巻頭言
池 東旭の


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池 東旭
(ソウル在住/
国際ジャーナリスト)





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パレートの法則に
左右される選挙

──政権支持率40%は黄信号
 世論調査で政権支持率が50%を上回れば青信号だ。野党が反対しても政策を進める。支持率が40%台になれば黄信号に変わる。野党の抵抗が強まる。30%台で赤信号が灯る。与党も足を引っ張る。与党非主流の造反も起き、レームダックがはじまる。新しい政権への期待感で就任初の支持率は高いのが通例だが、政権発足当初の支持率30%台のまま低空飛行をつづけるケースもある。
 トランプ大統領は就任当初から支持率は39%で、その後も30%から40%台をキープして、50%を上回ったことは1度もない。ロシア・ゲート、不倫、企業経営の不正、公私混同など疑惑が次々暴露され、マスコミの集中砲火をあびているが、現職の強みでトランプはアメリカ・ファースト路線で中央突破している。傍若無人なその振る舞いにみんな呆気にとられている。しかも有権者の20%といわれる熱狂的な白人らのトランプ支持のコア層は大統領批判が強まるほど結束する。このコア支持者の存在で、来年の大統領選挙でトランプ再選確実との見方が浮上している。2016年にヒラリー当選確実とのたまった評論家も最近は宗旨を変え、来年のトランプ再選を予言している。

──不支持率49%の文大統領
 現在、韓国の文在寅大統領の不支持率は49%、支持率41%だ(4月5日・ギャラップ調査)。就任後、米朝首脳会談を仲介して60%という高い支持率を稼いだが、ハノイ会談決裂で支持率は暴落。支持、不支持が逆転した。焦った文大統領は4月12日に訪米してトランプ大統領に対北制裁緩和を訴えたが一蹴され、金正恩委員長からはお節介な仲裁者と罵倒された。このニュースに有権者は国際的恥辱だと激憤した。
 もっとも、積弊一掃をかかげた文大統領の支持率は就任直後84%と歴代トップにつけた。だが、2年たった今、積弊は拡大再生産され、旧悪は去ったが新悪が現れ、革新は偽善に転落した。文大統領は南北和解が念願で米朝頂上会談を取り持ったが、非核化の米朝合意は同床異夢で、トランプ大統領、金正恩委員長双方から不信されている。外国の報道は大統領を北の代弁人と酷評する。
 国内では歴史の書き換え作業に熱をあげ、保守政権の業績を全否定する中、日韓関係は最悪の局面だ。所得再分配を強行して財政バラマキ、大企業の経営干渉、最低賃金引き上げ、週52時間労働など大衆迎合に突っ走っているが、経済は萎縮、雇用は縮小した。旧政権で任命した政府、公企業人士を任期半ばで罷免、左派陣営から起用する極端なコード人事に有権者は反感を募らせた。来年の総選挙を占う4月3日の国会議員補欠選挙で与党は惨敗した。赤信号の点滅だ。

──コア票20%がカギ
 マーケティングの法則に「20対80」がある。イタリアの経済学者パレートは全体の20%のメーカー、商品が市場の80%のシェアを占めると分析した。20%のベストセラーが図書売り上げの80%を占め、20%の有能な社員が営業の80%を達成、ホームページの20%のページに全体の80%のアクセスが集中する現象を指す。
 パレートの法則は政治でも通用する。選挙運動は有権者に特定候補を売り込むマーケッティング活動だ。選挙でコアになる20%の支持勢力が結集すれば80%の得票を占める。各級選挙の投票率は60〜70%だ。関心度が低い選挙は棄権も多い。候補乱立で得票は分散する。20%の固定票をコアにして活動すれば当選できる。トランプ再選を予言する評論家はパレート法則を念頭に置く。安倍晋三首相の直近支持率は47%、不支持率35%(NHK)だという。だが、日本は国会議員が首相を選出する間接選挙だ。世論の支持率と首相の去就進退は連動しない。不支持率が支持率を上回っている来年4月の韓国総選挙と11月の米大統領選挙から目が離せない。
(ソウル在住/国際ジャーナリスト)


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