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著述業専念はなさそうだ


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■大物投資家の復帰


新明和にマクセルHD、ヨロズ…
村上世彰氏再始動と関心が集まる

■証券取引等監視委員会に「株価操縦」の疑いを持たれて強制調査を受けたものの監視委は告発を見送った。以来3年余。著書2冊を書いた村上氏はプラスイメージの人となって――

新明和の大株主の日立が
株を手放したタイミング


 あの村上世彰氏が、再び株式市場に舞い戻っている。今、市場関係者の間ではそんな噂で持ちきりである。
 狙われた1つが、兵庫県宝塚市に本社を置く新明和工業だった。
 新明和工業のルーツは、川西清兵衛が大正時代に創業した川西機械製作所で、飛行機の製造に乗り出したことにある。それが後に川西航空機となった。次第に旧海軍との結び付きを強め、九七式飛行艇や紫電、紫電改などの名機を続々と開発したが、それが逆に仇となった。米軍から工場が徹底的に空爆されたことに加え、敗戦後、残された工場を米軍が接収、さらには飛行機開発も禁止されてしまったのである。
 戦後は新明和工業と社名を改め、オートバイや清掃車の製造に乗り出し、やがて日立製作所の傘下に入った。再び軍用機開発に関与できるようになったのは1960年代の後半、旧防衛庁から救難飛行艇の開発計画が舞い込んでからである。水陸両用の飛行艇US1やその後継機のUS2は評価が高く、安倍政権が武器輸出を企てると、インドが強い関心を示し、10数機の購入を検討中とされている。
 そんな軍需企業に村上氏が関心を持って買い出動をしたのは昨年2月頃のこととみられる。オリックスの投資銀行部門出身の福島啓修氏を社長に据えた村上氏の投資会社レノをはじめ、南青山不動産、オフィスサポートなど同氏の影響下にある企業がじりじりと新明和の株を買い増し、大量保有報告書によると、今年1月時点では合計で21%強を握る筆頭株主になった。
 赤子の手をひねるように村上氏側が買い進むことができたのは、永らく傘下に収めていた日立が保有株を売却し、安定的な大株主がいなくなったせいでもある。日立から2000年に送り込まれた日立元常務の井手寿之社長(当時)は、日立の主流派だった金井務(社長、会長を歴任)、川村隆(同)両首脳ら日立工場閥とは異なる大甕工場出身者で、金井氏からはあまり好まれなかった。井手氏は金井氏によって新明和に放逐されると、さして事業シナジーがない日立から自立しようと04年に独立を決めた。好事魔多しで、この後の安定株主工作が結果的に不十分だったせいで、年金基金や投資信託などに株式が分散してしまった。そこを村上氏に突かれた格好だ。
 慌てた新明和は今年1月21日、突如、株主価値向上に向けた株主還元策を公表。その中で、約400億円を投じて2666万株の自社株を買い付ける自社株公開買い付け(TOB)を実施することを明らかにしたのである。村上氏の傘下企業の保有分が約2300万株であることを考えると、村上氏側はおおむねこのTOBに応じて株式を売却し、売却益を享受するものになるとみられる。

証券取引等監視委員会の
強制調査は不発に終わった


 同じように日立が持ち分を手放したマクセルホールディングス(旧日立マクセル)では、旧村上ファンド(M&Aコンサルティング)の池田龍哉元総務部長が社長を務める南青山不動産と、村上氏の長女、野村絢氏がこの1月までに合わせて9%弱を取得した。かつては100%を保有して完全子会社化していた日立だったが、持ち分を徐々に売却し、いまや4%程度しか持たない。新明和同様に安定的な大株主がいなくなり、生保や年金基金、証券会社などに薄く広く株を持たれる状態になり、浮動株が増えたところを村上氏に狙われたのである。
 こうした安定株主の不在を突いたのは日産自動車系列の部品メーカー、ヨロズも同じだった。日産はカルロス・ゴーンCEO(当時)のリバイバルプランによって保有する系列企業株式をほぼすべて売却することを決め、ヨロズの持ち株も米自動車部品メーカーのタワーオートモーティブに売却した。ところがタワーはその後経営が悪化し、04年にヨロズ株を売却し、安定的な大株主がいなくなってしまったのだ。その間隙を突いて村上氏は15年、一時10%を超える筆頭株主に躍り出て増配や自社株買いなど株主還元策を要求したが、16年ごろにはほぼ全株を売却し、売り抜けたらしかった。しかし、それがここにきて再び水面下で株を買い進めていると噂されている。「ヨロズに再び関心を示しているらしいです」と市場関係者は言う。
 村上氏が株式投資を活発化させてきた背景には、証券取引等監視委員会が15年11月に踏み切った強制調査が不発に終わったことがある。監視委は村上氏のTSIホールディングス株の売買に「株価操縦」の疑いを抱き、刑事告発を視野に入れて家宅捜索までしたが、村上氏は弘中惇一郎弁護士を立てて「監視委の見立ては誤解」と争う姿勢を示し、「第三者委員会」を設けて取引の詳細をまとめた報告書を公表した。結局、村上氏の言い分が通り、監視委の見当違いの勇み足だったことが判明。監視委は告発を見送り、押収した資料を村上氏らに返却せざるを得ないところに追い込まれた。「NHKに家宅捜索場面まで放映された事件なのに告発できないというのは、我々にも反省すべき点がある」と監視委関係者も漏らすほどの完敗だった。

著作2冊で
イメージを刷新


 監視委からにらまれた身とあって、村上氏は一時、株式投資を控え、代わりに半自伝的な著書『生涯投資家』(文藝春秋)を上梓し、10数万部を売るベストセラーになった。さらには旧知の見城徹社長の幻冬舎から『いま君に伝えたいお金の話』も出版、おカネと上手に付き合うこつを「稼いで貯めて、回して増やす」と説いた。ツイッターでも盛んにお金の使い方について発言している。
 すっかり株式市場から引退し、著述業に専念するかとも思われたが、さにあらず、昭和シェルとの経営統合をめぐって出光興産の経営陣と創業家が対立していた問題では、両者の間を取り持って和解に至る陰の立役者となったという。出光の月岡隆会長が「どれぐらいの時間を費やしていただいたか計り知れないほどの説得にあたっていただいた」と記者会見でリップサービスするほどだった。
 かつてライブドア事件に絡んでインサイダー取引で有罪判決を受けたのに続き、監視委の強制調査の対象となった「犯罪的・反社会的な村上氏」は、かくして、世間から受け入れられる「お金の評論家」となり、紛争を解決する「善意の人」と変じたのである。こうしたプラスのイメージを振りまいた後に株式市場へ再登場と相成った。
 東京・恵比寿駅に近い線路沿いにある雑居ビルに村上氏の支配下にある企業が集結している。破綻したコンパクトマンション分譲販売の旧ダイナシティの営業権を村上氏が買い取って設立した不動産会社シティインデックスが入居するのをはじめ、レノやリビルド、南青山不動産、村上氏の寄付をもとに設立されたNPO法人チャリティ・プラットフォームなどの連絡先が置かれている。
 この拠点を司令塔にして今、村上氏は「さて次はどの会社をターゲットにしようか」と計画をめぐらしているかもしれない。そんな会社の1つが、リクシルだという声が市場に流れている。創業家出身の潮田洋一郎会長が自身の責任を棚に上げて、自らスカウトしてきた瀬戸欣哉社長に責めを負わせて退任に追い込んだ。これで招聘した「プロ経営者」は日本GE出身の藤森義明氏に続いて2代続けて早期の退任となった。そんな創業家の横暴を見過ごしていいものか。今、村上氏はそう思案しているかもしれない。
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