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元木昌彦(もときまさひこ)
編集者。1945年生まれ。「週刊現代」や「フライデー」の編集長として権力批判の誌面づくりを貫いた。メディア規制の動きに反対の論陣を張る。2006年11月、講談社を退社。オーマイニュース元社長。上智大学、明治学院大学、大正大学などで講師。インターネット報道協会代表理事。


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中野信子(なかののぶこ)
11975年東京都生まれ。1998年東京大学工学部応用化学科卒業。2008年同大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。同年から2010年までフランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に博士研究員として勤務。2013年、東日本国際大学客員教授。横浜市立大学客員准教授(2015年10月まで)。2015年、東日本国際大学特任教授に就任。著書に『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』(幻冬舎新書)、『脳はどこまでコントロールできるか?』(ベスト新書)、『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(文春新書、中野剛志、適菜収と共著)、『サイコパス』(文春新書)、『ヒトは「いじめ」をやめられない』(小学館新書)、『シャーデンフロイデ─他人を引きずり下ろす快感─』(幻冬舎新書)、『不倫』(文春新書)ほかがある。


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■元木昌彦のメディアを考える旅 250
今月の同行者/中野信子氏(脳科学者・東日本国際大学特任教授)


不倫糾弾は集団秘密警察化の現出
風通しのいい適度な個人主義が良い

■進化の過程で人類が選択した「生存戦略」や「社会的制裁」の謎――

 結婚する男は自分ひとりをずっと愛してくれるのか、浮気性なのかが、簡単な検査でわかるとしたら、あなたならやりますか? バレたら仕事も地位も家族や金も失うとわかっているのに不倫をやめられない人がいる。それは、不倫遺伝子が脳に組み込まれているからだそうだ。しかも、人間の半分は、男も女も、もともとそうした遺伝子を持って生まれているという。
 最近は、週刊誌の不倫報道で、人気タレントや政治家が世間の激しいバッシングを受け、テレビから干されたり、辞任せざるを得なくなるケースが増えている。なぜ、人は不倫する人間を許せないのだろう。
 そうした疑問に答えてくれる、ずばり『不倫』(文春新書)という本がベストセラーになっている。書いたのは、前著『サイコパス』(文春新書)もロングセラーとなっている、容姿端麗で超才媛の脳科学者、中野信子氏である。
 最新脳科学の知見をもとに、進化の過程で人類が選択した「生存戦略」や「社会的制裁」の謎について、聞きに行ってきた。

             ◇

元木 「不倫」の話に入る前に、いくつか教えていただきたいのですが、中野さんはフランスの研究所にいる時、MENSA(イギリスで創設された国際的グループ)という全人口のIQ上位2%しか入れないグループに入会していたそうですね。
中野 そうです。ちょっと仰々しいですけど(笑)。
元木 中野さんも東大卒ですけど、東大に入れる人は、生まれつき脳が違うと言われます。東大に入れる入れないというのは、絶対音感のように、持って生まれた才能なんですか。
中野 確かに、例えば私がウサイン・ボルトみたいに短距離がものすごく速く走れてオリンピックに出られるかと言ったら、出られませんよね。それは残念ながら才能に恵まれていないとしか言いようがない。もしかしたら私は多少、知能の部分は恵まれて生まれているかもしれませんが、やっぱり向き不向きがあるわけです。
 その人のそれぞれの適性があって、そこから外れたことでも、頑張れば頑張ったなりの満足感とか自信はできると思いますけれども、じゃあ、その能力をもともと持っている人並みに上げることができるかと言ったら、それは難しい。努力とはそういうものだと思います。
元木 私が親しくしてもらっていた立川談志という落語家の言葉に、「努力とはバカに与えた夢だ」っていうのがあります。
中野 正しいと思いますね。
元木 東大生は勉強をそれほどしない人が多いようですが、1度見ると、カメラで写したように脳にそれが画像として残るそうですね。そうした遺伝子を持っているかどうかは、調べればわかるんですか。
中野 忘れない能力を決める部分は、遺伝子にあるのですけれども、ある部分の遺伝子が1文字違うだけで変わってしまうんです。たった1文字の差なのですけれど、これでもし本当に将来が決まってしまうのだとしたら、そう遠くない将来には、遺伝子を書き換えるT操作Uが流行る時代が来るかもしれないですね。受験勉強をするよりそっちのほうが効果がある、ということになるかもしれません。

知力の影響は母親、体力の遺伝は父親

元木 頭のいい男と女が結婚したら、頭のいい子ができるんですか。
中野 これには性差があって、母親の学歴、母親の知性が、子どもの学力には効いてくるというデータがほとんどなのです。
元木 女の人の影響のほうが強い?
中野 大事ですね。父親のほうから遺伝するものは何かというと、体力とか、胃腸の丈夫さとか、情動が安定しているかどうかとか、感情面、性格的な面ですね。知力面ではあんまり父親のほうは重要ではない(笑)。
元木 私も、結婚する相手を間違えたような気がします(笑)。
中野 女性のほうが知性に影響を及ぼす率が高いというのは、動物実験でも確かめられています。大脳皮質の知性を司る領域の遺伝子はどっち由来かというと、メス由来だったりするのです。これは遺伝の複雑な仕組みで、遺伝子だけで決まるのですけれど、では、塩基配列だけで決まるかというと、そういうこともないのです。
 塩基配列で全部、設計図が書かれていると私たちは習ってきましたが、塩基配列がなされた時に、ここは読みなさい、ここは読まないでという指示が書き込まれるのです。その指示が、環境要因によって変わることがあって、そんなに頭が良くない遺伝子でも、環境によって頭が疑似的にいいように書き換わることがあるのです。
 読み取る位置が変わったということが、母親の胎内で受精前に起きている場合は、未産婦の学習がすごく大事で、未産婦の学習が適切に行われた場合には、子どもにもそれが移行します。ただ、孫の世代にまでは移行しないので、常に若い女性の教育が大事だということになります。
元木 やっぱり女性を教育すれば、全体の水準も上がるということですね。
中野 女の子の学びを重視する社会の教養の水準が高いということは、歴史学者たちも言っていると思うのですけど、生物学的にもサポートするデータがあるということです。
元木 ここで結論じみたことをお聞きしてしまうのですが、脳については中野さんを含めて、多くの方が研究して、いろいろわかってきたと思うんです。そこで、現時点で脳科学が発達して、何がどう変わってきたのか教えていただきたい。
中野 私は科学の子なので、科学は社会から切り離されるべきだと考えています。というのは、良い社会というのが定義できない。もし良い社会というものを誰かが恣意的に設定して、そこに向かって引っ張っていこうとする時、それに従わない人を科学はいとも簡単に振り捨てることができます。こういう全体主義的な流れを私はいいとは思わないのです。科学はどちらかといえば、政治とは別個のものであるべきだというのが基本的な考えなのです。
(以下、本誌をご覧ください)
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