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元木 昌彦(もとき まさひこ)
編集者。1945年生まれ。「週刊現代」や「フライデー」の編集長として権力批判の誌面づくりを貫いた。メディア規制の動きに反対の論陣を張る。2006年11月、講談社を退社。オーマイニュース元社長。上智大学、明治学院大学、大正大学などで講師。インターネット報道協会代表理事。


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青木 美希(あおき みき)
1973年札幌市生まれ。97年北海道大学卒業。同年北海タイムス社入社。98年北海道新聞社入社。2003年11月から約1年、北海道警察の裏金問題を手掛ける。10年9月朝日新聞社に入社し、東京本社社会部に所属。東日本大震災では発生翌日から現場で取材。11年9月特別報道部に異動。原発事故検証企画「プロメテウスの罠」などに参加。13年「手抜き除染報道」を手掛け、取材班は新聞協会賞を受賞。現在は社会部記者。


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■元木昌彦のメディアを考える旅 246
 今月の同行者/青木美希 氏(朝日新聞東京本社 社会部記者)


原発事故を語らない風潮こそ問題
避難者の現実も正しく理解が必要

東京五輪までに原発事故をなかったことにしたい?

 青木美希さんの『地図から消される街 3・11後の「言ってはいけない真実」』(講談社現代新書)を読み終えた。湧いてくるのは怒りというようなヤワなものではない。この国に対する「殺意」である。
 除染を終わらせ避難解除するのは、国の言い分によると「きりがないから終わりにしよう」というものだ。男女の不倫関係を清算するような勝手な言い分である。
 そこには安倍晋三首相をはじめとする官邸や、それを忖度する官僚たちの、「東京五輪までに原発事故はなかったことにしよう」という意思が働いていることは間違いない。
 自主避難していた住民たちから入居していた住宅を取り上げ、補償金も打ち切ってしまった。
 帰還するなら住宅もカネも与えるが、帰らないなら「自己責任ですよ」と切り捨てるのがこの国のやり口である。
 メディアでも、放射線量を書くな、汚染された地域は危険だという話を聞きたくない人もいると、上司が部下に、福島第一原発事故は忘れろと言うが如く指示する人間もいると聞く。
 それもこれも、この国の民が物事を真剣に考えることなく、無関心、無責任だからである。
 東日本大震災時の福島第一原発事故の検証企画で世評が高かった朝日新聞の連載「プロメテウスの罠」の取材班の一人で、手抜き除染など数々のスクープを放ち、新聞協会賞を取っている青木記者に、今、福島がどうなっているのか、自主避難した人たちの現状を聞きに行ってきた。

            ◇

元木 昨日、日本橋の丸善に『プロメテウスの罠』の8を買いに行ったのですが、原発事故関連のコーナーはなくなっていました。
青木 そうなんですよね。
元木 丸善ぐらいはそういうコーナーを残しておいてほしかったのに、青木さんが書かれているように、福島のことを忘れてしまって無関心になっています。
青木 原発事故がどんどんなかったことにされていく中で、私が接している避難者の方々の訴えはどんどん悲痛なものになっています。住宅提供もなくなる、賠償もなくなると、日々の暮らしにも困っていって、その中で自殺する人もいます。
元木 除染も中途半端、避難解除もはっきりした根拠がないのに、どんどん進めていく。青木さんがこの中で書いているように、国はどこまでやっても「きりがない」からというのが本心だと思います。
 福島の現状を聞かせてください。環境省は去年、除染費用は2兆5000億円ぐらいかかったと発表しましたね。
青木 4兆円を超えると見積もられています。線量の高い帰還困難区域の一部を住めるようにしようという除染が始まったばかりです。さらに数千億円かかると言われています。
 ただ、線量が高い山の除染はしませんから、効果は分かりません。「除染してもあまり線量が下がらなかったけれど、一応やったので帰ってください」となるだろうと、不安の声が上がっています。

浪江町の避難者の
帰還率は2%


元木 年間1ミリシーベルト以下になっていなくても、帰還しろと言われるということですね。
青木 結局、除染が終わった浪江町でも、年間の被ばく量というのは政府が推定したものですら1.54ミリシーベルト毎年です。はじめは除染で1ミリシーベルトまで下げますって言っていましたでしょ。結局それはできていないけれども、避難指示解除したから帰ってくださいとなっているわけです。
 住民には、「この除染は私たちを帰すためのアリバイ作りなんだ」って受け止める方もいます。これからは帰還困難区域でも同じことが行われると心配しています。
元木 今の年間20ミリシーベルトというのは、放射能汚染が起きてしまったから仕方ないのでという、国が定めた緊急時の目標値ですね。それをいまだに改めません。ということは、いまだ緊急時だということですね。それなのに除染したから戻りなさい、戻らない人には住宅も補償金も止めますというのは、どう考えてもおかしい。
 その人たちが戻って、家の周囲の放射線量が高ければ、除染してくれるのですか。
青木 非常に高いところはやってくれるのですけれども、そんなに高くない
よ、と断られたというケースもよく聞いています。
元木 除染する、しないという基準はどこなんですか。
青木 環境省は1度除染を終えたところの除染は、3.8マイクロミリシーベルト毎時(年20ミリシーベルト)を上回る恐れがある場合としています。そもそもの除染対象は0.23マイクロミリシーベルト毎時(年1ミリシーベルト)以上なのですが。
元木 厳密に調べれば、避難区域のほとんどがそれ以上でしょう。それに除染した土や木や草を入れた土嚢は、ほとんど積んだままになっているのですね。
青木 そうですね。除染というのは、土の上の部分をはいで草も刈って、それを袋の中に入れていくという作業です。その土の塊や枝葉が入った袋が集められ、仮置場や仮仮置場と名付けた公有地や民有地に何段にもわたって積まれているのが現状です。
元木 環境省は平成29年3月末までに除染特別地域内11市町村において、宅地約2万2000件、農地約8500ヘクタール、森林約5800ヘクタール、道路約1400ヘクタールの除染を実施し、面的除染を完了したとHPで発表していますが、ただ終わっただけで、そのゴミはそのままということですね。
青木 一部で処理が始まっていますけれども、ほとんどそういう状態ですね。
(以下、本誌をご覧ください)
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