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結局は習近平主席の胸先三寸ということか


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■中国の経済戦略


中国が米離脱のCPTPP参加に照準?
ハードルは高いが対米戦争で優位狙う

■貿易摩擦から経済覇権争いへとエスカレートの米中経済戦争。そんな中で、中国が秘かに米離脱後のCPTPP参加検討との情報。その真偽は如何に――(ジャーナリスト 国分進太郎)

米国抜きを逆手に
参加の可能性は十分ある


 最近、日本国内の大学で研究活動を続ける華人教授会の有力メンバーの中国人教授や中国ウオッチャーの日本の専門家などの間で流れているのが「中国政府は秘かに米国離脱後のCPTPP(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership=包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定)への参加を検討している。参加の可能性は十分にある」という情報だ。
 興味深い情報の真偽を探る前に、話の展開もあるのでCPTPPの話をしておこう。
 CPTPPは当初、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)と呼ばれた。米国が主導して急速に台頭する中国を封じ込めるため、太平洋に面するアジアおよび南米の国々で自由貿易経済圏をつくって中国に誇示しようという戦略的意味合いの強い経済連携協定だった。
 ところが肝心の米国に異変が起きた。トランプ大統領が大統領選挙中から「米国ファースト」の保護貿易主義を打ち出し、TPPに関して、就任直後にグローバルレベルでの自由貿易メカニズムからの離脱を表明、すぐ実行に移してしまった。このため米国主導の自由貿易経済圏構想は空中分解しかねない危機的状況に陥った。
 しかし、後発でTPP加入した日本が主導して何とか存続させ、豪州、ニュージーランド、カナダ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、メキシコ、チリ、ペルーの11カ国で新たにCPTPP、別名TPP11という組織名称に切り替え2018年12月末に発効、米国抜きの新自由貿易経済圏がスタートした。
 成長センターとなりつつあるアジアでは、このCPTPPのほかに、まだ協定合意に至っていないRCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership=東アジア地域の包括的経済連携)という自由貿易経済圏構想はじめ、2国間でのFTA(Free Trade Agreement=自由貿易協定)、EPA(Economic Partnership Agreemen=経済連携協定)もあり、まさに自由貿易圏オンパレード。
 米国はトランプ大統領の保護貿易主義のあおりで結果的に孤立する形となったが、その後、興味深いことが起きつつある。インドネシア、タイ、フィリピン、韓国、そして台湾がCPTPPへの加入について最近、関心を示しているのだ。そうした中で中国もCPTPP加入検討、という問題が浮上してくると、にわかに地政学的な意味合いが強まってくる。

対米経済戦争の
長期化を想定


 そこで本題だ。実は数年前、TPP交渉の時代に中国が加入検討という話があった。当時、中国政府当局者が記者会見で、加入検討も選択肢と表明していたのである。その後、国営政策シンクタンクの社会科学院が加入のメリット、デメリットを検討という話も出て、中国政府がこの自由貿易経済圏問題を重要な政策判断の一つに考えていることを印象付けたことは間違いない。
 しかし、同じ内容の情報でも、今回は以前と比べて意味合いが大きく異なる。いうまでもなくトランプ米大統領が対中貿易赤字の是正を求めて中国からの輸入品に追加関税を課したのをきっかけに、米中間の貿易不均衡是正をめぐる動きは深刻な貿易摩擦に発展しているからだ。それどころか安全保障にからむ技術流出の懸念で米国は、中国の通信機器大手ZTEやファーウェイに揺さぶりをかけるなど一気にハイテク摩擦が拡大した。さらには「中国製造2025」という中国の先端技術産業育成プロジェクトにも強い危機意識を強め、国有企業への補助金など産業政策の改革を迫るなど経済覇権争いにエスカレートしてきている。
 こうした新事態下での中国のCPTPP参加検討をどう見るべきか。
 冒頭の華人教授会の有力メンバーの中国人教授は「中国政府当局は、米国の要求にはメンツにかけて譲れない部分も多いため、対米経済戦争の長期化を想定している。そこで米国の弱み部分を突く戦略に切り替えた。その1つが米国が離脱したCPTPPに積極参加することだ。日本や豪州とともに自由貿易経済圏づくりに協力して米国の保護貿易主義と対決する姿勢を見せれば、米国を孤立化させることができ、結果的に経済戦争を有利に運べる、と判断したように思う」と語る。
 中国共産党に情報ソースを持つ中国ウオッチャーの日本人専門家は「CPTPP参加を検討しているのには、対米経済戦争の形勢逆転狙いがあるのは確かだ。しかし台湾ファクターも意外に重要だ」という。
 それによると中国は今、香港で長期化し始めた対中国抗議デモの対応に苦しんでいるが、香港とともに傘下に収めたい台湾がCPTPPに参加してその組織基盤をテコに中国に対峙してくると、これはリスクになる。そこで中国もいち早くCPTPPに参加しておこうというものだ。
 まさにCPTPPをめぐる地政学の世界の話になってくるが、こうした見方に対して別の中国ウオッチャーは「中国の自己都合の論理でしかない。CPTPP参加を仮に要請しても、国有企業改革が進んでいない現状や知財管理のルーズさ、電子商取引などをめぐる外資への参入障壁の高さなど問題が多い。CPTPPのルールはかなり厳しくハードルが高いので、中国が対応できるかどうかというとこれは難題だ」と冷ややかだ。

中国政府内で賛否両論
最後は習近平政権の決断次第


 別の華人教授会メンバーの中国人教授が興味深い話をしている。「私が聞いているところでは、このCPTPP参加をめぐって、中国政府部内で賛否両論の対立状態だ」というのだ。
 その教授によると、対米交渉で苛立ちを強める外交部は、米国不在のCPTPPに中国が積極参加して多角的貿易体制や自由貿易経済圏づくりで中国の存在感を示せば、外交戦略的にもプラスとの立場をとっている。これに対し通商交渉担当の商務部は、国有企業への補助金問題などで米国から執拗に対応を迫られて苦慮する中で、同じ問題をCPTPP参加11カ国からも突き付けられるリスク、2国間での中米通商交渉の最中に米国の神経を逆なでして経済戦争がエスカレートするリスクを考え合わせると得策でないとの立場だ、という。
 これらの話を総合してみても、中国のCPTPPへの参加検討に関する関心度が中国の内外で間違いなく高まっている。そこで、今後の動向を探る上でのポイントを最後に述べておこう。
 ポイントの一つは、習近平国家主席を軸とした中国共産党中央が最終判断をどう下すかだ。かつての天安門事件の二の舞いリスクを抱える香港問題の処理に頭を悩ます中で、対米経済戦争でも米国を刺激して全面経済戦争になるリスクを覚悟で火中の栗を拾うか。
 二つ目は同じく共産党中央の判断にかかるが、国有企業改革、知財管理、資本の自由化、企業などの投資家と国家間の紛争処理をめぐるISDS条項(Investor-State Dispute Settlement=投資家と国家間の紛争処理)への対応などの難題にあえて取り組み、中国経済構造改革に挑戦するかどうかだ。まさに中国にとって正念場だ。
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