ダミー
ダミー

←10月号へ                                       12月号へ→

 野党間の対立を見透かした安倍政権に「改憲への秘策」

 来夏の参院選で選挙協力を実現すれば、安倍晋三首相を退陣に追い込める──。野党各党が早くも勢いづいている。安倍首相が森友、加計の疑惑を引きずっているうえ、得意と喧伝してきた外交でも得点を稼げないでいるためだ。
 犬猿の仲と見られがちな国民民主、共産両党の軋轢はとうに解消されている。共産党の理論政治誌『前衛』11月号は、巻頭企画で野党四党の国対委員長の対談を掲載。そこに国民民主党の平野博文幹事長がメッセージを寄せ、旧民進党の国対委員長を務めた経験を振り返って「特に、(共産党の)穀田(恵二国対)委員長とは波長が合っていた」と強調している。
 両党の急接近は、野党第1党の立憲民主党が自らの勢力拡大に執着して共闘に後ろ向きでいることに業を煮やしてのことだった。障害はいまや、立憲民主党が「参院の複数区のすべてに原則として候補者を擁立する」との方針を掲げていることに絞られた。
 2人区の茨城、静岡、広島の各選挙区では国民民主党の現職議員が改選を迎える。ここに立憲民主党が新たな候補を立てるのでは、1人区の協力まで空中分解する。対抗意識が高じるばかりでなく、安倍政権もマスコミも両党の足並みの乱れを喧伝するだろう。
 それでも立憲民主党が強気の目標を掲げるのは、支持率が相対的に高いことを背景に、いずれ国民民主党の議員の多くが離党し、合流を望んでくると思い込んでいたためだ。しかし、ここにきて支持率は急落し、昨年の総選挙前後の勢いはない。
 支持団体の連合は危機感を深め、両党との間で連携を確認する文書を交わし、政策協定を交わしたいとしている。だが、候補者の調整にまで踏み込めないでいる。野党共闘の中核を期待される陣営が、対立含みのままだ。
 これを見透かしたかのように、安倍首相が秘策をめぐらせている。「緊急事態条項」を改憲の主要テーマに据えることだ。改憲を宿願として九条改憲を提唱してきたが、本音はレジェンドにしたい。内容に強いこだわりがあるわけではない。9条改憲に公明党が強く反対していることも背景にある。特に期待しているのは野党の分断だ。緊急事態条項なら賛成する野党議員は少なくない。
 しかし、緊急事態条項は大災害時に国会が機能しない場合、内閣に権限を集中して、法律に代わる権限を持つ政令を制定できる内容。国会議員の任期延長も盛り込まれ、時の政権の永続化の恐れと背中合わせだ。


 小泉進次郎議員が講演で多様な価値観重視を披露

 甘いマスクと軽妙な話術で、自民党若手議員の中でナンバー1の人気者、小泉進次郎衆院議員が10月7日、全日本病院学会で講演、会場は女性を中心に大変な熱気に包まれた。全日病協会は全国の中小病院経営者らで作る組織で、年1回学会を開催、今年は節目の60回目で開会式には高円宮承子さまも臨席された。
 進次郎氏の講演とその後の全日病協会長、副会長との鼎談は病院関係者らの聴衆があふれて急きょ第2会場を設け、テレビ放映される事態になった。進次郎氏が会場入りすると、椅子に座っていた人たちが取り囲み、握手攻めとスマホ撮りでなかなか前に進めず、登壇が大幅に遅れた。
 まず「人生100年時代の社会保障について」のテーマで約30分講演。そして、「これからの社会保障制度改革は、国が1本のレールを提示するのではなく、多様な生き方が可能になる社会改革だ」と持論を展開した。
 鼎談に移ると、どんな女性が好きか、と問われ、父(純一郎元首相)と叔父との会話を紹介した。「子どものころから2人のやり取りを聞いていた。親父が兄の孝太郎(俳優)や僕に『いいか、結婚はよく考えてゆっくりやれ』と言うと、叔父は『結婚に失敗した人の言うことなんぞ聞かないほうがいい』と返す。今、親父も孝太郎も僕も全員独身です。なかなかないですよね」と笑いを取る。
 そして最近会ったニュージーランドの女性首相、アーデンさんと1歳しか違わず、彼女が事実婚であることを紹介したうえで「ニュージーランドみたいに日本もいつか柔軟な時が来たらいいなと思う。日本の出生率低下を晩婚の権化みたいな小泉進次郎が言うな、と言われるかもしれないが、1人ひとりいろんな形がある。将来、日本もそうなったら、僕にもチャンスがある」と落とした。質問の核心をうまくはぐらかしたのは、圧倒的に女性ファンが多いことを意識したせいなのか。
 また、どんな日本にしたいか、と問われると「米国に3年間住んで、日本は本当に素晴らしい国だと思った。親父は僕の小学生の頃『日本にいたら日本のことが分からない』と言っていた。ただ、日本は『右向け右』とだれかが言うと、みんながそっちへ行く。僕はそれが好きでない。それがイノベーションを阻害している。『Be the difference(違っていい)』。そうした違いを強みに変えられる国にしたい」と答えた。多様な価値観の受容が進次郎氏のキーワードらしい。


 「改良費用1兆円」が露見、辺野古新基地は軟弱地盤

 今年3月、辺野古新基地に反対する「沖縄平和市民連絡会」の北上田毅氏が情報公開請求で、沖縄防衛局の地質調査結果の報告書を入手した。報告書には大浦湾に面した埋め立て予定地の海底が「軟弱地盤」とあり、「当初想定されていないような特徴的な地形・地質」「非常に緩い・軟らかい」との記述があった。地盤強度を示す「N値」は、なんとゼロ。強度を測る用具(重り、試験杭)を置けば、ズブズブ沈むほどの値である。北上田氏は「マヨネーズの上にモノを置くような状態」と説明する。
 埋め立て工事は、まず捨て石を基礎に厚く敷き詰めてから、その上に最大で7000トン以上にもなる巨大なコンクリートの函「ケーソン」を設置する。もちろん防衛省は軟弱地盤の上に基地を建設することは想定しておらず、ケーソンを設置する前に大規模な地盤改良工事が必要になる。北上田氏は「地盤改良には多額の費用がかかり、環境にも致命的な影響が出る」と指摘する。
 現状で見積もられる工事費は約3500億円。これは軟弱地盤が判明する前の試算にすぎない。辺野古新基地では海底に何本もの鉄柱を深く打ち込む工事が必要となり、防衛省幹部は「工事にいくらかかるか分からない」と言う。沖縄では6000億円とも1兆円ともささやかれ、県内外の建設業者も注目する。
 だが、先の沖縄県知事選で「辺野古移設反対」を訴えた玉城デニー氏が過去最多の得票で当選したばかり。沖縄の民意、そして高騰する建設費を考えれば、ここはまず、辺野古移設を見直すのが筋だろう。


 総裁選で善戦しても不協和音絶えない石破派

 9月の自民党総裁選で、石破派(20人)を率いる石破茂元幹事長が善戦したのは事実だ。党員による地方票では181票を獲得。得票率は45%と、安倍氏に10ポイント差まで迫った。この結果に石破氏自身は周囲に対して「3年後の総裁選までひたすら地方回り、ポスト安倍としてアピールするだけだ」と意気揚々と語っている。
 しかし、石破派内の高揚感はあまり高まっていない。特に改憲論議では、石破氏が主張する戦力不保持と交戦権を否定した憲法9条2項の削除論に関して、派内でも本音で同調している人はわずか。また派内には経済政策で、財政規律重視よりも金融緩和路線を志向する強硬な「リフレ派」も少なくない。そうした議員たちは石破氏が消費税増税に前向きなことに、強い不満を抱いている。
 派内には、総裁選で石破氏が「大敗」して、安倍後継争いから脱落することを想定し、水面下で総裁選後の竹下派への移籍、合流を模索していた議員もいた。しかし、党員票で善戦したことで、石破氏はとりあえず求心力を維持したと言える。
 こうした状況になり、石破氏としてもポスト安倍の有力候補であることをアピールするために、当面は来年春の統一地方選や夏の参院選に向けて地方行脚を精力的に行う考えだ。そんな石破派内の議員たちは当面、石破氏を支えていくしかない。ただ、石破派幹部の1人は「石破氏が総裁選で健闘したから、当面は義理もあるから石破氏支持を続ける。だが、石破氏が世論の支持を失い、ポスト安倍候補から脱落したら、石破派は解消だな」との本音を漏らす。


 役者不足の公明党は早くも山口代表7選の声

 山口那津男代表(66)が無投票で六選された9月の公明党代表選。注目された執行部人事では、支持母体・創価学会とのパイプ役である幹事長の井上義久氏(71)が副代表に退いたものの、後任には山口氏と同世代の斉藤鉄夫氏(66)が就任。「ポスト山口」を見据えた中堅・若手の要職への抜擢もなかった。
 今回の代表選では、創価学会婦人部で絶大な人気を誇る山口氏の6選は早い段階で既定路線となり、焦点は2年後をにらみ、世代交代がどこまで進むかだった。しかし、蓋を開ければわずかに世代交代が進んだ程度。国対委員長に高木陽介氏(58)、選対委員長に佐藤茂樹氏(59)がそれぞれ起用されたが、支持母体の「受け」という面から、代表候補との声はほとんど聞かれない。国土交通相に留任した石井啓一氏(60)はキャリア的には次期代表の有資格者だが、地味なのが難点。政調会長続投の石田祝稔氏(67)は年齢的に、次の代表はあり得ない。
 こうした党役員の顔ぶれや、政治状況から次の代表選を占うと、自ずと山口代表が本命として浮かび上がる。任期終了の2020年9月の時点で、衆院議員の残り任期は約1年だ。選挙準備の期間を考えると、創価学会婦人部の人気が絶大の山口代表を交代させるにはリスクがあり、創価学会内で「山口7選」の声が広がる可能性は高い。首相の交代、衆院選を経て、22年9月に党の顔を代えるのが無難と考えられるからだ。
 もちろん、公明党が昨年10月の衆院選に引き続き、来年4月の統一地方選や同年夏の参院選でも敗北すれば、創価学会内で山口代表の交代論が噴出する可能性はあるが、現時点では「ポスト山口」が混沌としていることだけは間違いない。


 主力銀3行が東芝の債務者区分引き上げ

 東芝の主力取引銀行である三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行は、これまで要注意先に分類していた東芝の債務者区分を正常先に引き上げる。「自力増資に続き半導体事業・東芝メモリの売却も計画通りに完了し、東芝の財務内容が改善したことに伴う措置」(関係者)と説明される。
 東芝は不正会計問題や米原発・ウェスチングハウスの巨額損失が表面化し、2017年3月期に債務超過に陥る懸念が生じた。このため取引銀行は東芝の債務者区分を正常先から1ランク下の要注意先に引き下げ、巨額な貸倒引当金を計上した。その額は主力3行など大手五銀行グループで計2200億円に及んだ。
 一方、東芝に対する取引銀行の融資総額は約4600億円(今年6月末)、うち主力3行で残高の45%を占める。残る55%は大手銀行や地域銀行、系統金融機関などが融資している。
 主力3行が東芝の債務者区分を正常先に引き上げることで他の取引金融機関も追随する見込みだが、この動きは東芝のためというより、銀行の懐具合を勘案しての措置という見方が少なくない。特に9月期決算を控え、苦しい収益環境に喘ぐ地域金融機関への飴玉という声も聞かれる。「貸倒引当金が不要となり、この9月期決算で巨額な戻り益が生じる」(関係者)とみられているためだ。
 だが、東芝に対する市場の見方は依然として厳しい。財務内容が改善し、自己資本比率も6月末で38%にまで戻したものの、「東芝メモリの売却で得た1兆円の利益のうち7000億円規模は自社株買いに回り、19年3月期には復配する意向を示している。将来の成長に向けた投資に回る資金はそう多くない」(市場関係者)と指摘される。
 東芝は10月1日に会社のロゴを刷新し、11月に中期経営計画「ネクストプラン」を発表する予定である。新生東芝の今後に注目が集まるが、その戦略は社会インフラやエネルギーなどのコア事業にビッグデータ解析を盛り込んだ事業変革となるとみられている。4月にデジタルトランスフォーメーション戦略統括部を新設し、7月に日本IBMの元技術理事の山本宏氏、10月1日には独シーメンス日本法人専務執行役員の島田太郎氏をそれぞれ招聘したのはその布石にほかならない。だが、本当の意味での再建はまさにこれからが本番となる。


 キヤノン、ニコン参戦でミラーレス市場が過熱化

 この秋、デジタルカメラをめぐる話題は、ミラーレス一眼レフカメラ一色に染まった。世界の高級一眼レフ市場をほぼ独占するキヤノン、ニコンの「2強」がほぼ同時期にミラーレス一眼に本格参戦したからだ。 投入したのはそれぞれフルサイズと呼ばれるプロ、マニア向けの高級モデルで、2強に続いてパナソニック、富士フイルムも来年の市場投入を表明し、減退するデジカメ市場で高級ミラーレスが一躍、注目の的となった。
 日本勢のそろい踏みでソニーが「α7」で独占してきたこの市場は日本メーカーの牙城で、日本勢同士の熱い市場争奪戦が繰り広げられるのは必至だ。同時に、市場拡大への期待も高まる。
 2強はミラーレス一眼で入門モデルを既に投入してきたものの、高級分野での本格展開に慎重な姿勢を崩してこなかった。従来の高級一眼レフの市場侵食を恐れたのがその一因だった。しかし、一眼レフ市場が縮小基調をたどり、高い成長が見込めるミラーレス一眼を無視できなくなったのだ。とりわけ先行するソニーのミラーレス一眼は高級モデルで四割強の圧倒的なシェアを握り、近年はプロ向け市場にも食い込んできた。その意味で、2強の本格展開はプロ市場を独占してきた意地と、さらにはカメラ事業の成長力を取り戻したい狙いから、一眼レフ市場の侵食をも覚悟した本気度がうかがえる。
 実際、キヤノンの真栄田雅也社長は10月下旬に発売した「EOS R」の発表の際、ミラーレス一眼の本格参入を「これから30年先とその先を見据えた」と強調し、「一眼レフとの食い合いは起こり得る」とカニバリング(共食い)への覚悟も示した。同社はカメラ事業に当たるイメージングシステム事業の低迷から2018年12月期通期の営業利益見通しを下方修正しており、ミラーレス一眼の本格展開で巻き返しを図る。
 ニコンも9月下旬に発売した「ニコン Z7」の発表に当たり、牛田一雄社長は「光学技術と映像表現の知見の結晶」とミラーレスカメラ本格展開に自信をみせた。後発となるパナソニック、富士フイルムは9月にドイツで開かれた国際見本市「フォトキナ」で、それぞれ来年前半までに発売するミラーレス一眼の高級新モデルを披露し、手ぐすねを引く。
 ソニーが先行者利益を保てるか、一眼レフで培ったレンズ資産を武器に2強がこれを切り崩せるか。さらに、後発2社も入り交じり、世界出荷台数で一眼レフを逆転するとの見通しもある高級ミラーレス一眼をめぐる日本勢同士の戦いの幕が切って落とされた。


 日本国民の年金はGAFA次第で浮き沈み

 「GAFA」が世界の株式市場を席捲している。GAFAとは、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社の頭文字をつなげた造語だ。
 GAFAは、検索エンジンや交流サイト(SNS)、電子商取引(EC)などから生じる膨大なデータを握る「プラットフォーマー」たちである。その時価総額は3兆4200億ドルに及び、米株式市場における占有率は、過去10年で5倍強に拡大し、足下では13%(S&P500ベース)を超える。アマゾンの時価総額はこの1年で2倍以上に上昇し、アップルも五割高となっている。
 こうしたGAFAの時価総額上昇は、我が国の社会保障にも影響を及ぼしている。160兆円を超える我が国の公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の成果だ。GPIFが発表した今年4〜6月期の運用成果は、期間収益が2兆6227億円の黒字。黒字を牽引したのは外国株、特に米国株の寄与度は非常に高かった。
 その外国株において市場占有率が最も高いGAFA株の保有についても、GPIFは存在感を高めている。GPIFはアップルの発行済み株式数の約0.9%、アマゾンの約0.8%の株式を保有している。いわば、米国株式市場に日本の年金は支えられており、なかでもGAFA株の動向に左右される構図と言っていい。どこまでGAFAの株高は続くのか、米国株が乱高下する中、一抹の不安を覚える。


 若者の旅離れに星野リゾートが起死回生策

 訪日外国人の日本での観光が盛り上がる一方、日本人の国内観光は、特に若年層が減少している。たとえば20歳から34歳までの男性で見ると、この10年で旅行参加率は約10%減少。この数字に同業他社以上に危機感を持っているのが、星野リゾートの星野佳路社長だ。
 星野リゾートでは来年2月、本拠地ともいえる軽井沢で、宿泊価格をお手頃に設定した若年層向け施設「BEB」を開業させる。ホテルの中心に広いテラスを設け、テラス内では食べ物を持ち込んでも、パジャマ姿で寝転がってもよし、さらに楽器演奏などもOK、寝坊してチェックアウトに遅れてもお咎めなしと、かなり型破りなサービス設計になっている。要は、若年層のライフスタイルや嗜好を最大限取り入れた施設なのだ。
 そこまで星野社長が危機意識を持つのは、単に若者の「旅離れ」だけとは考えていないからだろう。ほかにも、若年層は「クルマ離れ」や「ビール離れ」が叫ばれて久しいが、身近に当世事情をヒアリングできる人物がいる。クルマについていえば、同社長の夫人は日産自動車で専務執行役員を務める星野朝子氏。一方でビールについても、星野社長と同様、米国コーネル大学に留学経験がある縁から、キリンホールディングスの磯崎功典社長とも親しい間柄。星野リゾート傘下だったクラフトビールを手がけるヤッホーブルーイングをキリンに譲渡したのもその縁からなのだ。
 つまり、旅、クルマ、ビールと若年層が縁遠くなっている状況について、星野社長はすべて情報を持っている。それでもなかなか有効な手立てがないのが実情だが、来年の軽井沢での新施設の試みの成否がどうなるか、注目される。


 金融庁が懸念する国内金融システム不安

 株式市場に「オクトーバーエフェクト(10月の株安)」という格言がある。この格言の由来は、1929年の世界恐慌と1987年のブラックマンデーにあり、いずれも10月に米株式市場の暴落が起こり、世界的な市場の混乱を引き起こした。
 この「オクトーバーエフェクト」が今、再び株式市場で懸念され始めている。10月10日、米株式市場が暴落、ダウ工業株30種平均は前日比831ドル安に落ち込み、11日の東証・日経平均株価は915円も下げた。その後も株式市場は乱高下を続けており、世界的な市場の波乱要因となっている。
 こうした世界的な市場の変調で懸念されるのが日本の地域金融機関への影響だ。マイナス金利政策などの影響で利ザヤの縮小に苦慮している地域金融機関は、打開策として証券投資に傾斜している。「高リスクな米国のハイイールド債や仕組債を大量に購入している地域金融機関も少なくない」(市場関係者)という。
 9月中旬、金融庁幹部は地域金融機関の経営陣に対して次のように注意を促した。
「今後の米国の金利上昇あるいは地政学的な問題を含め、新興国に対するセンチメント(市場心理)が悪化する可能性があり、注意が必要になってくる。新興国への融資等のほか、取引先企業が新興国に拠点がある、あるいは新興国への売上依存度が高いといったケースもあろう。さらに販売している投資信託に新興国のリスクにリンクした商品もあるのではないか。想定されるリスクを洗い出し、万が一問題が起きた場合の対応を構築していくことが重要だ」
 金融庁は、市場の混乱が金融システム不安につながりかねないと懸念しているようだ。


 中国製スパイ機器問題がSBの5G戦略に飛び火

 アップルやアマゾン・ドット・コムなど約30の米企業が、中国製の特殊な半導体が組み込まれたサーバーを経由して情報流出の脅威にさらされていた可能性が出てきた、と米ブルームバーグ通信など同国内のメディアが一斉に報じた。
 中国政府が米国向けハード機器に「スパイ」を埋め込んだとして米国では大きな問題となっており、当局は確認に追われている。事実であれば米中貿易摩擦以外に安全保障問題にも発展することは必至だが、思わぬ余波が日本にも押し寄せている。
 報道によると同半導体が入ったサーバーはそこに連なるあらゆる情報網へのハッカーによるアクセスを可能にしてしまうという。サーバーを使う米企業の知的財産や機密情報を中国政府が盗み出せる状態になっていたとしている。
 この問題で困惑しているのがソフトバンクだ。現在、同社は5G通信のサービス開始に向け、通信設備などの納入業者の選定を行っている。
ソフトバンクは中国のアリババなど、中国企業との関わりが深く、通信設備ではファーウェイなどの設備の購入を検討しているとされる。ファーウェイ製の通信設備を採用した際に、情報流出につながる「スパイ半導体」が同社製の通信機器に搭載されていた場合の被害は甚大だ。
 中国製のハードのメリットは欧米や日本製よりも安価なこと。ソフトバンクとつながりが深い中国製機器が米国への配慮などから使用禁止になると、「同社の競争力が大いに損なわれる原因となる」(大手証券アナリスト)との指摘もある。


 日薬連盟でパワハラ騒動、会費納付拒否の動きも

 レスリングから始まったセクハラ、パワハラ騒ぎはスポーツ界、テレビ界、さらに財務省トップまで次々に表面化したが、今度は日本薬剤師会の政治団体「日本薬剤師連盟」でトップによるセクハラ・パワハラ疑惑が明るみに出た。
 被害を告発したのは日薬連盟の手塚幹子元副幹事長(64)。上司である岩本研幹事長によるハラスメント行為を薬剤師会会長でもある山本信夫日薬連盟会長に訴えたが、「個人的な問題」と取り上げてくれなかったことから東京地裁に提訴した。
 手塚元副幹事長は東京・葛飾区の薬局経営者で、地元の選挙活動が評価され日薬連盟の副幹事長に抜擢された人物。16年の参議院選挙では日薬連盟が推す厚生労働省出身の藤井基之参議院議員の当選に貢献した。
 ところが、14年に副幹事長に抜擢された直後から岩本幹事長によるハラスメントが始まり、17年に退任するまで続いたという。手塚氏によれば、「髪の毛を切れ」「たばこをやめろ」といった個人的嗜好に対する嫌がらせから始まり、「女性に対する下品な言葉」や「屈辱的な暴言」を投げつけられ、ストレスから重度の帯状疱疹やパニック障害を発症、数度の休職に追い込まれたという。
 今後は法廷で争われることになるが、診療報酬改定で調剤報酬を削られ、指導力を問われている最中に起こった幹部のスキャンダルに神奈川県藤沢市の薬剤師連盟が「ガバナンスが欠如している」として日薬連盟に上納する会費の納付を拒否。同様の動きが各地の薬剤師会に飛び火しそうで、日薬連盟、日本薬剤師会は足元から揺らいでいる。


 インサイダー疑惑の裏に薬物や女性タレントの影

 東京証券取引所上場の売上高30億円規模の不動産関連企業が、役員のインサイダー取引疑惑で証券取引等監視委員会の調査を受けている。
 株価操縦やインサイダー取引の疑惑は証券市場につきものだが、今回は、当該の役員が万事派手で、著名人であること。また、かねて薬物疑惑が指摘され、警視庁組織犯罪対策五課、厚労省麻薬取締部などが重大な関心を寄せる人物であること。さらに、テレビ番組やCMに顔を出す大物女性タレントが、その人物の愛人と噂されるなど話題豊富で、情報通の間で話題になっている。
「インサイダー取引の摘発はきっかけにすぎず、むしろ付け足し。クスリに大物女性タレントと、それ以外の話題性のほうが大きい。すでに張り込みでツーショット写真などを狙っている週刊誌もある」(芸能関係者)
 確かに株価は異様だ。業績は2期連続の右肩下がりで減収減益が続き、直近の決算では、営業利益、経常利益とも赤字に転落した。しかし株価
は逆に急騰。1年前の昨年10月頃は100円台に低迷していたのに、年初から急騰を続け、2月頃には700円を突破、8月の段階でも800円を維持していた。調査のきっかけは、仕手戦に相応しく“仲間割れ”だという。
「業績下降の中で株価を上げるわけですから、相当な力技が必要です。首謀者格の役員は報酬も約束して株を買わせていた。そのおかげで急騰したのに約束のカネを支払わない。そこで証券監視委の調査に協力する仕手仲間が出てきたのです」(事情を知る証券関係者)
 インサイダー取引が引き金となり、クスリや女性タレント問題にまで発展したら、大騒動となるのは必至だ。


 安倍政権の改憲に影響? 神社本庁内紛の行方

 内紛が続く神社本庁で、象徴的存在の統理と実質的なトップの総長が、反目する事態に発展している。機関誌の『神社新報』(10月22日付)に登場した鷹司尚武統理は、「いずれ然るべき時期に、(田中恆清総長の)辞表の提出があるものと思う」と、踏み込んだ発言をしている。全国8万の神社、2万人の神職を傘下に治める神社本庁で何が起きているのか。
 神社本庁が内紛状態になったのは、職員宿舎の安値売却問題を追及していた総合研究部長の稲貴夫部長を17年8月、懲戒解雇したことがきっかけだった。稲氏は、同じ問題で降格処分を受けた瀬尾芳也氏とともに、同年10月、処分の無効確認を求めて提訴。それを機に、神社本庁を10数年にわたって牛耳ってきた田中総長と、その右腕の打田文博・神道政治連盟会長への不満が噴出、多くのメディアも取り上げるようになった。
 メディアがこの問題に関心を寄せるのは、田中総長が安倍政権が取り組む憲法改正を支援する日本会議の副会長であることや、打田氏も神社本庁の政治団体である神道政治連盟を率いて元号法制化など保守改革運動に努めてきたからだ。安倍3選で右派勢力の宿願である改憲の動きが活発化するなか、運動の中核である神社本庁が揺らぐのはニュースだ。
 9月11日の役員会で田中氏は「これ以上の批判は耐えられない。私は、今日限りで総長を降りる」と、タンカを切ったものの、10月3日には田中派の顧問・長老を集めた臨時役員会を開き、「今後も職務を全うしたい」と前言を撤回。そこで統理は、改めて機関誌で田中氏を批判、事実上の引退勧告をしたわけだ。田中氏が、その意向を無視してこのまま総長に居座るか否かに注目が集まる。


 日本専門医機構への補助金の一部が行方不明

 「専門医」の認定を行う一般社団法人「日本専門医機構」(14年度設立)で、厚生労働省から「専門医認定支援事業」として支給されている補助金の一部が行方不明になっている。
 今回、露呈した行方不明金は厚労省が専門医データベース作成費用として4年間に支給された2億8000万円の補助金の一部。機構の決算書の「受取補助金」額が厚労省に記録されている補助金額より、2015年度と16年度合計で461万円少なかったのだ。機構側では「補助金は機構の銀行口座に振り込まれる。決算数字は機構にある銀行預金通帳の金額で、間違いはないはず」という。が、単なる記載間違いでないなら、機構の銀行預金通帳がもう1つあって、二重帳簿だったのではないかという疑惑も残る。
 ある医療業界通がいう。
「実は、機構設立時から事務局長を務めていた人物が1昨年の年末に突然、退職。後任の事務局長代行は引き継ぎもなく、残されていた預金通帳の金額で決算書を作成したというのです。だが、かつて自治医大で医師派遣の見返りに病院から金銭を受け取っていた事件が発覚。二重帳簿の存在が内部告発されたことがある。前事務局長は当時、自治医大の庶務係長で関連団体に異動しただけに疑惑が感じられる」
 というのも、専門医機構では今春、理事会議事録などの内部資料が大量に流出する事件が起こり、役員全員が交代したばかりで「自治医大事件のときと似ている」という声もある。不祥事続きでは専門医機構が認定する新専門医の信頼が揺らぎそうだ。


 ようやくNHKが受信料値下げを表明

 NHKが受信料の値下げをようやく表明した。受信料収入が増勢を続けていながらあれやこれやと理由をつけて先送りしてきたが、政府や民放界の肥大化批判に渋々応じることになった。とはいえ、下げ幅は月額で「数十円」といわれ、視聴者が満足するとはとても思えない。
 NHKの受信料収入は、2017年度に6913億円と過去最高を記録、徴収率も80%を超えた。追い風となったのは、17年12月の最高裁判決。NHKが受信契約の締結を拒んだ視聴者に支払いを求めた訴訟で、テレビの所有者にNHKとの受信契約を強制する放送法の規定を「合憲」とする初めての判断を示し、テレビ設置時に遡って受信料を徴収できることになった。これを受けて、18年度の受信契約数は、半年で目標を達成するハイペースで増えているという。
 NHKが受信料値下げに踏み切ったのは、放送と同時に番組をネットに配信する「常時同時配信」の悲願実現のためには、値下げが避けて通れなくなったからだ。総務省の有識者会議が7月、「常時同時配信」を容認する条件として値下げを求めたためで、当初は「2年後までに方向性を示す」と応じていたが、9月末の有識者会議で「遅いし、具体的でない」と批判が集中、石田真敏総務大臣も呼応し、NHKは進退窮まった。
値下げが実現すれば、月額120円下げた12年秋に続いて2回目。だが、実施時期も値下げ幅も未定で、大騒動の末の値下げにもかかわらず「数十円」程度の小規模にとどまるとの見方も出ている。


 期待される医療IT化「AIホスピタル構想」

 今後ますます深刻化する労働力不足をIT化で解消しようという試みが医療界で始まっている。
 この秋から動き出した内閣府の「AI(人工知能)ホスピタル構想」(AIホスピタルによる高度診断・治療システム)は、AIなどを駆使して、医師の負担を減らし医療ミスなどを防ぐことで、患者にとってより良い医療を提供しようというプロジェクトだ。2022年までに、モデル病院をつくることを目指している。
 AI活用はすでに、検査や診断で有効性が実証されているが、これが全面的に導入されれば、人為的な検査ミスや診断ミスを減らすことができるだけでなく、病理医や読影の専門医不足をカバーでき、正確な検査や診断が可能だ。
 新しい活用法として注目されているのが、AIによるカルテの作成。医師はカルテの作成を義務付けられており、患者の診療中にカルテを記入することが多いため、モニター画面やキーボード操作に注意が向き、患者の方を見ていないという批判も起きている。これを解消するため、AIに音声認識をさせ、医師と患者の会話を正確に聞き取り、文字化してカルテを作成するわけだ。
 また、大腸などの内視鏡検査にもAI活用が期待されている。胃と比べ細くて曲がりくねっている腸管は操作が難しく時間がかかるが、AIがそれを解消してくれる。さらに、患者の体調管理もしやすくなる。AIと患者のスマホをつなげることで、常時、血圧や血糖値、心拍数などを把握し、異常を察知することが可能だ。心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病の悪化などを事前に防ぐこともできる。
 世界初といわれている「AIホスピタル構想」の成否は、将来の日本医療の命運を決めるかもしれない。


 EUが北太平洋でのサバ漁に参入の意向

 北太平洋でのサバ漁に、欧州連合(EU)が参入してくる可能性が出てきた。ただそのためには日本や中国、ロシアなど8カ国・地域で構成する北太平洋漁業委員会(NPFC)に加盟する必要があり、まだ課題も残されている。
 NPFCには韓国、台湾、バヌアツ、米国、カナダも加盟。ほぼ北緯20度以北の北太平洋の公海を対象に、サバのほかサンマ、クサカリツボダイなどの漁業資源の保存・管理を行っている。EUは今年7月に東京で開かれたNPFC年次会合にオブザーバーとして参加、正式加盟の意向を表明した。
 欧州では北海でのサバの漁獲高をめぐって、一部EU加盟国とアイスランドの間で「サバ戦争」と呼ばれる外交問題が起きるほどで、北部の国を中心にサバの人気は高い。
 一方、EUの漁業事業団体ユーロペッシュによると、現在、ドイツ、リトアニア、ポーランド、オランダの漁船が南太平洋でアジ漁をしており、アジの漁期以外の時期にも漁船を活用するため、北太平洋でもサバ漁に参入したい考えだ。
 NPFC設立条約上、新規加盟に向けては具体的な操業計画を提出し、それを現メンバー国・地域が承認する必要がある。来年7月に再び東京で開催される次回年次会合では、EUの加盟問題が主要議題の1つになるとみられる。
 NPFC加盟国・地域の中では、現在日本、中国、ロシアの3カ国がサバ漁を行っており、漁獲高は日本が最も多い。EUが新たに参入すれば資源が減少する恐れがあり、まだ紆余曲折も予想される。


 米国で支持を集める共和党の新戦力たち

 11月6日の中間選挙を前に米国政界では微妙な変化が起きている。これまで全米レベルの支持率で劣勢だった共和党が、民主党より高い支持率を得るようになったのだ。その要因は、対中国強硬政策をはじめとするトランプ政権と共和党による政策実行力を、有権者が評価し始めている点だ。
 ペンス米副大統領が最近、保守系シンクタンクのハドソン研究所で行った演説は、海外からは「米中による第2次冷戦宣言」といわれたが、米国内では「対中国でその覇権主義を抑える良く練られた戦略だ」と高い評価を得た。それだけ米国民の間で、中国に対して今後、長期間にわたって強い姿勢を保つべきだとの世論があるのだ。
 また、この演説をペンス副大統領が行ったことも重要な点で、議会とホワイトハウスが一致してぶれない対中政策を行うとのシグナルだ。その意味では米中貿易戦争は短期的には収束せず、中国の経済力及び軍事力を長期にわたり衰退させる戦略だ。
 そんなペンス氏に有力なライバルが出現しつつある。それがヘイリー国連大使で、12月に辞任した後、2020年の上院選挙に向けて準備し、24年の大統領選挙に立候補する予定だ。南部サウスカロライナ州で初の女性知事として六年務め、年齢も46歳と若く、共和党の世代交代の象徴とみなされている。
 一方、民主党は人材難で、次期大統領選挙に出馬できる人材も見当たらない。ここにきて共和党に安定した支持が移る原因にもなっている。


 苦境のプーチン大統領が目論むベラルーシ併合

 年金受給年齢引き上げや公共料金値上げで支持率低下が進むロシアのプーチン政権が、起死回生策として、ベラルーシの強制併合を検討しているとの情報がモスクワで流れている。
 4年前のウクライナ領クリミア併合で大統領支持率は90%まで急騰しただけに、再度国民の大国意識や愛国心に訴えようとしているかに見える。
 ベラルーシはロシアと名目的な連邦条約を締結し、ロシア語が国語で、宗教もロシア正教だ。ベラルーシの独裁者ルカシェンコ大統領はロシア離れの構えを見せるが、高齢者を中心にロシアへの親近感が強い。ロシアへの編入を問う国民投票を実施すれば、賛成票が上回る可能性がある。
「ロシアはベラルーシに軍事基地を設置したり、共同演習を拡大するなど、軍事プレゼンスを強化しています。ベラルーシ政権内の親露派との連携を裏で強めているようです」(モスクワ特派員)
 ルカシェンコ大統領が突然排除され、親露派暫定政権の下で一気にロシア編入の国民投票が行われるかもしれない。ポーランドやリトアニアと国境を接するベラルーシがロシア領になれば、北大西洋条約機構(NATO)への圧力を強化できる。プーチン大統領も過去に、文化的、歴史的に近いベラルーシを併合する可能性に言及していた。
 もしクリミアに続いてベラルーシを併合すれば、プーチン大統領の支持率が再び高まるだろう。
「ただし、ベラルーシには農業や一部軽工業以外に産業がなく、950万人の国民を養うのは大変。経済コストからみて割に合わない」(同)
 また、ベラルーシの若者はロシアよりEU加盟を支持しており、彼らの反発も障害となりそうだ。


 ASEANを巻き込むマレーシア第3の国民車

 マレーシアが政権に復帰したマハティール首相の下、プロトン、プロドゥアに続く第3の国民車構想を進めている。これまでと違いマレーシア独自の国民車ではなく、周辺国から幅広く部品を調達する東南アジア諸国連合(ASEAN)の国民車を目指している。
 初代国民車のプロトンは昨年、経営不振から中国の吉利汽車系列に売却された。一方、1990年代に小型車中心で開発が始まったプロドゥアは、国内市場が主戦場。ダレル貿易産業相は「第3の国民車は国外市場を目指す。プロドゥアとは競合しない」と開発の意義を話す。
 ASEANは米中貿易摩擦の余波で、中国に代わる製造拠点として米企業の強い関心を集めている。ダレル貿易産業相は、米中貿易摩擦でASEAN各国の連携は強まっていると指摘。第3の国民車構想に対しては、周辺国から強い関心が寄せられていると説明し、「ASEANが一体となって部品を供給し、ASEANの国民車を製造する。ASEANのような経済圏には必要な野心だ」と鼻息が荒い。
 8月の輸出額が前年同月比0.3%減と低迷し、貿易黒字が83.7%減と大幅に縮小したマレーシアには、新たな輸出品の開発を急ぐ必要に迫られているという事情もある。第3の国民車は民間資本で開発し、政府は許認可などで支援。来年にも試作車を公開し、2020年に最初のモデルを発表する予定だ。


 ICPO前総裁が握った? 習主席の財産情報

 中国では習主席が米国からの強硬姿勢を受けて苦境に立たされている。すでに、株、債券、人民元のトリプル安で経済的には長期の低迷期に入りつつある。その一方で、国内では習主席への個人崇拝を強め、それに費やす多くの公安要員に無駄ともいえる人件費が増大している。また、軍部からの突き上げもコントロールできないでいる。最近では南シナ海で米軍艦への異常接近を図るなど偶発的な軍事衝突が起きる可能性が高まっている。
 米国は中国への強硬姿勢を今後、ますます強める勢いだ。たとえば、国有企業の役割低下、合弁設立の際、過半数の株式を持てるようにすること、中国が米企業に機密情報を明かすよう圧力をかけないことを要求するなど、中国には受け入れがたい要求を続けている。
 中国を取り巻く外交筋では、最近王外相をはじめ中国は米国に対し虚勢を張ることが多いとの指摘が多く、また、外国人記者にビザの発給を拒否することも多くなっている。そうした中でも、習主席がもっとも頭を悩ませているのが、ICPO(国際刑事警察機構=インターポール)の孟前総裁の扱いだ。
 彼は世界中から警察情報が集まる国際機関のトップとして任期中に習主席の私的財産、特に米国に姉夫婦の名義を使って財産を隠匿した汚職行為についてかなりの情報を得たとされる。その情報が明るみに出れば、習主席の進退まで直結すると言われており、今後の行方が注目されている。(27ページ参照)


 アジア各国で親中派政権が敗れる理由

 「マハティール・ショック」以後、パキスタン、モルディブで親中派が敗北し、新政権はいずれもが中国の「一帯一路」プロジェクトを見直すとし、習近平の連敗が続く。
 マハティール首相は中国主導の「新幹線プロジェクト」中止、「ボルネオのガス・パイプライン工事」の中止を発表した。総額230億ドルを超える中国の目玉プロジェクトが元の木阿弥となった。その上、「フォーレスト・シティへの外国人投資を規制する。不動産投資移民にはビザを発給しない」とした。
 パキスタンでも親中派が敗れ、イムラン・カーン新政権はIMF(国際通貨基金)救済回避策に妙案は見つからないとし、「なぜ高級車や輸入チーズが必要?」と批判して予算不均衡を訴え国民の共感を得た。1980年以来、すでにパキスタンは15回もIMFに救済を仰いだ。そこで緊急に中国からの融資で債務危機をとりあえずは逃れた。しかし、中国主導のCPEC(中国パキスタン経済回廊)は570億ドルの予算が620億ドルに膨らみ、しかもあちこちで工事が中断している。
 こうした中で誕生したカーン政権の後ろ盾はパキスタン軍である。カーン首相は就任後、初の外国訪問を中国ではなく、サウジアラビアに飛んだ。パキスタン最大の保護国であるサウジと中国とのバランスをはかり、外交の梃子とする戦略だ。
 モルディブでも親中派だったヤミーン大統領が9月23日の選挙でインドが支援した野党のソリに敗れた。モルディブはスリランカが中国の「借金の罠」に陥落して重要な港(南のハンバントラ)を99年間も租借される羽目に陥ったことを我が事のように目撃し、危機感を募らせてきた。モルディブのGDPは30周辺国と連携億ドル前後しかなく、中国からの借り入れ20億ドルの返済は明らかに不可能だ。担保としているモルディブの16の岩礁を中国が租借することになるだろう。


←10月号へ                 Top                  12月号へ→

ダミー
ダミー
ダミー

(C)2018 株式会社エルネオス出版社. All rights reserved.
〒105-0003 東京都港区西新橋1-22-7 丸万7号館4F 
TEL.03-3507-0323 FAX.03-3507-0393 eMAIL: info@elneos.co.jp