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習近平主席の胸の内は……


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■中国の思惑――国分進太郎(経済ジャーナリスト)


輪郭が浮かび上がる「一帯一路」構想
警戒論から歓迎まで、評価さまざま

■中国の新グローバル経済圏狙いの声もある一帯一路構想。輪郭が浮かび上がるにつれ関係国の間では計画参加撤退論から警戒、歓迎など評価がさまざまだ。その実体は?
 鉄道、高速道路、港湾などインフラプロジェクトで陸のシルクロード、海のシルクロードづくりを目指す、という中国の一帯一路構想。今や中央アジア、東南アジア、南アジアのアジア全域のみならず中東、アフリカ、欧州、最近は南米、ロシア北極までを巻き込み、あとは米中貿易戦争の対極にいる米国だけが対象外と言われるほど、スケールが大きい。

中国に興味深い動き
名称変更と新援助機関


 習近平中国国家主席が2013年に構想を打ち上げてから5年がたつが、その輪郭がやっと浮かび上がってくると、当然のことながら構想評価をめぐり、さまざまな見方が出てくる。
 中国の新グローバル経済圏狙いだ、それどころか新たな経済覇権狙いだという声が出る。そのからみで中国が2国間インフラプロジェクト支援の形で返済能力に不安のある国に巨額融資を行い、港湾などの長期管理権を得て事実上、拠点化しているのはやりすぎだの声。また、中国が外国でのインフラプロジェクトを国内の国有企業の過剰生産や過剰在庫処理のはけ口に使おうとしているのは問題が多い、などだ。
 そうした中で、今、極めて興味深い動きが中国側で起きつつある。
 1つは一帯一路構想の英語名をこれまでのONE BELT ONE ROAD(OBOR)から最近、新たにBELT AND ROAD INITIATIVE(BRI)に名称変更したこと、もう1つは中国政府の機構改革で新たに「国家国際発展合作署」という名の対外援助機関をつくり、商務部の国際金融協力、外交部の対外援助の2業務を新機関に統合したことだ。
 中国ウオッチャーを兼ねる国際関係論のさる専門家の見方が面白い。
「新援助機関は間違いなく一帯一路構想戦略を中国の対外経済外交の中核に据え、そのバックアップをしようというものだ。要は、中国は世界に貢献する国家として、一帯一路のインフラを誰もが共有できる国際公共財、地域公共財にするため、援助を充実すると言いたげだ。本気度がうかがえる。しかし、もう1つの名称変更はなぜ、この段階で変更したのか、なかなか意味深長だ」と言う。
 その専門家によると、OBORだと中国を起点に陸、海のシルクロードをつくる、という中国中心的なイメージを与えかねない。そこでインフラプロジェクトのイニシアチブをとる、つまり中国が先鞭をつけるならば問題を引き起こさないだろう、との苦悩ぶりがうかがえる。自己主張の強い国民性からすれば予想外に神経質だ、という。
 問題は、中国がなぜ名称変更にこだわるほど、神経質になったかだ。
 実は最近、いくつか一帯一路構想が問題を引き起こしており、中国として国際的な反発を回避する狙いがあるのではないか、という見方が強い。
 その1つが2018年4月、北京駐在の欧州共同体(EU)加盟28カ国の大使のうちハンガリーを除く27カ国大使が連名で一帯一路構想に対する抗議書を中国政府に提出した事件だ。極めて異例なことで、下手をすると外交問題に発展しかねない問題だ。
 日本ではあまり報じられなかったが、外国メディア報道によると、東欧などEUでの一帯一路構想がらみの鉄道建設などのプロジェクトで、中国政府の補助金をテコにした中国企業が事業を独占し、現地EU企業の参加や雇用創出が見込めないなど、透明性に欠ける問題があった、という。
 一帯一路構想がらみのプロジェクトで中国企業のプラントが優先活用されたり、中国人労働者が大量に送り込まれて現地での雇用創出メリットがない、という反発や不満はアジア地域のミャンマーなどの水力発電プロジェクトでも現地政府から出た。これらは中国国有企業の過剰生産のはけ口説を裏付ける話だ。

海と陸シルクロード双方で
中国の強引さが反発に


 これらプロジェクト批判で大きくクローズアップされているのがスリランカ南部のハンバントタ港の港湾地区建設にからむ問題だ。中国が2国間ベースで親中派だったラジャパクサ前政権時代に総額13億ドルをプロジェクト融資してコロンボ港に次ぐインド洋のハブ港にする計画だったが、産業後背地もつくれないまま借金返済だけが残った。結局、スリランカは最終的に99年間の長期にわたる港湾管理権を中国国有企業に渡す結果となった。これは初めから返済能力が見込めないのに貸し込んで港湾管理権取得が狙いだったのでないかと言われている。
 しかもパキスタンのインド洋に面するグワダル港、ジブチのダジュラ港などでも似たケースが見られる。
 海洋問題の専門家は「これらの港の点と点をつないで線にしてみると明らかに中国海軍のインド洋での補給拠点、さらに中東と中国をつなぐ石油輸送の中継基地化狙いが見えてくる」という。
 今後、議論を呼ぶポイントは、習近平国家主席が当初打ち出した一帯一路構想を国際公共財、地域公共財につなげると公言した問題だ。端的にはスリランカのハンバントタ港の港湾をインド洋を航海する他国船が補給などで使いたいと申し入れた場合、軍民両用で港湾の長期貸与権を得ており、遠慮願いたいと突っぱねたら、国際公共財論に反するからだ。
 中国の貸し込み度が過ぎて相手国政府の財政悪化を招き、マレーシアのマハティール首相は一帯一路構想プロジェクトからの撤退を表明している。
 他方で、陸のシルクロードもまだまだ課題が多い。中国重慶や西安などを起点に中央アジアを抜けて東欧にまで伸びる長距離鉄道輸送網は、2017年時点で年間2800本の列車が運行し、通過する沿線国の通関手続きを不要にしたため、利便性が高まっている。
 問題は積載される物資の大半が中国と欧州間のニーズ対応のため、沿線国の中央アジア諸国にとっては恩恵が少ないことだ。鉄道インフラを大きな財政負担なしにつくってもらったものの、沿線国で新産業建設が進み、サプライチェーンの一端を担うというプラス効果がないまま、インフラ用地提供国に終わり、中国を利するだけというシナリオも読み取れる。
 とはいえ、中国がこれだけ壮大なプロジェクトをマネージできる力をつけてきたことは間違いない現実だ。

中国は米中貿易戦争で
一帯一路を有効活用?


 今後、米中貿易戦争がエスカレートしていくと、中国は米国との直接対決を回避するため、対米貿易依存度を一気に減らす戦略に切り替えることは十分に想定される。
 その場合、中国は一帯一路構想とリンクさせる形でASEAN(東南アジア諸国連合)などの成長センターに貿易シフトするだけでなく、米国の保護貿易主義に対峙する自由貿易網の構築という形で自由貿易協定(FTA)網づくりを画策する可能性が高い。
 一帯一路構想問題の専門家、アジア経済研究所の大西康雄氏は「中国主導の経済圏構築を狙っていることは間違いないが、米中貿易戦争で、この問題に弾みがつく可能性は大きい。中国が個別に結んでいたFTAを一帯一路構想にリンクさせながらメガFTAにして、その中核に入る構図だ。それら域内での金融協力を通じて、立ち遅れていた人民元国際化にも踏み出すことも十分に想定できる」と述べる。
 こういった中で、日本は、安倍・トランプ関係をもとに日米経済関係強化といった発想のようだが、むしろ、日本にいま必要なのは、米国、中国に偏らずTPP(環太平洋経済圏)を軸に自由貿易主義を強く誇示、保護貿易主義とは対峙する、といった外交姿勢を見せることだ。
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