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■企業経営と株主


武田薬品の株主総会で新提案
「クローバック条項」 とは何か

■巨額M&Aに反対する株主が提案した新条項の威力――

 企業の役員陣にとってはまさに悲喜こもごもの大舞台となる株主総会の季節も過ぎ去ったが、その株主総会に提案された聞き慣れない新手の株主提案「クローバック条項」が今、日本の企業経営者の注目を集めている。
 発端は6月27日に開催された武田薬品工業の株主総会。武田薬品のクリストフ・ウェバー社長兼CEO(写真)が進める巨額な買収戦略に反対する「武田薬品の将来を考える会」が株主総会に同条項を提案したところ、過半を超える52.2%もの株主が賛成票を投じたのだ。
 この提案は定款変更を伴う特別議決のため2/3以上の株主の賛成が必要であるため、成立こそしなかったが、多くの株主の支持を受け、武田薬品は「社内規定(内規)を整備することで株主の皆様のご要望に応えていく」と、クローバック条項の導入を検討せざるを得ない状況に追い込まれた。
 クローバック条項とは、過去の過大な投資等により損失が生じたり、不正が発覚した場合に、取締役に支給済みの業績連動報酬を会社に返還させる取り決めだ。すでに海外では一般的に導入されており、「S&P500銘柄の企業では約9割が採用している」(公認会計士)という。日本でも野村ホールディングスやコニカミノルタなど一部企業で採用されている。
 ウェバー社長はじめ役員の多くが外国人で占められ、グローバル企業化している武田薬品にとって、クローバック条項への抵抗感はないはずだ。にもかかわらず武田薬品の経営陣が同条項の導入に神経質になるのは、今年6兆2000億円を投じて買収したアイルランドの大手製薬会社シャイアーの負担が重くのしかかり、先行き赤字が続きかねないためだ。
 武田薬品工業が5月14日に発表した2020年3月期の業績予想で、今年1月に買収が完了したアイルランドの製薬会社シャイアーに関連する買収関連費用が9500億円にのぼり、最終損益が3830億円の赤字になる見通しを発表した。同社は19年3月期にも同じ買収関連費用として3119億円を計上しており、合計の関連費用は1兆2600億円に膨れ上がる。6兆円の買収で1兆円を優に越す費用がかかるのは異常というほかない。

同条項は経営責任に
対する役員陣の矜持


 そもそも今回の買収については、シャイアーの年間純利益(17年)は武田の4倍を超すため「小が大を飲む大博打」と言われ、市場からは「買収価格が高すぎ、武田の財務内容が大幅に悪化する」(市場関係者)と懸念されていた。買収プレミアムは6割を超し、結果、武田薬品の有利子負債は、買収前の1兆円から6兆円近くにまで一挙に膨れ上がった。かつて無借金で名を馳せた武田からは考えられないディールだが、ウェバー社長は、買収により「単純合算で売上高は2倍、利益水準は3倍になる」と強気だ。
 だが、先の公認会計士によると、「武田薬品はシャイアー買収に伴う費用として19年度以降、向こう10年間にわたり年4000億円程度の償却費の負担が生じかねない」という。シャイアー買収による新薬開発などシナジー効果の発揮や営業力強化で、それを上回る収益を確保できればよいが、うまくいかなければ赤字が続くことも予想される。その時、クローバック条項が発動されればどうなるか……。
 ここ数年、企業の役員報酬に占める業績連動型の割合は急速に高まっており、ストックオプションや株式報酬なども目立つようになってきている。その一方で、武田薬品のように巨額なM&Aも活発化している。それにつれて株主、企業役員双方にとって、「クローバック条項」への注目は否応なく高まると予想される。ある意味で同条項は経営責任に対する役員陣の矜持とも受け止められるためだ。
 武田薬品は、クローバック条項の内規整備について、「遅くとも20年5月までに正式な方針を策定し、公開する」としており、動向が注目される。
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