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安倍一強もこの官邸コンビが自在な“活躍”をしていなければ実現していない?
(左・今井尚哉内閣総理大臣秘書官と安倍首相。写真/朝日新聞社)


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秋葉外務事務次官 (左) も言いなりか? 官僚衰退の象徴ともいえる太田主計局長(写真/時事)



森 功(もり いさお)
1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。出版社勤務を経て2003年にフリーランスのノンフィクション作家に転身。11年『泥のカネ 裏金王・水谷功と権力者の饗宴』(文春文庫)で第33回講談社ノンフィクション賞候補、『なぜ院長は「逃亡犯」にされたのか 見捨てられた原発直下「双葉病院」恐怖の7日間』(講談社)は12年に第11回新潮ドキュメント賞候補、13年第44回大宅壮一ノンフィクション賞候補。18年『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』(文藝春秋)が第49回大宅壮一ノンフィクション賞受賞。『総理の影 菅義偉の正体』(小学館)、『日本の暗黒事件』(新潮新書)『高倉健 七つの顔を隠し続けた男』(講談社)、『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』(講談社)など著書多数。最新刊は『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』(文藝春秋)
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■時代の証言者 2──── 森 功(ジャーナリスト)


日本の政治の有り様を変えた
安倍一強を支える官邸官僚政治

■財務省の体たらくが実証する霞が関の変化。虎の威を借りて権勢を振るう「官邸官僚」の存在感が増し、従来のエリート官僚たちの凋落ぶりがやたら目につく――

どんな不祥事があっても
政権崩壊には至らない


「われわれ日本人は、これまで体験したことのない政治に遭遇することになる」──。
 そう表現した官僚もいた。言うまでもなく、今秋、憲政史上最長の政権に突入する安倍晋三内閣のことを指す。第2次政権が発足して2年目あたり、2014年頃からだろうか。永田町では、いつしか「安倍一強」という呼ばれ方が定着した。
 もとより一強を支えている要因は、さまざまある。野党の体たらくなどは、最も大きな一因に違いない。あるいは、自民党内の人材不足という側面も否めない。石破茂や岸田文雄、石原伸晃といった本来、首相と競い合う派閥の領袖たちが頼りない。おまけに、河野太郎や加藤勝信、小泉進次郎など、国民的に人気のある若手は、育ちや見てくれがいいだけで、さっぱり中身が伴わない。
 目下、首相に対抗できる政界の実力者といえば、せいぜい幹事長の二階俊博か官房長官の菅義偉の2人ぐらいだろう。ただし表向き2人は、ともに政権を支える側の立ち位置を鮮明にしている。官邸内の不協和音も聞こえてこないわけではないが、政権を長持ちさせることが彼らの共通の利益であるため、どんな不祥事があっても政権崩壊には至らない。
 これだけでも、われわれにとって十分、未経験の政治状況といえるが、加えてもう1つ、忘れてならないのが、霞が関の変化である。安倍一強政権で虎の威を借りて権勢を振るう「官邸官僚」の存在感が増し、従来のエリート官僚たちの凋落ぶりがやたら目につく。中でも際立っている官庁が、財務省だろう。
 大蔵省時代、長らく最強官庁と評され、国の予算を預かって政策を動かしてきたはずの財務省が、見るも無残な状態に陥っている。森友学園問題の公文書改竄問題を例に挙げるまでもなく、安倍政権を守るため、犯罪行為ギリギリの無理難題を押し付けられてきた。
 財務省は、経産内閣と呼ばれる第二次安倍政権で煮え湯を飲まされ続けている。10月1日から実施された消費税の10%への引き上げも然りだ。

消費税増税で2度
面目を潰された財務省


 もとをただせば、消費税の増税は民主党政権時の12年6月、高齢化時代の医療・介護費の増大に備え、財政赤字の解消をするため、社会保障と税の一体改革策を標榜して民主が自公と3党合意した政策である。周知の通り、5%だった消費税率を14年4月から8%に引き上げ、翌15年10月以降には、10%にすると定めていた。
 ところが安倍政権では、その消費税10%を14年11月と16年6月の2度にわたり、延期した。まさに一強政権のなせるワザともいえるが、消費税増税による財政再建を目指す財務省は、2度も面目を潰された格好だ。
 そして、ようやく実現した消費税10%。だが、その増税分も幼児教育の無償化や軽減税率の導入によって骨抜きにされている。安倍政権では、子育て世代の支援や食料品の優遇税制を謳うが、バラマキ感が強く、社会保障の充実や財政再建どころではなくなっている。
 しかも酒類を除く食料品に適用される軽減税率の導入は、ただでさえ仕組みがわかりづらい。外食は対象外だが、持ち帰りは減税適用される。コンビニのイートインは外食とみなされ軽減対象外となるらしい。さらにケータリングも対象外。といっても老人ホームや学校給食などは軽減対象といったアンバイだ。
 おまけに、軽減税制度の売り物に据えるポイント還元もややこしい。大手スーパーだと2ポイントで、中小店舗なら5ポイントの還元率だとされる。
「仮に我々がこれまで買っていた100円のパンだと、税込みで108円。食料品なのでパンの値段はそのまま据え置くことになっていますが、ポイント還元制度だと、最大5ポイント割り引くことができます。消費者はいったん108円でパンを買うのだが、あとから5円還付される。つまり108円のパンが103円となり、事実上の減税です」
 ある元財務官僚はそう嘆いた。
 政府は軽減制度の実施期間を10月1日から9カ月間としているが、その後に値上げが待っている。また軽減税ポイント分の店側の還元分は国から補助されるが、中小の小売店ではシステム導入が面倒なので、なかなか根付かない。そんなチグハグな事態を招いている。

還元予算の根拠を
示せない太田主計局長


 その補助金について、財務省は昨年12月、ポイント還元に必要な金額として、2798億円の予算を査定し、翌年の通常国会でそれが計上された。が、これもまた実にいい加減で、算定根拠は今もってはっきりしない。ある政府関係者がこう憤慨した。
「査定の段階ではポイント還元制度の仕組みすらできていなかったのに、財務省が3000億円近い予算案をつくらされた。経産省主導の還元計画なので、とにかく金を用意しろという乱暴な話。翌年3月の衆議院の予算委員会で初めて経産省がポイント還元制度のガイドラインを示したけど、今に至るまでどのような試算に基づく補助金なのか、明らかになっていない。予算が通過した段階で世耕(弘成)大臣が『足りなかったらさらに補正を組む』と発言をしましたけど、それがまさに根拠のない予算であることの裏返しなのです」
 件の軽減税制を作ったのが、首相の政務秘書官である今井尚哉と経産省産業政策局長の新原浩朗ラインだとされる。言うまでもなく、経産省出身の今井は第1次安倍政権時代に首相の事務秘書官となり、第2次政権発足と同時に筆頭の政務秘書官に就任した官邸官僚の筆頭格だ。今や「総理の分身」として、安倍一強政権を支えていると自他ともに認める存在である。
 この今井の財務省におけるカウンターパートが、太田充主計局長だとされる。太田は今井・新原ラインの指示通り、有無を言わせず、次長の神田真人や主計官の須原朋之に軽減税の査定をつくらせたという。
「いくら今井さんの権勢が強烈だとは言え、主計局長たるもの、本当なら総理に対して予算の根拠ぐらいは示さないとおかしいのですが、それもなかったと聞いています」(同・政府関係者)
(敬称略。以下、本誌をご覧ください)
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