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改革にふさわしい人選だという小池都知事


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■奇怪な社長人事


小池都知事の都政私物化の声も出る
前特別秘書の東京水道サービス社長就任

■蜜月関係ではなくなったが無碍に処遇しては反旗を翻されるかもしれない。そんなことを考えたのではないかと勘繰られるのにはそれなりのわけがある――(ジャーナリスト 伊藤博敏)

天下り批判を
「適材適所」で反論


「適材適所」という小池百合子都知事の言葉の意味がわからない人事が断行され、5月1日、東京水道サービス(TSS)の社長に前特別秘書の野田数氏(45)が就任する。
 TSSは、東京都水道事業の中核を担う外郭団体である。売上高約160億円、経常利益約2億円、1341人の従業員を抱える中堅企業。水道施設の管理業務を行うだけでなく、コンサルタント業務のほか海外展開も行っており、ベトナム、台湾、マレーシア、インドネシアなどに水道技術を提供、事業化している。
 小池知事は、3月29日の定例会見で、野田氏の3月末での特別秘書退任と、TSS社長への推薦を明らかにした。TSSは東京都が51%の株式を持つ。都知事が推薦すれば社長になるのは当然で、TSSは、4月12日、臨時株主総会を開いて社長就任を急いだ。
 当然、「天下り批判」はあったが、それに対して小池知事は、「強力に改革を推進する人材として推薦した。天下りではない適材適所」と、切り返した。
 TSSの社長ポストは水道局長の指定席で、そういう意味では「天下り」が常態化している。何しろ従業員のうち都派遣職員が44人でOBが228人。二割強が都の派遣とOBという天下り組織なのである。
 そこに小池知事が野田氏を押し込んだのは、TSSが贈収賄(2012年)、情報漏洩(14年)など事件続きで、しかも昨年10月には発注業務の見積もり漏洩で公正取引委員会の調査が入り、さらに今年2月に不適正事案で特別監察が入るなど、異常事態となっているためで、その「改革」を推進するに相応しい人材が野田氏だというのである。
 果たしてそうか。
 小池知事と野田氏の関係は、後述するように実は悪化していた。が、特別秘書を退任させるにせよ、全てを知る野田氏は簡単に野放しにはできない相手で、「本人を納得させるそれなりのポストを用意しなければならなかった」という裏事情があった。
 その邪な思惑やご都合主義は批判されて然るべきだ。当然ながら、公営企業委員としてTSSの問題点を知悉する上田令子都議(地域政党・自由を守る会代表)は、「野田氏に改革などできない」と、断言する。

水道事業の門外漢など
「3つの不適性」を指摘


 上田都議は、水道事業に詳しいだけではない。16年7月の都知事選で「小池支持」を最初に打ち出して小池旋風を先導、当時、所属していた「かがやけTokyo」が、「都民ファーストの会」の母体となった。が、発言権や調査権を抑制する専横的な党運営に反発、小池、野田両氏との対立を深め、17年10月、音喜多駿都議とともに離党した。それだけに2人の表裏を知る。
 上田都議は、野田TSS社長の誕生を、次のような視点から批判する。
「第1に、野田さんが水道事業の門外漢であること。第2に、綱紀粛正をTSSにもたらすことのできる人材ではないこと、第3に、もう1つの課題である官民格差の解消を成し遂げられないことです」
 順を追って説明しよう。
 まず、門外漢でいいのかという点。「水道技術継承と育成」を使命とし、海外にまで事業展開するTSSのトップであるからには、それなりに技術を理解し、ガバナンス能力のある人でなければならない。社会人経験がほとんどなく、東村山市議を2期、都議を1期務め、アントニオ猪木議員や小池氏の秘書として、政争に明け暮れていた人にTSSの代表が務められるのか。
「現場をわからないまま“お飾り”にされてしまうか、知りもしないで改革を断行しようとしてハシゴを外されるか、どちらかでしょう」(上田都議)
 綱紀粛正については、2割以上の都の派遣社員やOBを抱える企業として、役所や業者と癒着するのが体質となったTSSを正すのは容易ではない。
 野田氏は都民ファーストの会代表、あるいは幹事長として、公認内定者との打ち合わせ、他の政党との関係構築、あるいは議員の引き抜き、さらには情報収集という名目で,接待をしたりされたりを繰り返してきた。六本木のショーパブをハシゴする散財が週刊誌で報じられたこともあり、上田都議は「私は議会で、血税を交際費に充てているTSSの問題点を何度も指摘しました。この体質を接待慣れの野田さんに変えられるとは思えない」とも言う。

「厄介払い」という
拭いがたい側面


 官民格差の問題もそうである。
 野田氏の特別秘書時代の報酬は1422万円で、TSSの社長報酬は1428万円(18年度)である。横並びは小池氏が、報酬が下がらないポストを用意したためだろうが、「出向や派遣の場合、給与水準が下がらないようにする」という慣例にも沿っている。
 だが、それではTSSの格差は解消しない。都から派遣されている職員の平均年収は832万円で、プロパー社員のそれが479万円。派遣のほうが、「ポストが上」ということはあるが、その差別構造がTSSのガバナンスの歪みにつながっている。
「不祥事を生む体質は、差別構造の解消から始めるべきです。横滑りの高額報酬を、『高い』と、自覚することなく受け取る野田さんに、それができるとは思えません」(上田都議)
 体質だけではない。今年、TSSは事務方の水道事業の外郭団体であるPUCとの統合を控えている。PUCはは、水道料金徴収業務やITサービス事業を行っており、従業員数は635人に達する。今年中に誕生する2000人を超える水道事業の中核企業の運営能力が、野田氏にあるのだろうか。少なくとも、それに相応しい経験があるわけではない。
 小池知事は「(TSSの水道事業が)画期的な時期を迎えている時だから、彼の突破力に期待する」と述べたが、「厄介払い」という拭いがたい側面は、どう説明するのだろうか。
 16年7月の東京都知事選で勝利を収め、都民ファーストの会を立ち上げ、千代田区長選を経て、17年7月の都議選で50人の候補者を擁立、49人を当選させた頃の小池知事の勢いは、誰にも止められなかった。
 その間、野田氏は都民ファーストの会の初代と第3代の代表(第2代は小池氏)を務めており、その頃が絶頂で、会の実務は全て仕切り、都議会公明党との根回しなど裏方も引き受けて、恐れられる存在となった。
 しかし、「初の女性宰相」を目指す小池氏が、国政への進出を決め、17年9月、「希望の党」の設立を発表した頃には、「都政に専念すべき」という野田氏との関係が悪化、ギクシャクし始める。「特別秘書に注力する」と、同時期、都民ファーストの会代表を荒木千鶴氏に譲ったことも政治的パワーを失わせる原因だった。
 18年に入ると都政への関与は減り、秋頃からは庁内で目撃されることも少なくなり、「広告代理店に移るんじゃないか」と、再就職先が取り沙汰されるほどだった。そこに降ってわいたようにTSS社長就任である。
 昨年11月、「黒い頭のネズミ」と、罵った都議会自民党に頭を下げて関係修復を図り、都知事再選を狙うなど、最近の小池知事は「政界渡り鳥」の本領を発揮している。そのご都合主義が生んだ都政私物化なのではないかという声が上がるのも無理はない。
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