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元木 昌彦(もとき まさひこ)
編集者。1945年生まれ。「週刊現代」や「フライデー」の編集長として権力批判の誌面づくりを貫いた。メディア規制の動きに反対の論陣を張る。2006年11月、講談社を退社。オーマイニュース元社長。上智大学、明治学院大学、大正大学などで講師。インターネット報道協会代表理事。


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植野 広生(うえの こうせい)
1962年、栃木県生まれ。80年法政大学法学部に入学。上京後すぐに、銀座のグランドキャバレー「モンテカルロ」で黒服のアルバイトを始める。その後、鰻屋や珈琲屋、アイスクリーム屋など多数の飲食店でアルバイトを経験。同大学卒業後、新聞記者を経て、出版社で経済誌の編集を担当。その傍ら、大石勝太(おおいし・かつた。「おいしかった」のシャレ)のペンネームで「dancyu」「週刊文春」などで食の記事を手掛ける。2001年、プレジデント社に入社。以来「dancyu」の編集を担当、17年4月編集長に就任。「プロフェッショナル〜仕事の流儀〜」「情熱大陸」「アナザースカイ」「人生最高レストラン」「断ちごはん」(レギュラー)などテレビやラジオの出演多数。


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■元木昌彦のメディアを考える旅 261
 今月の同行者/植野広生 氏(プレジデント社 dancyu編集長)


dancyuの持つジャーナリズム精神
日本の食文化の壊滅を危惧

■「食」雑誌編集長の「人という動物は絶滅危惧種に近い」論――

 今、「食を楽しみたい人のための月刊誌」と謳う「dancyu」は1990年創刊。誌名の由来は「男子厨房に入らず」転じて「男子も厨房に入ろう」からだという。内容は、男も料理なるものをしてみなさいというもの。私は創刊以来の愛読者である。
 あの頃は食に関する情報は少なかった。垂涎の料理の数々を眺めながら、いつか行く日を夢見るのが至福の時だった。だが今は、食の情報はネットに溢れ、テレビでもグルメ番組が四六時中流れて、タレントたちが「オイヒー」と、何とかの1つ覚えのように繰り返している。
 食情報氾濫時代に、さぞ苦労しているだろうと思ったら、dancyuは部数を伸ばしているのである。その理由は、2年前から編集長になった植野広生氏によるところが大きい。
 次々に新企画を生み出し、自身もメディアに出て食についての蘊蓄を語る。ネットでは、女優の石原さとみとT親密Uだと書かれている。噂になるのは注目されている証拠だ。ご本人に噂をぶつけたら「テレビの取材を受けた時に一緒になっただけです。その後は1度も会っていません」とアッサリ否定された。
 場末の居酒屋でホッピーを飲みながらアジフライを喰らうことを無上の楽しみにしている「千ベロ」ジジイが、植野編集長に美食の神髄を聞きに行ってきた。

            ◇

元木 植野編集長は1日に5、6軒回ることもあるそうですね。
植野 雑誌を作るためのリサーチは基本的にスタッフに任せていますが、自分でもいろいろなところに食べに行きます。気になる店があると、どうしても行きたくなったりするので。朝昼夜食べて合間に食べてとか、会食の後に自分の好きな店に食べに行ったりとか、朝昼昼晩晩みたいなこともありますね。
元木 ここはいいよ、という情報は、やはり人脈から入ってくることが多いのですか。
植野 dancyuも来年末で創刊30年になります。ですから、これまでに蓄積してきた情報もありますが、基本的には詳しい方に伺ったり、僕の場合、いわゆるグルメライターさんとか評論家みたいな人よりも、普通に食べている人からの情報が多いですね。
 それと、たまには市場に行ったりするものですから、市場の仲卸さんと雑談している中で、「そういえば今度あそこの寿司屋の若い子、店出すよ」、「あの子頑張ってるよ、毎日河岸に来て」なんていうのを聞くと、じゃあ行ってみようかなって……。

食いしん坊倶楽部で
毎月イベントを開催


元木 この間ヤフーを見ていたら、早稲田のフレンチの店「ラミティエ」で食べながらインタビューを受けていましたね。私も事務所が早稲田なので、昔から行っていますが、最近は人気で、予約が取れません。
植野 そうなんですよね。オープン直後はガラガラで、大丈夫かこの店という感じだったのに、予約の取れない店になってしまって、嬉しいような悲しいような(笑)。
元木 あれだけの値段(ランチで1300円)であれだけのものを出す店はなかなかないですからね。
植野 パリの街にあるような本物のビストロって、実は日本には少ないと思っているのですが、あそこはその感じがあります。最初行った時、近所のおばあちゃんがベンチシートみたいなところで正座して、ステーキを食べてたんです。地元に愛されているいい店だなと思いましたね。
元木 私はdancyuの創刊号からの読者ですが、取っておいて何年かたって連絡したら、楽しみだったのに閉店していることもありました(笑)。
植野 できるだけ普遍的な店を掲載するようにしていますが、それでも、今、東京でだいたい2万軒ぐらい毎年新しいお店ができているらしい。ということはそれだけなくなっているということでもあります。
元木 昔はdancyuに出ていて、ここよさそうだなと思って電話すると、混んでいてガッカリしたことがよくありました。だから、dancyuに出るとしばらくはダメだろうなと思っていたのですが、失礼ですけれど最近はそうではないようですね。情報がネットに溢れているということも影響しているのでしょうか。
植野 実際には、読者の反応を見ているとdancyuに出たから混むという事態は、むしろ以前より最近のほうが多いようです。それにテレビで紹介されるとバーッと人が集まってすぐに引いてしまうのですが、dancyuの読者は、言い方は悪いですけど、割としつこい方が多いんです(笑)。元木さんのように、雑誌に出てから2年とか3年たってから、「dancyuを見ました」って言って来る方がいると、取材したお店でよく言われますね。
元木 昔は、そういう店の紹介は文藝春秋から出ていた『東京いい店 うまい店』かdancyuぐらいしかなかった。だから自分で、おいしい店を探す楽しみがありました。今は「食べログ」をはじめいろんなサイトがあって、情報だけは溢れています。そういう中で、紙媒体でやっていくのは大変だと思いますが。
植野 雑誌不況と言われる中で、おかげ様でdancyuの売り上げは伸びています。
元木 植野さんが編集長になって、ご自身がたくさんの媒体に露出したりして、知名度を上げているということもあると思います。それにいろいろなイベントをやられてますね。
植野 「dancyu食いしん坊倶楽部」というのを最近立ち上げました。これは、食いしん坊だったら誰でも入ってくださいという倶楽部です。僕が編集長になってから、それまでは「食こそエンターテインメント」というのが雑誌のキャッチフレーズだったんですが、それを「『知る』はおいしい」に変えました。創刊の頃は、食がエンターテインメントになるというのは、ある意味で驚きであり、食に対するリテラシーもそんなに高くありませんでした。
 もちろん今も、食がエンターテインメントというのはベースにあるんですが、「知るはおいしい」って、別に難しい薀蓄ではなくて、ちょっとしたことを知るだけで、食はもっともっとおいしく楽しくなりますよ、ということを提案していく雑誌にしようと思ったのです。さらに、それを実体験していただくために「dancyu食いしん坊倶楽部」を立ち上げたのです。
元木 どのようなイベントをやっているんですか?
植野 毎月いろいろなイベンを開催していて、先日は「クラフトジンナイト」を行いました。今は日本でもいろんな蒸留所が増えてきて、クラフトジンの世界が楽しいというコンセプトでやったのですが、まだ多くの人には知られていないので、御茶ノ水のお店を借りて、それぞれのクラフトジンを飲みながら、料理との組み合わせを楽しんでもらいました。クラフトジンに詳しい方にトークショーをやっていただいて、60人ぐらいの規模だったんですけど、楽しい会でした。
(以下、本誌をご覧ください)
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