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 「安倍4選論」を唱える二階氏を菅氏が嫌う理由

 政界は怨念の海というが、菅義偉官房長官は「安倍4選論」で自民党内に物議を醸している二階俊博幹事長が、「大」を冠するほど嫌いだ。二階氏のヌエのようなところに無節操さを感じるらしい。旧民主党の若手エースだった細野豪志衆院議員を自派「志帥会」に入会させたり、希望の党の小池百合子東京都知事について、記者会見で「(2020年の都知事選で)小池知事が出馬することになれば全面的に協力するのは当たり前だ。小池さんに勝つ自民党公認候補は誰がいるんだ」と、小池氏嫌いの菅氏の感情を逆なでした。
 もちろん二階氏本人に自分の気持ちを面と向かって伝えたわけではない。ただ、7月参院選後の党役員人事で二階氏の幹事長続投を阻止したいというのが本音だ。人事権は総理総裁の安倍晋三首相にあるので自分の裁量ではできないものの、仮に、自民党が負けて二階氏が引責辞任となった場合、誰を後任に推すのか、それとも自分が幹事長ポストを取りにいくのか、菅氏周辺によると判断に思い悩んでいるフシがある。
 二階氏が「4選論」を言い始めたのは、派内に総理総裁候補を持たないことが影響している。「安倍命」で、すがっていかなければ弱小派閥は雲散霧消してしまう。細野氏を引き入れたのは、将来派閥の総裁候補に仕立てたい思惑からで、細野氏もそれを承知で「二階氏の手足となって働く」とお追従。菅氏は「4選論」について派閥事情もさることながら、二階氏が参院選後の人事で生き残りをかけるためだと見透かしている。
 最近、菅氏の「ポスト安倍」への野心が目立ち、安倍首相の右腕、今井尚哉首相秘書官(政務担当)とうまくいっていない。その意味でも、二階氏の「4選論」は菅氏の目には余計なお節介に映るようだ。


 「次もトランプ」を見越した自民の新たな“対米戦略”

 2020年の米大統領選挙は各州の予備選挙が前倒しになっているため、民主党ではすでに2桁の立候補者が出馬を表明している。ただトランプ大統領に勝てる候補はいない。そこで出馬を勧められているのがバイデン前副大統領だが、仮に出馬してもトランプ氏には大敗するだろうとの見方が強い。しかも民主党内では穏健派で左派色を強めているサンダース上院議員とは仲が悪く、結果的に民主党の内部分裂を引き起こす結果となりかねない。その点がトランプ大統領が再選される可能性が意外と高いとされる理由だ。
 こうした状況を見ながら日本の政権与党である自民党も、新たな対米戦略を練りつつある。つまり24年までトランプ政権が続けば、日本サイドは誰が首相であるべきかとの判断の中で出てきたのが、二階幹事長の「安倍総裁4選」発言だ。
 今、自民党内では、トランプ-安倍ラインが24年まで続くことが国益にかなうと考える議員が増えている。つまり、激化が予想される日米貿易交渉での摩擦をできるだけ少なくし、かつ対北朝鮮への封じ込めが今後も続くならば、この2人で日米関係を続けたほうがベターとの考えだ。となると、4月の統一地方選や7月の参議院選挙で少なくとも自民党が負けない戦略をとる必要があり、その切り札として、消費税増税の凍結をどのタイミングで発表し、安倍政権への支持率を維持するのがベストか党内での検討を続けている。


 官邸の名物女性記者描く映画『新聞記者』が完成

 首相官邸の執拗な「望月イジメ」が続いている。菅義偉官房長官への厳しい質問で知られる東京新聞の望月衣塑子記者に対し、会見の場で「質問は簡潔に!」と、司会を務める官邸報道室長が妨害、同時に官邸は、「正確な事実を踏まえた質問を」と、内閣記者会に9回も申し入れている。
 これまで官房長官と記者クラブとの間に“争い”がなかったのは、政治部を中心とする記者が、官邸とのなれ合いのなかで厳しい質問をぶつけず、政権からの「上意下達」に甘んじてきたからだ。
 そこに乗り込んだ社会部出身の望月記者は、官邸の“異物”となった。その望月記者には、支援するメディアも言論人もファンもいる。その対立構図を分かりやすい形で伝えるのが『新聞記者』(角川新書)だ。2017年4月から「森友・加計問題取材チーム」の一員となり、菅官房長官とのバトルが繰り広げられるまでの経緯が、自身の記者経験を振り返る形で語られている。
 その望月記者の著書をモチーフにした映画が完成。4月4日、都内の映画館で「特別限定上映会」が開かれる。タイトルもズバリ『新聞記者』。プロデューサーの河村光庸氏は、「官邸に“不都合な質問”を発し続ける東京新聞・望月さんの登場は、まさに『個』が集団に立ち向かう姿を、日本中の報道メディアに見せつけたのです」としている。
 続けて、1人の記者を「美化・礼賛するのが目的ではない」とし、映画で撃たれるべきは、そんな1人の記者の“素朴”な質問を、個人攻撃で封じようとする姑息で狭量な官邸であり官房長官である、とする。『新聞記者』の上映は6月末から。反撃の狼煙となりそうだ。


 防衛省がAI搭載の将来戦闘機研究を決定

 防衛省は人工知能(AI)を搭載した将来戦闘機の研究に乗り出すことを決めた。遠隔操作型支援機と呼ばれる無人機(ドローン)と連動して、圧倒的な戦闘力を持つのが特徴だ。レーダーに映りにくいステルス性や複数の情報を得て実現するネットワーク戦闘力を持たせ、国産化する大推力エンジンを採用するなどの機体の主要コンセプトは固まった。
 次の目標はAIの搭載とドローンを従えた攻撃編隊の構築にある。ドローンにもAIを搭載し、飛行しながら目標を探ることができる。省人化と正確な目標探知を両立できる利点がある。
 さらに開発が進めば、ドローンに偵察だけでなく攻撃機能を持たせることも考えられる。AIの利点を生かし、さまざまな情報を入力することで学習させ、例えば本物と偽装を見分けて攻撃することも可能になる。
 ただ、政府は人間の関与が及ばない完全自律型の攻撃兵器について批判的だ。米国は遠隔操作のできるプレデターなどの無人機からミサイルを発射してテロリストを殺害しているが、最終的にはオペレーターと呼ばれる操縦者が攻撃の是非を判断する。人間が介在しているにもかかわらず、これまでも結婚式をテロリストの集会と勘違いした誤爆などが絶えないのが現状だ。攻撃の判断をAIに委ねれば、戦争を始めるハードルが下がる恐れもある。
 日本政府は国際会議で、AI兵器について国際ルールの策定を求めており、防衛省が研究を進める戦闘機とドローンの組み合わせに制限がかかる可能性もある。


 ゴーン事件で問われる日産経営陣の責任

 仏ルノー、日産自動車の会長を務めていたカルロス・ゴーン元会長が保釈されてから「日産社内では西川氏を含め、心中穏やかではない」(日産幹部)という。ゴーン元会長は自身の逮捕につながった日産の不正調査を「策略であり、反逆だ」と主張。「一部の関係者が現実をゆがめるために、強いリーダーシップを独裁だと説明している。その理由は私を排除するためだ」と日産経営陣と徹底抗戦する構えだからだ。
 一方、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は「金融商品取引法違反や投資会社の不正使用、経費の不正使用など1件だけみても、普通の役員であれば即解雇というレベルだった」とゴーン元会長を批判。西川氏はゴーン氏の息がかかった上級外国人幹部を相次いで「辞職に追い込んでいる」(前出日産幹部)。6月の定時株主総会後も経営トップを続けて企業統治改革を先導する考えを示している。
 虚偽記載に関するゴーン元会長の2度目の逮捕では日産も法人として起訴された。トップの不正を長年許してきた会社の責任が問われている。西川社長は代表取締役としてゴーン元会長の報酬額を決める当事者の1人で、報酬を巡る文書には西川氏の署名もあるとされる。
 法律の専門家も「西川氏は刑事責任をたとえ免れることができても、株主代表訴訟などにより会社法上の民事責任を追及される可能性はある」と指摘する。日産の経営陣は不祥事を社内で処理せず司法の手に委ねてしまった。「外部の力」に頼った代償がどれほど大きいか、これから白日の下にさらされることになる。


 日産の取締役会議長に経団連前会長の榊原氏が?

 その日産自動車で「取締役会議長には経団連前会長の榊原定征・東レ特別顧問を招く検討をしている」(日産幹部)という声が出て波紋を広げている。榊原氏は現在、日産の社外取締役で、同委員会の共同委員長も務めている。そのため「ゴーン氏が日産の会長と取締役会議長を兼務して独裁を強めていった経緯もあり、より透明性や公平性が求められる日産の取締役会議長にガバナンス委員会の共同委員長が就くことは問題がある」との声が専門家などから相次いでいるのだ。
「榊原氏の重用は日産のトップとして君臨したい西川広人・社長兼最高経営責任者(CEO)が保身のために、ルノーの会長を務めるジャンドミニク・スナール氏らとポストを分かち合うために手を握ったのではないか」という指摘も挙がる。
 ルノー・日産・三菱アライアンスはこのほど、ゴーン氏がオランダに置いていたルノー日産BVなどアライアンスの戦略を決める組織に代わる新たな会議体の議長に仏ルノー会長のスナール氏が就任することを発表した。ルノー・日産・三菱のアライアンスの実質トップとなる議長は「日産会長より上位の立場で、アライアンスの重要戦略を決める権限もある。日産が単独でやろうとしてもアライアンス会議が認めなければひっくり返されることもありうる」(アライアンス幹部)。
 これと引き換えに「西川氏は自分の地位の確保も含めて、日産の会長職の当面の空席と、同社の取締役会議長を日産が推す人物にするということでスナール氏と握り、榊原氏に要請して日産の意向を通しやすくした」(同)というのだ。
「ガバナンス改革に全力を挙げる」と繰り返す西川氏。さて御身は?


 幻冬社の見城社長がニューズピックスを一喝

 幻冬舎の見城徹社長のツイッター上の一喝によって、新興ネットメディアの「ニューズピックス」のお歴々が平身低頭する騒ぎがメディア業界で話題を呼んでいる。新興ネットメディアの増長ぶりに不満を感じてきた出版界など旧メディアの間には、見城氏の一撃に留飲を下げる向きが少なくないようだ。
 事の発端は、ニューズピックスが幻冬舎と提携して始めた出版事業「ニューズピックスブックス」の提携関係を解消し、自社単独で出版ビジネスを始めようとしたことにある。
 ニューズピックスブックスとは、ニューズピックスが月会費をとる会員制の講演会(ニューズピックスアカデミア)の会員向けに毎月1回配本されるもので、ネットネイティブの若者向けの識者の手によるビジネス本が中心。書店で一般向けにも販売され、落合陽一『日本再興戦略』、佐藤航陽『お金2.0』などベストセラーが相次いだ。
 この売れ行きに目を付けたニューズピックスの佐々木紀彦CCO(最高コンテンツ責任者)が「だったら自分たちでやったほうがもっと儲かる」と考えて、幻冬舎との提携を解消。ダイヤモンド社から転職してきた編集者に任せて自ら出版事業に参入しようとしたのである。
 これに対して企画・編集・配本、さらには在庫品の返品リスクも含めて、ニューズピックスブックスの出版に関わるすべてを引き受けていた幻冬舎サイドが猛反発。2月27日にツイッターで「どれだけ幻冬舎を利用して来たと思っているんだ。この会社には義理、仁義、礼儀、恩義といった『義』に関するものが一つもない。今は勢いが良くてもこういう会社は必ず滅びる」とつぶやいたところ、ニューズピックスの親会社のユーザベースの株価が大暴落。あわてて翌日、幻冬舎に謝罪に訪れた佐々木氏に対して、見城氏は「キミたち調子に乗りすぎ」と叱責する騒ぎになった。
 この顛末をすぐに週刊文春が幻冬舎サイドに立って報道。出版界ではニューズピックスに対する反発があり、「ざまあみろ」という声がくすぶるようになった。
 佐々木氏は東洋経済新報社出身だが、「地道な取材よりも、軽いネタでPVを稼ぐタイプ」(同社先輩社員)という、いかにも“ギョーカイ人”風の人。一時的な成功に気をよくして、「とにかく数字を取ることばかりに血眼をあげている」(ニューズピックス社員)ともいわれる。
 そもそも全国紙や通信社のニュースをキュレーションと称して孫引きする「人の褌で相撲を取るビジネス」(全国紙記者)で成長してきたのが実態。出版でも同じように「褌」にされた幻冬舎が怒るのも無理はない。自分でどれだけコンテンツが作れるのか、お手並み拝見である。


 築地市場の再開発は中断、火ダネは長期の埋文調査

 築地市場跡地の再開発に向けた埋蔵文化財等の調査に10年超も要することが都の内部調査でわかり、都庁関係者が頭を抱えている。隣地の大規模開発地の汐留の旧国鉄清算事業団跡地(旧新橋駅の停車場跡など)の発掘調査も1991年から10年ほどかかっている。都は築地市場の開発期間を長期の2020年から2040年と見て、「段階的開発」と説明する予定だが、3月議会は築地再開発を巡って空転続きで、その裏事情は明かされていない。
 調査に10年もかかれば、市場跡地の開発には優に20年以上かかってしまうことになり、賑わい施設やホテル、展示場・会議場などの再開発事業に参加する民間の開発意欲に支障が出そうだ。
 長期の埋文調査が出るエリアは、最も開発段階が遅くなる。そこは市場ど真ん中の10ヘクタール超である。そのため、開発期間をわざわざ2期に分けることを都は検討している。築地跡地の埋蔵文化財の半分超が中央の2期工事用地の下に入っていると都の専門家は見ているようだ。
 築地には、江戸幕府の老中であった松平定信などの大名屋敷がかつて存在し、浴恩園跡などもある。
 明治維新後に外国人居留地や海軍省などの海軍施設・海軍造兵廠が置かれ、海軍施設跡地だったことから、兵器などが埋められていることもありうる。
 また終戦直後は、接収されて進駐軍向けのクリーニング工場があり土壌が有機溶剤で汚染されている可能性もあるし、重金属汚染が懸念される海軍の造船修理や南太平洋での米軍核実験の影響の下で捕獲された被爆マグロを埋めた話もある。
 2017年2月に、東京都は築地市場の土壌が汚染されていることをやっと公表したが、埋蔵文化財とその調査問題にはなぜか触れなかった。
 築地の発掘調査は、90年代に汐留の発掘を手掛けた東京都埋蔵文化センター(多摩市)が行うが、現状の五輪関連工事や環状2号関連の発掘調査で忙しく、手が回らない。それは小池百合子知事も十分に知っているはずだという。
 一方、「小池(知事)には再開発を触らせたくないので文化財調査に10年かかったほうがいい」(都庁幹部)と考える人は都議重鎮にもおり、政治的色彩もはらんでいる。


 「徳政令」完全終了でゾンビ企業の倒産急増?

 平成の徳政令で延命してきたゾンビ企業の倒産が急増しかねないと懸念されている。理由は2009年のリーマンショックを受けて導入された中小企業金融円滑化法の効力がこの3月末で完全に失われるためだ。
 中小企業金融円滑化法、別名「平成の徳政令」を導入したのは亀井静香金融相(当時)だ。剛腕で鳴らした亀井氏は、「借入の返済に苦慮する中小企業が実効性の高い抜本的な再建計画を提出すれば、取引金融機関は借入金の金利減免や返済の猶予等、再建に協力しなければならない」と法律で取り決めたのだ。
 この徳政令は抜群の効力を発揮し、リーマンショックから日本経済を救った。しかし、徳政令はあくまで異例の時限立法。期限がくれば解除されなければならない。だが、一旦導入された法律を終了するのは容易なことではなかった。期限は2度も延期され、ようやく13年3月末に廃止された。
 しかし、企業の倒産増を懸念した政府は、法律が終了した後も、その趣旨を金融庁の検査マニュアルに盛り込むことで、引き続き中小企業の借入条件の緩和に応じるよう金融機関に求め続けた。履行状況は毎期、金融庁に報告され、集計・公表された。この結果、本来、潰れておかしくない「ゾンビ企業」は温存されたままとなった。
 しかし、その報告がこの3月末を最後に休止されることが決まった。報告の根拠となる金融検査マニュアルが廃止されるためだ。金融庁の睨みがなくなり、これまで延命してきたゾンビ企業に引導が渡される可能性が高まっているのだ。


 maneoも危機でSL業界総崩れか

 ウェブサイトにおいて事業者と投資家を仲介するソーシャルレンディング(SL)は、金融(ファイナンス)とテクノロジーを融合させたフィンテックの「最も期待される一分野」としてここ数年、急成長を遂げ、2017年の市場規模は前年比2.5倍の1316億円に達した。
 だが、18年は一転、不祥事が重なって金融庁が引き締めに入り、業務改善命令などの行政指導が続出、流入する資金も落ち込んだが、今年はさらに業界全体の劣化が進み、「SL存亡の危機」だといわれている。
 特に危機的なのは、SL業界の象徴的存在のmaneoマーケットにも債務不履行が頻発していること。昨年後半以降、米国での不動産開発を謳うガイアファンディングやアミューズメント施設への融資を中心にしたキャッシュフローファイナンスなどのmaneoファミリーで利払いの延滞が続出、しかもmaneoそのものでも延滞債権が増えている。
 SL業界の中でも08年にSL事業を立ち上げたmaneoマーケットは最大の融資規模を誇る業界のパイオニアである。金融業者としてmaneoという自身のSL運営会社を持つだけでなく、先述のガイアファンディングなどmaneoファミリーにウェブサイトを貸して、募集を支援している。その融資残額は650億円を超える。
 それだけに金融庁もmaneoマーケットの行方に注意しているが、問題はSLというビジネスモデルにある。10%前後の高利で借り、それを投資家に返済して成り立つ事業が、そもそも存在しうるのかだ。
 抜本的見直しが求められているのではないだろうか。


 みずほFG、V字回復の鍵を握る復活人事

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は3月6日、19年3月期決算で6800億円もの減損処理を行うと発表した。この結果、連結純利益は従来予想の5700億円から800億円にまで低下する。
 同日夕、会見した坂井辰史社長は「従来のもの、後年度負担を一気に解消して、より新しい時代におけるデジタル化、あるいは人生百年時代における資産運用、あるいは産業構造の展開というものに対して新たに対応していく。現時点で見通せる懸念の処理はすべて完了する」と強調した。
 みずほFGがこのタイミングで巨額な減損に踏み込んだ背景には、旧3行統合以来の懸案であったシステム統合が最終局面入りしていること、さらに財務面のネックを減損で一掃し、4月からスタートする新中期経営計画でV字回復させるのが坂井社長の狙いだ。
 その反転攻勢を占うのが、同時に発表された4月1日付役員人事だ。最大の焦点は異例の敗者復活人事にある。「みずほ総研副社長に転出していた大塚雅広氏が持ち株会社の執行役員専務に復帰したことに驚かされた」と関係者は語る。大塚氏はリテール・事業法人カンパニー長に就く。懸案のリテール強化とシステム統合後の銀行店舗の見直しを担うことになろう。まさに経営の中核に復帰したようなものだ。
 また、銀行、信託、証券にまたがる幹部の交流人事を活発化させている点も見逃せない。坂井氏自身もみずほ証券社長からの持ち株会社の社長に就任した経緯がある。巨額減損と異例の復活人事をテコにみずほFGは攻めに転じる構えだ。


 あの村上世彰氏が日産をターゲットに

 出光・昭和シェルの統合問題で、反対していた出光創業家の説得で一躍男を上げたのが村上世彰氏。その村上氏が次のターゲットとして、ゴーン問題で揺れる日産自動車に照準を合わせたと市場で話題を集めている。「村上氏がメディアに『ゴーン氏に興味がある』と公言しており、日産・ルノー・三菱自動車の3社協議にどう絡んでいくのか興味津々だ」(市場関係者)というのだ。
 ライブドア事件に絡んでインサイダー取引で有罪判決を受けた村上氏は、シンガポールに移住し、投資の世界からの引退を仄めかしていた。その間、東南アジアで不動産開発を手掛けるなど実業家に転身したとみられていたが、「執行猶予が切れた2014年頃から日本株への投資を再開している。
 村上氏の実娘・野村絢氏が代表を務める投資会社・レノや、南青山不動産、オフィスサポートなど村上氏の影響下にある会社を通じて株付けしている」(同)とされる。
 これまでにターゲットとなった企業には、日立製作所の親密先の新明和工業やマクセルホールディングス、日産系列の部品メーカー・ヨロズなど多銘柄にわたる。「いずれも大株主であった大企業が持ち株を手放す間隙を突いて村上氏が株付けして揺さぶりをかけた」(同)という。
 こうした村上氏の活動に弾みをつけたのは、18年に証券取引等監視委員会(SEC)との戦いに勝利したことがある。SECはTSIホールディングス株の売買に関して村上氏の「株価操縦」を疑い、家宅捜査を行ったが、結局告発を見送った。この時、村上氏の弁護にあたったのは、無罪請負人の異名を持つ弘中惇一郎弁護士だった。
 その弘中氏が今回、弁護人に就いたのが、金融商品取引法違反容疑で収監されたゴーン容疑者。村上氏は弘中氏を介してゴーン氏と繋がる関係となる。ゴーン氏は保釈後、3月12日開催の日産取締役会への出席を希望するなど休む暇なく反撃を開始した。取締役会への出席はかなわなかったが、「会長職解任取り消しで訴訟を起こしてくる可能性がある」(関係者)とみられている。
 一方、ルノーのジャンドミニク・スナール会長、西川広人・日産社長兼CEO、益子修三菱自動車会長兼CEOの3者は、共同運営組織として「アライアンス・オペレーティング・ボード」の設置を決めるなど、連携強化に乗り出しており、ゴーン氏排除に舵を切った。この3社連合とゴーン氏の確執に村上氏がどう介入するのか、市場は固唾をのんで見守っている。


 中国産の原料使用でジェネリックに不信

 またまたジェネリック医薬品問題である。昨年6月の全日本レスリング選手権でグレコローマン77キロ級2位になった阪部創選手(自衛隊)がドーピング違反と認定され、失格になった。尿検査で禁止薬物のアセタゾラミドが検出されたことによるもので、個人成績は失効、暫定的資格停止処分を科された。
 アセタゾラミドは緑内障治療薬だが、利尿作用も持つことを利用して筋肉増強剤の「隠蔽薬」として使われることから禁止物質に指定されている。本人は思い当たることはないと弁明していたが、日本アンチ・ドーピング機構の調査で当日、服薬した胃炎・胃潰瘍治療薬「エカベトNa顆粒サワイ」にアセタゾラミドが混入していたことが判明した。阪部選手は処分を取り消されたが、気の毒にも全日本選手権2位の成績は失効とされてしまった。
 同剤は沢井製薬が販売するジェネリック医薬品。帯同していた医師が、体重測定後に空腹のまま食事をすると胃腸に負担がかかるため希望者に同剤を処方したのだが、含まれるはずがないアセタゾラミドが混入していたのが原因だったのである。
 厚生労働省から連絡を受けた沢井製薬は急遽、全製品の自主回収に走った。有効性や安全性に問題はないが、ジェネリックでは昨年11月にあすか製薬の高血圧症治療剤「バルサルタン錠AA」に、今年2月には米ファイザーの同じ高血圧症治療剤「アムバロ配合錠ファイザー」にも発がん物質が検出されたばかり。
 こうした混入問題から医師会は原薬の製造国名を記すべきだ、と主張し続けている。だが、ジェネリック使用を推奨する厚労省は「原産国を記入すると、医師が処方したがらなくなる」と聞き流している。
 しかし、問題はもっと深刻。ジェネリックは製剤する国、原薬を作る国、その原薬の材料を供給する国と多肢にわたるからだ。ある製薬会社幹部によれば「沢井製薬は原薬をどこの国から輸入したかを公表していないが、あすか製薬の場合は原薬の輸入元は中国。ファイザーの原薬はインドだった。原薬は主にインド、韓国、中国で作られているが、その原薬の原料を世界中に供給しているのが中国。中国では異物混入が頻繁に起こっている」という。
 中国製原料は価格の安さで世界を席巻。原薬メーカーは中国から原料を買わざるを得ないという。もはや、輸入原薬を全量検査しない限りジェネリック医薬品の異物混入リスクは防ぎようがない。


 海外の洋上風力発電に日本初の投資ファンド

 住友商事、三井住友銀行、日本政策投資銀行が2月14日に発表した、海外の洋上風力発電事業に投融資する日本初の投資ファンドの設立がその後も関心を呼んでいる。
 3社が共同で出資するファンド運営会社「スプリング・インフラストラクチャー・キャピタル株式会社(以下、スプリング社)」を通じて、1号ファンドを設定したもので、国内投資家から広く資金を集め、海外の洋上風力発電に投融資する。まずシードアセットをして住友商事が保有する英国のレースバンク洋上風力発電事業とギャロパー洋上風力発電事業を組み入れる予定で、ファンドの総額は最大300億円を目指す。
 ファンドの運営会社スプリング社は、機関投資家に対する国内外の再生可能エネルギー発電資産への投資機会の提供を目的として2018年7月に設立された。再生可能エネルギー分野への投融資経験、知見を有するメンバーが派遣され、投資先のインフラ事業の運営に参画し、地域社会に価値を提供することを通じて投資家の期待に応えることを目指している。
 協調する3社はすでに再生可能エネルギー分野に関する実績を保持している。住友商事は、世界各地で再生可能エネルギー発電の事業開発・運営を積極的に展開しており、持ち分発電容量は14ギガワットに達する。開発・建設を終え、安定操業段階に入っている資産を今回のファンドに一部売却することにより、戦略的な資産入れ替えを実現し、今後さらなる優良インフラ案件の発掘・開発に注力する。
 また、三井住友銀行はプロジェクトファイナンスの取り組みにおいて、再生可能エネルギーに対してグローバルで3兆円以上の融資実績を誇っている。洋上風力発電事業向けファイナンスについても、トッププレーヤーの一角として、合計10ギガワット以上の発電所に融資を行っており、今回のファンド運営を通じて、三井住友銀行グループがこれまでに培った知見・ノウハウの提供を行い、円滑なファンド運営に貢献していくとしている。
 そして日本政策投資銀行は、英国洋上風力発電事業についての知見を有しており、今回のファンドが国内機関投資家に対する洋上風力発電等の再生可能エネルギー事業への投資機会の提供に資するとともに、住友商事による国内外での再生可能エネルギー事業展開の加速を支援することにより、同社の競争力強化にも資することから、国からの一部出資を活用し、成長資金の供給を時限的・集中的に行う「特定投資業務」を活用した資金供給を推進する。
 世界的にはいまだ洋上風力発電の占める割合は、電力全体の3%程度にすぎないが、世界の発電容量に占める風力発電の割合は今後上昇していくことは間違いない。投資ファンドを通じた日本の投資家の資金もそれを後押しする。


 スポーツ中の脳震盪が認知症や自殺の原因に

 頭部外傷、つまり頭に大きな衝撃が加えられることで起きるトラブルについては、これまで医学的に大きな問題になってきたが、最近の研究で自殺のリスクが2倍になることもわかった。
 スポーツには転倒やぶつかり合いなどで頭部のけがや脳震盪が日常茶飯事だが、これが将来重大な病気を引き起こす可能性が高い。アメフト人気が高い米国では、これが社会的大問題となり、2011年にはNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)に所属する6000人の選手たちが、脳障害の補償を求める集団訴訟を起こし、二〇一五年には、この問題を扱った映画がアカデミー賞候補にノミネートされたこともある。
 アメフトの何人もの花形選手たちが、頭部外傷を受けてから数年〜数十年後に認知症の症状が表れ、記憶障害や注意障害のほか、パーキンソン病のような手足の震え、うつ病や妄想などの症状、自殺のリスクが高いことなどが知られていた。NFLの調査では、アルツハイマー病やそれに近い病気と診断された元フットボール選手は米国の30〜49歳の一般男性の19倍、全NFL選手の1/3が認知症を患っている可能性があり、しかも一般人よりかなり若くして発症するという。
 最近出された米国ハーバード大学の公衆衛生大学院での研究結果で、脳震盪を起こした人の自殺リスクが約2倍になると専門誌に発表された。調査対象は700万人以上、北米、北欧、オーストラリアなどの一般人で年齢層も8歳から58歳までと幅広い。これまでは医学的に信頼できる研究が少なかったが、脳震盪などの頭部への強い衝撃がこれまで考えられていたよりかなり危険なことが明らかになってきた。
 繰り返される頭部外傷は若年性認知症の原因のひとつとされているが、スポーツによる慢性外傷だけでなく、交通事故などによる単発の重い頭部外傷や脳震盪でも、認知症や自殺などのリスクが高まるということだ。
 東京五輪を1年後に控え、スポーツ熱がますます高まっているが、若い人や子供たちの頭部外傷には気をつけたい。


 最高裁勝訴で“棚ぼた”、NHKがニンマリの理由

 最高裁は3月12日、「ワンセグ携帯を持っているだけでは、NHKの受信料の契約義務が生じない」と主張する4件の原告の上告をいずれも退ける決定を出し、「受信契約義務がある」とした18年3月の東京高裁判決が確定した。放送法は、「受信設備を設置した者は受信契約をしなければならない」と規定しているが、「自宅にテレビがなくてもワンセグ携帯やカーナビがあれば、受信契約義務が生じる」というNHKの主張に、最高裁が初めて「お墨付き」を与えたことになる。
 ワンセグは、携帯端末向けの地上デジタル放送で、従来の携帯電話だけでなく、スマートフォンやカーナビでも視聴できるが、自宅のテレビが受信契約をしていれば新たに契約を結ぶ必要はない。ただ、国内でもっとも普及しているアップルのiPhoneがワンセグ機能を搭載していないこともあり、ワンセグだけの契約は全体の0.3%にすぎない。
 だが、目前に迫った「常時同時配信」の解禁と重ね合わせると、今回の最高裁の判断がもつ意味はきわめて大きくなる。テレビを持たずスマートフォンなどの携帯端末を利用してネットだけでNHKの番組を視聴する場合を想定して、NHKが新たに導入を目論んでいる「ネット受信料」の契約義務付けも、ワンセグ契約と同じ理屈だからだ。
 NHKは「主張が認められた妥当な判決だと受け止めている」と通り一遍のコメントを出したが、内心では満面の笑みをかみ殺しているだろうことは想像に難くない。


 金融事業重視のKDDI、その裏には課題山積

 今年の携帯電話業界は何かと話題が多い。その中でKDDI(以下au)は、キャリア3社の中で最も金融事業に注力しており、この4月1日からは中間金融持ち株会社の、auフィナンシャルホールディングスも立ち上げた。同社の高橋誠社長は、「中間持ち株会社は我々の本気度の表れだ」と言う。
 中でも、三菱UFJ銀行との折半出資だったモバイル専門バンクのじぶん銀行を、4月1日付で出資比率を63.78%まで引き上げて子会社化した点と、やはり三菱UFJ銀行系だったカブドットコム証券についても、この4月下旬にTOBを実施して49%の株式を取得する予定。
 auが狙うのは、スマホを中心軸に置き、auWALLETアプリを駆使することで、日常の決済から銀行、証券、生損保、運用まですべてを自社スマホで完結してもらおうというものだ。だが、auのスマホやガラケー利用者約4000万人のうち、auWALLET会員数は半分の2000万人。うち、auWALLETのアクティブユーザーは、さらにその半分以下で、auとしては金融経済圏を拡大することで既存客を囲い込み、かつ他社への顧客流出を防ごうというわけだ。
 とはいえ課題も多い。決済については4月からauペイを開始したが、目下この手の“何とかペイ”は乱立状態のレッドオーシャンで、どこまで勢力が伸ばせるかはまったくの未知数だ。また、銀証連携のオートスイープサービスも開始してはいるが、これは楽天系やSBI系などのネット銀行、証券ではとっくに実施しているもので、まったく新味はない。auの金融経済圏による囲い込みは、“おまとめ”することで、競合社に比べてどこまで低料金にできるかにかかっている。


 北方領土問題に光明か、露・ベラルーシ合併

 支持率低下が進むロシアのプーチン政権が、起死回生の政権延命策として検討しているのが、ベラルーシとの合併による新国家創設だ。ロシアとベラルーシは1999年に政治、経済的統合を段階的に進める「連邦国家創設条約」を締結しており、ロシア側はそれを基礎に合併を進めたい意向だ。2014年のクリミア併合は国民を熱狂させ、プーチン支持率は一時90%に急騰しており、その再来を狙っている。
 この構想が浮上したのは、ベラルーシのルカシェンコ大統領が昨年末、「プーチンは旧ソ連を取り込み、新連邦国家の大統領になろうとしている」と突然告発したことがきっかけだった。「ルカシェンコはロシアに併合されることを恐れ、欧米や中国と関係を強化。しかし、ベラルーシの情報機関や軍部は裏でロシアと通じており、クーデターで排除されるかもしれない」(モスクワ特派員)。プーチン政権はルカシェンコ大統領に新国家の副大統領などのポストを与え、懐柔することも検討している。
 ベラルーシは人口900万人。産業には乏しいが、欧州の中核に位置し、戦略的価値が高い。ベラルーシに短射程ミサイルを配備すれば、西欧に脅威を与えることも可能だ。
 ただし、ロシアとの合併を問う国民投票を行う場合、若者が反対し、否決される可能性がある。ベラルーシの若者は、ロシアより欧州連合(EU)志向が強い。一方、北方領土問題にチャンスになるとの見方もある。「ロシアの国境が修正される時、別の国境も修正しやすい」(外交筋)からだ。こうした可能性も想定して北方領土戦略を練るべきだろう。


 アルゼンチンの宇宙施設が米中の新たな火種になる?

 米国が、アルゼンチンにある中国の「宇宙探査センター」に「軍事利用される恐れがある」と警戒感を強めている。同センターはアルゼンチン南部パタゴニア地方のネウケン州にあり、直径35メートル、16階建てビルほどの巨大アンテナが備え付けられている。
 中国政府は「宇宙の平和利用ための観測と探査が目的」として昨年4月から本格稼働。今年1月に中国の探査機が月の裏側に着陸した際にも重要な役割を果たしたと強調する。
 米軍事専門家は「このセンターは中国人民解放軍の厳重な管理下に置かれ、他国の衛星通信を傍受したり、攻撃したりすることが隠された目的だ」と指摘する。
 アルゼンチン現地メディアによると、同センターの200ヘクタールの敷地は50年間無償で提供され、外国公館と同様の治外法権扱い。このため、軍事利用されぬようアルゼンチン側が監視する手段は何もないという。
 米国のメディアによれば、トランプ政権はアルゼンチン政府に対し、同センターを中国が軍事利用する恐れを警告、対応策を求めているが、アルゼンチンのマクリ政権は大規模な経済支援を受けることで合意した中国との強い結び付きを背景に、対中強硬策は難しいのが現状のようだ。
 こうした中、米国はこの宇宙探査センターのすぐそばに災害支援を名目に「危機管理センター」を設置した。監視のための対抗措置であることは自明だ。米南方軍の幹部も「南半球での中国の情報収集能力を監視し、より強力な対抗手段を取るための準備をしている」旨を示唆しており、今後の情勢次第では米中対立の新たな火種になりそうだ。


 なぜ? フィリピンに大量の中国人労働者

 マニラの新都心マカティが中国人の出稼ぎであふれ出した。アマさん(お手伝い)のフィリピンから中国、香港、台湾への出稼ぎという従来の流れとは逆だ。不正移民の雇用を含めると、フィリピン全体で30万人の中国人が「出稼ぎ」にきているとみられる。フィジーやパプアニューギニア、東チモールも同様という。
 経済大国から「発展途上国」になぜ? と訝しむのは当然だが、マカティはもともと華僑の一族が開発し、マイクロソフトなどIT企業が一斉に進出。高層ビルが林立し、一流ホテルも軒を競う最先端都市に変貌した。日系企業の進出も目立ち、上流階級相手の高級日本料亭もある。
 この北側が経済特区とされてカジノが認められるやいなや、2017年だけで10万人の中国人が移民としてなだれ込み、住宅不足に陥った。大半がカジノホテル建設労働者、ホテル従業員。中国人のカジノ客も含めて華僑利権といえる。
 マニラ北岸のビノンド地区にある世界最古のチャイナタウンも変貌し、巨大なショッピングモールが新名所に。銀座に当たるロハス通りの両脇に中国人投資のマンションが林立する一方、裏町は貧民窟のままだ。
 フィリピンへの中国人の労働移民が続く理由は、カジノだけでなく中国本土の就職難だ。大都市で開催される「求人フェア」に中国企業の出店はゼロ。虎の子扱いだった「海亀派」(海外留学帰国組)、新卒、退役軍人も未曾有の就職難となっている。昇龍の勢いだった鴻海精密は130万人の従業員を50万人に減らすとし、工場ではスト、抗議集会が暴徒化している。時代も変わったものだ。


 ポンペオ米国務長官が大統領目指して転身か?

 先の米朝首脳会談を決裂させたトランプ大統領の判断には、ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官の対北朝鮮強硬策が大きく影響していた。
 しかし、もう1つの大きな理由が交渉責任者であるポンペオ国務長官が共和党上院議員への転出を囁かれていることだ。カンザス州選出のロバーツ共和党上院議員が来年秋の選挙で引退し、ポンペオ氏をその後継とする話が進んでいる。マコネル共和党上院院内総務を中心とする共和党の指導者たちもポンペオ氏に早期に国務長官を辞め、来年秋の選挙への準備を勧めている。
 共和党指導部では、下院議員やCIAの長官、そして国務長官を経験してきたポンペオ氏は2024年の共和党大統領候補にふさわしいと考えており、気まぐれなトランプ大統領の外交方針のもとで今後、彼の国務長官としての経歴に傷がつくことを恐れている。
 一方、ポンペオ氏本人もこれまで交渉相手にしてきた北朝鮮のしたたかさと2枚舌に実は辟易しているところがある。当然この話はトランプ大統領の耳にも入っており、それならば長期化する交渉のもとでは強硬派のボルトン氏を後任の国務長官に据えて、しばらくは北朝鮮を封じ込めるほうが得策だとの考えに傾き始めているといわれている。


 マレーシアのレゴランドに競争激化で売却話

 マレーシア南部ジョホール州の「レゴランド・マレーシア・リゾート」に売却話が持ち上がっている。アジア初のレゴランドとして2012年9月に鳴り物入りで誕生したが、外国人観光客が頭打ち。17年4月の開業後、集客が思うように進まず、入場券の大幅値下げに踏み切った名古屋のレゴランドと同様、苦戦を強いられている。
 レゴランド・マレーシアの売却話は、運営するマレーシア国営投資会社カザナ・ナショナルが非主力部門の見直し作業を進める中で急浮上した。資産価値は10億リンギ(約270億円)と見積もられている。カザナのシャリル・リザ・リズアン社長は「いい話があれば売却を検討したい」と前向きだ。
 レゴランド・マレーシアは名古屋と同じ屋外型。サッカー場50面分の敷地に6000万個のレゴブロックで作った1万5000以上の模型が並ぶ。カンボジアのアンコールワットやインドのタージマハル、中国の紫禁城など、アジアの名所のミニチュアを並べた「ミニランド」が観光の目玉だ。テーマパークにウオーターパークとホテルが併設されている。
 4月には水族館「シー・ライフ」の営業も始まる予定。5000万リンギ(約14億円)を投入し、120種類、1万5000匹もの水生生物を展示。繁殖や保護をコンセプトに、家族で海洋問題を学べる教育面を重視した施設にする計画だ。
 だが、シンガポールのすぐそばという絶好の立地にもかかわらず、来場者の国籍はマレーシアが最多で、外国人観光客が期待したほど伸びていない。周辺には「ハローキティ・タウン」「アングリーバード・アクティビティ・パーク」など他にもテーマパークがひしめく。16年10月にはジョホール州内にイオンファンタジーが手掛けるフィンランドをモチーフにした屋内型テーマパーク「ファンペッカ」も開業している。ジョホール州観光当局は引き続きテーマパークの誘致を推進。東南アジアを代表する観光地に発展させたい考えだが、競争は一段と激化し、個別の施設にとっては厳しい状況だ。


 EUが見送りを決めたデジタルサービス税の導入

 欧州連合(EU)は3月に開いた財務相理事会で、グーグルやフェイスブックなど大手のIT企業に課税する「デジタルサービス税」について、EU全体での導入を見送った。
 デジタルサービス税導入に向けた動きの背景には、IT大手がインターネット通販やデジタル広告で巨額の収益を上げながら、事業規模に見合う税金を納めていないとの不満がある。こうした見方を受け、EU欧州委員会は昨年3月、国際ルールが整備されるまでの暫定措置として、IT大手のEU域内の売上高に対し、3%課税することを提案していた。しかし、税制優遇を通じてIT企業を誘致してきたアイルランドや北欧諸国は反発し、議論は難航。フランスとドイツが昨年末、課税対象を広告収入に限定する妥協案を共同提案したが、打開には至らなかった。
 ただ、フランス、スペイン、イタリアなど一部加盟国は、独自に課税を導入する方針を示している。EU離脱を控えた英国も、20年4月に課税を開始することを決定した。これに対し、欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は「EU全体での合意がなければ(EU市場が)分断される恐れがある」と警告している。
 EUは18年5月、IT大手を狙い撃つかのように、個人情報の収集・利用に明示的な同意を義務付ける「一般データ保護規則(GDPR)」を施行。欧州委員会はEU競争法(独占禁止法)違反の疑いで、グーグルやアップルへの監視の目を光らせてもいる。EUではIT大手に対する包囲網は確実に狭まりつつある。


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