ダミー
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 官邸も怒り心頭で厚労省の解体断行か

 厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正調査問題をきっかけに、またぞろ厚労省分割案が頭をもたげているが、今度ばかりは安倍官邸も怒り心頭で、厚生・労働の切り離しはホンモノになるかもしれない。
 もともと厚生行政と労働行政がドッキングするのは無理があった。年金、医療、介護から生活保障、障害者福祉、感染症対策、加えて雇用政策、職業訓練まで守備範囲は広範にわたっている。それゆえ以前から、「1人の閣僚でカバーするのは難しい」と言われてきた。世界的にも年金や医療と労働政策を一括して扱う省庁はほとんどない。
 過去に厚労省の分割話が出たのは、2009年の麻生太郎内閣時代、次が16年、そして3度目が昨年で、いずれも厚労省側の強い抵抗にあって日の目を見なかった。しかし、統計法の規定に反する不正が発端となった今回は、通常国会で政治問題化するのは必至だ。加えて裁量労働制に関する不適切データや障害者雇用数の水増しをはじめ、旧労働省の仕事ぶりに対する不信は国民のみならず政府内にも強い。
 第1次安倍内閣時代の07年、厚労省の「消えた年金」問題が発覚した。対応が後手に回った結果、政権への世論の批判が高まって夏の参院選で自民党が大敗した。安倍晋三首相は今回の不祥事がこの「悪夢」とダブって見えているかもしれない。断ち切るために何か手を打ってくる可能性は高い。


 F35追加購入に潜む膨大な税金の無駄遣い

 政府は昨年12月の新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」の閣議決定に合わせて、F35戦闘機を追加購入する閣議了解を行った。既に航空自衛隊が導入を始めているF35タイプの戦闘機を105機追加して合計147機とし、追加取得分のうち、42機は垂直離着陸ができるF35Bとするというものだが、そこで見逃されている論点がある。
 F35Aを追加導入するのは、F15戦闘機のうち改修不能なタイプの99機と入れ換えるためだ。しかし、F15の退役時期はまだ決まっていない。まだ十分使える機体は廃棄するか、安倍晋三政権下で解禁された武器輸出の候補となるほかない。
 防衛省は、F4戦闘機の後継として導入を始めたF35Aを国内で組み立てるため、防衛産業3社に1870億円を支払い、生産ラインを完成させた。だが、価格は米政府が一方的に決める対外有償軍事援助(FMS)方式のため、米政府は完成機の輸入より50億円以上も高い1機150億円の値をつけた。閣議了解では「(高すぎるので)国内組み立てをやめ、米国からの輸入に切り換える」ことを決めた。このままだと巨費を投じた生産ラインはお払い箱だ。
 使用可能なF15の退役といい、生産ラインの廃棄といい、これほどの税金の無駄遣いはない。米政府から購入する105機分の総額は安く見積もって1兆2000億円。トランプ米大統領が嬉々として「日本がすごい量の防衛装備品を買ってくれる」と話したのはこのことだ。日本政府は面白いように米政府のワナにはまり、引き続き米政府の言いなりである。


 金融界が神経とがらすマネロン対策の相互審査

 FATF(金融活動作業部会)の事務局が来日してマネーロンダリング対策の「模擬審査」が実施された。金融庁など関連省庁はじめ、民間金融団体、民間金融機関などが参加し、FATFから今年秋(10〜11月)に実施される第4次の相互審査のポイントが説明された。FATFはマネーロンダリングの監視・撲滅に向けた国際的な枠組みを主導している。今年6月には、日本が初めて議長国を務めるG20大阪サミットが開催されることもあり、第4次相互審査で不合格となることは許されない。
 金融庁は、各金融機関によるギャップ分析(マネロンに関するガイドラインで示された対応が求められる項目についての現状との差異の分析)をもとに詳細な分析を行うとともに、金融機関経営陣との意見交換を進めているが、課題が少なくない。
 第四次相互審査では、法制度の整備状況だけでなく、法制度の「運用状況」や「有効性」が審査対象になっており、FATFが求める対策が金融機関の現場で講じられているかについても審査が行われる。具体的には、金融機関は顧客の属性だけでなく、リスクに応じて顧客の資産・収入の状況や法人の「実質的な支配者」などの必要な情報を追加で取得しなければならない。さらに、海外送金などの1件1件について、リスクを把握し、適切に対応することが求められている。
 また、金融庁のみならず一部の民間金融機関について、FATFの担当チームによるインタビューが行われる。その際、「株主総会やIRなどのように、頭取・社長などの経営陣が多数の随行者を伴って面談し、各部署の担当者が答える方式は、それだけで失格となりかねない。トップ自らが責任をもって全体を説明することが重要となる」(金融庁関係者)とされる。官民ともに神経をとがらせているわけだ。


 まだ紆余曲折ある防衛省の馬毛島の取得

 米軍が空母艦載機の離着陸訓練(FCLP)基地用に要望していた馬毛島を、防衛省が取得する見通しとなり、1月9日、地権者と「仮契約」を結んだ。馬毛島は、鹿児島県種子島西方に浮かぶ無人島。FCLPは、「タッチ&ゴー」と呼ばれる離着陸を繰り返し、激しい騒音が発生するだけに、訓練基地にうってつけ。
 ただ、「仮契約」を「本契約」にするまでには、曲折が予想される。第1に価格。所有権者はタストン・エアポート。オーナーの立石勲氏が、1995年に4億円で購入し、「飛行場にしたい」と、自らのリスクで建設工事を始め、南北4200メートル、東西2400メートルの滑走路を敷設。本人の弁によれば150億円を投じ、売却希望価格は400億円だった。
 だが、素人の建設で軍事上の用を果たすわけではなく、防衛省の当初の鑑定価格は45億円で、土地整備費を上乗せしても110億円。調整は難航したが、基地移転を急ぐ米軍の意向を受けて、上乗せして160億円となった。それでも立石氏は納得していない。
「仮契約したのは息子の社長。最終決定権は立石さんにある。彼がゴネるのにも理由があって、諸経費が嵩んでタストンの負債は240億円に達する。急ぎのカネを高利業者から借りており、高く売って精算するしかない」(事情通の不動産業者)
 債権者の中には元暴力団関係者もいて、第3者破産を申し立てる動きがあるほか、「債権者リスト」が出回り、ため息が出るような怪しい業者が含まれている。野党からは鑑定価格の3倍以上での購入を国会で追及される恐れもある。


 探求型対話に転じた金融庁の組織見直し

 金融庁はこのほど、地域金融機関の検査・モニタリング体制を変更した。地域金融機関の健全性をモニタリングしていた総合政策局の「地域銀行分析室」と「地域銀行モニタリング室」を監督局に移したもので、地域金融行政に関する部署である銀行2課、地域金融企画室(地域金融生産性向上支援室)、地域銀行分析室、地域銀行モニタリング室が、監督局長の下に集約された。
 これら地域金融に関する組織変更やモニタリング体制拡充の背景には、地域金融機関の経営状況に関する金融庁の危機意識が反映している。「全地銀106行のうち23行は本業の利益が5期連続で赤字となっており、その割合は年々高まっている」(金融庁関係者)。このため今事務年度は行政方針に「特に深刻な課題を抱える地域金融機関については、課題解決に向けた早急な対応を促す」ことが明記された。地域金融機関のモニタリングの監督局への一元化は、その布石にほかならない。
 金融庁のモニタリングには、事前に各種のデータを収集・分析して課題について対話するオフサイトのモニタリングと、実際に入検して経営陣と意見交換するオンサイトのモニタリングがあるが、金融庁はさらに、地域の保証協会や商工会議所、個別企業等のヒアリングを行うことで、金融仲介の課題を洗い出す調査も行っている。「地域経済を活性化するためには、地域経済の血流となる地域金融機関の健全性と金融仲介は車の両輪」(同)というわけだ。金融庁の遠藤俊英長官は、地域金融機関との「探求型対話」を通じて、その実現に不退転で取り組む。


 ゴーン逮捕の玉突きでJDIが経営危機に

 官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)。田中正明社長ら民間出身の取締役九人が一斉に退任して事実上の休止状態に入ったが、前身の産業革新機構(INCJ)に約束された高額報酬と、11月19日の日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の逮捕が影響した構図が浮かぶ。
 ゴーン元会長の逮捕でその高額報酬がクローズアップされたが、JICの騒動も「官邸がJICの取締役の高額報酬を問題視した」(経産省関係者)のが発端だ。しかし、JICだけでなく、旧民主党政権時代に立ち上がったINCJの経営陣にも業績連動で高額報酬が発生する仕組みがある。2025年を予定する解散時の累積利益によっては、現在も日産の取締役を務める志賀俊之INCJ会長に億円単位の高額報酬が発生する可能性があるうえ、志賀氏の経営責任を看過できない経産省内部では退任を求める声も上がっている。
 そして、ひときわ混迷を極めているのがINCJが大株主のジャパンディスプレイ(JDI)だ。経営再建中のJDIは売上高の過半をアップル向けが占め、最上位機種の「XR」に液晶パネルを供給。同社は一八年十一月に一九年三月期の売上高見通しを引き下げている。再建に向け中国の電子部品大手、欧菲科技(オーフィルムテック)と交渉をしているが、「中国企業傘下になったJDIの部品がアップル製品に搭載されることを米政府が嫌がる可能性がある」(経済産業省幹部)と警戒する。
 JDIの経営再建に力を注いできた志賀氏がINCJのトップを去るようだと、「誰も表だってJDIを支える人物がINCJのなかにいなくなり、JDIがやがて資金繰りに窮してしまう」(JDI幹部)という。


 日産vs.ルノーで続く熾烈な報復人事合戦

 日産自動車を再建したカルロス・ゴーン元会長。保釈が認められず、勾留は2カ月を超えた。仏ルノーはなかなか保釈されないゴーン氏に対し、解任も視野に入れているが、「ゴーンが復帰するにせよ、解任されるにせよ、仏政府は日産への支配力強化の方針は変わらない」とルノー幹部は強調する。
 高い失業率や財政赤字に悩む仏政府にとって、日産は雇用の受け皿となる。さらに、安定的に配当をルノーに供給し、「自らの支配下に起き続けることが政権維持のための絶対条件」(ルノー関係者)だからだ。「日産が経営の独立を確保しようと、あの手この手でやってきても、国を挙げて阻止する」(同)考えだ。
 一方、日産はポスト・ゴーンをにらんで、ゴーン派をはじめとする外国人幹部の一掃を進めた。チーフ・パフォーマンス・オフィサー(CFO)でゴーン元会長の信任が厚かったホセ・ムニョス氏が同職を解かれ、その後辞職した。また、人事を統括するアルン・バジャージュ専務執行役員も通常業務から外れている。
 ホセ氏の解任については「北米市場担当の際に業績の悪化を招いたことや、現在担当している中国市場でも十分な結果を残せなかった」(日産幹部)ことが理由とされるが、バジャージュ氏の解任も「ゴーン復帰後に、権力奪取の動きを封じ込めるため」(ルノー関係者)と指摘する。
 仮にゴーン元会長が保釈されても、日産の関係者との接触を裁判所から禁じられるほか、日産の取締役会への参加も裁判所の許可が必要になる。「しかし、親会社のルノーを通じて日産に圧力をかけ続ける」(同)とみられている。まず、考えられるのが日産の子会社化だ。今は日産に43%出資しているが、これを50%超にまで引き上げ、日産との関係を「パートナー」から「支配─被支配」の関係に変えるというものだ。
 また、日産に臨時の株主総会の開催を迫り、ゴーン氏を追放した西川廣人CEO兼社長を解任に追い込むことだ。これまでルノーは日産に対し、2回、臨時株主総会の開催を要求したが、日産は拒んでいる。しかし、日産の大株主であるルノーは裁判所に請求すれば総会は開催できる。
 今のところ、ルノーも日産も現在のアライアンス関係を崩したくないとの意向を示している。しかし、「長期拘留に対し、社長に引き上げてやった西川氏に裏切られたゴーン氏の怒りは相当なもの」(仏政府関係者)とされる。日産にとってはゴーン氏が解任されることを祈るばかりだが、仮に解任されても仏政府の意向を前面に押し出す人材がゴーン氏の後継になる可能性もあり、今後もバトルが繰り広げられることになる。


 中国の超大型投資案件で立場危うい伊藤忠会長

 伊藤忠商事はこのほど10%を出資する中国国有企業、中国中信集団(CITIC)の株式を減損処理し、1433億円の損失を計上したと発表した。CITICへの投資は中国ビジネスの飛躍的な拡大を目指して6000億円を投じた伊藤忠にとって過去最大級の投資案件。しかし、その投資に見合ったリターンを得られていない。同案件の旗振り役である岡藤正広会長兼CEOの責任も問われ始めている。
 CITICの株価は11〜12香港ドルと伊藤忠の取得価格(13.8香港ドル)を下回って推移している。この損失を穴埋めする形でユニー・ファミリマートホールディングスの子会社化に伴う株式評価益1412億円を計上。19年3月期通期の純利益は5000億円を確保する。
 ただ、問題はこれからだ。景気の変動に強いとされてきた大手部品メーカーの日本電産はこのほど、19年3月期の決算を下方修正した。最高益予想から一転、6年ぶりの最終減益になる見通しだ。背景にあるのは中国の景気減速。中国での需要が急減し、車載向けや家電向けのモーター事業が急激に悪化している。
 永守重信会長は「尋常でない変化が起きた」と驚きを交えつつ足元の事業環境を説明した。今回の下方修正では9年ぶりの減収も見込む。業績は順調な進捗で18年4〜9月期は純利益が同期間として過去最高を更新。しかし、「11、12月と、ガタンガタンと落ち込んだ。受注や売り上げ、出荷のベースで全セグメントにおいて大きな変化が起きた」(永守氏)という。日本電産は「米中貿易摩擦に端を発した経済の不確実性が、中国経済を中心とした世界の実体経済に深刻な影響を及ぼしてきている」と指摘した。
 伊藤忠がCITICと共同で取り組む事業は現時点で主に2つのみ。ドイツでの洋上風力発電事業と、共同出資する中国でのアパレル事業だ。「伊藤忠の業績押し上げ効果は限定的」(大手証券アナリスト)という。岡藤氏は人材面で中国語人材の育成に力を入れ、これまでに総合職の3割に相当する1000人を中国語検定試験に合格させるなど、中国事業にこだわり、のめり込んでいる。
 CITICは鉱山など金属事業も持っているほか、金融事業もある。景気に敏感なこれら事業で大きな損失を出せば、商社業界でトップに立つなど同社を引き上げた岡藤氏の功績に傷をつける可能性もある。


 著しく立ち遅れた日本の「旅行のデジタル化」

 日本は、旅行のデジタル化が大幅に遅れていることが英旅行会社の調査で明らかになった。旅行といえば、今や予約も決済もネット利用が当たり前と思いきや、世界は日本よりはるかに進んでいた。訪日外国人が年間3000万人超と急増、世界中から旅行者が集まる2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京オリンピックを控えて、当の日本人がネットを使いこなせないとあっては心もとない限りだ。
 調査したのは英国の旅行会社トラベルポート社。年に1回以上航空機を往復で利用した旅行者を対象に、世界25カ国約1万6000人にネットで回答を得た。
 調査報告によると、「国別旅行者デジタル活用度ランキング」は、日本は25カ国のうち24位で、ドイツと並んでほぼ最下位にランクされた。トップはインドで、2位インドネシア、3位ブラジルと続き、中国は4位。韓国は14位、米国は16位となっている。活用度は、レジャーやビジネスの旅行全般について、訪問地の情報収集、宿泊施設の空き情報やプランのチェック、航空機やレンタカーの交通機関の予約・決済など、ネット利用の現況を総合的に評価したものだ。
 また、「スマートフォンで予約や決済を1度も行ったことがない」という人は、日本は38%で、アジア・オセアニア諸国の中では最下位。一方、もっとも少ない中国はわずか3%、韓国も9%。急速にネットの活用が進む中国ではスマホを使いこなす人が多く、旅行も予約から決済までスマホで完結してしまう実態が裏付けられた。
 一方、最新のトレンドである「人工知能(AI)スピーカーの音声による情報収集や検索」は、中国は7割以上の人が利用経験があるのに対し、日本は3人に1人にとどまっている。
 今、旅行を計画すれば、すぐさまパソコンやスマホを開いて行き先の情報を集め、「じゃらん」「楽天トラベル」「トラベルコ」などで宿泊施設を検索、「ANA」「JAL」「JR」「トヨタレンタリース」などで予約・決済するというのが、お決まりのパターン。だが、まだまだ旅行会社の店舗に足を運んだり、電話で予約したり、現地で現金決済したりする旧来型の旅行をする人も少なくないことが浮き彫りになった。
 安倍晋三政権は、「キャッシュレス決済の普及」を産・官・学の連携で推進しているが、日本では旅行分野だけ見ても肝心の利用者の意識改革が進んでおらず、絵に描いた餅になりかねない。


 VWとフォードが提携最大規模の自動車連合へ

 独フォルクスワーゲン(VW)と米フォード・モーターが包括的な業務提携を結んだ。まず小型商用車などの相互供給など従来型の自動開発・生産でコストを削減し、その余資を電気自動車(EV)や自動運転分野に充てる考えだ。
 業界ではトヨタ自動車がマツダやスズキとEVで提携し、ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)と自動運転の共同開発を決めるなど、次世代技術を巡る連合が生まれた。VW・フォード連合は遅れてきた第4勢力だが世界販売台数1700万台超と最大規模だ。欧州・中国に強いVWと、北米に強いフォードと補完関係にもなる。
 この提携に並々ならぬ意欲を見せたのがVW。VWは売り上げや利益の大半を中国に依存する「中国1本足」打法。中国に次ぐ世界第2位の市場である米国にフォードと組むことで足場ができる意味は大きい。VWは創業家のフェルナンド・ピエヒ元会長がシェアの低い米国市場を開拓しようと社長に引き上げたマルティン・ヴィンターコーン氏を使って販売強化を図ったが、無理な拡販策が排ガス不正問題などを引き起こし、1100万台がリコールの対象となり、多額の罰金を科せられた。その責任を取らせようとピエヒ氏はヴィンターコーン氏に解任を迫ったが、事前に情報が漏れ、逆にピエヒ氏が職を解かれた苦い経験がある。
 今回の提携はまずフォード側がVWの手薄な中型ピックアップトラックを開発・生産し、2022年にも供給を始める。VWは23年をめどにフォードに小型バンを供給するという、資本提携まで踏み込まない「初期的な提携」だ。しかし、トランプ政権が「自国第一主義」の産業政策を強めるなか、「ピックアップトラックしか売れ筋の車種を持たず、世界的に販売も伸び悩むフォードを味方につけて技術の供与などを進めていけば、トランプ氏もVWに対し、各種の優遇策を出していくだろう」(大手証券アナリスト)と話す。
 さらに、両社の提携の背中を押したのは米テスラや米ウーバーテクノロジーズなど新興勢力の台頭もある。VWのヘルベルト・ディース社長は「VWには規模も(人材や技術の)資源もある。だが、業界の激変期において提携は非常に重要だ」と話し、自動運転やカーシェアの取り組みも今後検討するという。
 規模で世界4大グループの頂点に立つことになったVW・フォード連合だが、提携をどう深化させるかが問われている。


 歴史的変革期乗り切るため3メガバンクでトップ交代

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、三井住友フィナンシャルグループが昨年暮れ、それぞれトップ交代を発表した。昨年4月にはみずほフィナンシャルグループのトップ交代があり、3メガバンクグループのトップがこの1年の間に入れ替わる。メガバンクを取り巻く事業環境は厳しさを増し、もはや伝統的な事業モデルは通用せず、人心一新を図り歴史的な転換期を乗り越えようとする狙いがある。
 三菱UFJFGは今年4月1日付で傘下の三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取が社長に就き、平野信行社長は代表権のない会長となる。三毛氏は銀行頭取を兼務する。三井住友FGも同日付で國部毅社長が会長に就き、太田純副社長が社長に昇格する。
 両社のトップ交代に共通するのは、これまで金融界で常態化してきた企画畑出身者がトップに就く伝統を破り、企画畑以外の人材を登用した点にある。それだけメガバンクグループが激変する事業環境に強い危機感を募らせていることを裏付ける。
 昨年、トップ交代に踏み切ったみずほFGも、子会社のみずほ証券で社長を務めた坂井辰史氏を社長に起用した異例の人事だったことを考え合わせると、事業モデル転換に待ったなしのメガバンクグループが置かれた現状を浮き彫りにする。
 事実、8年ぶりのトップ交代となる三井住友FGの國部社長は「テクノロジーの進展とデジタル化がビジネスモデルを大きく変える」と、変革期を見据えたトップ人事を強調する。同社は2020年度から新たな中期経営計画をスタートする計画で、計画策定作業前のタイミングでのトップ交代に踏み切る。
 三菱UFJFGの場合、金融庁が金融界に対して銀行頭取とそれを監督する持ち株会社の社長を兼ねることに是正を求めおり、今回の人事には批判もある。同社は三毛氏が頭取在任期間も短く、兼務としたと説明する。半面、変革期には人事刷新しかないとの判断が、トップ交代の背中を強く押したとみられる。
 金融界を取り巻く事業環境は、金融政策が正常化に向かう米欧と異なり、日銀はいまだ金融緩和の「出口」さえ見いだせず、長期的な超低金利が続く。国内は利ざやで利益を稼ぐ事業モデルは崩れ、人員、拠点、ATMの大幅削減を迫られる。一方、金融とITが融合するフィンテックの波が押し寄せ、ネット系の金融業参入も相次ぐ。さらに、キャッシュレス社会への移行は安定した事業を脅かしかねない。ディスラプション(創造的破壊)に見舞われる歴史的変革期で舵取りを誤ればメガバンクといえども命取りとなりかねず、意を決して人事刷新に踏み切ったようだ。


 元三井住友銀行副頭取が日本のソロスになる日

 元三井住友銀行副頭取の高橋精一郎氏が立ち上げた資産運用会社「ホークスブリッジ・キャピタル」(東京)がマーケット関係者の間で話題となっている。
 高橋氏は、安倍晋三首相が政界に進出する前、米国に留学していた若かりし頃からの友人として永田町でも有名なバンカー。銀行では一貫して市場部門を歩み、「元ラグビー日本代表監督で、三井住友銀行専務まで上り詰めながら現役中の2006年に登山中の心筋梗塞で急逝した宿澤広朗氏の下で薫陶を受けた」(関係者)という。昨年3月に副頭取を退任して上級顧問に就任。また、金融庁参与も務めた。
 関係者によると、「副頭取を退任して上級顧問に就いたのを機に資産運用の世界に転じる決意を固めたようだ。高橋氏のキャリアであれば、どこの運用会社からも引く手あまたであったろうし、実際、数多くの企業からオファーが寄せられたようだが、自身で新会社を立ち上げることを決めた。第2の人生は自ら切り開くという決意だろう」と言う。
 高橋氏は2000年代の前半には不良債権処理に苦しむ銀行を市場運用部長としてマーケット収益で支えた。また、08年のリーマンショック直前に、市場の変調をいち早く察知して証券化関連商品の売却に動き、損失を軽微に抑えた。市場では「アジアの虎」と称され、「海外の有力投資家が来日時に訪ね、日本市場についての知見を聴く存在」(関係者)だ。
 その高橋氏が立ち上げた資産運用会社「ホークスブリッジ・キャピタル」は、トレーダー5人、アナリスト1人の小規模でスタートしたが、向こう1〜2年以内に運用資産残高を1000億円規模にまでもっていきたいとしている。この資産目標について、古巣の三井住友銀行のある経営幹部は、「高橋さんの手腕は高く、1000億円の預かり資産はすぐに集まるだろう。当行も投資家の1社として運用を委託したいと考えている」と期待を寄せる。
「ホークスブリッジ・キャピタル」の運用手法は、債券や為替、株式、コモディティなどの伝統資産を中心に運用する「グローバル・マクロ」で、銀行で培った手法を継承するという。グローバル・マクロでは投資ファンド「クウォンタム・ファンド」を主宰し、「イングランド銀行を潰した男」と呼ばれるジョージ・ソロス氏が有名だが、高橋氏は「日本のソロス」になる可能性を秘めている。


 孫氏ご執心のWW、都内最大のオフィス借り手に

 ソフトバンク(SB)の社内情報では、今後5年間に、1万7000人の従業員のうち1万人近くをグループの新規事業などに配置転換するようだ。すでに社内公募を通じて技術、営業、コールセンターなどから数百人規模で新事業に異動、この1月、さらに200人が異動した。SBは、既存事業の人員を半減させるとともに生産性を2倍に向上させる「ハーフ&トゥワイス(半分で2倍)」の目標を掲げる。その鍵となるのが、世界最大のシェアオフィス会社のウィーワーク(WW、未上場)の活用だ。携帯電話市場の飽和に料金値下げ圧力が加わり、携帯関連事業は成長できていないSBは、携帯以外の新分野で人材を活用する。その「舞台」(場所)の1つがWWというわけだ。
 経営の関心の移ろいやすいSBの孫正義会長兼社長だが、今はWWにとにかくご執心で「テクノロジーで創造的破壊をするWWはグループの中核企業になる」と言う。AIを駆使して会社や人をつなぐマッチングシステムにも惚れこむ。ソフトバンクはWWの子会社化は断念したが、WWの1月の発表によると、その企業価値は5兆円と評価された。
 SBはこれまでWWに対し、傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンド(サウジ政府系ファンドと共同投資)と80億ドル以上を投じた。ただ、世界的な株安、上場したばかりのSB携帯子会社の株価低迷、ジャーナリスト殺害をめぐるサウジ王子への逆風で、「サウジ側がWWへの大幅な追加出資に難色を示した」(米経済紙)とされる。
 そうした中、汐留界隈の本社周辺に集めたソフトバンクの関係企業先をWWの拠点などへ分散させる動きがある。これで汐留のオフィスの賃料や引きが弱含みに転じるのか。
 ニューヨーク、ロンドンでは、シェアオフィス世界最大手のWWが最大級のオフィスの借り手となっており、すでに日本でも有力な借り手だ。東京で最大の借り手になるかは、今後の働き方改革やオフィス利用のイノベーション次第。WWは都心だけで10数拠点以上つくる方針だ。
 テレワークの時代だから、SBグループがこの先、汐留の1カ所に集まる必要はない。自身のIT技術でオフィス環境を変え、傘下に収めたWWを使って、オフィス市場の流れを変えようとしている。WWが超高級ビルをなるべく安く借り、末端のシェア向けは高値の賃料で貸すのが彼らの流儀だ。


 金融界が固唾をのむ日立製作所の攻めと守り

 日立製作所は12月17日、送配電など電力システム事業を、過去最高の7000億円の巨資を投じスイスABBから買収すると発表した。同日、記者会見に臨んだ東原敏昭社長兼最高経営責任者(CEO)は、「買収額は大きいが、ABBの電力システム事業はすでに利益を出している。日立のIT(情報技術)を加えれば、さらに利益を増やせる。グローバルで一位の事業を買うのは大きな意義がある。良い買い物をしたと思っている」と述べ、「真のグローバル企業を目指す新たな日立の方向性を示した」と強調した。
 ABBは送配電事業で設備からシステム運用まで手掛ける世界トップ企業。送配電を含むパワーグリッド部門の売上高は17年で約1兆1000億円超、EBITA(利払い・税引き・償却前利益)率は10%台を誇る。一方、日立の電力・エネルギー部門の売上高は前期で4509億円、うち送配電システムのグリッドソリューションの売上高は600億円強にとどまる。今回の買収は電力システムの世界における「小が大をのむ買収劇」であり、まさに日立の「攻め」の一手と言っていい。
 送配電事業は、シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)など競合他社がひしめく世界。にもかかわらず日立があえてリスクを冒すのは、市場の期待に応える必要に迫られた面もある。日立は、19年3月期は2年連続で過去最高の営業利益が見込まれるなど好調を維持している。しかし、事業売却を含む不採算部門の整理やコスト削減による収益効果が大きく、市場は日立の成長戦略を求めていた。ABBの買収はそれへの明確な答えといえる。
 ただ、金融界が買収を手放しで評価しているわけではない。理由は2つある。1つは日立の財務への影響だ。日立の有価証券を含む手元資金は18年9月末で1兆1000億円。今回の買収額7000億円はこの範囲内であり、財務への影響は限定的との見方もあるが、買収後のシナリオが狂い、業績が思うように上がらなければ格下げの可能性も指摘されている。
 理由のもう1つは、日本の原発輸出の最後の砦であった英原発新設事業の中断だ。日立の英原発新設事業は、英子会社「ホライズン社」を通じて、英中部アングルシー島で原発2基を建設するもの。総額3兆円を超える大型事業で、うち2兆円超を英国政府が融資し、残りの9千億円について、日立、英政府・企業、国内の大手電力会社や金融機関などが3000億円ずつ出資する計画だった。しかし、この国内の出資交渉が難航。中断を余儀なくされた。
 日立の「攻め」と「守り」を金融界は固唾をのんで見守っている。


 社長交代と社名変更で世界一に挑む日本製鉄

 新日鉄住金は4月1日付で進藤孝生社長が代表権を持つ会長に、橋本英二副社長が社長に昇格するトップ人事を決めた。同社は同日付で「日本製鉄」に社名変更し、新体制下で一段の国際競争力の強化と再編後のグループ経営を加速する。新日鉄住金としては五年ぶりのトップ交代で、橋本氏は文字通り新生・日本製鉄の初代社長として、中国勢の台頭で大きく勢力図が変わった世界の鉄鋼市場でその手腕を試される。
 社長交代を発表した1月10日の記者会見で、橋本氏は新生・日本製鉄が目指す方向性について、「総合力で世界ナンバーワンの鉄鋼メーカー」を基本方針に掲げた。新日鉄住金は2019年3月期にスタートした中期経営計画で、国際競争力の強化を主眼に据えた。橋本氏は同社の海外展開を推進するグローバル事業推進本部を統括する立場にあり、海外経験も豊富だ。
 新日本製鉄と住友金属工業が合併し、新日鉄住金が誕生して6年がたつ。この間、進藤体制下で日新製鋼、山陽特殊製鋼などのグループ企業の再編を進め、海外事業でも昨年はかつて新日鉄が買収の脅威にさらされた欧州アルセロール・ミタルと手を組み、インドの鉄鋼大手エッサール・スチールの買収に動くなど、グループ経営の強化、グローバル化の加速に取り組んできた。さらに、昨年5月に発表した中期計画で戦前の国策会社で新日鉄の源流に当たる日本製鉄の社名を69年ぶりに復活させることを決めた。
 その意味で、社名変更のタイミングに合わせる今回のトップ交代は、グループ基盤固めと人事刷新を図る歴史的な大きな転換点であり、「総合力で世界ナンバーワン」に挑む覚悟とも受け取れる。


 シャイアー買収の武田に待ち受ける大きなリスク

 武田薬品工業のアイルランド製薬会社・シャイアー買収手続きがすべて完了した。買収で武田薬品の売り上げは3兆4000億円を超え、世界大手製薬の仲間入りをする。だが、武田薬品を待ち受けるリスクは大きい。
 まず、6.2兆円に上る買収費用だ。3兆円は借り入れで、残る3兆円を捻出するため、中核事業以外の循環器や代謝領域、一般薬事業などを売却する方針だ。すでに次々に資産を整理し、目下の焦点は一般薬部門の売却。武田薬品の売値は5000億円以上ともいわれているが、OTC薬トップの大正製薬や第一三共ヘルスケア、あるいは外資系製薬会社が売り上げの三倍以上の値段で買ってくれるか不明だ。また医薬品でもシャイアーの特色は希少疾患薬と血症製剤だが、売り上げが大きい血友病治療薬では中外製薬とロシュが開発した「ヘムライブラ」が発売された。シャイアーの血友病薬は週に2回から3回の注射が必要だが、ヘムライブラは月1回の注射で済む。
 中でも最もリスクが高いのはアメリカ市場の動向だ。シャイアー買収後、武田薬品の国内医薬品シェアは現在の31%から18%に急落し、アメリカ市場が49%とほぼ半分を占める。ウェバー社長は「アメリカ市場で勝負する」と強調するが、トランプ大統領は正月早々の閣議で「間もなくものすごい薬価の下落を目にするだろう」と発言。薬価の大幅削減を予告している。しかも、議会では与党共和党内に高薬価維持に賛成する議員は1人もいない。そんな状況下のアメリカ市場で武田薬品が世界のビッグ10に留まれるか不安視されている。


 4月開業の注目ホテル「MUJI HOTEL」

 東京五輪を控えたホテル建設の中で、ひときわ火花を散らしているのが銀座だ。開業の先陣を切ったのが銀座朝日ビル跡地に立つ、外資のハイアット系ホテル。次いで、ニュートーキヨー跡地(場所は有楽町エリア)ではデベロッパーのヒューリックが自主運営するハイグレードビジネスホテル。そして今年四月四日、旧プランタン銀座裏手の、読売新聞社所有跡地にオープンするのが無印良品(運営は良品計画)が手がける「MUJI HOTEL」(ホテル運営は小田急電鉄グループの企業)だ。
 小売業では過去、ダイエーが福岡市でシーホークホテル、神戸市でオリエンタルホテルを、旧セゾングループがホテル西洋銀座、そしてインターコンチネンタルホテル買収などでホテル事業に進出したが、いずれも後に売却する結果になっている。一方、無印良品は食品、雑貨、衣料品、家具などのほか、別会社では住宅事業も手がける企業。ここがダイエーや旧セゾングループと違う点だ。
 ホテル内の照明や壁紙、ベッド、クローゼット、関連アメニティグッズなどは無印良品の商品アイテムでほぼ揃うし、ホテルの下層階に下りれば無印良品の大型店も備えている。MUJIの世界観を体験した宿泊者たちが、今度は実店舗で単品ごとに商品を手に取り、色みや手触りを実感しながら高い購買率につなげ、インバウンド客であれば、母国に帰国して口コミで無印良品の良さを伝播してもらう仕掛けだ。そういう意味で、「MUJI HOTEL」はほかの銀座エリアのホテル群とは一線を画したホテルになりそうだ。


 発症リスクの予測などビッグデータ活用開始

 医療のビッグデータを国民の健康に役立てようという試みが始まっている。すでに、国民生活基礎調査や人口動態統計、国勢調査といった国の調査で公になっているビッグデータの分析が行われており、将来、どんな病気が増えるかといった予測が出されている。それによると、日本では脳卒中と心臓病は減るが、糖尿病は現在の予想より増加するそうだ。
 さらに、個人の病気予想も可能になる。心筋梗塞や脳梗塞などは予期せぬ発作が起きて、手遅れになることが多い病気だが、ビッグデータを利用すれば、発作がどういった状態の時に起こるかが予測できる。
 ある医療機関では500人の患者を対象にして、気温や気圧などの環境、本人の血圧の測定データなどから、それぞれの患者に発作が起こるリスクを分析し、実際に予測に成功したという。また、6カ所の医療機関の患者8000人分のデータを集め、心臓のカテーテル治療のデータから、どんな医療機器を使い、どんな薬をどれだけ使うのが効果的かといった分析を行う試みも始まった。
 こういったデータが積み重なっていけば、それぞれの患者に最適な治療法や予防法が導き出せる。また、病気や発作の発症がいつ頃になるのか、症状の変化、入院期間も予測できる。さらに、医療費のレセプトのデータの分析から、重症患者の治療期間を医療費も含め、どの程度にするのが適切かもわかってくる。


 不起訴と移住を目論んだカミンスカス容疑者

 積水ハウスが55億円を詐取された地面師事件で、最も著名になったのがカミンスカス操容疑者。東南アジア系の顔立ちと、カミンスカスという姓から「外国人かハーフ」と思わせるのだが、純粋日本人で姓はリトアニア籍の夫人のもの。昨年10月に逮捕状が執行される直前、フィリピンに逃亡。しかし昨年末、フィリピン警察に身柄を拘束され、強制送還の末、1月11日に逮捕された。
 本人が周囲に語ったところでは、「取り分は7億円」ということだが、使い方は豪快だった。フィリピン人の前夫人と現夫人に、それぞれカネを渡して生活基盤を確立させたところで現地に帰し、自身は、お台場と浅草に2部屋の億ションを購入、連日の豪遊だった。「根城にしていたのは浅草のフィリピンパブと錦糸町の外国人パブ。一時プラントメーカーに勤め、海外赴任していたこともあり英語が得意。それもあって外国人好きで、両夫人ともパブで“調達”した」(地面師仲間)。
 そうして費消したカネ以外はユーロに換えていたという。それも高額の500ユーロ紙幣。日本円なら6万円強で持ち運びには最適だ。リトアニアに帰国した夫人には、そのユーロ紙幣で資産を託していたという。それは同国での生活基盤を築く布石だった。主犯格なのに、本人は不起訴の可能性があると信じていた。
「地主の料亭女将に成りすましていた羽毛田正美被告は、『自分も騙されていた』と主張しています。逮捕者16人の中の半分以上が不起訴。自分もその中に入れると思っています」(警視庁捜査関係者)
 リトアニアに自宅を購入、ユーロに換金していたのは、「将来、一緒に住むため」だったのだろう。しかし、積水ハウスとの交渉では羽毛田被告の横にいて「代理人」と称していたのがカミンスカス被告。罪を免れると考えるのは、あまりに虫がいい。


 千葉・暁星国際学園で教免法違反騒動

 千葉県の有名私立学校法人、暁星国際学園で、外国人教員の教育職員免許法違反が長年にわたって放置されているとして、県に対して住民監査請求が行われている。同校は一九八四年に木更津市に開校。外国語国際教育に力を入れていることで知られ、有名人の子弟も多い。
 住民監査請求書は、県は学園における外国人教員の教免法違反を二〇〇六年以降、放置していると主張。また、県は臨時免許(期間三年)について「やむを得ない」事由がある場合以外は継続申請を原則認めないとしているにもかかわらず、県教育委員会は三、四回と繰り返し交付している、などと指摘。免許制度の趣旨を逸脱するものだとしている。
 住民側によると、学園では、免許を取得していない外国人教員が単独で授業を行っている。学園は県に対しては、免許を保有している教員と共同で授業を行うように編成した時間割表を提出し、県が検査を実施した際にも、共同で授業を受け持っているかのように偽装して対応した。
 県は学園の偽装工作の実態を〇六年と一二年に把握していたとされる。また、学園では、免許を持つ外国人教員も、全員が臨時免許だった。暁星国際小学校の場合、臨時免許しか持たない教員が全体の過半数近くに上っている年もあったという。
 県はこうした問題について、抜き打ちの立ち入り検査を実施する権限はなく、実態を完全に把握するのは難しいと説明。時間割表の偽装についても、事実と認めることは困難としている。臨時免許の更新が繰り返されている問題に関しては、法令に従って交付しているとの立場だ。
 舞台となった学園側は、かつて高等学校で一教員が免許の更新を忘れていたことを県に指摘された事実はあるとしながらも、それ以降は教免法違反の事実はないとしている。
 県としては、監査委員会で徹底調査を行う必要があるのではないか。


 高精度の中国版GPSが地球規模のサービス開始

 中国版の全地球測位システム(GPS)「北斗」の基本システムが完成し、昨年暮れから地球規模のサービスを開始した。中国は米国のGPSに依存しないナビゲーションシステムの構築を目指しており、海外でも採用を働き掛けていく方針だ。
 北斗は2012年、アジア・太平洋地域で実用化。過去1年余りで19基の衛星を打ち上げ、サービス範囲を拡大している。当初はシルクロード経済圏構想「一帯一路」地域をカバーすることを目指し、20年に全世界カバーを実現する計画だったが、運用試験の結果、世界の95%以上と、ほとんどの地域で利用できる技術をすでに確立した。
 精度は、米GPS並みの誤差約10メートル。20年までにさらに11基の衛星を打ち上げて30基体制とし、精度も2倍以上に向上させる計画だ。米GPSの衛星は32機なので、それに匹敵するナビゲーションシステムとなる。
 北斗のうたい文句は「軍民共用のインフラ」。中国国内では携帯電話や自動車、船舶など民生用に北斗対応のシステムの搭載が広がっている。軍用としては、弾道ミサイルの目標位置の測定などが想定されている。
 米国のGPSももともとはミサイルの誘導など軍事用に開発されたシステムで、現在では主要な戦闘システムの大半がGPSからの信号に依存しているとされる。中国が独自のシステムを構築したことは、米国にとって脅威となる。
 中国は今年1月に、世界で初めて月の裏側に無人探査機を着陸させることに成功。今後も、火星探査や宇宙ステーションの建設など、安全保障能力の向上に加え、国威発揚を睨んだプロジェクトが控えている。さらに30年までに米国などと肩を並べる「宇宙強国」を目指す方針を宣言しており、米トランプ政権も「宇宙軍」の創設構想を打ち出すなど、宇宙空間における米中覇権争いは一段と激化している。


 米国が台湾支援強化大量の新型兵器供与へ

 ここにきてトランプ政権が台湾に大量の新型兵器を供与し始めている。「米中国交40年」を迎えたこの時期に、皮肉にも台湾に対して米国が強力な支援をすることを示したことになる。
 それと同時に米国はインド・太平洋地域との関係強化も進めている。日本、オーストラリア、東南アジア諸国との経済・政治関係強化、北朝鮮の非核化などもトランプ政権の重要目標になっている。この動きは米国内法「2018アジア再保障法案」成立に基づく。
 今後注目すべきは、トランプ大統領がアジア各国に対し経済・軍事関係強化を図る動きに出ること。その1つが台湾への新型兵器供与ということになる。米国上級官員の台湾への旅行を積極化する「台湾旅行法」もすでに議会を通過している。
 トランプ政権のアジア・太平洋地域政策がこれから大きく変化するのは確実とみられる。新型兵器の供与開始はその一部であろうし、新年早々の北朝鮮・金正恩委員長の北京訪問は、この動きに対する対策協議という側面があったと考えられる。


 転機迎える「一帯一路」東南アジアで警戒強まる

 ユーラシア大陸の国々を陸路と海路で結ぶ中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対し、起点に近い東南アジア諸国連合(ASEAN)で警戒感が強まっている。一帯一路の一環としてインフラ整備を進めながら、中国から融資された巨額資金の返済が滞り、見返りとして設備管理を中国に委ねざるを得ない国も出ている一方、中国の覇権主義が見え隠れする一帯一路と距離を置く動きもあり、習近平国家主席による最初の提唱から5年半を迎えようとしている構想は大きな転機を迎えている。
 東南アジアに近いスリランカでは、中国の支援を得て南部にハンバントタ港を建設したが、中国からの債務を返還できず、港の運営権を99年間にわたり中国企業に貸し出した。中国がインド洋進出の足掛かりとするため、港を軍事利用するとの見方も浮上している。カンボジアやラオスでも中国資本によるインフラ整備が着々と進むが、建設を担うのは中国企業で、労働者の多くは中国からの出稼ぎ者。地元の雇用拡大につながらず、国民の不満が募っている。
 シンガポール政府系シンクタンク、東南アジア研究所がASEAN加盟10カ国の政府当局者や学識経験者、財界人ら約1000人を対象に実施した世論調査によると、東南アジアに最も強い経済的影響力を持つ国として、73%が中国を挙げた一方で、「中国に対する持続不可能な債務を避けるため、一帯一路事業の交渉に当たり、各国政府は警戒を怠ってはならない」と答えた人が70%に達した。また、半数近くが「一帯一路により、ASEANは中国圏に引きずり込まれる」と回答。3割強が「一帯一路は透明性を欠く」と不信感を抱いている。
 東南アジア研究所は「ASEANでは、東南アジアを自分の思い通りにしようという野心を抱く中国は信用を失っている」と分析している。


 トランプ大統領が恐れるロシア疑惑の「真実」

 アメリカのトランプ大統領は身に迫る重大なロシア疑惑から国民の目をそらすため、メキシコとの国境の壁建設が重要という対立点をつくり、それが阻止されれば連邦政府の長期閉鎖もいとわないという戦術に出ており、現時点では過去最長期間の閉鎖が続いている。
 それほどまでに大統領が恐れるロシア疑惑の真実とは何かが、最近になり少しずつ司法省サイドから漏れてきている。
 これまでロシア疑惑とされてきたのは、前回の大統領選挙に絡んだロシアからの介入が焦点だったが、司法省内で最強のスタッフを集めたといわれるモラー特別検察チームは、真の疑惑はトランプ大統領自身がロシアのエージェントとして動いていたことではないかと追及し始めているのだ。
 2016年のモスクワでのトランプタワー建設構想で、ロシア側が意図的に難題を突き付けたことで交渉がまとまらず、その時点で建設許可と引き換えにトランプ氏および、その一族がロシアの利益となるように働くとの取引が生じたのではないかという疑惑だ。
 プーチン大統領はその後、トランプ氏とかなりの会談を重ねているが、すべてトランプ大統領がその会談内容を通訳から取り上げて、一切の内容を秘密にしていることからも、何かがおかしいと米国民も感じ始めているようだ。


 米次期大統領選に向け民主党は大混戦模様

 2020年の米国大統領選挙に向け、野党民主党では早くも予備選が事実上のスタートを切った。現時点で最有力の3人はバイデン前副大統領78歳、サンダーズ上院議員79歳、そしもう1人も72歳と老人ばかり。共和党から党籍を変更した富豪のブルームバーグ氏も予備選出馬準備中だ。
 一方、「老人はもう不要だ」とばかり、無名に近い新人も次々と名乗りを上げている。先の中間選挙では保守の地盤テキサス州の上院議員選挙でテッド・クルーズを追い上げたビトー・オローク下院議員がドングリの背比べながら頭1つのリード。鳴り物入りの記者会見だったのはリズ・ウォーレン上院議員で、党内過激派のリベラル女性を代弁する。続いてハワイからトゥルシー・ガバード下院議員(女性。37歳、才色兼備、しかもサモア出身)も名乗りを上げた。次にジュリアン・カストロ氏(ラテン系、元住宅省長官)、ギルブランド上院議員(女性、リベラル)らも戦列に。
 こうなると「人種の坩堝」の米国らしいが、賑やかな弁舌、派手な演出を伴うため全米のメディアは連日、お祭り騒ぎのように報じる。
 ところがここで衝撃的な動きが出た。最大票田のカリフォルニア州が従来の党員集会、コーカス方式をやめて「スーパーチューズデー」の党員投票に切り替える方針を決定。左翼のメッカでもあるカリフォルニアが予備選最初のアイオア州やニューハンプシャー州と同時に予備選となれば第1は資金、第2に極左リベラル候補が有利になる。民主党内の保守系には予備選を勝ち抜く可能性が低くなってしまうため選択肢が狭まりそうだ。


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