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元木 昌彦(もとき まさひこ)
編集者。1945年生まれ。「週刊現代」や「フライデー」の編集長として権力批判の誌面づくりを貫いた。メディア規制の動きに反対の論陣を張る。2006年11月、講談社を退社。オーマイニュース元社長。上智大学、明治学院大学、大正大学などで講師。インターネット報道協会代表理事。


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相澤 冬樹(あいざわ ふゆき)
1962年宮崎県生まれ。ラ・サール高校、東京大学法学部卒業後、1987年NHKに記者職で入局。山口放送局、神戸放送局、東京報道局社会部記者、徳島放送局ニュースデスク、大阪放送局(大阪府警キャップ等)、BSニュース制作担当などを経て2012年大阪報道局に記者として戻り、16年司法キャップとなる。18年8月NHKを退職。同年9月大阪日日新聞(新日本海新聞社大阪本社)論説委員。『安倍官邸vs.NHK』は初めての著作。


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■元木昌彦のメディアを考える旅 255
 今月の同行者/相澤冬樹 氏(大阪日日新聞論説委員・記者)


政権に都合良く報道を捻じ曲げる
あってはならないことがあった

■NHKを辞めたのは嫌いになったからではない。真実追求のためだ――

 3月6日、森友学園前理事長・籠池泰典被告に対する補助金詐取事件の裁判が始まった。籠池被告は、「これは国有地払い下げ問題が安倍首相にまで行かないようにするための口封じの国策捜査だ。負けるわけにはいかない」(要旨)と大阪日日新聞(2月21日付)で、相澤冬樹論説委員のインタビューに答えている。
 私も、森友、加計学園、最近の厚労省の統計不正問題、これらに共通するのは、安倍晋三首相が関わり、周囲が安倍首相の意を忖度して物事が進められたと考えている。
 森友事件の発端から始まり、数々のスクープを放ったNHKの敏腕記者、相澤冬樹氏は、政治部出身で安倍官邸に不都合なニュースを極力流すまいとする小池英夫報道局長に疎まれ、記者職から異動させられてしまうのである。
 それを機に、NHKを辞すのだが、その間の経緯を綴った『安倍官邸vs.NHK』(文藝春秋)は、NHKの報道の現場が政治に侵食されている生々しい内幕を描いて、大きな話題を呼んだ。
 大阪日日に移ったのも、森友事件を追い続けるためでもある。相澤氏に、NHKと安倍官邸との癒着構造から、森友事件の今後について、聞きに行ってきた。

            ◇

元木 3月6日に籠池さんの公判が始まりました。
相澤 彼の思想、信条自体は全く今も変わっていない。生徒に教育勅語を暗唱させ、立派な日本人を育てる小学校をつくりたいという考えに、日本会議の人たちが賛同してくれ、大勢の政治家も協力してくれた。その中に安倍首相も昭恵夫人もいたのに、国有地払い下げが問題になった時、あっさり自分だけ切られた。
 その時に安倍首相が似非保守だということが分かったと言っています。安倍さんが偽物だと分かったから安倍さんを倒す、松井(一郎)知事も小学校の認可に向けて協力してくれたのに裏切ったから、これも倒すと言っています。
元木 大阪日日新聞の籠池夫妻のインタビューは読み応えがありました。
相澤 見方によっては籠池夫妻に好きなだけ言わせていると思われるかもしれないけれど、彼は新しい情報を出しているのです。
 例えば、昭恵夫人を通して安倍首相に森友学園で講演してほしいとお願いして、応じてもらった。しかし、総裁選に出ることになったので、直前に本人から断りの電話があった。後から、次は必ず講演します、という自筆の文書が届いた。そういう文書まで送ってくるほど森友学園に協力的で、森友学園のために動いてくれていた。「だから、あなたは森友のことなんか全然知らんっていうのは嘘でしょ、という一つの材料としてその文書が実はあるんです」と話しています。
 そんなに強力な新事実ではないけれど、でも、こういうものを少しずつ出していくことで、世の中の人に、ああこんな問題あったなと思い出してほしいし、誰かがこのインタビューを見て、私もこんなこと知っていると言ってきてほしいですね。
元木 ところでNHKの組織改編がいろいろいわれています。「ETV徳集」や、LGBTや障がい者の悩みなどを取り上げる「ハートネットTV」など良心的な番組が多い文化・福祉部を改編と称して潰すのではないかと週刊ポストが報じ、相澤さんもコメントを出していました。
相澤 実は、ポストに私はかなり違うことを言ったのです。私もNHKの関係者にいろいろ聞いてみたら、どうもそんな話ではなく、ごく真っ当な働き方改革という考え方の一環として、こういう構想が出てきたという話なのです。ディレクターが所属している部署によって勤務時間に大きな差があるから、それを標準化しようということのようです。だから、この組織改編は官邸の意向を忖度だのという話とは違うようだと話したのですが、週刊ポストにはそこは使ってもらえませんでした。
元木 2001年に放送した「ETV2001 問われる戦時性暴力」の中で、慰安婦問題を扱う女性国際戦犯法廷を取り上げたことで、当時、幹事長代理だった安倍晋三氏が、放送日前にNHK幹部と面会して「一方的ではなく、公正で客観的な番組にするよう」番組内容の変更を求めたことが、後に大きな問題になりましたから、そういうことと結び付けて見られてしまう。
相澤 僕自身はNHKを辞めましたけれど、31年間あそこで働いて、育ててもらったという気持ちがありますし、何よりも自分が所属していた組織に対する愛情があります。
 切られたことは不当だと思っていますが、だからといってNHK嫌いになったというわけではない。だからああいうように、最初から何かあるんじゃないかと決めつけて書かれるのは残念です。

今のNHKは
バランスがとれてない


元木 ただ、NHKというのは島桂次さんとか海老沢勝二さんとか、政治部出身で自民党に近い人が歴代NHKの会長をやってきました。
相澤 おっしゃるように政治部出身者が会長になるとか、報道局長や理事などにはだいたい政治部出身者がなるという流れはあります。ということは、彼らの意向が報道の中に入ってくることもあるでしょうが、それもやむを得ない側面があると感じていました。
 実際、NHKは放送法で規定されていて、予算は国会承認を受けなきゃいけないし、経営委員会の人事は衆参両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する。人事と金を握られたら、ものすごく政治に対して弱い、政治を意識せざるを得ないというのはNHKの宿命です。そうすると政治家をよく知っている人たちが報道局長になって、という発想になってくるのは、ある部分仕方ないと思います。それをけしからんと言うのだったら、放送法を変えるしかない。そう思っています。
 一方で、それにしても配慮しすぎじゃないかという意見も、もちろんあると思います。今のNHKはバランスがとれなくなっている。私が知っている政治部の真っ当な記者やデスクは、バランスをとても大切にする。与野党のバランスとか、与党の中でも政治家同士のバランスとか。だけどそれが今はとれてなくて、明らかに偏っています。それがたまたまではなくて、結構、繰り返し行われていて、視聴者の目にも見えているから批判されるのです。
元木 1月6日のNHK「日曜討論」で安倍首相が、辺野古へ土砂を投入している映像が流れ、「サンゴを移しております。絶滅危惧種は砂をさらって別の浜に移していくという、環境の負担をなるべく抑える努力をしながら(工事を)行っている」と言いましたが、これは事実ではなかった。でもNHKはそのまま流してしまって、批判されました。
相澤 首相が、「あのサンゴは移しました」って言った瞬間、司会者が「え? 総理、それはいつやったんですか?」と突っ込まないといけない。あれを見ている人がみんな思うことですもの。それを聞かずにスルーしていることが問題だし、その後で編集しようと思えばできるし、後から調べて「あの発言は事実確認できませんのでカットいたします」と言ってもいい。それを何もしていないのは重大な問題ですよ。
(以下、本誌をご覧ください)
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