ダミー
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 官房長官が駆られる誘惑、菅氏も狙う? 総理の椅子

 首相官邸内で安倍晋三首相を支える両輪といわれる菅義偉官房長官と今井尚哉首相秘書官(政務)の間に、近頃微妙な亀裂が生じているという話が永田町に流れている。
 総裁3選後、安倍首相の残り期間は3年を切った。水面下で後継争いの水かきがすでに始まっている。「ポスト安倍」への野心を隠さなくなった菅氏に対し「安倍首相命」の今井氏が違和感を覚え、両氏の間にすきま風が吹き出したというのだ。
 今井氏は親しい人に「最近の官房長官はちょっとやり過ぎじゃない?」と漏らしたという。総理総裁候補に向けて蠢きだしたことを察知したものだ、という解説がつく。
 永田町ウオッチャーによると、菅氏は自民党無派閥議員に限らず、密かにまんべんなく面倒をみているそうだ。総理総裁候補として旗揚げした時に備えての「種まき」であろう。ただ、菅氏は前のめりにはなっても、ギラついたところは見せない。自分は後方に控えて、麻生派の河野太郎外相を担ぐそぶりを見せている。しかし、菅氏の本音はチャンスが到来したら、他の人物を押しのけて自分がトップの座に座りたい。これが菅氏を知る人たちの共通認識である。
 麻生派の領袖、麻生太郎副総理兼財務相は菅氏の狙いを見透かして、派内で河野氏を「無視」し続けている。実は麻生氏も、自身の首相在任期間が一年弱と不完全燃焼だったせいで、もう1度自分の出番があるかもしれないという気持ちがある。
 名官房長官といわれた梶山静六氏や野中広務氏も最後は首相の座を目指した。菅氏の「師匠」梶山氏は「橋龍(橋本龍太郎氏)に首相ができて俺にできないはずはない」と派閥を離脱して総裁選に挑んだが、ついえ去っている。野中氏も初めは「次は加藤(紘一自民党元幹事長)の時代になる」と言っていたが、小渕恵三政権で官房長官に就いて心変わりし、最後は小渕首相急死目前に自らがその後継を目指したが成就できなかった。日頃首相と接する官房長官は誘惑に満ちたポストらしい。


 ロシアがダメなら北朝鮮、安倍官邸のレガシー戦略

 首相官邸が今年に入って、北朝鮮とパイプを持つ日本人フィクサーを使って、日本人拉致問題を動かそうとしているようだ。拉致問題では昨年七月、安倍首相の側近である北村滋内閣情報官がハノイで北朝鮮統一戦線部の幹部と秘密接触したが、成果はなかった。今回は別ルートだ。
「昨年夏の接触が不調に終わった後、官邸は北方領土問題に全力投球した。しかし、日本側が2島まで降りても、1月の首脳会談はロシアの姿勢が硬く、進展がなかった。そこで官邸は再び拉致問題に目を向けているようです」(外務省担当記者)
 今回は官邸機密費を投入して北朝鮮をよく訪れる日本人民間人を使っているという。最高指導者・金正恩委員長につながるかどうかが鍵で、利用できるものは何でも使う意向だ。
 それもこれも安倍政権のレガシー戦略の一貫で、拉致でも北方領土でも進展のあるほうに目を向けるという分かりやすいシナリオ。仕掛けているのは総理の腹心、今井尚哉首相秘書官だが、外務省幹部は今井氏を「忌々しい」と毛嫌いし、官邸外交をサボタージュしているという。
 ただ、国連安保理の制裁が効いて経済的危機にある北朝鮮側が歩み寄る可能性もないとはいえないが、日本の大型支援は安保理決議違反となる。日本のとり得る選択肢は限られており、成果は期待薄のようだ。


 辺野古に続き統計不正を「内乱罪」で追加告発

 毎月勤労統計やGDPの偽装は、集団的自衛権の行使の容認とともに進められた。憲法秩序を破壊し、国の土台を危うくする──。安倍晋三首相を内乱予備罪で最高検察庁に刑事告発した元参院議員の平野貞夫氏が、今度は統計の不正を内乱罪に“格上げ”して、告発を準備している。平野氏はすでに1月末、米軍の辺野古新基地の建設強行は内乱罪に相当するとして安倍首相を告発済みだ。辺野古建設に関する告発理由補充書では、機動隊が動員され市民を排除していることに着目。「安倍首相は組織的暴力によって一地方の秩序を破壊している」として、「最高権力者による憲法秩序の無視・破壊であり、『自己クーデター』だ」と主張している。「組織的暴力」は、内乱罪の重大な構成要件だ。
「統計不正は政治の問題として深刻に捉えないと、国家の破滅に向かう。戦前、軍部も政府も都合のいい統計で戦争に突入した」とする平野氏は、これが集団的自衛権の行使を法制化した2015年に重なったことに注目する。同年の経済財政諮問会議で、麻生太郎副総理兼財務相が毎月勤労統計に関して「具体的な改善方策」を提起。調査方法が変更された。
 これはGDPにも及び、翌16年の同会議は「経済統計の改善」を打ち出し、算出基準に「国際基準」と「その他」の項目が加わった。旧基準では500兆6000億円だった15年度の名目GDPは532兆2000億円に膨れ、その後も安倍首相が目標に掲げた六百兆円に近づいていく。アベノミクスの成功を演出する偽装だと指弾する告発だ。


 整備もままならない問題山積のオスプレイ

 千葉県の陸上自衛隊木更津駐屯地で行っている米海兵隊「オスプレイ」の定期整備は1昨年の2月1日に始まり、防衛省は「9月上旬までに終わる」と説明していたが、実は、まだ整備は続いている。こうした中、米軍は昨年12月、西太平洋地域に配備している海兵隊と海軍のオスプレイの定期、非定期に整備できる業者を公募した。ヘリパッドや格納庫などの施設を持つことが条件で、国内業者に限定していない。
 しかし、防衛省は木更津駐屯地を「日米オスプレイの共通整備基盤」と位置付け、本年度中に米国から渡される自衛隊版オスプレイも木更津で整備することを決めている。整備はスバルが受注しており、1機目の整備を続けているのもスバルだ。米軍がスバルによる整備に業を煮やし、別の業者の公募に踏み切ったのだとすれば、日米の「共通整備基盤」は失敗ということになる。
 防衛装備庁の担当者は、定期整備中の海兵隊版オスプレイに多くのサビが発見されていることを否定しない。そのうえで「必要な工具や部品が足りず、毎回、米国から空輸している状態」と話す。自衛隊版のオスプレイについては「米国から十分な部品や工具を購入する」というが、米国は自国のオスプレイの整備にさえ、十分な部品や工具を準備できていないのだから言葉通りには受けとめられない。
 そして整備もままならないのなら、オスプレイを本当に導入してもよいのかという根源的な疑問に突き当たる。世界中でオスプレイを導入しているのは開発した米国を除けば、日本だけ。事故続きで整備まで難しい航空機など購入する国はないのだ。


 改革からほど遠い経団連の副会長人事

 昨年5月に就任した経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)にとって初の人選となった経団連の副会長人事が2月12日の会長・副会長会議で内定した。住友商事の中村邦晴会長、三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長ら6人が新任の副会長として、5月30日の定時総会で正式に就任する。
 中西会長は就任以来、経団連が主導してきた就活ルールを撤廃し、入会資格基準を引き下げてスタートアップ企業など新規会員拡大に取り組むなど、矢継ぎ早に経団連のイメージを刷新してきた“改革派”の会長だ。しかし、副会長人事はそのイメージを完全に打ち消し、経団連の旧弊を崩せずに終わった。
 新副会長六人の出身業界は総合商社、メガバンク、化学、生命保険、公益、機械で、副会長ポストを歴代、指定席としてきた業界の出身者ばかり。任期満了で退任する副会長の後釜を業界として引き継いだだけともいえる。経団連の伝統に沿った順当で“無風”の人事と評価するしかない。改革派会長といえども、こと首脳陣人事については経団連の旧弊を容易に打ち破れない現実を、今回の副会長人事はさらけ出した。
 経団連で事務方幹部を務めたOBは「積み重ねてきた経団連での活動、貢献度合いが人選の決め手であることは言うまでもなく、副会長の人選でサプライズはあり得ない。まして歴史の浅い業界から副会長ポストに就くことは不可能だ」と話す。副会長企業ともなれば年会費で数千万円に上るとされる。これではポストを手にできるのは伝統的な経団連銘柄企業に限られ、組織の新陳代謝が進むわけはない。


 ゴーン被告の新弁護人は引き受け過ぎが心配される

 今、日本で最も著名な刑事弁護士といえば、法律事務所ヒロナカ代表の弘中惇一郎弁護士だろう。ロス疑惑の三浦和義、薬害エイズの安倍英、障害者郵便不正の村木厚子といった各被告の弁護人を務めて無罪を勝ち取り、「無罪請負人」の異名を持つ。
 会社法違反(特別背任)罪などに問われているカルロス・ゴーン被告が新たに選んだ弁護団は、「次世代のホープ」といわれる河津博史弁護士を主任に、弘中氏と「刑事弁護界のレジェンド」と呼ばれる高野隆弁護士が、河津氏を支える体制となった。
 海外からも注目を集める事件で、弘中氏としても全力投球を求められるわけだが、同時に弘中氏は特捜部がゴーン事件の直前に手掛けていた文部科学省事件でも被告の弁護人を務めている。東京医科大学の鈴木衛元学長と文部科学省の川端和明元国際統括官である。
 鈴木被告は佐野太元局長の息子を不正に入学させた贈賄側で、川端被告は宇宙航空研究開発機構に出向中、「霞が関ブローカー」と呼ばれる谷口浩司被告に接待を受けた見返りに、さまざまな便宜を図ったという収賄側である。「事件は別」とはいえ、贈賄側と収賄側のそれぞれの弁護人を務めることへの違和感はある。
『無罪請負人』という著書の中で、「カネ(弁護料)は支払い能力のある人から取り、事件を選ぶ基準は面白いかどうか」と、弘中氏は書くが、これだけタイトなスケジュールを抱えながら、週刊誌から攻撃を受ける片山さつき代議士の名誉毀損訴訟も引き受けている。八面六臂の活躍は結構だが、「引き受け過ぎでは?」という、心配の声も上がっている。


 ふるさと納税関連の大手サイトが身売り

 ふるさと納税サイト最大手の「ふるさとチョイス」を運営する「トラストバンク」(須永珠代社長)が、身売りしていた。買収したのは、東証一部上場のITコンサルティング会社「チェンジ」(福留大士社長)。2018年11月28日、トラストバンクの6割強の株式を約48億円で取得、傘下に収めた。
 だが、両社とも買収については自社サイトの一角にさりげなく載せただけで、会見を開いて公表したのは2カ月後の1月30日。その間は、総務省が「過度な返礼品競争の自粛」の指導に従わない自治体に手を焼いて、「返礼品は地場産品に限り、調達額は寄付金の3割以内」とする法規制を進めていた時期と重なる。息を潜めて法改正の成り行きをうかがっていたようだ。
 ふるさと納税は、14年度に388億円だった寄付総額が、17年度には3653億円と3年間で10倍という急成長を遂げた。ところが、総務省の制度見直しで急ブレーキがかかり、頭打ちになりかねないとの見方が急速に広がっている。
 ふるさと納税の返礼品を紹介するサイトは、黎明期に創業し20万点を超える返礼品を並べる「ふるさとチョイス」の独占的市場だったが、手数料収入のうま味に目を付けた大手業者が潤沢な資本や自治体との強力なパイプを生かして続々参入、泉佐野市のように自治体が共同で直営するサイトも立ち上がって、今や乱立状態になっている。
 ウェブデザイナーから身を起こした須永社長のもと、60人ほどの小所帯で手作り運営するトラストバンクは、人材も技術力も見劣りするのは否めない。追い風に乗っていた17年9月期でも、売上高は60億円、純利益も5億円にすぎず、業容拡大のステップアップは喫緊の課題となっていた。先行きに不透明感が漂う中、チェンジの買収話はまさにT渡りに船Uであったようだ。
 一方のチェンジにとっても、官公庁や企業の「IoT」や「AI」導入の支援が主力事業だけに、トラストバンクが築いた1400超の自治体とのネットワークは魅力的に映ったようである。
 両社は連携して、付加価値の高い行政サービスを支援する新事業「パブリテック」(公共=publicと技術=technologyを組み合わせた造語)を始めるというが、一世を風靡した「ふるさとチョイス」の経験が生かされるかどうか……。


 曙ブレーキのADR申請にゼロ金利政策の影

 自動車部品業界に衝撃が走っている。業界で数少ない独立系メーカー、曙ブレーキ工業が1月30日、私的整理の1つである事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)の手続きを申請し経営再建を目指すと発表したからだ。
 同社は自動車部品メーカーの業界団体、日本自動車部品工業会で会長の経歴があり、日本の自動車産業の代名詞「ケイレツ」を象徴するトヨタ自動車の部品協力会組織「協豊会」の会長企業を2度務めた名門企業。それが私的整理の道を選ばざるを得なくなったのは、売上高の5割弱を占める北米事業の不振により財務状況が悪化したのが直接の要因だ。有利子負債は1000億円を超え、返済のめどが立たず、ADRの申請で金融機関に資金繰りで支援を求めることとした。2月12日に発表した2019年3月期の業績予想は192億円の赤字を見込む。
 ただ、この策を選んだ理由には地方銀行に債務返済を迫られた側面があった。曙ブレーキは約30の地銀と取引があり、一斉に債務回収を迫られればひとたまりもない。そこで、メインバンクと協議のうえでADRを選んだとされる。全国の地銀の経営は3年も続く日銀によるゼロ金利政策で悪化する一方だ。さらに、スルガ銀行の不正融資問題を機に旺盛だったアパート向け融資も細り、地銀の多くが窮状に瀕している。当然、曙ブレーキが求める債務返済の延長はのめそうにない。
 地銀が堰を切って返済を迫る危機的状況を想定し、同社がADRを選んだとなれば、マイナス金利は金融機関への副作用にとどまらず、事業会社にまで影響が及んだことになる。これが常態化すれば、広く産業界に第2、第3の曙ブレーキが現れても不思議はない。地銀も苦しい立場で、実際に曙ブレーキのADR申請を受け、武蔵野銀行は曙ブレーキへの貸出金70億円を全額引き当て、18年4−12月期は最終損益で40億円の赤字に陥った。
 自動車業界は世界規模で「CASE(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)」の波にさらされ、百年に一度という変革期を迎えた。米IT大手をはじめ異業種参入が相次ぎ、内燃機関主体の伝統的な技術がベースの自動車業界は大きな岐路に立つ。異業種との覇権争いに完成車メーカーに余裕はなく、部品メーカーとの系列関係も希薄化せざるを得ない。現に車載用音響機器ではアルパイン、クラリオン、富士通テンの再編に続き、名門パイオニアが海外ファンド傘下で再生を目指すなど、部品業界には広く企業買収の嵐が吹く。曙ブレーキの私的整理は「明日は我が身」との危機感が募る。


 給与の電子マネー支払い、厚労省が規制を見直す方針

 基幹統計の不正問題で大揺れの厚生労働省だが、その一方で、企業などがデジタルマネーで給与を従業員に支払えるよう規制を見直す準備を進めている。
 銀行口座を通さずにカードやスマートフォンの資金決済アプリなどに給与を直接送金できるようにするもので、国家戦略特区で先行導入する計画だ。近く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で議論に着手し、今年中にも労働基準法の省令を改正する方針だ。だが、「キャッシュレス化を推し進める安倍政権へのお追従のような施策」(メガバンク幹部)と揶揄する声も聞かれる。はたしてうまくいくのか疑問視されている。
 そもそも今回の厚労省の発案は、3月に東京都が規制緩和策として要望していた施策を、厚労省が取り込んだもので、実現までには多くのハードルが残されている。
 まず、「デジタルマネーの事業者が経営破綻した場合に給与等の支払いが滞る恐れがある」(メガバンク幹部)。このためデジタルマネー払いに対応する決済サービスを提供する企業は、資金決済ができる「資金移動業者」として金融庁に登録した上で、厚労相の指定を受ける必要がある。
 しかし、2025年までにキャッシュレス決済を現状の2割程度から4割へ引き上げたい政府は、規制緩和に前のめりだ。官邸が主導する未来投資会議では、「銀行を介さなくてもスムーズに送金できるよう制度的障害を取り除く」と明記された。
 労働基準法は、企業などの雇用主が現金で賃金を支払うことを原則として定めている。その上で厚生労働省令で銀行振り込みなども認めるという建て付けだ。そこに電子マネーを加えるというわけだが、トラブルが多発するのは目に見えている。


 外資と村上ファンドが4つに組む廣済堂TOB

 売上高が365億円で経常利益が16億円と、事業規模は東証1部上場企業としては物足らないものの、事情通の間で「底知れぬ価値を持つ会社」として知られるのが廣済堂だ。印刷業と葬祭業の2本柱。売り上げ的には25%に満たない葬祭業が、利益面では大半を叩き出しており、それは「都内に6カ所の斎場を持ち、株式会社への斎場認可はもはや2度と出ないだろう」という既得権に支えられている。
 その廣済堂にTOB(株式公開買い付け)を仕掛けたのが米投資ファンドのベインキャピタルである。十兆円の運用資産を持つ巨大ファンドで、目的は昨年6月、社長に就任した土井常由氏らの要請を受けたMBO(経営陣による買収)だった。
 ベインキャピタルが、1月17日、発表したTOBの条件は普通株式1株につき610円で、過去半年の終値単純平均値467円に対して30%以上のプレミアムを加えていた。通常なら「常識的な線」だが、これに猛然と反応、仕掛けてきたのが村上世彰氏だった。発表の直後から猛烈な「買い」を入れて、傘下の不動産業・レノが買いまくり、1月末までには9.55%を取得した。価格が安過ぎるとみて買い集め、高値で引き取らせるのが狙いである。
 安過ぎるTOB価格の理由は、「斎場を運営する子会社・東京博善の企業価値を正確に算定していないこと」(証券アナリスト)だという。
 ただ、斎場運営には独特のノウハウがあり算定が難しい。そこに外資が単純に値付け、価値を知る村上氏が猛烈に買い向かって波乱の展開となっている。


 国税の神経を逆なでした究極の節税保険商品

 本誌12月号で、決算対策として中小企業経営者を中心に爆発的に売れている生保の「企業の経営者向け節税保険」に国税のメスが入る動きがあると報じたが、国税庁と金融庁は生保業界の淡い希望を打ち砕くように3月期末を前に強硬手段に打って出た。この商品、「保険料が全損扱いできる」というのが最大の売りで、納税負担に悩む企業経営者のお助け商品だったのだが、あまりに露骨な宣伝文句が国税の神経を逆なでしたようだ。
 大手生保は2月14日から「節税保険」の販売を停止。国税庁が13日に同保険の課税方法を定めた通達を見直す方針を各社に伝えたためで、「3月の決算期を控え、お灸をすえられた」(大手生保幹部)。
 大手生保や外資系生保が企業に売り込んでいた「節税保険」の仕組みは、いたって簡単だ。万が一経営者が倒れた時に備えて「生活保障」や「傷害保障」に加入したり、死亡時に高額な保険金が支払われることで事業リスクをカバーする法人定期保険だ。保険料は年間数百万円と高額だが、支払った保険料の全額を損金として組み入れることができるため、税引き前利益を保険料と相殺して、納税を大幅に抑えることができる。また、中途解約すると支払い済みの保険料の多くが「返戻金」として戻ってくるため、戻ったタイミングで役員退職金や設備投資資金に充てれば返戻金にも課税されない。究極の「節税商品」で、運用商品としてもうまみの大きい保険だ。
 だが、いつの時代にも泣く子と税務当局には勝てないようだ。


 医療・介護新モデル傾倒が生んだ抗ウイルス建材

 インフルエンザが猛威をふるっている最中にメラミン樹脂メーカーの「アイカ工業」が抗ウイルスのメラミン化粧板を売り出し、話題になっている。同社は京都大学医学部の岩尾聡士特任教授が提唱する医療・介護システムに共鳴した成果という。
 岩尾特任教授は米国立衛生研究所(NIH)の研究員時代に米ジョンズ・ホプキンス大学がエルダーハウスコールと呼ぶ高齢者向けの医療・介護を町ぐるみで行っていることに感動。帰国後、日本向けに改良し、病院とクリニックをベースにリハビリ施設、介護施設、在宅医療・介護を組み合わせた「イワオモデル」を提唱。政府の審議会でも「平均寿命が延び続けている現状では老人ホームを倍増しても足りない。死に場所すらない“医療難民”“介護難民”が40万人を超えてしまう。それを解消するためには町ぐるみで対処する必要がある」とイワオモデルの導入を訴え、自らも消化器外科医の夫人と共に名古屋市でイワオモデルを実践している。
 アイカ工業は、もともとは建材向け接着剤メーカーだが、コタツ板や家具、家電製品、室内の壁材に使われるメラミン化粧板に進出し、今では国内トップメーカー。10年前に名古屋大学教授だった岩尾特任教授を産業医に迎えたのを契機に、イワオモデルに賛同。寄付講座を提供し続けてきたり、同社の展示会などに岩尾特任教授を招いて講演会を催したりしてイワオモデル普及に努めている。同時に岩尾特任教授の知恵を借りて次々に医療機関や介護施設向けの抗菌メラミン化粧板の壁材などを開発している。
 たとえば、介護施設や病院ではトイレ、汚物置き場、さらに老人臭に悩まされてきたが、同社は悪臭成分のアンモニア、硫化水素、酢酸などの原因物質を吸収する消臭メラミン化粧板を開発。病院の手術室向けに開発したものだったが、商業施設が「これはいい」と競って導入している。そして今度は病棟や介護施設での感染症拡大を防ぐために抗ウイルスのメラミン化粧板「アイカウイルテクト」を開発したのだという。
 アイカ工業は建材メーカーなのに「消費者にメラミン化粧板を知ってもらいたくて」と、テレビCMを流して話題になったこともある。「もともと化学メーカーですから消臭も抗ウイルスも得意分野です」(大村信幸常務)というが、イワオモデルにのめり込んだ“功名”といえそうだ。


 LIXILを迷走させる創業家の「会社私物化」

 建材・住宅設備最大手のLIXILグループが迷走中だ。「プロ経営者」として自ら雇い入れた経営トップを事実上解任し、創業家出身の潮田洋一郎会長が昨年11月に最高経営責任者(CEO)に復帰して以降は、迷走ぶりがより際立っている。業績低迷から抜け切れず、あげくに一部報道でMBO(経営陣による買収)の実施とシンガポールへの本社移転が報じられ、株式市場で不評を買っている。前線に戻った潮田氏の存在が、同社最大のリスクに浮上しているかのようだ。
「一か八かで(企業を)買うのは検討の俎上にない」。1月31日、2018年10-12月期決算発表の記者会見で、潮田氏はこう言い切った。昨年10月、CEOへの復帰を発表した際、「再び積極経営に転じたい」と海外でのM&A(企業の合併・買収)を加速すると豪語していた前言はあっさり引っ込めた。
 その理由は言うまでもない。イタリアの建材子会社ペルマスティリーザの中国企業への売却が対米外国投資委員会(CFIUS)による承認を得られなかったからだ。その結果、18年4-12月期の最終利益は前年同期比94%減の21億円と儲けがほぼ吹き飛んだ。米中摩擦のあおりという外的要因とはいえ、業績立て直しの途上にあるLIXILにとって売却断念敗退。
 そもそもペルマスティリーザは潮田氏が社長当時に買収した案件で、赤字が続いていた。買収先の不正会計問題で経営が悪化したLIXILの立て直しに15年に就任した瀬戸欣哉社長が不採算事業の見直しのなかで売却を決断していた。
 瀬戸氏は工具ネット販売のMonotaRO(モノタロウ)を創業し、東証一部に上場した手腕を潮田氏に買われた。LIXILにとっては、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の上席副社長を務めた藤森義明前社長の後を引き継ぐ2代続いてのプロ経営者として注目された。
 藤森社長時代に進めた海外事業の積極拡大に買収先の不正会計問題が重なり赤字に陥ったLIXILを立て直し、一八年三月期は最終利益で過去最高を記録するなど、瀬戸氏は復活の道筋をつけた立役者だった。しかし、潮田氏との路線対立で突然解任されたとみられる。
 潮田氏は多角的な事業が株式市場で評価されずにいら立ち、MBOの可能性を探っていたとされる。シンガポールへの本社移転も、現地在住の潮田氏の意向が色濃くにじむ。ここまでくると、創業家出身者による私物化とはいえないか。LIXILにとって経営トップに返り咲いた潮田氏が最大のリスクであると同時に、復活の道に一段と危うさが漂う。


 日産・ルノー・三菱がグーグル陣営に参画

 日産自動車と仏ルノー、三菱自動車の日仏連合が自動運転分野で米グーグル陣営に参画することを決めた。
 日産・ルノーは米グーグル系の自動運転開発会社ウェイモと提携に向けた詰めの協議に入っており、近く具体策を発表する。具体的には日産などが車両を提供して共同で無人タクシーを開発する見込みで、人の移動に関わる予約や課金なども含めたサービスも検討する。移動手段を所有せず、需要に応じてサービスのように使える「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス、マース)」分野で広範に組むという。
 日産・ルノー連合はグーグル陣営に参画することで自動運転やカーシェアリングなど「CASE」の分野でトヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)より先行したい考えだが、運転制御をつかさどる人工知能(AI)の分野や、電池子会社の売却など、次世代車の頭脳と駆動部分を外部から調達することに関して「もはや日産・ルノー連合は車の組み立てメーカーに成り下がった」と指摘する声も上がる。グーグルなどに車開発の主導権を握られかねないとの懸念は消えそうもない。
 電池子会社の売却とは、日産がNECと設立した車載電池子会社オートモーティブエナジーサプライ(AESC)を中国のエンビジョングループに売却することを決めたこと。AESCは日産の電気自動車(EV)「リーフ」向けのリチウムイオン電池などを手掛けていた。
 次世代車の「頭脳」や「駆動」部分を外部に頼る日産・ルノー連合に対し、トヨタ自動車はパナソニックとEV用電池の共同出資会社を設立したり、自動運転の分野ではAIの世界的権威のギル・プラット氏を獲得して子会社を新設したりするなど、自前での開発を急いでいる。「AIの分野や今までの車でエンジンにあたる電池の分野を外に出してしまうと、現在の車メーカーは単なる『組み立て屋』に成り下がってしまう」(トヨタ幹部)懸念があるためだ。
 すでにカーシェアリングの世界大手である滴滴出行はシェアリングに適した自動車開発を進めている。独自に収集した顧客データをAIでつなぎ、自動運転タクシーなどで実用化する考えだ。車開発の主導権はすでに滴滴出行やグーグルなどネット系企業に移りつつある。
 今回の日仏連合の動きはその「パラダイムシフト」を一段と進めかねないだろう。


 造船最大手の現代重工が3位の大宇造船を買収へ

 造船世界最大手の韓国・現代重工業が同3位の大宇造船海洋を買収する見通しとなった。現在、世界2位も韓国のサムスン重工業だが、この現代重工業の買収が実現すれば、サムスン重工業の2倍の「巨大造船会社」が誕生する。
 大宇造船はシェア拡大を狙い、過去に無謀な安値受注を重ね、経営が行き詰まり、韓国政府が金融支援などを実施した。今回の現代重工との統合も政府支援によるもの。政府による金融支援による「巨大造船会社」誕生に対し、日本政府は「公正な競争を阻害する」として反発している。中国も独占禁止法などに抵触しているとして、今回の買収を阻止しようとしている。
 韓国は2018年の船舶受注で中国を抜いて7年ぶりに首位に立った。韓国政府によると、同国の18年の船舶受注量は2400万総トン。第2位が中国で1860万総トン、次いで日本の720万総トンだった。日本勢が得意とする単価の高い液化天然ガス(LNG)船を韓国大手3社が世界の九割を受注した。
 韓国勢はかつて無理な受注獲得で経営的に厳しくなった。しかし、大宇造船をはじめ、経営破綻するようなことがあれば、「ただでさえ経済不振で国民の不満がたまっているなか、雇用問題を通じて文在寅政権は追い込まれる」(韓国政府高官)ことから、金融面で支えてきた。
 こうした「国を挙げてのゾンビ企業の存続」に対して、日本政府は世界貿易機関(WTO)が定める補助金協定に違反する可能性が高いと指摘。WTOへの提訴の前提となる2国間協議を要請し昨年12月中旬に協議を開いたが、互いの主張は平行線をたどったもようだ。
 国土交通省によると、韓国政府は政府系金融機関を通じて15〜17年に総額約12兆ウォンの金融支援を大宇造船に実施したとしている。民間銀行とともに債務の株式化にも応じており、海運会社に対しても船舶の更新時に補助金を支給している。首位の座を奪われた中国でも韓国に対し「政府の支援による安値での受注は正当な競争を阻害する」との批判の声が上がる。
 日本勢はかつて川崎重工業と三井造船(現・三井E&S造船)が統合する計画があったが、決裂した。最近では三菱重工業が専業で国内最大手の今治造船と、三井E&Sも専業の常石造船とそれぞれ提携したが、社風の違いなどから「具体的なプロジェクトは動いていない」(関係者)としている。韓国の「巨大造船会社」の出現により、強みとしてきたLNG船などの受注にも影響が出ることは必至で、再編などによる対応をさらに迫られそうだ。


 築地再開発案にナベツネ氏の亡霊?

 築地市場の跡地(23ヘクタール)に、高級ホテル、MICE(会議場・展示場)、交通ターミナル、賑わい施設をつくるという都の再開発案が出た。実は、そこには文化ホールやスポーツスタジアムも候補に入っていて、読売新聞社が色目をつかっている。
 読売にしたら、使用料が高い東京ドームでの巨人の試合を、より都心の築地市場で開催できるようになればありがたい。球場は市場跡地が都有地なので、都や外郭団体などがスタジアムを建設して民間が運営すれば、読売側は劇的に安い投資額に抑えて、観客動員も収益、人気も落ち目の巨人軍のてこ入れができる。
 都が温める開発図案(複数)には、市場跡地の真ん中がぽっかりと空き、それが「球場説」の根拠になっている。「ナベツネ(渡辺恒雄読売新聞主筆)の亡霊が見えないか?」とスポーツ紙の関係者の間では改めて話題だ。2年前には読売系のスポーツ紙の報知新聞が、市場跡地に大手不動産が商業施設や4万人収容の運動スタジアムにする建設計画を水面下で進めるという記事を掲載した。
 読売のドンのナベツネ氏は90歳を超え、かつて唱えた築地市場跡地への球場誘致には今は「関心がない」とけむに巻いているという話がある。しかし、都庁と読売は石原慎太郎・元知事時代からパイプがある。スポーツや音楽を同時に楽しめるドーム施設に大型店舗を併設、また展示場として使い、MICEをつける構造も不可能ではない。


 フランスから沸き起こる西川社長への退任要求

 「このままでは共倒れだ」と仏ルノーの幹部は嘆く。同社がこのほど発表した2018年1〜12月期決算は、純利益が前期比37%減の33億200万ユーロ(約4130億円)と悪化した。最も響いたのは43%を出資する日産自動車から受け取る利益が目減りしたことだ。
 ルノーが依存する日産の19年3月期の連結営業利益は前期比22%減の四千五百億円になる見通し。深刻なのが米国で「北米地域」の営業利益は18年4〜12月期には、3年前の直近ピークから6割も減った。原因は「シェア拡大のための販売奨励金」(大手証券アナリスト)だ。
 足元の日産の1台当たり販売奨励金はトヨタ自動車を約六割上回り、米国平均と比べても1割高い水準に高止まりしている。また減益の理由として度重なる検査不正の影響もある。「西川廣人社長のリコール対応など経営者としては失格だ」(ルノー幹部)との声もフランスから上がる。
 検査不正問題発覚やなかなか回復しない北米市場での不振に対し、昨年からカルロス・ゴーン元会長は「西川氏の経営手腕に対して疑問を持ち、何度か叱責していた」(日産幹部)とされる。「業績不振で退任間際まで追い込まれた西川氏がゴーンの不正を知って逆に退任に追い込んだ」(同)という西川氏のクーデター説がいまだ根強い理由はここにある。
 ルノーの筆頭株主で国内の雇用問題に悩む仏政府にとって、依存する日産の長引く不振は死活問題だ。業績が振るわないのに5億円もの報酬をもらっている西川氏に対する日産社内の評判もすこぶる悪い。「ルノーも6月の株主総会に向け西川氏の解任に向け準備を進めている」(ルノー幹部)との声も聞こえてきた。


 背に腹は代えられぬトヨタのベア非開示

 春闘相場をリードする自動車各社の春闘が本格スタートした。今回の春闘で注目されるのが「ベア非開示」のトヨタ自動車の労使交渉で、定昇や手当などを含めた総額(1万2000円)を打ち出した。トヨタの経営側はベアの回答額を見送った理由を「トヨタがベアの額を決めると、それにならって取引先がトヨタの額より下回るベアを提示するので格差解消が一向に進まない」としているが、「実際は、ただでさえ高いトヨタ社員の人件費をさらに上積みすれば国際競争に打ち勝てない」(トヨタ幹部)というのが本音だ。
 ベアは退職金や福利厚生費などにもかかってくるなど後年度負担もかかる。それらを合計すると実際の負担はベア額の1.7倍に膨らむ。「官邸の押しつけ春闘にはもう付き合えない。ベアは極力低く抑えていることがわからないようにするため非開示にし、定昇や手当と一緒にごちゃ交ぜにした」(同)というのが実情のようだ。
 世界景気の減速に備えるだけではない。自動車業界のトップに君臨するトヨタだが、今や「CASE(つながる・自動運転・シェア・電動化)」の時代を迎え、ライバルは米グーグルやアップルなどITネット企業となった。自動運転に必要な人工知能(AI)開発のほか、高度IT人材を確保するためには「資金がいくらあっても足りない」(トヨタ幹部)。
 官邸は「ベアを非開示にすることで、実際引き下げていたら大きな問題だ」(自民党幹部)としている。米トランプ大統領は自国の自動車産業を保護するために日本車への関税引き上げをちらつかせている。政府の協力を求める事態も今後出てくる可能性もある。トヨタの経営陣は難しい舵取りを迫られている。


 いずれ徳政令もあり得る太陽光発電業者向け融資

 「近い将来、リーマンショック時に導入された中小企業金融円滑化法のような特例措置が太陽光発電事業者にも適用されかねない」
 メガバンク幹部がこう懸念するのは、再生可能エネルギーの主役と期待された太陽光発電事業者向けの融資だ。今後、太陽光発電事業者の破綻懸念が高まり、融資が焦げ付きかねないため、債務者の借り入れ条件を法的に緩和する徳政令が講じられてもおかしくないという指摘だ。
 経営破綻する事業者が年々、増加する中にあって、昨年10月に経産省が打ち出した太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の見直し案に、金融機関は驚きを隠せなかった。
 その内容は、事業用太陽光のうち、FITの開始直後の2012〜14年度に認定を受け、高い買取価格の権利を保有しながら運転時期を遅らせている発電所、いわゆる未稼働案件に対し、19年3月末までに着工申し込みが電力会社に受領されなければ買取価格を大幅に減額する措置を講じるというものだった。
 これに対し、自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟が11月29日に取りまとめた報告書「再生可能エネルギー普及拡大のための提言(第5次)」には、仮に経産省の見直し案がそのまま適用された場合、3メガバンクが融資するシンジケートローンだけで計3000億円が回収不能になるか、融資実行が停止されるリスクがあると記された。3メガバンクのシンジケートローンには地銀や保険会社なども参加しており、影響は全国に及ぶことが予想される。
 こうした反発を受け、最終的な修正案では大規模太陽光発電事業を買取価格引き下げの適用外とする緩和措置が設けられ、ひとまず穏当な形に落ち着いたが、「油断はできない」と大手地銀幹部は身構えている。


 正念場のアシックス問われる注目社長の手腕

 アシックスが正念場に立たされている。2018年12月期の決算で純損益が203億円の赤字となったためで、これは過去最大の赤字幅だ。競争が激しい米国市場で主力のランニングシューズが苦戦した点なども赤字転落の主な要因だが、同社では昨春、三菱商事の役員から社長としてヘッドハントされた廣田康人氏が大きな話題となっただけに、同氏にとってもいきなりの試練だ。
 今年はラグビーのワールドカップ、来年が東京オリンピック・パラリンピック、再来年は関西でワールドマスターズゲームズと大きなスポーツイベントが連続で控えるだけに、これらの商機をどう掴めるかもポイントだ。特に五輪では、ゴールドスポンサーとして150億円前後を拠出していると目されるだけに、費用対効果をどう最大化できるか廣田氏の腕が試される。
 廣田氏は三菱商事時代、総務、人事、広報などを長く担当してきたため、T管理のプロUともいわれてきた。それだけに、失地回復に向けての戦闘態勢をどう組むかも焦点で、その施策を一月からスタートさせている。一言で言えば製販一体化で、各カテゴリーのトップが開発から販売まで一貫して責任を持つ仕組みだ。
 業績低迷に陥ったメーカーにありがちなのが、「商品開発が悪い」「いや営業戦略が一貫していない」など他責の文化が蔓延してしまうこと。そこを断って一気通貫の仕組みに変えるという。その成果は、8月の中間決算である程度答えが出る。


 韓国国民に不安を与える文大統領家族の海外移住

 韓国の文在寅大統領の娘一家が国内資産を処分して海外移住をしたとの報道は、韓国民に不安を与えている。なぜならこの動きがセオル号事件の顛末とイメージが重なるからだ。セオル号事件では船長が船内アナウンスで乗客の高校生たちに客室にとどまるよう伝えていた一方で、船長自身は必死に生き延びようと船外への脱出を図り、結果的に多数の高校生に犠牲者が出てしまった。
 今、文在寅大統領の経済失政で、韓国経済は史上最悪の状況だといわれている。IMF内での議論でも韓国経済はかなり深刻と見ており、韓国はOECDの先進国メンバーなので二度目の救済はできないとしているが、これほどまでに短期間に経済が極度に不振になったのは南北統一政策しか頭にない文大統領が経済政策を常に後回しにしてきたからだと手厳しい評価をしている。
 現在、韓国内には北からの工作員が大量に入り込み、韓国社会の混乱を増長させている。さらに日本に対するさまざまな嫌がらせに近い政策は、大統領府秘書室と、北の統一戦線部とのすり合わせで政策が練られているといわれている。目下の最大の被害者は北からの脱北者たちだ。今や韓国政府の治安当局と、北からの工作員たちが脱北者たちの情報を共有して韓国からの追い出しを図っている。
 このような社会不安から逃れるため、文在寅大統領は家族を東南アジアに逃がしたという声が出るのだが、さらに問題なのは今回の娘夫婦による不動産売却が法律に違反している可能性が出てきたことだ。文在寅政権から、補助金が出され、その一部が使途不明金になり、その会社はその後、倒産した。これらと海外移住の資金との関連を疑われている。
 文政権が果たして今年末までもつのか国民は注視している。


 タイの中国人学生急増は一帯一路への先行投資?

 タイの大学に中国人学生が大挙して入学している。これまで学生に人気のあった欧米に比べ、地理的に近く、授業料がリーズナブルなのがその理由だという。一方で、巨大経済圏構想「一帯一路」の今後の展開をにらみ、将来性のある若者を送り込んで東南アジアへの影響力を強めたい中国政府の戦略も見え隠れする。
 中国人学生の留学先といえば、これまではオーストラリアや米英が定番だった。しかし、米国の大学で経営学の学位を取得するには、年6万ドルかかる場合もある。これに対し、タイの大学は4000ドル弱と格安。また、ビザの審査が厳しくなった米国に比べ、タイはビザが出やすく留学が容易という事情もある。
 タイにとっても中国人学生は大歓迎だ。中国人の各学生が支払う学費はタイ人学生の2倍で、今や大学の経営には中国人学生が欠かせない。2017年にタイの大学に入学した中国人は8455人で、12年からの5年間で倍増した。私立の名門であるバンコクのトゥラギットバンディット大学は、10年にはわずか23人だった中国人学生が現在は3700人に。タイ全土で3万人の中国人が勉学にいそしんでいる。
 また中国人学生の需要を商機ととらえ、タイの大学に資金を投入し、中国人向けの講座を開設する中国の投資家も増えつつある。東南アジアは中国が推進する一帯一路構想の成否を握る重要な地域。タイへの留学生の増加は中国政府にとっても願ったりかなったりで、「先行投資」として奨学金を支給し、後押ししている。


 欧州エアバスが超大型機の生産打ち切り

 欧州航空機大手エアバスはこのほど、世界最大のジェット旅客機A380の生産を2021年に打ち切ると発表した。格安航空会社(LCC)の台頭で中・小型機の需要が高まっているのに対し、超大型機は敬遠される傾向にあることが背景だ。
 A380は総2階建てで、座席数は500超。「空飛ぶホテル」と呼ばれ、2007年に就航した。日本では全日空が3機を購入、今年5月から成田-ホノルル線に投入する予定だ。
 A380のエンジンは4基で、燃料代がかさむ。航空会社は、エンジン2基で費用が相対的に安価で済むエアバスのA350や、米ボーイングの787ドリームライナーを選好するようになった。
 エアバスにとって誤算だったのは、最大の顧客であるドバイを本拠とするエミレーツ航空が、1機500億円近いとされるA380の発注機数を39機減らしたことだ。エールフランスKLMや豪カンタス航空からの受注も当初見込みから減った。英ヴァージンアトランティックは6機の発注をすべてキャンセル。米国の航空会社の発注はゼロにとどまる。
 A380を鳴り物入りで投入したエアバスにとって生産打ち切りは苦渋の決断だが、全体の収益は伸びている。エミレーツ航空も、A380の発注を削減する一方で、エンジン2基のワイドボディー機であるA350やA330の発注は増加。エアバスは「A380なくしてA350は開発できなかった。A350はA380の遺伝子を受け継いでいる」(英紙フィナンシャル・タイムズ)とし、後継機種に注力する構えだ。


 内部分裂が深刻化するイタリアの連立政権

 「5つ星運動」と「同盟」という左右のポピュリスト政党によるイタリアの連合政権は、大使召還にまで至った隣国フランスとの外交関係の悪化で注目を浴びているが、その背景にある政権内の亀裂の大きさも改めて浮き彫りになった。
 中でも象徴的な案件はフランス中部のリヨンとイタリア北西部のトリノを結ぶ高速鉄道をめぐる確執だ。5月に欧州議会選挙を控え、両党それぞれが支持率の拡大を図っており、対立はさらに激しさを増しそうだ。英国の離脱などで揺れる欧州連合(EU)にとっても頭の痛い問題となっている。
 この高速鉄道は1996年に両国間で建設が合意され、アルプスを貫く58キロメートルと世界最長級のトンネル工事がすでにフランス側で始まっている。トンネルの総工費だけで86億ユーロ(約1000億円)という巨大事業だ。これ対して元来が左派系の「5つ星」は、費用対効果や環境への悪影響の懸念から、活動の初期から反対運動を展開。「われわれが政権にある間は認めない」(ディマイオ副首相)との姿勢を崩していない。
 一方、現在は極右政党ながら、イタリア北部の地方政党から出発し、産業界にも支持基盤がある「同盟」はサルビーニ副首相が現地を訪問するなど、計画推進に意欲的だ。この計画には、EUも予算を配分しており、今年中に態度を明確にするよう求めている。「同盟」はEUに懐疑的で、一時は統一通貨ユーロからの離脱も訴えていたが、この件に関しては「イタリアの利益のためにやり遂げるべきだ」との立場をとる。
 テレビ局LA7による、最新の各党の支持率は「同盟」が33.8%、「5つ星」が23.3%。総選挙の得票率「5つ星」32.7%、「同盟」17.4%に比べ、「同盟」の躍進と、「5つ星」の支持の落ち込みが顕著だ。移民への強硬姿勢などで評価を上げる「同盟」に対し、公約のばらまき予算をEUの拒否などで後退させざるを得なかった「5つ星」への失望は強まっている。
 2月10日、中部、アブルツィオ州の地方選でも「5つ星」は惨敗。高速鉄道での譲歩は「5つ星」の存続にもかかわりかねない。外交問題に発展したフランスの抗議運動「黄色いベスト運動」の指導者とのディマイオ副首相の面会も、「5つ星」の焦りの表れといえるだろう。
 また、一連の局面では、妥協の産物として誕生した学者出身のコンテ首相の実権のなさも印象付けられた。連合政権が機能不全に陥りつつあるにもかかわらず、前政権党の民主党(17.5%)、ベルルスコーニ元首相が率いるフォルツァ・イタリア(8.5%)など既存政党の支持は回復せず、「同盟」の1人勝ちの様相を呈す。この状況を受け、同党の支持者からは早期の総選挙を望む声も出ている。


 世銀の新総裁は反中で米大統領のお気に入り

 2月に突如辞任したジム・ヨン・キム総裁に代わる世界銀行総裁にトランプ大統領はデーヴィッド・マルパス財務次官を指名した。マルパス氏はデンバー大学でMBA(経営学修士)を取得、国際金融の専門家であるうえスペイン語、ロシア語、フランス語を流暢に喋る。
 IMF専務理事は欧州から、世銀総裁は米国から選ばれるのが従来の定石だ。歴代総裁はすべて米国人、キム前総裁も韓国系だがアメリカ籍である。その世銀人事をめぐっての確執は親中派と反中派の対立が基軸にあり、キム氏は親中派の代弁派だった。だからことごとくトランプ政権と対立してきた。
 特に昨秋10月4日のペンス副大統領演説は中国との対決を鮮明にした。技術覇権を絶対に中国には渡さないというアメリカの不退転の決意表明だったので、キム前総裁は居場所がないと判断して病気を理由に辞任を表明した。
 当初の下馬評は愛娘のイバンカ氏だった。メディアから「冗談もほどがあるのでは?」と揶揄されたが、最初から当て馬だったフシが濃厚だ。少なくとも世銀トップには経済専門家で金融に明るく、経験豊か人物が就任すべきポストである。
 最終的に指名されたマルパス氏は現職の財務次官。米中経済対話でも交渉の重責を担っている。レーガン・ブッシュ時代に財務次官補、国務省次官補を歴任して頭角を現した。
 マルパス氏の持論は「低開発国の成長を支援する」である。それゆえトランプ政権が推進した世銀の増資案に賛意を表明していた。同時に「もはや経済大国となった中国に世銀が巨額を融資し続けることは意味が薄い」と中国批判の頭目でもある。この反中国的政策はトランプ氏と波長が合ったようである。もとより2016年の大統領選においてもマルパス氏はトランプ氏の経済顧問を務め、進言を繰り返していた。
 世銀総裁は3月14日に立候補が締め切られ、4月の理事会で新総裁が決定する。おそらく中国が候補を立ててくると観測されているが、出資比率で投票権の数が決まり、最大出資国米国がポストを得ることは確実視される。しかも出資第2位の日本は、麻生財務相が早くからマルパス氏支持を表明している。


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