ダミー
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 「今井・北村政権」となった官邸に燻る内情話

 安倍晋三首相の最有力側近となった今井尚哉首相補佐官兼首席秘書官と、北村滋国家安全保障局長のツートップが、安倍首相の四選に向けてなりふり構わぬ動きを続けている。2人は9月の閣僚人事の一環で飛躍し、今井氏は補佐官兼務、北村氏は谷内正太郎局長の後任として日本版NSC(国家安全保障会議)の局長となった。年収は共に2000万円を超え、公務員としては最高級の待遇だ。「わが世の春」の2人は、「安倍政権恒久化」に向け、策謀を強めていると周囲が語っている。某政治部デスクは、「安倍首相自身は疲れており、3期で辞めたがっていますが、最側近の2人が許さないでしょう。いまや官邸は、今井・北村政権です」と解説している。
 和泉洋人首相補佐官が、厚生労働省大臣官房審議官(兼内閣官房健康・医療戦略室次長)の大坪寛子氏と不倫関係にあることを「週刊文春」にリークしたのは、警察官僚出身の北村氏サイドとの見方が、官邸記者団の間で出ている。
 相次ぐスキャンダルで辞任した河井克行前法相、菅原一秀前経済産業相の2人も菅長官に近い菅人脈で、2人の疑惑も同様にみられている。
 さらに谷内前局長の後任人事では、外務省が佐々江賢一郎元外務次官を推したものの今井氏が強引に北村氏を推薦し、安倍首相にねじ込んだと言われるが、その谷内氏退任に至る「真相」が今もなお官邸周辺で燻って語られている。
 谷内氏退任の直接の引き金は、習近平・中国国家主席への首相親書書き換え事件だとされる。自民党の二階俊博幹事長が19年4月に訪中した際、安倍晋三首相の習氏宛て親書を携えることになった。今井氏が最後になって谷内氏に無断で親書の文言を書き換えたことに、谷内氏は烈火のごとく怒り、一時官邸内は気まずい雰囲気に包まれた。安倍官邸の外交防衛政策の実務最高責任者であり、その自分が最後に目を通した親書の中身を勝手に書き換えるなど到底許せるものでない、という理屈である。谷内氏は改造時、首相に「潮時です」と申し出た。一方、今井氏の行為については不問に付された。
 トラブルの背景にあったのは、もともと谷内氏と今井氏は対中政策をめぐって考え方に開きがあった。麻生太郎元外相当時、谷内氏は「自由と繁栄の弧構想」を進めた。ユーラシア大陸の周辺部の国々は親日的な国家が多く、日本は積極的に援助すべきだという考え方である。一部で「対中包囲網」と言われた。一方、経産官僚出身の今井氏は習氏が進める「一帯一路」政策にコミットすることが日本の国益にかなうという立場だ。自らも訪中して、中国政府にもパイプがある。二人の間に横たわる溝は埋めることができなかった。


 国内防衛産業が目指す純国産戦闘機の行方

 防衛省は来年度から将来戦闘機の開発に着手する。自衛隊や防衛産業は「令和のゼロ戦」の誕生に期待を寄せるが、日本独自で戦闘機を開発するのは技術的に難しく、現状では国際共同開発となる公算が大きい。
 将来戦闘機は現在、92機保有する日米共同開発のF2戦闘機の後継機。F2は2030年頃から退役が始まるため、防衛省は一七年から将来戦闘機の検討を始めていた。
 日本は太平洋戦争後、連合国軍総司令部(GHQ)が航空機の研究開発を禁じ、航空機開発が解禁された後に国産旅客機として誕生した「YS11」以降、旅客機を開発してこなかった。それでも米国製の戦闘機をライセンス国産することで米国からの技術移転を進め、ついに三菱飛行機が中型旅客機「スペース・ジェット」を開発するまで日本の航空機製造技術は復活した。
 しかし、安倍晋三政権は18年12月、トランプ米大統領に購入を迫られ、F35戦闘機を百五機、米国から輸入することを決めた。航空機の製造技術が再び日本から消滅する危機を迎えたのである。あせりを強めた防衛省は、国産か、国際共同開発かの方向性も定まらないまま、20年度予算の概算要求に将来戦闘機の開発費100億円を盛り込むことになった。
 国内の防衛産業が目指すのは、もちろん純国産戦闘機だ。三菱重工業は、小型の先進技術実証機「X2」を製造し、16年に初飛行させた。エンジンメーカーのIHIは「?2」にエンジンを提供した後、推力15トンという戦闘機として十分な能力のエンジンを開発済みだ。また三菱電機は世界でもトップレベルのレーダー製造技術を持っている。
 やっかいなのは、こうした技術を単純に組み合わせるだけでは戦闘機として成立しないという点にある。戦闘機の心臓部にあたるソフトウエアや武器システムは実戦経験のある国でなければ必要十分なものは開発できないとされている。その点は防衛省も承知しており、18年、米、英両政府に既存の戦闘機をたたき台にした将来戦闘機について、提案を求め、米英の3社から提案があった。
 ただ、防衛省には米国との間での戦闘機開発をめぐって煮え湯を飲まされた過去がある。日米でF2戦闘機を共同開発した際、米国は提供を約束した飛行制御プログラムを開示せず、日本側の開発費が高騰した。


 地銀界を変える?剛腕2人片山・北尾両氏に熱視線

 片山さつき参議院議員に地銀界が熱い視線を投げかけている。片山氏が自民党金融調査会の地域金融機関経営力強化プロジェクトチーム(PT)の座長に就いたためだ。
 同PTは去る五月に地銀業界の経営への提言をまとめている。その中で注目されるのは「外部の運用機関等の活用や共同運用を業界主導で検討すべきである」というくだり。地銀幹部は「信用金庫業界の中央銀行といっていい『信金中央金庫』や農林系統金融機関の資産運用を一手に担う『農林中央金庫』を創設するイメージではないだろうか」と受け止めている。金融調査会の会長である山本幸三氏もPTの提言について、「地銀も信金中央金庫のような系統運用機関を創るべきだ。地銀のトップたちに提言し、どう対応するか見ている段階だ」と指摘している。
 その座長に片山さつき氏が就いたことで、「金融に精通した片山氏のこと、業界を挙げて早期に具体策を作るよう促されるのではないか。なにせ声の大きい方だけに圧力は半端ない」(先の地銀幹部)と、提言に距離を置く地銀は戦々恐々だ。
 旧大蔵省出身の片山氏は、銀行局時代に銀行の不良債権処理やサービサー法、金融再生トータルプランの策定に関わった行政経験があり、直近では内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革、男女共同参画)を歴任するなど、地方経済や地域金融機関への思い入れが強い。
 一方、地銀経営ではSBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長が「第四のメガバンク構想」をぶち上げており、台風の目となりつつある。SBIと全国の地銀が資本を持ち寄って共同の「持ち株会社」をつくり、その傘下に糾合しようという壮大な構想で、地銀やベンチャーキャピタル、運用会社などが出資して協力関係を築き、持ち株会社に参加する地銀等の業務システムやフィンテックなどのインフラや資産運用の受託ほか、人材の供給、マネーロンダリングの対応など幅広い商品・サービスを提供する。いわば自民党金融調査会PTの提言を先取りしたような構想で、すでに島根銀行、福島銀行の二行が参加を決めた。このSBIの構想は、自民党の菅義偉官房長官が推し進める「地方創生」を経済面からサポートする政策ともみられている。片山さつき氏とSBIの北尾氏がコラボレーションする可能性もある。
 自民党PTの座長に就いた片山氏は、早くも関係省庁の幹部や地域金融機関などと精力的に接触しているとされる。動向が注目される。


 税制改正大綱決まる1人親の税負担軽く

 自民、公明両党は12日に決定した2020年度税制改正大綱で、企業の内部留保をベンチャー企業への投資に振り向ける「オープンイノベーション税制」や、次世代通信規格「5G」の普及を後押しする優遇措置などを目玉に据えた。
 自民党の甘利明税調会長は「課題解決型あるいは課題先取り型の改正ができた」と胸を張った。加えて公明党がかねて主張してきた子どもの貧困対策として、配偶者と死別・離婚したひとり親の税負担を軽減する「寡婦(寡夫)控除」を、未婚の人にも適用する。
 未婚の1人親支援については、寡婦(寡夫)控除の適用拡大をめぐり、自公の間に隔たりがあった。公明党は寡婦控除を未婚者にも適用すべきだと主張してきたが、伝統的な家族感を重視する自民党内からは、反対意見が根強かった。昨年の税制改正では自公の溝が埋まらず、大綱の決定が予定よりもずれ込み、寡婦(寡夫)控除の適用拡大は盛り込まれなかった。
 公明党の西田実仁税調会長は、20年度税制改正で同党の主張が一部受け入れられた今回の議論を振り返り、未婚のひとり親支援について「自公で完全に一致できたことは大きな成果だ」と総括した。
 もっとも、未婚の1人親への寡婦(寡夫)控除適用をめぐっては、自民党税調でも女性議員が結束して、大綱に盛り込むことを強く求めてきたという経緯もある。公明党の主張だけが受け入れられたわけではない。
 オープンイノベーション税制においても公明党の主張が採り入れられた。当初、自民党税調は内部留保の活用を促すため、大企業のベンチャー企業に対する投資に、税制上の優遇措置を設けることを検討してきた。そこに公明党が「大企業に加えて、中小企業も枠に入れるべき」として、20年度大綱では、資本金1000万円以上の企業によるベンチャーへの投資も税額控除の対象となった。
 ただ、後継者がいない中小企業による親族以外の第三者への事業承継を後押しする、株式譲渡益にかかる所得税などの引き下げは見送られた。これは経済産業省・中小企業庁が要望していたもので、地方の中堅中小企業の後押しを掲げる公明党も第3者への事業承継にかかわる税制優遇を求めていた。
 オーナー経営者が自社を第3者に売って得た株式譲渡益を引き下げると、代替財源が必要になることや、政策効果を疑問視する声が自民党内では支配的だった。20年の税制改正に向けては、地方の活性化なども引き続きテーマとなりそうだ。


 菅官房長官がぶち上げる財投ホテル50%カ所建設

 菅義偉官房長官は外国人観光客の誘致に向けて世界の一流ホテルを国内に50カ所設ける考えを表明。事業規模で26兆円の経済対策に盛り込んだ財政投融資を活用する。国内で多くの消費活動が見込める海外富裕層を呼び込みやすい環境を整えるという考えだが、国内のホテル業界は複雑な反応だ。
 菅氏は外国人の訪日数に関し「20年の4000万人目標だけでなく、30年の6000万人目標の実現を見据える」という。そのうえで「世界レベルのホテルが不足している。財投の活用や日本政策投資銀行による資金支援などを実施し、全国各地に整備する」と強調する。
 こうしたさなかでの菅氏の発言。菅氏といえば統合リゾート(IR)法を成立させ、日本にカジノ解禁を先導した立役者だ。「米国のカジノ王であるシェルドン・アデルソン氏はトランプ大統領の最大のスポンサー。今回のホテル誘致も米国の意向を受けた措置ではないのか」(国内大手ホテル幹部)との不信感がある。「結局、おいしいところは米国を中心とする外資のホテルに持っていかれる」(同)との懸念を抱いている。
 現にアデルソン氏率いるラスベガス・サンズはカジノのラストリゾートと呼ばれる日本市場開拓に向け、菅氏の地盤である横浜への進出を水面下で探っているし、大阪も米大手MGMリゾーツ・インターナショナルが牛耳っている。
 一方、国民の中でも今回の財投を海外の一流ホテル誘致に活用することを疑問視する声も多い。「教育や福祉などまだ政府はやることが多く残っている。外需、しかも浮き沈みが激しい海外観光客に頼ることはどうか」との指摘が多いのも事実だ。


 三菱UFJが口火を切った不稼働口座への手数料

 三菱UFJ銀行が2年間取引のない不稼働口座(休眠口座)に手数料をかける検討に入ったことが金融界の話題を独占している。日本経済新聞が12月6日付けトップ記事で報じたもので、早ければ2020年十月から年1200円の口座管理手数料を導入するという。来年7月にも顧客に通知し、認知期間を経て踏み切る方針だ。
 この報道に狂喜したのは、すでに一部で休眠口座に管理手数料を導入しはじめた地銀や信用金庫などの地域金融機関だ。「さすが日本のトップバンク、よくぞ踏み切ってくれた。これで我々もやりやすくなる」(地銀幹部)と諸手を挙げて歓迎している。
 だが難題は、どこが最初に導入を決断するかにあった。各行が一斉に導入するのは独占禁止法上も難しい。批判覚悟で口座維持・管理手数料という劇薬に手を染める大手銀行が出てきてくれることを願っていたわけだ。そこに浮上したのが三菱UFJの手数料徴求報道だった。
 しかし、この報道についてメガバンク関係者からは、「三菱UFJさんが検討していることは確かなようだが、まだ生煮えの状態で、来年3月までに最終判断するということらしい。検討の結果、やらない可能性もあるようだ」との声も聞かれる。
 とはいえ、銀行が口座維持・管理手数料の導入に踏み込むのは時間の問題とみられている。「まず不稼働口座を皮切りにして、次は法人口座、そして本丸の個人口座に手数料を課す流れになるだろう」(メガバンク幹部)とされる。


 金融庁が気をもむAPI契約締結の遅れ

 金融機関のオペレーティングシステムやアプリケーション機能などを利用するための接続仕様(API)のうち外部企業に公開されたものをオープンAPIと呼ぶ。このAPIについて金融庁の幹部が銀行の経営者に「原則として、APIによる接続が望ましいと考えているが、期限までにAPI契約締結が難しい銀行においては利用者に迷惑をかけることがないよう、コンティンジェンシープラン(緊急時対応計画)として、API接続を行うまでの一時的なスクレイピング(インターネット上での情報の収集・加工による情報の生成)に関する締結についても併せて検討してほしい」と要請している。
 昨年6月に施行された「銀行法等の一部を改正する法律」において、銀行と電子決済等代行業者(電代業者)の契約締結が義務付けられたが、法施行後二年とされた猶予期間が2020年5月に迫る中、思うように契約締結が進んでいないのが現状なのだ。期限までに契約が締結できない場合、電代業者が提供しているサービスが利用できなくなり、サービス利用者に大きな影響が及ぶことは避けられない。
 こうした状況を回避するため、事前にコンティンジェンシープランを策定し、暫定的にスクレイピングによる対応も許容するというわけだ。
 すでに家計簿サービス等の個人資産管理サービスにおいて、銀行のデータと電代業者が連携する仕組みは存在しているが、サービス提供事業者に銀行のインターネットバンキング等のログインIDやパスワードを預ける必要があった。銀行API契約でこのネックが解消されるのだが、果たして契約は間に合うか、行政も気をもんでいる。


 中国勢に翻弄された大塚「家具や姫」の行く末

 大塚家具がヤマダ電機の傘下に入ることが決まり、当面の資金不安は解消され、株価は持ち直した。自力再建は断念したが、ヤマダ電機の山田昇会長は、「チャンスは与える」と、大塚久美子社長の続投を支持。大塚「家具や姫」は、ヤマダ電機の傘のもと、再生を図る。
 しかし現実は厳しく、「高級家具をそろえた会員制販売」という創業者で父親の大塚勝久氏が築いた高級路線は行き詰まっており、といってニトリやイケアのワンランク上を目指す久美子路線は中途半端として定着せず、ビジネスモデルを確立できないまま右肩下がりで業績は悪化した。売上高は373億円とピークの半分。深刻なのは赤字の急増で資金調達が喫緊の課題だった。ヤマダ電機は約43億円を出資、51%の大塚家具株を取得した。
 経営危機の表面化は、2016年12月期決算が6年ぶりの最終赤字転落からで、以降、荒海を迷走。打つ手がいずれも決まらず、メディアは呆れ、従業員退職が相次ぎ、久美子社長の経営手腕に批判が集まった。中でも「見通しの悪さ」を指摘されたのが中国との関係である。
 最初に交渉に入ったのは、中国で店売り220店舗を持つ居然之家(イージーホーム)。1兆円企業でネット販売では世界有数のアリババも出資。18年10月以降、久美子社長がトップ交渉を続け、資本・業務提携は目前だった。だが、イージーホーム自身も中国市場での上場を控えて出資はできず、18年末の業務提携に留まった。
 それでは資金不足は免れない。新たな資本増強が必要となり、打ち出したのが19年2月に公表した日中企業連合と米系ファンドを引受先とする約38八億円の第3者割当増資だった。米系ファンドが約20億円で、日本と中国の越境電子商取引(EC)を手掛けるハイラインズ(東京・渋谷)がとりまとめる日中企業連合が約18億円。ハイラインズの陳海波代表が中心人物で、陳氏は後に大塚家具の取締役にも就任した。
 だが、陳氏も迷走する。18億円が引受額だったが、19年6月30日の期限までに用意できたのは6億円だけ。資金不足、実力不足は明らかで、大塚家具はまた資金繰りに追われることになる。ハイラインズで中国への道を確保、高級家具の大塚家具というブランドを中国で生かし、イージーホームで店売り、アリババでネット販売を拡充するという「夢」は壊れた。
 ヤマダ電機への傘下入りで「地道な国内営業」に回帰するが、久美子社長の実力不足はすでに明らかで、「最後は(かぐや姫のように)月に昇天するしかない」といわれている。


 野村HDの新CEOを待ち受ける最大の課題

 野村ホールディングス(HD)は4月1日付で、奥田健太郎グループ共同最高執行責任者(COO)がグループ最高経営責任者(CEO)に昇格する人事を決定した。7年半を超える異例の長期政権で同社を率いてきた永井浩二グループCEOは代表権のない会長に就く。奥田氏は投資銀行部門や海外部門での経験が長く、稼ぎ頭だった国内個人営業の退潮が際立つなか、その打開策として再び海外事業へのシフトを宣言したトップ人事に映る。
 2019年3月期通期で10年ぶりに赤字転落した同社は、3月に永井CEOの続投が決まり、T聖域Uとされてきた国内個人営業にメスを入れ、統廃合で国内店舗の二2割に当たる30店舗を減らすなどの構造改革策を打ち出した。まさに背水の陣でのトップ続投だった。また、東京証券取引所の株式市場再編案を野村HD社員が情報漏洩した問題で金融庁から業務改善命令を受け、市場や顧客からの信頼回復も経営課題になっていた。
 トップ交代を発表した12月2日の記者会見で奥田氏は「金融ビジネスのプレーヤーが変わっていくなか、変革のスピードを上げたい」と述べ、事業構造改革に向けた意欲をみせた。しかし、伝統的に同社の強さの象徴だった国内個人営業には引き続き逆風が吹き込み、稼ぎ頭としての存在感は薄れつつある。異業種からの参入が相次ぎ事業環境が様変わりし、高齢者を主たる顧客とする対面営業主体の国内営業の事業モデルは大きく見直さざるを得ない。
 そのうえ、米国で吹き荒れた株式売買手数料の無料化は日本のインターネット証券にも飛び火し、ネット証券各社が手数料無料化を競い出し、野村HDにとっては新たな危機ともなりかねない。その点について、奥田氏は国内個人営業強化に向けて、デジタル技術を活用した顧客層の拡大や地方銀行との連携に重点的に取り組む方針を示した。
 しかし、奥田氏は海外事業や企業の合併・買収(M&A)などをアドバイスする投資銀行部門や法人部門の担当が長く、国内個人営業の経験がないことから、その立て直しを不安視する向きもある。その意味で、業界関係者は奥田氏の起用は縮む国内個人営業を見据え、海外シフトを強める選択と受け止めるが、屋台骨である国内個人営業の失速をくい止めるのが足元の最大の課題。奥田氏には待ったなしの覚悟が問われる。


 後任トップの人選が難航する関西電力

 12月8日、関西電力の後任人事を協議する人事・報酬等諮問委員会が初めて開かれた。内部昇格は現取締役など生え抜きからという方針が示されたが、「どの候補者も関電の屋台骨を支える原子力事業に関して経験が少なく、国会や役所対策を全うできるのか」との声が関電内で多い。
 諮問委員会で提示されたのは森本孝氏、彌園豊一氏、稲田浩二氏の3副社長のほか、常務執行役員の島本恭次氏ら六人。最年長の森本氏は経営企画なども含め、幅広い業務を手掛けてきたが「岩根茂樹社長が任期を全うしていれば一緒に退任する人物。彌園、稲田両氏は官邸や自民党、経産省など原発事業を継続する上で必要な国会や役所対策のための渉外部門の経験がほとんどなく、政官界とのパイプがない」(関電幹部)という。本来なら、任期半ばの岩根体制の中で、徐々に東京赴任などを経て育成するつもりだったが、不祥事で土台からシナリオが崩れた。
 関電の生え抜き経営陣のお目付け役として注目されている会長職は「火中の栗を拾う人材はいない」(同)状態が続く。関電が恐れているのが、経産省からの天下り。事務次官経験者など有力な経産省OBが会長になった場合、「他電力との統合など一気に押しこめられてしまう可能性がある」(同)と警戒する。
 金品受領問題の真相解明のための第3者委員会の報告書は当初2019年内に公表される予定だったが、20年にずれ込みそうだ。関電ではその調査結果を見て後任を決める考えだが、人選は難航しそうだ。


 急拡大する大学の資産運用、東大が初の債券発行準備中

 リーマンショックから十年を経過。大学の資産運用が急拡大している。
「駒澤大学はデリバティブ(金融派生商品)運用で154億円の損失を出した」──。今から11年前の2008年末、こんな記事が新聞紙上を賑わした。「当時はミニバブルで、どこの大学も銀行や証券会社の口車にのり、金利スワップや通貨スワップなどをこぞって購入していました。それがリーマンショックで一気に暗転、巨額な損失を抱えてしまったのです」(私立大学教授)。
 その後始末のために、キャンパスや野球部のグラウンドなど保有資産に根抵当を付けるなどして、資金繰りを支えた大学も少なくなかった。
 その大学の資金運用熱が再び盛り上がっている。きっかけは17年の国立大学法人法の改正だ。世界最高水準の研究・教育を目指す「指定国立大学法人」や、文科省の認定を受けた国立大学は、幅広い有価証券への投資ができるようになったのだ。「指定国立大学法人は東大、京都大、大阪大など7校、それ以外に文科省から19大学が運用拡大の認可を得ています」(国立大学関係者)。
 これまでも早慶など有名私立大学は有価証券運用に積極的で、慶應大学は今年3月末で約1340億円もの運用資産を誇っている。そこに保守的とみられていた有名国立大学が参戦してきたのだ。「文科省から認可を得た国立大学の中には、ソフトバンクグループや東電の社債のほか、デリバティブを組み込んだ仕組債を購入しているところもある」(同)というから驚かされる。
 東京大学は資金のみならず、債券を発行して資金を調達する準備に入っている。すでに格付投資情報センター(R&I)から「ダブルAプラス」の高い格付けを取得しており、早ければ20年度中に数百億円を調達する計画だ。英知を集めた大学の資産運用の成功を祈るばかりだ。


 ガラス大手の事業統合に着目した村上ファンド

 国内ガラス最大手のAGCと3位のセントラル硝子はこのほど、2020年12月末までに国内建築用ガラス事業を統合すると発表した。売上高は単純合算で年間1300億円前後。「国内のガラス大手で初めてとなる主力事業の統合を演出したのが、村上ファンドだ」(AGC幹部)というのが業界の見方だ。
 国内ガラス市場は最大手のAGCがシェアで5割、2位の日本板硝子が3割、セントラル硝子が残りの2割という状態が定着している。主軸となる板ガラスの生産能力はAGCが4割、日本板硝子が4割、セントラル硝子が2割。しかし、国内市場の低迷で、生産能力の余剰が深刻となっており、経済産業省は15年、ガラス3社に設備の統廃合を求める報告書を出したほどだ。
 ここに目をつけたのが村上ファンドだ。業界3番手のセントラル硝子は今年の8月時点で村上ファンド系列の青山不動産と村上世彰氏の娘の野村絢氏が各8%前後の株式を取得している。同社は20年3月期の第2四半期決算発表時に、不採算の建築用ガラスの販売網などを整理する構造改革も発表。事業の一部撤退も視野に入れていると説明していた。「村上氏らはセントラルに建築用ガラス事業の抜本的な対策を打たなければ、会社全体を他社と統合させるなどと迫った結果、セントラルはAGCとの事業統合を決めた」(大手証券アナリスト)との声がもっぱらだ。
 出光興産と昭和シェル石油の統合にも1枚かんでいたという村上氏。今後の親子の動向が気になる。


 創業家への大政奉還が近づくサントリーHD

 1年前の1月、毎年恒例の事業方針説明会で、サントリーホールディングス(HD)副社長の鳥井信宏氏が珍しく登壇した。当時、臨席した理由について「2019年は創業120年の節目だから」と語っていたが、20年1月9日に行われる同説明会でも、鳥井氏は再び登壇する。この点1つとっても、創業家役員である同氏へのT大政奉還Uの日が近いことを感じさせる。
 6年前の14年1月、サントリーHDは1兆6000億円超の巨費を投じて、米国の蒸留酒大手、ビーム社を買収。当時、鳥井氏はグループの中核であるサントリー食品インターナショナル(以下SBF)社長の任にあって、まだT本丸Uの社長には時期尚早だった。その後、ビーム社の案件を軸に、主に海外事業を見る立場の新浪剛史社長を副社長として支え、同時にビール、洋酒、ワインの3事業会社を束ねる中間持ち株会社社長に就任。国内事業に関しては事実上、鳥井氏が仕切ってきた。
 その鳥井氏が、いよいよグループの頂点へのカウントダウンに入り、交代時期が具体的に取り沙汰され始めている。新浪氏が今年、在任6年の節目を迎えるため、東京五輪の喧騒が終わった秋にも交代かといった観測がある一方、半年先の21年春という説もある。
 振り返ると、佐治信忠会長は10年以上副社長を務めて01年、55歳で社長に就いた。奇しくも、鳥井信宏氏もそれから20年後の来春であればちょうど55歳での就任となり、副社長と中間持ち株会社社長も在任4年と、帝王学の仕上げ期間としてもちょうどいい。


 台風・地震の被害調査で不動産鑑定士が大繁盛

 日本不動産鑑定士協会連合会が、台風や地震の際に全国都道府県の支部に指令を出し、国が定めた罹災証明書発行のため、住家被害認定調査に関する活動のほか、個人被災者の債務整理における不動産評価などの「緊急支援」に鑑定士を派遣し、被災地の自治体に重宝されている。
 堤防決壊など自然災害を受けた自治体の住民の住家被害認定調査では、被災者支援策適用の判断材料となる「罹災証明書」発行のため、災害によって被害を受けた住宅の被害認定を行う調査で、建築などの専門性が必要だ。しかも、「市町村長は被災者から申請があったときは、遅滞なく、罹災証明書を発行しなければならない」とされている。その結果、市町村長は、罹災証明書の交付に必要な業務実施体制の確保を図るため、専門職員の育成、他の自治体との連携、民間団体との連携その他必要な措置を講じるように迫られている。
 そこで鑑定士連合会は、大阪北部地震以降、南阿蘇、北海道、四国、広島など各地の災害時に鑑定士を派遣し、支援活動を実施。「被害調査に動員される職員に専門知識がなく、不動産事情に精通していない」といった問題点を洗い出し、自治体職員を鑑定士会が実務研修や被災地調査同行で支援、「支援による日当は安いが被災者を放っておけない」という方針で連合会は動いてきた。平時は、災害発生に備えて鑑定士協会と自治体の間で住家被害認定調査の協定締結を進めている。
 こうして、熊本地震では、鑑定士が発災後2年間で400件超の調査を実施、住居不適地を示す「ハザードマップ」も台風被害や河川決壊で注目され、被災地に向かう鑑定士への相談は増えている。


 2020年は主要中銀の存在感が一段と低下する

  主要国・地域の中央銀行が低成長と低インフレ脱却に向け、長期にわたって取り組んできた金融政策に手詰まり感が一段と増してきた。米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、そして日本銀行がそれぞれ12月半ばにかけて開いた2019年最後の政策決定会合で得た結論は金融政策の現状維持だった。それはつまり、今後出せるカードが極めて限られ、T出番Uを失う今の主要中銀の姿を如実に表している。
 日銀と並びマイナス金利を維持するECBはその典型だ。ユーロ圏の物価上昇率はECBが目標に掲げる「2%近く」にほど遠く、ラガルド総裁は年明けにも金融政策の指針となるフォワードガイダンスの見直しを迫られる。
 19日に政策決定会合を開いた黒田東彦総裁率いる日銀も同様に物価上昇率2%の達成時期を再三先送りし、「異次元緩和」「黒田バズーカ砲」ともてはやされた存在感はいまやないに等しい。
 欧州、日本に比べ堅調な成長を続け、利下げ余地が残る米国も、次の一手には容易に踏み込めない。7月に「予防的措置」として10年半ぶりに利下げに踏み切ったFRBは11日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決め、4会合ぶりに利下げを見送った。
 主要中銀が限界にぶち当たる今、経済を下支えする主役は財政に移る。ECは容認の流れにあり、米国は再選を狙うトランプ大統領が支持地盤向けにさらなる財政出動を目論む。日本も「ばらまき」の傾向が鮮明で、20年は中銀の存在感が一段と低下するのは避けられないだろう。


 久々に東京地検特捜部が狙う「バッジ」の名前

「バッジ(国会議員)を狙え!」は、東京地検特捜部に課せられた使命であり、国民の期待であることを検察も承知済みだ。しかし現実は厳しく、自白を強要するような厳しい捜査姿勢は否定され、政界にも「捜査を受けない政治資金の受け取り方」が浸透、政界捜査は難しくなり、政治家逮捕は2002年、鈴木宗男代議士を収賄で、03年、坂井隆憲代議士を政治資金規正法違反で逮捕して以降、実績を残していない。
 そんな地検特捜部が、20年の年初に切り込むのではないかと目されているのが、秋元司代議士(写真)である。国土交通省、内閣府、環境省などの副大臣を経験した二階派の中堅。企業保育に関わる助成金詐欺で逮捕・起訴された川崎大資被告と親しい関係にあることから特捜部が注目、その捜査の延長線上に元秘書の関係先企業が浮上、19年12月、元秘書宅などを家宅捜索した。
 翌日、記者に囲まれた秋元代議士は、問題となった企業と関係があり、一時、顧問として報酬を得ていたことは認めたものの、「14年に顧問を辞めてから一切関係はなく、元秘書も18年夏に政策秘書を退任、19年夏以降は連絡も取っていない」と、家宅捜索容疑の外為法違反との関連を含め不正への関与を否定した。
 ただ、外為法違反の摘発は単なる入り口だ。小林興起元代議士の秘書として永田町生活をスタートさせた秋元氏は、パチンコ・パチスロ、ゴルフ場などのリゾート、不動産、金融、再生エネルギーなどあらゆる分野に人脈を構築。陳情を拒まない政治家として知られ、口利きや資金集めが、週刊誌などで何度も話題になっただけに、不発だった過去の捜査と違うのでは?という観測がある。年初、特捜の動きから目を離せない。


 「子宮頚がん」勧奨の勉強会にホリエモン登場

 自民党の有志議員が「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す勉強会」を立ち上げた。副反応の多発から積極的勧奨中止が続いているHPVワクチン定期接種の積極的勧奨の再開を目指す勉強会だ。
 子宮頚がん予防のHPVワクチンは接種後に強い痛みと共に足が動かなくなるなど重大な運動障害、神経障害等の副反応が多発したことから、厚生労働省は検討会を設けて原因を調査したが、因果関係は不明。六年前に定期接種の積極的勧奨を中止し、希望者だけに摂取する状態になっている。が、欧米ではこうした副反応がごく少ないことから、積極的勧奨を求める声が多い。
 勉強会で話題を集めたのが元ライブドア社長の堀江貴文氏だ。予防医療普及協会の理事を務める堀江氏は、自ら取り組んできたHPVワクチンの普及と啓発活動を紹介し、「民間の啓発活動はもうやり尽くした。あとは政治力で決めるしかない」と積極的勧奨にハッパをかけた。その盛会ぶりに、呼びかけ人の三原じゅん子参院議員は「想像したより多くの議員が集まった」とご満悦で、勉強会を議員連盟に格上げし、政府に積極勧奨を求めるという。だが、積極的に治療に取り組む協力病院は鹿児島大学付属病院しか見当たらない。障害を救済する医薬品副作用被害救済制度の認定も条件が厳しい。現状で改善すべき点はさまざまだ。


 弘道会壊滅作戦が20年から本格化

 弘道会の弱体化なくして山口組の弱体化はなく、山口組の弱体化なくして暴力団の弱体化はない──10年前、当時の安藤隆春警察庁長官は、こう檄を飛ばして「弘道会壊滅作戦」に踏み切った。壊滅には至らなかったものの、弱体化は進み、その後の山口組3分裂につながっている。
 そして2020年の年明けから、警視庁組織対策部は静岡県警と合同で、弘道会のトップ・竹内照明会長を狙った捜査に着手する。すでに、準備は整っている。合同捜査本部は19年10月、弘道会系西山組の組員ら七人を詐欺容疑で逮捕した。さいたま市の女性(79)に電話をかけ、キャッシュカードと通帳を騙し取ったというもの。西山組の上部組織は野内組で、野内正博組長は竹内会長の右腕の若頭。さらに11月、「竹内の最側近で財布役」(捜査関係者)といわれる弘道会系高己組の高松慶春幹部を「指示役」として逮捕した。
 振り込め詐欺は、指示系統の立証が困難で、なかなか上にたどり着けなかったが、今回は、「弘道会の組織ぐるみ」という構図が見えており、「竹内逮捕」が視野に入っている。竹内会長といえば、6代目山口組のナンバー2で19年に出所したばかりの高山清司若頭の信任が厚いことで知られ、「順当にいけば、7代目が高山で8代目が竹内」という大物だ。
 同組は神戸山口組との抗争が激化、死傷者が相次いだことから、20年の年初、神戸山口組とともに「特定抗争指定暴力団」に指定される。そうなれば「警戒区域」での活動が厳しく制限され、5人以上の組員が集まっただけで逮捕の対象となる。
 対立する神戸山口組の弱体化で6代目山口組が勢いを増すとみられており、警察当局にはパワーバランスが崩れたことで抗争激化を危惧する向きもあり、それが「弘道会壊滅作戦」に拍車をかけている。


 惨憺たる4K・8K放送、開始1年で普及率4%

 高画質が売り物の4K・8K衛星放送が2018年12月1日にスタートしてから1年が過ぎたが、世帯普及率はわずか4%。実際に観たことがある人も4%。「20年に全国の世帯数のうち約50%に普及」という政府目標は、夢のまた夢となっている。それもそのはずで、そもそも4K・8K番組がほとんど放送されていないのだ。
 民放などでつくる「放送サービス高度化推進協会(A─PAB)」によると、4K・8K放送を視聴できる機器の出荷台数は、10月末時点で約218万台。そのうち、チューナー内蔵テレビが143万台。以前から出回っている「4K対応テレビ」は630万台超とされるが視聴に必要な外付けチューナーは21万台しか販売されておらず接続率は3.4%にすぎない。ケーブルテレビ向けのチューナー内蔵セットトップボックスも54万台にとどまっている。4K・8K放送は、NHKや民放合わせて18チャンネルに上るが、機器が普及していなければ、観たくても観られない。
 理由は簡単。高画質で観たくなるような内容の番組がほとんどないからだ。
 しかも、大半が現行の番組を4K並みに変換しているだけの「4Kもどき」とあっては視聴するインセンティブが働くはずもない。
 民放は、現行のBS放送でさえ苦戦しているのに、視聴率の取れない4K番組を制作する積極的意義は見いだしにくい。NHKも、ネットの常時同時配信問題に注力していて、4K・8Kどころではない。
 A─PABの木村政孝理事は「20年の東京五輪・パラリンピックをターゲットに、さらなる普及を目指したい」と願うが、お先真っ暗だ。


 ギャンブル依存症には認知行動療法が有効

 ギャンブル依存を増やすのではないかと懸念されているIR(統合型リゾート)だが、日本ではすでに536万人ものギャンブル依存症患者がいるといわれている。
 もっとも多いのはパチンコ依存でそこから競馬やオートレースなど他のギャンブルに向かうケースも多い。ギャンブル依存患者がギャンブルを始めるのは20歳前後、男性では18歳頃が多く、その後6〜8年で依存症になっていく。
 深刻なのは、いったんギャンブル依存になったら、治癒は望めないことだ。これは薬物依存などと同じ。いったん脳に「依存の回路」が出来上がってしまうと、元の状態には戻れない。ただし、回復は可能だ。ギャンブルをするという行為をやめる状態をいかに継続するかが治療のポイントになる。現在、もっとも有効な治療法は認知行動療法といわれており、同じ依存症の患者たちの自助グループで回復を目指す。
 依存症患者の特徴は「3ザル状態」と「3ダケ主義」だ。「自分の病気が見えザル、人の忠告を聞かザル、自分の気持ちを言わザル」の状態となり、かつ、「今ダケ、自分ダケ、金ダケ」となる。こういう状態を、認知行動療法と自助グループでの集団療法で改善していく。
 できるだけ早く治療を開始するのが回復への早道だが、家族が本人を説得しようとしたり、借金を尻ぬぐいすることが多いのが実情だ。しかし、残念ながら家族だけでは回復は難しい。身内で抱え込まないことが悲劇を避ける最善の方法なのだ。


 値動き乏しい円相場、背景に日本の存在感低下

 外国為替市場で円相場の値動きが乏しい。2019年はドルに対する値幅が10円にも満たず、いわゆる「ニクソン・ショック」を契機として1970年代前半に変動相場制へ移行して以降、最少レベルにとどまった。米国の利下げによって日本との金利差が縮小すれば円が買われるとの予想もあったが、「米国が予防的利下げを打ち止めにしたため、円高にならなかった」(エコノミスト)などと解説されている。
 ただ、円取引が盛り上がらない理由として「市場で日本が材料視されることはほとんどない」(邦銀の外為ディーラー)事情も無視できない。国際社会における日本の存在感の低下を反映した現象で、今後も値幅の小さい状況が続く可能性が大きい。
 21世紀になって、円は「安全で信頼できる通貨」というイメージが定着した。リーマン・ショック後に急激に円高が進行したことで、それが世界中で揺るがぬ共通認識になったと言って差し支えない。世界経済の先行きに不安が漂うと投資家は円を買い、懸念が薄れると円を売るのが基本的なパターンだ。
 つまり、外為ディーラーは日本の政治や経済状況を判断して取引するのではなく、他の要因を見た上で必要があれば円を売買している。米中貿易摩擦で目まぐるしい動きがあったにもかかわらず、円の値動きが小幅なことも、「日本は当事国ではない」(エコノミスト)、「われわれが注視しているのはドル」(邦銀ディーラー)という言葉で説明できる。
 米中摩擦から話題を転じても、日本が国際社会で注目されたり、主導的な役割を果たす場面にはとんとお目にかからない。そうした実態が、活況を呈さぬ円相場の背景に横たわっている。


 液状化する朝鮮半島、南北ともに危機的状況

 朝鮮半島の液状化が南北ともに進んでいる。何よりも韓国経済が最悪だ。英FT紙が指摘しているように現在の韓国経済はこの50年で最悪の状況だ。それゆえに駐留米軍経費を5倍まで増額しろというトランプ政権に対し、反米感情が著しく悪化している。
 米国を巡る対立は国内の保守派と革新派の対立を激化させ文政権のレームダック化を早めている。検察はこの機に乗じ大統領とその側近たちのスキャンダルを暴き、文政権のとどめを刺す動きに出ている。文大統領にとっては最後の頼みの綱は中国からの援助だ。12月初旬の王毅外相の韓国訪問を機に一挙に中国の影響下に入る方向にある。
 一方、北朝鮮に対し米国は世界で3機しかない偵察機コブラボールを連日北朝鮮の上空に投入している。北は12月末までに米朝会談や経済制裁の一部解除を一方的に要求し続けているが、トランプ大統領の対応は冷ややかだ。そのため、米国は1月以降、北がICBM発射実験を行うと予想し、それに備えて監視を続けている。
 今後、一方的な北の行動がトランプ政権を刺激すると、米国の軍事力行使が行われる可能性が高まっている。というのもトランプ大統領にとってはISの指導者であったバグダディ容疑者の殺害に成功し、それが支持率上昇に大きく貢献した成功体験があり、その再現を考えているのではとの見方があるからだ。


 弾劾裁判が意外にもトランプ氏を利する理由

 米国の大統領選挙は2月3日のアイオワ州党員集会と2月11日のニューハンプシャー州での予備選挙で本格的な選挙戦がスタートする。今回は日程が前倒しされているため、3月3日に行われる南部諸州を中心としたスーパーチューズデーで代議員の40%が決まるため、トランプ氏で統一されている共和党と違い、民主党の各候補者たちはこの前半戦で生き残れるかが勝負だ。
 しかし、民主党は今や分裂状態だ。党内中道派と左派の対立が激化しているからだが、左派を代表するウォーレン上院議員とサンダース上院議員が支持を伸ばしているのに比べ、中道派を代表するバイデン前副大統領がウクライナ問題で息子の疑惑を晴らすことができず失速。そのため急遽ブルームバーグ氏が中道派候補として出馬を表明したが、逆に中道派の票が割れてしまっている。オバマ前大統領も中道派の取り込みを図っているが、うまくいっていない。
 ウクライナ疑惑は民主党の下院グループを中心にトランプ氏を追い詰める企てだったが、下院での弾劾決議案は通ったが、上院が弾劾裁判を行うため、弾劾そのものが共和党多数で否決されるとみられる。
 逆にトランプ大統領にとって有利に働くのが、勢いに乗るウォーレン、サンダース候補の勢いをそぐ絶好の機会が年明けに予定されている上院での弾劾訴追裁判の日程だ。大統領への弾劾裁判は最高裁長官が裁判官役で、弾劾決議をした下院議員が検事役となり百人の上院議員が陪審員役となる。過去の例では約六週間審議がされるため、1月の中旬から始まると2月は全く2人とも選挙活動ができなくなり、これはトランプ大統領が選挙戦を行う際には、非常に優位に立てるとみられている。


 ケイコ・フジモリ氏釈放、ペルーでT逆襲Uが始まる?

 ブラジル大手ゼネコンからの不正政治資金疑惑に関与した容疑で2018年秋から身柄を拘束されていたペルーの有力政治家ケイコ・フジモリ氏(フジモリ元大統領長女)が先頃、釈放された。ペルー憲法裁判所が、ケイコ氏の家族の「人身保護請求」申し立てを認め、同氏は1年1カ月ぶりに自由の身となった。
 これで容疑が晴れたわけではなく捜査は継続されるものの、政治運動を含め自由に活動ができるようになる。ケイコ氏が同国最大の野党「フエルサ・ポプラル」(FP)の党首として依然として政界では隠然たる力があるのは事実だ。党内では不正政治資金疑惑を担当した検察官や同氏の身柄拘束を命じた裁判官に対し訴訟を起こすべきだとの声も上がっているといわれ、ペルーのメディアでは早くも「ケイコ氏のT逆襲Uが始まるのではないか」(リマの有力紙)との憶測も流れている。ケイコ氏が出所後すぐに、父親であるフジモリ元大統領の収監先を訪れ、長時間にわたり話し合ったことも、こうした憶測の一因になっているようだ。
 ペルーでは1月に国会議員選挙が行われるが、ケイコ氏はこれには出馬せず、21年に予定される大統領選挙に向け準備をするのではないかとのうわさがもっぱら。不正政治資金疑惑をめぐり同氏の支持率は急落し、一時は数%台にまで落ち込んだが、釈放後の世論調査では10%台にまで回復するケースもみられる。このような世論の微妙な変化がケイコ氏の政界復帰への追い風になると指摘する声もリマの政治アナリストの間では聞かれる。


 経済危機のアルゼンチン新大統領に難題山積

 過去に繰り返し債務不履行(デフォルト)に陥ったアルゼンチンが、干ばつや通貨安などを受けて再び経済危機に直面している。19年末に就任した中道左派のアルベルト・フェルナンデス大統領には、経済再建という難題が突き付けられている。
 中道右派のマウリシオ・マクリ前大統領は、12年にわたった左派政権によるばらまき政策で疲弊した財政を立て直すため、緊縮政策を断行するとともに、市場開放を進めた。その反動で国民生活は圧迫され、さらに18年には干ばつや通貨ペソ安に見舞われ、急激なインフレが進行。19年のインフレ率は55%に達する見通しだ。
 これに対し、フェルナンデス氏は、金融支援の見返りに緊縮財政を要求する国際通貨基金(IMF)を批判。最低賃金の引き上げや年金の増額を訴え、「大きな政府」を期待する貧困層などから支持を得た。
 しかし、アルゼンチンは3000億ドル(約32兆4000億円)を上回る対外債務を抱え、国庫は逼迫している。積極的な財政支出の余裕はないのが実情だ。
 ただフェルナンデス氏はIMFや債権者を敵視する姿勢は見せていない。「経済が成長して生産性が改善し、輸出が増え、債務返済に充てる外貨を獲得した暁に返済する」としており、IMFなどとの交渉を通じ、返済を猶予してもらう考えだ。
 IMF側も、フェルナンデス氏が掲げている貧困対策や持続可能な成長の促進といった政策方針に理解を示している。ただし、アルゼンチン側が望む債務繰延交渉に入る前に具体的な情報が必要としており、「先走りしないことが重要」(報道官)とクギを刺している。


 人気リゾート、サムイ島に全長18キロメートルの架橋計画

 日本人観光客にも人気のタイ南部のリゾート地、サムイ島とタイ本土を結ぶ橋の建設計画が浮上した。実現すれば全長18キロメートル。高架道路を除くと、東南アジアでは最長となる壮大なプロジェクトだ。
 タイ湾に浮かぶサムイ島は面積252平方キロメートル。ビーチでのんびり過ごせるだけでなく、滝や密林といった見どころもあり、ゾウ乗り体験もできる。2018年は約260万人の観光客がサムイ島を訪れ、647億バーツ(約2350億円)を落としていった。今やサムイ島だけでなく、島を含む地元のスラタニ県の経済は、観光客なしでは成り立たない状況となっている。
 島に渡るにはバンコクなどから飛行機を利用するか、本土までのフェリーに乗るしかない。しかし、フェリーの運航時間は午前5時〜午後7時に限られるのに加え、到着まで1時間半かかり、利便性が悪い。一方、橋があれば20分で渡れる。観光客への依存が強まる中、さらに来訪者を増やそうと架橋案が持ち上がった。
 橋に対しては地元の医療現場からも期待が寄せられている。サムイ島の医療施設は限られ、年間で350人前後の急病人やけが人を高速艇で本土に搬送している。荒天時には海を渡るのに6時間かかることもあり、生命に関わる。医療関係者からは、橋は「命を救う役割を果たせる」という声も上がる。
 とはいえ、建設費は推定300億〜450億バーツ(約1100億〜1600億円)と膨大で、小島に架ける橋への出資者が現れるのかは未知数。地元の皮算用をよそに、早くも絵に描いた餅に終わるのではないかとささやかれている。



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