依然として高い支持を集める「同盟」のサルビーニ党首は引き続き早期解散、総選挙を求めていく方針で、目の離せない状況が続くことになりそうだ。
 古くから左派の地盤であるボローニャを州都とするエミリア・ロマーニャ州知事選では、現職の中道左派連立候補が51.4%の得票率で再選され、「民主党」は34.7%を獲得。一方、敗れたものの「同盟」(32.0%)を中心とする中道右派の候補も43.6%の支持を集めた。一方、「五つ星」の独自候補は3.5%にとどまった。
 同時に行われた南部カラブリア州知事選挙では前首相のベルルスコーニ氏率いる「フォルツァ・イタリア」が引き続き強く中道右派が勝利したが、かつては南部を中心に支持を集めていた「5つ星」系候補は7.4%しか得票できず惨敗した。
 移民排斥などを掲げて支持を伸ばしてきた極右「同盟」だが、第2次世界大戦中のファシスト、ムッソリーニ独裁を経験したイタリアでは、極右に対する嫌悪感も強い。そして今回、エミリア・ロマーニャ地方選を控え、学生・市民が立ち上げたのが、サルビーニ党首に発音が似ていることから対抗する意味で名付けられた「イワシ(サルディーネ)運動」。具体的な政策目標などはなく、政党へ移行することはないとしているが、「同盟」の野望の前に大きく立ちふさがる存在になりそうだ。
 また、1昨年3月の総選挙では32%の支持率を得ていた左派系ポピュリスト政党「5つ星」は、バラマキ的な公約を掲げるだけで、政策の実行能力がないことが明白になり、支持回復に向けた道筋は描けていない。予算編成をめぐっても連立を組む「民主党」と、さや当てを繰り返したものの結局、押し切られた形になった。鉄鋼世界最大手のアルセロール・ミタルによる伊鉄鋼大手イルバを買収する計画の撤回宣言の取り扱いなどで、雇用・環境などをめぐる「5つ星」の政策が、「民主党」中心のコンテ政権の経済運営と相容れない場面も目立っている。両党の対立は連立政権の将来に暗い影を落としている。


 トランプ氏の介入めぐり米国防総省事業差し止め

 アマゾン・ドット・コムが米国防総省のクラウド関連事業を受注できなかったのはトランプ大統領による圧力があったためだとして見直しを求めていた訴訟で、米連邦請求裁判所はこのほど、受注していたマイクロソフト(MS)との契約を暫定的に差し止める判断を下した。さらなる司法判断があるまで、MSの契約の履行は停止されることになった。
 国防総省は2019年10月、データをクラウドに移して一元的に管理する「JEDI」事業について、マイクロソフトと契約を結ぶと発表。契約期間は十年、総額は最大100億ドル(約1兆1000億円)にのぼるとされる。
 同事業の受注をめぐっては、19年春にIBMとオラクルが脱落。MSとアマゾンの2社に絞られていた。クラウド事業に関してはアマゾンが中央情報局(CIA)との契約実績もあるため、有力視されていた。
 これに対し、トランプ大統領は19年7月、アマゾンの競合社から苦情が寄せられているとして、発注プロセスの見直しを指示。発表直前にホワイトハウスの圧力を受けたエスパー国防長官の指示を受け、土壇場でMSの選定が決まった。
 トランプ大統領は自身に批判的な有力紙ワシントン・ポストのオーナーでもあるアマゾンのベゾス最高経営責任者(CEO)を敵視する発言を繰り返しており、選定には大統領への忖度が働いたとみられている。
 裁判所の判断を受けて国防総省は「(データシステムの)近代化戦略が不必要に遅れるとともに、現場にとって早急に必要な能力が奪われることになる」と批判。MSは「失望したが、最終的には事業を進めることができると信じている」としている。
 アマゾンは裁判所に提出した文書で、トランプ大統領のほか、エスパー現国防長官、マティス前長官の証言を求め、政治介入について明らかにしたい意向を示している。
 大統領は、盟友ロジャー・ストーン被告が偽証罪に問われた裁判をめぐっても、ツイートを通じて司法に介入するような発言を連発している。今回のクラウド事業をめぐる裁判所判断を受け、国防総省は控訴する方針だが、司法が中立を維持できるか試されている。


 ブルームバーグ氏は副大統領候補次第で浮上

 米国大統領選挙の民主党候補者選びは緒戦のアイオワ、ニューハンプシャーでの戦いでサンダース氏とブティジェッジ氏の躍進が注目されている。しかし民主党主流派が推しているバイデン氏の伸びが弱く今後も期待できる余地がない。主流派の間ではこの混戦が続き、7月の党大会で大統領候補者を最終的に決めるシナリオも描かれ始めている。そのシナリオの中心は今後戦いに参加するブルームバーグ氏と善戦を続けている女性のクロブシャー上院議員の間で正副大統領候補の組み合わせができないかというものだ。
 ブルームバーグ氏については、出馬表明時には後出しじゃんけんで大統領の地位を金で買う人物とみられていたが、最近では大統領になる確率は35%と急上昇.している。一方、クロブシャー氏はミネソタ州選出のスイス系で、モンデール事務所から政治活動を始めている。ニューヨークタイムズ紙は史上初の女性大統領になる可能性が最も高いと評価している。上院3期目だが、最も多くの法案を通してきた議員として知られ、カリスマ性には欠けるものの極めて有能な政治家だ。この2人の組み合わせが期待されているのは、次の3点にあるとされる。
1、人種差別反対を政策として打ち出せる
2、銃規制に熱心
3、共和党ともうまくやっていける
 であり、トランプ大統領とは対極にあり、選挙戦を有利に戦えるのではないかと、民主党内で密かに検討されている。
 ブルームバーグ氏は全米金持ち番付9位で、トランプ氏の14倍の資産を持つが、生活は質素で、ニューヨーク市長を3期務め、穏健派とみられている。このシナリオが実現すれば本番の選挙では有権者にとっては選択がしやすい選挙となる。


 カジノ禁止で閑古鳥が鳴くカンボジアの「中国植民地」

 中国人の中国人による中国人のためのリゾート開発が進み、急激に発展を遂げてきたカンボジア南部シアヌークビルで、一転して荒廃が進んでいる。カンボジア政府がオンラインカジノの非合法化に踏み切ったのがきっかけ。新型コロナウイルスの感染拡大も加わり、ゴーストタウンと化す可能性が出てきた。
 シアヌークビルは中国人客を当て込んだ中国資本によるホテルやカジノの建設が続いてきた。訪れた中国人客は中国の資本家が中国人土木作業員を使って建設したホテルやカジノを利用し、中華料理店で食事をとる。遊ぶのは中国人で、儲けるのも中国人。街中には中国語があふれ、客が押し寄せてもカンボジアにはほとんど還元されない。シアヌークビルはいつしか「中国の植民地」と呼ばれるようになった。
 ところが、オンラインカジノの禁止で雰囲気が一気に変わった。フン・セン政権は昨年8月、オンラインカジノの許可証の新規発行・更新を行わない方針を決定。許可証の有効期間は1年なので、今年8月にはすべてのオンラインカジノが姿を消す。
 フン・セン政権はなぜ中国人観光客を吸引してきたオンラインカジノを禁じたのか。最大の理由は詐欺など悪事が横行したカンボジアのイメージ悪化だ。だが、カジノ運営者の1人は「中国の資金が大量にカンボジアに流れたため、カンボジアに莫大な投資をしている中国政府の逆鱗に触れた」と解説する。経済面で中国に全面依存するフン・セン政権が習近平政権に忖度したのだ。
 カンボジア政府による禁止の決定後、シアヌークビルでは中国人の資本家と旅行客の大量脱出が始まった。決定翌日からの2週間は、1日当たり6000人が去ったと伝えられる。利用客の急減に伴い、昨年末までに飲食店800軒が店を畳んだ。裕福な中国人が去った後、給与を受け取り損ねた多数の中国人土木作業員が取り残され、建設が止まり、廃虚のような醜態をさらす高層建築物の谷間で途方に暮れている。


 ASEAN諸国の現状は米国より中国支持が多数へ

 中国の一連の工作でASEAN(東南アジア諸国連合)諸国の中国支持が米国へのそれを上回っていることが明らかになってきた。シンガポール大学の東南アジア研究院アセアン研究センターが昨年行った調査では、中国支持の風潮がかなり高まっている様子が見て取れる。
 同センターが昨年末に11カ国の政府首脳や学会、国際機関指導者1307人から回答を得たアンケート調査によると、「米国と中国が対立した場合にはどちらを支持するか」との問いに対して、米国支持が3カ国、中国支持が7カ国という結果が出た。米国支持はフィリピン、ベトナム、シンガポールの3カ国であったのに対して、中国支持と答えたのはラオス、ブルネイ、ミャンマー、タイ、マレーシア、カンボジア、インドネシアの7カ国になっている。
 さらに経済的影響力の大きさでは、中国が79.2%に対し、米国は7.9%、政治的なそれは中国が52.2%に対して26.6%という結果が出ている。この現実は今後の東南アジア情勢を見る上で、大きな参考になる。


 WHO事務局長の対応とチャイナマネーの相関

 新型肺炎を巡るWHOの対応は改めてチャイナマネーに買収された国際機関の姿を全世界にさらしてしまった。WHOのテドロス事務局長はエチオピアの保健相と外相を歴任し、昨年、中国の強い後押しでWHOのトップに就任した人物だ。エチオピアは中国がもっとも重視するアフリカの援助国で、長年チャイナマネーを使って国全体を中国の言いなりにしてきた経緯がある。
 今回の新型肺炎では、中国政府、および発生源の武漢当局の初期対応の遅れが拡大の原因とされ、習近平体制も弁解に躍起になっているが、本来の存在意義を忘れたWHOの対応の遅れにも非難の目が向いているのだ。
 まず、12月にすでに新型肺炎が確認されて拡大の兆しを見せていたにもかかわらず、WHOによる非常事態宣言は1月28日と遅きに失したことだ。しかもその2日前にテドロス事務局長は北京に赴き、中国の対応を称賛し、非常事態宣言についても習近平主席から事前の了解を取ったものの、人や物の移動制限について強く打ち出すこともなく、結果的に蔓延拡大を許した格好だ。
 また、テドロス事務局長は、中国の圧力のもと、台湾の加盟を阻止する姿勢を貫いており極めて政治的な動きをしてしまっている。
 現在、WHOの最大の失敗は、この新型肺炎の発生源を特定できないでいるということだ。特定できなければ有効なワクチンができない状況だ。感染発生源については、当初、野生動物を介した自然発生説が流れていたが、その後、武漢にある中国科学院武漢ウイルス研究所からウイルスが漏れたという人為発生説も有力となっている。現に、2003年のSARSの例では北京のウイルス研究所からウイルスが漏れたとされている、その後その研究所は武漢に移転したが、管理体制のレベルが低く、またもや疑われているのだ。
 WHOの本来業務として、素早く専門家チームを武漢に送り、海鮮市場やウイルス研究所を調査させて感染源を特定し、有効なワクチン開発を世界に提供する義務がある。ところが、中国の圧力のもと、今回はその作業が著しく困難になっていた。ましてや、発生国のトップはとかく事態の深刻さを隠したがる中、習近平国家主席と会ってその対応を褒め称えた挙げ句に、中国にとどまって状況把握して対応するべきご本人も中国を出てしまった。こんな中国べったりの政治的対応をしてきたテドロス氏の姿勢に、WHO関係者からは、WHO内部でも疑問を持つ職員が多くなっているという声が出ている。


 新型コロナウイルスに生物兵器研究所発生源説

 アメリカは、横浜港大黒ふ頭にくぎ付けになった大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号から自国民を“救出”。他国も追随した。どうもアメリカの対応策が厳しいのが気になる世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス。その発生源は、中国・武漢にある中国軍の生物兵器研究所だとする情報が、一部のインテリジェンス専門家の間で流れている。
 米保守系紙ワシントン・タイムズのビル・ゲーツ記者が1月26日付の同紙で、イスラエルの生物兵器専門家の話として報じた。武漢には、中国で最先端の「中国科学院武漢ウイルス研究所」があり、そこから誤って流出したとの見方だ。
 イスラエル軍情報機関員だったダニー・ショハム氏は同紙に対し、「この研究所は中国軍の生物兵器計画に組み込まれており、生物兵器を製造する能力がある。軍民両用の研究施設だ」と述べた。2015年に中国のテレビ番組で、最先端のウイルス研究所として紹介されたこともあるという。
 コロナウイルスの感染源について、中国当局は、「武漢の海鮮市場で売られていた野生動物」との見方を示しているが、立証されていない。この研究所は海鮮市場から30キロメートル離れた武漢郊外にある。英国の科学雑誌ネイチャーは17年、同研究所を国際基準で危険度が最も高い病原体を扱える「バイオセーフティーレベル(BSL)4」に位置付けながら、実験用動物のずさんな管理から「病原体が流出する恐れ」を警告していた。
「コロナウイルスの発生源をめぐっては、米国だけでなく、中国に敵対的なインドの学者グループも人工的に作られた可能性を指摘しています。中国の学者は、人工的にコロナウイルスの製造は不可能と主張しており、中国の情報統制の中で、舞台裏で激しい情報戦が展開されています」(北京特派員)
 02年に中国広東省から広がったSARS(新型肺炎)は、住民がハクビシンを食べたことが発症原因とされた。今回は、生物兵器説のほかに、コウモリ説などが出ている。中国の人たちがゲテモノ食いをやめなければ、新たな「生物兵器ウイルス」が誕生しかねない?



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