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エレン・ブラウン(Ellen Brown)
米国ロサンゼルス出身の作家、司法弁護士、社会活動家。公共銀行制度研究所の創始者であり会長(http://www.publicbankinginstitute.org/)。『Web of Debt』(『負債の網』那須里山舎刊)は米国でベストセラーとなり、『Public Bank Solution』(本邦未訳)では、公共銀行の必要性を説いている。最新刊は『Banking on the People』(本邦未訳)で、2019年6月1日に米国で出版された。ブログはEllenBrown.comで読むことができる。民主的な経済を研究する「The Democracy Collaborative」のフェローでもある。


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■エレン・ブラウン氏との対話 大地舜(国際ジャーナリスト・翻訳家)
 お金の仕組みの摩訶不思議 第1回


世界情勢を理解するには
「お金の仕組み」を知らなければならない

■現代のお金の世界は複雑怪奇で理解するのが大変だ。そこで米国でベストセラーとなった『負債の網』(那須里山舎刊)の著者エレン・ブラウン氏に、世界のお金の仕組みについて解説してもらうことにした。今回は彼女が住むロサンゼルスのハリウッドに出向いて、世界情勢を理解するために必要な、お金の仕組みの基本について話を聞いてきた。
              ◇
お金の95%は
民間銀行が創る


──現代のお金の仕組みは複雑怪奇です。経済学者によって、解釈も大きく異なります。エレンさんの近著『負債の網』は、さまざまな見解の中でも異彩を放っていると思います。そこで現代のお金の仕組みを理解するにあたって、大事なポイントをいくつか教えてください。
ブラウン氏 まず、お金が誰によって、どのように創られているかを知ることが大事です。世界中のほとんどの国において、お金の95%以上が、民間銀行によって創られています。中央銀行もお金を創っていますが、全体の5%程度です。

──銀行はどのようにお金を創るのでしょう?
ブラウン氏 私たちが銀行からお金を借りると、銀行は通帳に金額を打ち込んでくれます。これでお金が生まれます。これが世間で流通するのですが、そのほとんどは、コンピューター上で、数字として移動するだけです。例えば商品を購入して銀行振込をしたら、あなたの口座から相手の口座に数字が動くだけです。つまり銀行はたくさんの現金を持っているわけではありませんし、預かった預金を元手に貸し出しをしているのでもありません。持っている現金は、貸し出しているお金の8%以下です。

──銀行はお金(現金)を持っていないのに、お金を貸せるわけですね?
ブラウン氏 その通りです。銀行は、マジックのように無からお金を生み出しています。そして、この無から創ったお金に利子を付けて、利益をあげています。

──まるで詐欺みたいですね。
ブラウン氏 よく詐欺だと言われます。歴史的には詐欺からはじまっています。銀行はこのようなマジックを行ってよいと、国家によって許可されているわけです。お金を創るのはもともと国家の仕事ですが、現代の多くの国では民間銀行に任されています。借りたお金には利子が付きますが、利子の分のお金を銀行は創りません。そこで現在、流通しているお金の中から利子を払うことになります。つまり世の中では常にお金が不足しており、競争社会が生まれます。

──利子が諸悪の根源ですか?
ブラウン氏 そうは言いません。利子が生む利益を民間銀行が持っていってしまうのが問題です。政府が融資して利子を受け取るならば健全です。現代の商品の価格のうち、半分以上は利子の支払いに充てられています。利子を払うことがなければ、製品価格を半分にできることになります。

金細工師の預かり証が
通貨として流通


──銀行がマジックのように、無からお金を創り出す仕組みは、いつ頃始まったのでしょう?
ブラウン氏 ヨーロッパ中世の金細工師たちが発見した仕組みです。金細工師は金貨を鋳造し、宝飾品を作っていましたが、大金持ちから金(きん)を預かるようになりました。大金持ちにとって、当時、通貨に使えた金(きん)を持ち運ぶのは不便でしたし、保管場所にも困りました。そこで安全な保管場所として、金細工師に預けたのです。金細工師は預かり証を発行しましたが、これがやがて通貨として流通することになります。

──それはただの紙ですね。
ブラウン氏 そうです。やがて金細工師たちは、大金持ちの商人や地主が、金を引き取りに来ないことに気付きました。統計をとってみると預かった金の10%保管しておけば十分です。そこで金細工師たちは残りの90%の金(きん)を貸しはじめたのです。金細工師たちは、大金持ちたちが返却を求めてくる時に備えて、預かった金(きん)の10%を保管しておけばよかったわけです。これが部分準備制度(フラクショナル・リザーブ制度)の始まりです。

──現代でもこの制度は使われていますね。
ブラウン氏 そうです。金細工師たちは、金細工をやめて、お金を貸す仕事に専念するようになりました。最初は金(きん)を貸したのですが、やがて利子を付けた証書を渡すことにして、大儲けしたのです。
──そういう人たちが銀行家になったのですね。
ブラウン氏 そうです。彼らは富豪となり、当時の貴族や国王に貸し付けをするようになりました。最終的にはイングランド銀行のように国家の代わりに、通貨を発行するまでになっていきます。

金融機関の特権を脅かすと
最後は戦争を仕掛けられる


──『負債の網』によりますと、イギリス国王が民間銀行であったイングランド銀行に多額の借金をして、その借金返済のために植民地であったアメリカに多大な税金をかけ、それがアメリカ独立戦争の引き金になったそうですね。
ブラウン氏 戦争になったもう1つの理由は、当時のイギリスの植民地ペンシルベニア州が、経済的に急成長していたことがあります。ベンジャミン・フランクリンなどが推奨したお金の仕組みが大成功したのです。それは植民地政府が独自に紙幣を発行するという方法でした。植民地は金銀のような富は持っていませんから、植民地政府の信用だけで、紙幣を発行して人々に融資したのです。これが大成功したので、英国は植民地政府に紙幣の発行を廃止するように求めたのです。

──なにがいけないのでしょう?
ブラウン氏 イングランド銀行の狙いは国家にお金を貸して儲けることです。植民地政府が、銀行からお金を借りないで、人々に融資して、利息も植民地政府の懐に入っては、民間銀行の儲けを奪われたことになります。
(以下、本誌をご覧ください)

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