巻頭言
枝廣淳子の


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枝廣淳子
(幸せ経済社会研究所所長)





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プラスチック問題で
産業界・企業に期待

 この夏に立ち上げられた環境省の「プラスチック資源循環戦略小委員会」(以下「プラ戦略小委」)の委員を務めています。
 世界的に大きな問題となっている海洋プラスチック汚染に対処するため、この六月に開催された主要7カ国(G7)首脳会議で、「2030年までにすべてのプラスチックを再利用や回収可能なものにする」という「海洋プラスチック憲章」が採択されました。ところが、日本は米国とともに署名しなかったため、内外から大きな批判が向けられました。
 日本は来年6月に大阪で開催される20カ国・地域(G20)首脳会議の議長国を務めることになっています。海洋プラスチック汚染の議論をリードするためにも、日本ならではの考え方を示し、野心的なビジョンを策定しようと設けられたのがプラ戦略小委です。
 当初は「日本もレジ袋の店頭回収などをしていて遅れているわけではない」「経済界も3R(リデュース、リユース、リサイクル)に取り組んでいる」等の発言にも見られたように、この問題の深刻度と野心的なビジョンの必要性が共有されていないと思いました。
 しかし、この間、メディアが海洋プラスチック問題を取り上げるようになり、ストローをやめるなどの企業の取り組みも注目を集め、思った以上に産業界も足並みを揃えて、積極的に取り組む姿勢に転じたようです。
 10月19日に第3回プラ戦略小委に出された戦略素案は、政府案によくある「できることの積み上げ」ではなく、「あるべき姿」として野心的なビジョンを提示するもので、委員からも高い評価が寄せられました。
 この戦略素案を、海洋プラスチック憲章と比べてみても、それがよくわかります。
・2030年までにワンウェイのプラスチック(容器包装等)を累積で25%排出抑制(日本独自)
・2025年までにプラスチック製容器包装・製品のデザインを容器包装・製品の機能を確保することとの両立を図りつつ、技術的に分別容易かつリユース可能又はリサイクル可能なものとする。それが難しい場合にも、熱回収可能性を確実に担保する(海洋プラスチック憲章では2030年)
・2030年までにプラスチック製容器包装の六割をリサイクル又はリユースし、かつ、2035年までにすべての使用済プラスチックを熱回収も含め100%有効利用(海洋プラスチック憲章では、2030年に55%、100%は2040年)
・2030年までにプラスチックの再生利用を倍増(海洋プラスチック憲章では50%増)
・2030年までにバイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入(日本独自)
と海洋プラスチック憲章を超える目標を設定しようとしていることがわかります。
 そして、この目標を達成するための手段の1つとして、「レジ袋の有料化義務化」が打ち出されたのは、ご存じの通りです。
 私たちは「使い捨て」に支えられた便利なライフスタイルに慣れ親しんできました。レジ袋やビニール袋、食品用容器、包み紙、ストロー、プラスチックカップなどは多くの場合、無料でもらえるため、実はその陰に大きなコストや未来世代へのツケがあることに気がつかない人も多いようです。
 海洋プラスチック問題はレジ袋やストローにとどまるものではありません。便利で安価なゆえに、私たちの暮らしや経済活動のすみずみに行きわたっているプラスチックとの付き合い方をどう変えていけばよいのか? それが真の課題です。
 そして、世界各国の政府も産業界も、「海洋プラスチック問題」を次の競争優位性の戦場と認識し、技術革新を推進するなどの取り組みを進めています。日本の産業界・企業も負けずにがんばってほしいと願っています!
(幸せ経済社会研究所所長)


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