ダミー
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 国民民主党は早、再編含み 問われる連合執行部の責任

 「ゼロではなくて、よかったですね」。結党直後のTBS系の世論調査で支持率が0.8%にすぎないことを質され、国民民主党共同代表の玉木雄一郎氏は精いっぱいに強がってみせた。しかし、誤算続きで先行きを見通せないのが実情だ。そこで浮上しているのが、国民民主、立憲民主両党ばかりでなく、無所属でいる議員を巻き込んだ野党再編。通常国会が閉会する6月20日前後に、まずは立憲民主党と無所属の会が国会内の統一会派を結成して新たな結集の基礎をつくり、国民民主党からの合流を促す。
 すでに下地はできている。再結集に向けて大きな障害だった憲法改正をめぐる深刻な対立は、改憲派の松沢成文参議院議員(元神奈川県知事)らが新たな希望の党を結成し、元環境庁長官の細野豪志氏らも国民民主党に合流せずに独自の立場をとったことで解消した。連合も再結集を促すとみられる。傘下の有力単産が参院選に向けて立憲民主、国民民主両党に分かれて候補者を立てる準備を進めており、これを放置していては分裂が固定しかねないためだ。
 しかし、連合の執行部に対しては厳しい批判の目が注がれている。国民民主党の結成を急ぐあまり、議員たちに強引な説得工作を展開し、旧民進党内の対立を深めてしまった。この結果、連合として支持政党を打ち出せない事態に陥っている。再結集には連合執行部が責任問題に決着をつけるか、議員の判断に口出しを控えるという判断が必要なようだ。


 張りぼての虎にすぎない中国初の国産空母

 中国海軍が初の国産空母を完成させ、2020年の実戦配備を目指して試験航行が始まった。旧ソ連の空母を改修した「遼寧」に続く二隻目の空母だが、海上自衛隊幹部は「『絵に描いた餅』で、実戦では役に立たない」と一笑に付す。なぜなのか。
 米海軍の原子力空母と比較して1番の違いは、米空母が艦首から艦尾まで平らな全通甲板を持つのに対し、中国空母は艦首がそり上がったスキージャンプ式となっている点だ。これは米空母が蒸気で航空機を強制的に発進させるカタパルト式なのに対し、中国空母は航空機が自走して発艦することを意味する。
 海自幹部は「中国の空母が搭載する殲15戦闘機はロシアのスホイ33戦闘機を改良したタイプ。スイホ33は世界最大級の戦闘機で運用重量は30トンにもなる。こんな重たい機体に爆弾やミサイルを搭載してスキージャンプ式でまともに発艦できるはずがない」と説明する。
 中国は、なぜカタパルト式を採用しなかったのか。前出の幹部は「世界の中で蒸気カタパルトを造る技術があるのは米国だけ。フランスの最新空母『シャルル・ドゴール』も米国の技術でカタパルト式にした。米国が虎の子のカタパルト技術を中国に提供するはずもなく、中国は自前で開発しない限り、スキージャンプ式の『なんちゃって空母』を使うしかない」という。
 中国は同型の空母を4隻保有することを決めているが、空母は他の水上艦艇と比べ、防空能力、対潜水艦能力に劣るため、複数の艦艇や潜水艦を動員して空母機動部隊を編制する必要がある。「虎の子」の空母を守るために艦艇を割かれ、海軍戦略に支障が出るとすれば本末転倒だ。外洋進出を急ぐ中国海軍だが、足元に落とし穴があった。


 「国民の敵」発言は隠蔽し幕引きを図った防衛省

 4月に統合幕僚監部所属の3等空佐が当時、民進党に所属していた小西洋之参院議員に暴言を吐く「事件」が発生。これを受け防衛省は5月8日、自衛隊法で定める「品位を保つ義務」に違反したとして、この自衛官を訓戒処分とした。しかし、自衛隊法で定めた懲戒処分(免職、降格など)を適用せず、昇任に影響しない内規の訓戒にとどめたことには「軽すぎる」との批判が出ている。
 3等空佐は2005年3月に防衛大学校を卒業。統合幕僚監部の指揮通信システム運用課に所属していた4月16日夜、勤務時間外に国会付近をジョギング中、小西議員と遭遇し、暴言を浴びせた。
 防衛省が発表した、暴言問題の事実関係を記した最終報告書によると。三佐は「あなたはばかなのか」「あなたがやっていることは国益を損なう」「気持ち悪い」などと発言した。しかし、小西氏が指摘している「お前は国民の敵だ」との言葉については、事実として認定しなかった。また、防衛省が確認した問題発言も「職務上ではなく私的な言動。文民統制を否定するものではない」とした。
 これに対し小西氏はメディアの取材に「『国民の敵』発言は間違いなくあったのに、それを認めないのは不十分な調査内容だ。処分も軽い」と強く批判。「文民統制の重さを防衛省は理解していない」と主張している。確かに選挙で選ばれた国会議員を「国民の敵」呼ばわりしたとすれば、文民統制を危うくする恐れがある。そこで「文民統制への波及を避けるため、防衛省側が、最も問題がある『国民の敵』発言をなかったことにしたのではないか」との推測が出ている。


 米朝首脳会談は北が主導? ポンペオ氏は大統領に意欲

 六月のシンガポールでの米朝首脳会談をめぐり、両国の駆け引きが激しくなっている。今のところ、金王朝3代で培われてきた瀬戸際戦術や2度の訪中で中国を味方に引き寄せた北朝鮮がトランプ政権を翻弄している。もともと1日だけの会談で長年の懸案が複雑に絡み合っている朝鮮半島情勢を解決できるわけではない。だが、そのスタート地点に立つという意味では、両首脳とも内心ではぜひ実現にこぎ着けたいのが本音だ。北朝鮮の非核化と朝鮮戦争の終結が仮に首脳会談の成果と謳われるならば、それは時間を手にした北の有利さが際立つことになる。
 また、トランプ政権の中で今回の交渉の責任者であるポンペオ国務長官の評価が高まるものの、今後のトランプ政権の行方次第ではそれが吉と出るか凶と出るか予断を許さない。2度の訪朝で金正恩委員長と会い、3人の米国人を解放させたポンペオ国務長官は内心ポストトランプを狙い始めた。
 この動きに対し、ペンス副大統領の想いは複雑だ。平昌オリンピックでは妹の金与正氏とも会談できず成果を上げていない。彼は今、内政問題に集中して共和党主流派からの支持固めに専念している。11月の中間選挙で共和党が大敗し、民主党が下院で過半数を取れば、弾劾手続きを始めるのが必至だ。ペンス副大統領にとってみれば、意外にもその時が大統領に昇格できるチャンスだ。だが、その時トランプ氏がその危機を乗り越え再選まで果たせば、その時はポンペオ氏が次の共和党大統領候補になる可能性が高い。


 お追従で出世した? 杉山駐米大使の不評

 私大(早稲田大学)出身者として初めて外務次官に上り詰め、3月に駐米大使として着任したばかりの杉山晋輔氏の評判がよくない。米朝首脳会談の発表をワシントンの日本大使館が事前に把握できなかったのは、1972年のニクソン大統領訪中発表に続く、日本頭越しの外交的失態と批判されている。しかし、責任を負うべき杉山大使と秋葉剛男外務次官はもともと仲が悪く、互いに「無能」呼ばわりしている。外務省と大使館の連携は機能不全。
 杉山大使の処世術は、上司にはぺこぺこし、部下に厳しく当たる典型的なダメ官僚タイプ。「館内がうまく機能していないことも、米朝首脳会談特オチの原因。失策はまた起こるでしょう」(ワシントン特派員)。
 杉山大使の前任者、佐々江賢一郎前駐米大使はトランプ大統領の娘婿クシュナー氏と関係を構築し、成果を上げたが、クシュナー氏はロシア・ゲート疑惑の矢面に立たされ、影響力は低下。杉山大使は大統領の娘のイバンカ氏に食い込むよう官邸から「特命」を受けているという。「口の軽い杉山大使は官邸からの『特命』をあちこちで吹聴しています。本来は国家機密のはずですが」(同)。
 駐米大使ポストは本来、斎木昭隆元次官が最有力だったが、安倍晋三首相に対露外交などで苦言を呈して遠ざけられ、三菱商事役員に転出した。そのお陰でご機嫌取りが得意で、安倍外交に忠実な杉山氏に大役が回ってきたと論評されている。昨年12月、この人事を朝日新聞がスクープした。官邸がネタ元を調べたところ、なんと杉山氏自身だったという。昨年六月には、杉山氏の妻が夫に殴られかけたと警察に通報し、警察が出動、新聞沙汰となった。お追従だけでトップに上り詰めた杉山氏はやはり実力不足。外交専門家の間で新たな「外交失態」が憂慮されている。


 昭恵夫人の「招致・喚問」で首相を忖度する自民党幹部

 財務省の文書公開が遅れているが、国有地払い下げの森友問題の疑惑解消への国民の関心は首相夫人の安倍昭恵さんの関与。安倍晋三首相の片腕と言われる今井直哉首相秘書官(政務)が「文藝春秋」6月号で「(昭恵夫人が)うかつにも(森友学園小学校の名誉校長を)引き受けたのは間違いだった。首相にも道義的責任がある」と語っている。昭恵夫人に対する国会での参考人招致か証人喚問が行われるまで、疑惑の火は燻り続ける。野党も疑惑の核心を握る人物から話を聞かないことには政党の存在意義を問われるので、要求を取り下げることはないだろう。
 燻る火を消すには2つの方法しかない。1つは、安倍首相が夫人の招致か喚問を認めるケース。だが、仮に、昭恵さんが質疑応答の予行演習を積んでも受け答えの「プロ」ではないので、厳しい追及に耐え切れず関与を認めるかもしれない。従って、夫人の招致・喚問実現は、首相が政権を放棄するのと同義となる。
 安倍首相は夫人が招致・喚問されるなら「首相を退く」と周囲に語っているという。そんな首相の決意を忖度して、自民党幹部も頑なに招致・喚問を拒否している。
 2番目に想定されるケースは、昭恵夫人の招致・喚問を見送ることを条件に、自らの自民党総裁選出馬を見送ることだ。首相の性格からして、これは十分あり得る。首相の周辺によると、現在の四面楚歌状況にあっても、首相は「絶対に負けない」と意気軒高らしいが、その姿にどこかしら虚勢を感じるという。


 貴重な戦力として活用へ外国人技能実習生を農業へ

 外国人技能実習生受け入れ制度が悪用され、低賃金かつ劣悪な待遇で働かされる現実が日本国内で問題になっている中、農業分野における技能実習で対策に乗り出す農業法人が出てきた。群馬県利根郡昭和村で農業経営する農業生産法人グリーンリーフ株式会社の澤浦彰治社長や、宮崎県小林市で野菜の生産・冷凍加工に取り組む有限会社四位農園の四位廣文会長らが、その人たちだ。
 澤浦氏は、「私たちは昭和村でかなり早い時期から農業就業者の減少に苦しみ、その対策の一環として外国人技能実習生の積極的な受け入れに努めた結果、それがさまざまな形でプラスに作用している」と語る。
 澤浦氏によると、家族労働経営の多い昭和村では現在、400人の外国人技能実習生が就農し、農業現場の生産の貴重な下支え労働力となっている。今では自治体のみならず農業経営者が労働環境を整備、特に彼ら全員に国民年金や国民健康保険などに加入してもらい、医療はじめ処遇を改善するなどサポートをして一体感を生み出している。その結果、彼らが年金財政などを支えてくれているだけでなく、消費も活発なため商店を潤し、地域経済を支える役割も果たしている。そのため、貴重な戦力の外国人技能実習生の待遇改善のみならず安定就労ができる制度整備が必要という。
 四位農園の四位氏も同じ考えで、ベトナムからの実習生には積極的に技能どころか技術のノウハウ伝授を行っている。「おかげで今では与えられた作業をこなす以外に創意工夫で現場作業の効率改善に寄与し、貴重な戦力化している」と話す。
 このあたりが人手不足に苦しむ日本農業へのヒントとなりそうだ。


 米社買収で意地を通す富士フ古森会長に懸念の声

 米ゼロックス買収を巡る富士フイルムホールディングス(HD)と米投資家アイカーン氏との対立が泥沼の様相を呈している。米国を代表する老舗企業である米ゼロックスを傘下に入れることは富士フイルムHDを率いる古森重隆会長兼CEOの悲願でもある。
 米アイカーン氏が米ゼロックス買収に反対するのは、「古森氏ら富士フイルムHDらの米ゼロックスに対する評価が低いから」とされる。さらに古森氏らのスキームでは、富士フイルムHDが保有する富士ゼロックスの株式75%分すべてを同社に売却。その後、富士フイルムHDが売却で得た資金で米ゼロックスが発行する新株を取得し、発行済み株式の50.1%を握る仕組み。アイカーン氏には「富士フイルムHDは新たに現金を使うことなく米ゼロックスを買収するのは虫が良すぎる」との思いもある。
 富士フイルムHDは米ゼロックスの買収を継続する方針を改めて表明したが、富士ゼロックスの株価が落ち込むようになると、富士フイルムHDが米ゼロックスを買収する際の「元手=原資」が目減りしてしまう。「米ゼロックスは名門に違いないが、世界的に厳しくなる複写機事業で、アイカーン氏の挑発に対抗してまで買う必要があるのか」との声が富士フイルム側の株主からも出ている。
 古森氏はアイカーン氏や提携関係を打ち切った米ゼロックスに対して、訴訟も含め徹底的に争う姿勢を崩していない。「古森氏の悲願達成が富士フイルムHDの経営に悪影響を及ぼさなければいいが」(大手機関投資家)との懸念が強まっている。


 川辺新社長の肩にかかるジリ貧ヤフーの起死回生

 インターネット業界の「老舗」的存在であるヤフーは、「爆速」経営を掲げた宮坂学社長が率いてきた体制を刷新、宮坂氏の後任には4月から副社長兼最高執行責任者(COO)の川辺健太郎氏が昇格した。新たな経営体制で再生に向けて正念場を迎えている。
 交代の背景には「業績の足踏み」がある。2018年3月期のヤフーの売上高は5%の伸びにとどまり、純利益は一時的な影響もあったが、2年連続で減益となった。1996年の創業以来、増収増益を続けた「成長神話」は途切れてしまった格好である。
 ヤフー停滞の大きな原因は、「スマートフォンへの乗り換えが遅れたこと」(大手証券アナリスト)。ソフトバンクオーナーの孫正義氏が誕生間近の米ヤフーを買収し、日本に引っ張ってきたのが今のヤフーだが、その頃はパソコン全盛期の時代。孫氏はヤフーの事業を秘書だった井上雅博氏(故人)に託し、PCから今のソフトバンクにつながるスマホなど通信会社への転換にひた走った。「堅実経営で知られる井上氏の存在ゆえにスマホへの経営シフトが遅れた」との声がヤフー内で聞かれる。
 まさに、メルカリやLINEはスマホ時代の申し子で、ネット通販は今や当たり前になった。もちろん、孫氏もスマホへの対応を軽視していたわけではないが、「今、孫氏の関心はサウジアラビアと組んだ10兆円ファンドの第2弾で、ヤフーの立て直しまで手が回らない」(ソフトバンク幹部)という。43歳の川辺氏にヤフーのテコ入れができるのか、その手腕に注目が集まっている。


 運用のプロに逃げられ前途多難のゆうちょ銀行

 ゆうちょ銀行の佐藤勝紀前副社長が6月の株主総会で退任し、ソフトバンクの取締役に就くとみられる。佐藤氏は元ゴールドマン・サックス証券副社長で、運用力強化の責任者として2015年にゆうちょ銀行入りしたが、「日本郵政グループ社長の長門正貢氏に愛想をつかしたもの」(日本郵政関係者)とみられている。
 決定的だったのが、ゆうちょ銀行の預入限度額撤廃論議。長門社長は郵政民営化委員会で「通常貯金の限度額を撤廃することを希望する」と発言し、グループ内に波紋を広げたのだ。なにせゆうちょ銀行が日銀の当座預金にブタ積みしている資金は推定10兆円。マイナス金利政策が導入されて以降、この資金にペナルティが科されており、単純計算で毎年100億円近い損失を被っていることになる。集めれば集めるほど損失が膨れ上がる悪循環なのだ。
 200兆円を超える資産を持つゆうちょ銀行は、株式上場前後から徐々に国債の運用比率を引き下げる一方、海外債券や株式などのリスク資産の運用比率を引き上げているが、成果はまさにこれから。その運用多様化の中心人物こそ佐藤氏だったので、大きな痛手となりそうだ。
 佐藤氏が転籍する先とみられているソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、米スプリントをTモバイルに統合させることを決めた。「孫氏は携帯事業から興味を失い、グループの性格そのものが投資会社へ大きく転換しつつある」(アナリスト)という。佐藤氏のソフトバンク入りはその一環なのかもしれない。


 日ハム誘致で大逆転、優遇策連打の北広島市

 日本ハム・ファイターズの本拠地のボールパーク(BP)が札幌ではなく北広島市に決まった背景には、日ハムと札幌市の不仲がある。
 ファイターズが2004年に東京ドームから札幌へ移転してきた理由は東京ドームの高い使用料だが、札幌も高かった。札幌ドームは02年のサッカーW杯に向けて札幌市が建設。野球だけでなくサッカーにも使える構造で、年間管理費は20億円もかかる。その半分をハムが使用料として負担していた。
 当初、日ハムは球団人気をバックに、使用料の引き下げや長期のフランチャイズ契約を掛け合った。しかし、市側は「料金や契約は条例で決まっている」と突っぱね続けた。そこで反発する球団が、自治体間で提案を競わせる「コンペ投法」で札幌に挑んだわけだ。
 そして大逆転したのが、広島県からの開拓者がつくった北広島市だった。同市長は札幌市の巻き返しを不能とすべく、「球場は究極の地方創生」として、土地無償貸与や税減免などの優遇策の連打を放った。札幌市は北海道大学構内など複数の候補地を示すも、それも「敗戦処理」の辻褄合わせ。新球場に前向きで出資もする電通も日ハム側を支援した。
 近年のファイターズの当期利益は8億円を超して増益が続いている。とは言え、札幌ドームの試合数は年50試合以上で、球場使用料など11億円以上の負担は重かった。一方の札幌ドーム株式会社だが、市の3セクで経営力が弱い。収益を支えるために強気でハムを食べようとして、その魂胆を見透かされて逃げられたというのでは格好も悪い。移転問題ゲームセットの末に、早くも瓢箪から駒の北広島でのセ・パ交流戦(広島戦)が注目されそうだ。


 日大全体を揺るがす「悪質タックル」問題

 日本大学アメリカンフットボール部の選手が定期戦で、関西学院大学のクオーターバック(QB)に、プレー後、後ろから「悪質タックル」を仕掛けた事件は、「フェニックス(不死鳥)」の愛称で呼ばれる日大アメフト部の存続に関わるのはもちろん、日大という学校法人を揺るがしかねない。
 まずかったのは、何度もくの字形に折れ曲がる衝撃的な映像が、テレビやSNSを通じて流されているのに、内田正人監督が雲隠れした上に、関西学院大に対する回答書で「負傷させる意図はないし、指示もしていない」と開き直ったことだった。
 日大が2016年4月、鳴り物入りでスタートさせたのが、東京・三軒茶屋キャンパスの危機管理学部だった。危機管理のイロハすら知らないような内田監督の対応に、日大関係者から「ブラックジョークか」といった自嘲の声が上がった。そして、「大学全体の問題に波及する」と言われているのは、内田監督が単なるアメフト部の責任者にとどまらず、日大常務理事の要職にあり、「日大のドン」として知られる田中英壽理事長の右腕だからである。
 田中理事長は、昨年9月、4選を決めた実力者。相撲部OBで、現役時代には数々のタイトルを総なめにした名選手だ。引退後は相撲部総監督として選手の育成に力を入れ、引退した琴光喜や遠藤など角界には日大相撲部出身者が少なくない。また同時に田中氏は、大学経営にも非凡なところを発揮、理事、常務理事と順調に出世し、08年からはトップの理事長職にある。
 対外的な人脈も豊富で、危機管理学部はスポーツ科学部とともに開校、式典に姿を見せた森喜朗元首相、亀井静香元自民党政調会長、遠藤利明前五輪担当相、鴨下一郎元環境相、野田健元警視総監などはいずれも田中人脈。日本オリンピック委員会の副会長も務めていた。
 一方で、広域暴力団「山口組」トップとのツーショット写真が国会で取り上げられるなど、危うい人脈が指摘されることもあり、加えて体育会偏重の運営体制を批判されてきた。その筆頭が5人いる常務理事の中でも「ナンバー2」といわれる内田氏であり、もう1人の子飼いが、昨年10月、理事に抜擢された井ノ口忠男氏である。井ノ口氏もまたフェニックスで主将を務めたアメフト部OBである。
 体育会偏重は、強くなければ存在価値はないという「勝利至上主義」へとつながり、それが「悪質タックル」の示唆を生んだのではないか。事件が田中体制の歪みに発するとすれば、内田監督1人の責任では収まらないのは当然の雲行きだ。


 ソフトバンクのサウジ進出、孫氏出資先に逆張り論も

 ソフトバンクの10兆円ファンドの拠点がある英国ロンドンで、孫正義氏が大きな話題となっている。英エコノミスト誌が、孫氏の頭を日の丸風のカジノルーレットに見立て「(孫氏がつくった)ビジョンファンドの意味するところ(つまりは光と影)」として大特集されたからだ。あまりの反響に日経新聞も翻訳転載するところとなった。
 記事は、「世界で最も有望な新興企業の株を買い漁る巨大投資ファンドを立ち上げた。同ファンドは、今や投資対象の産業と、ファンド業界の両方に創造的破壊をもたらしている」という出だしだ。
 中身は、2016年に孫氏がサウジアラビアのムハンマド皇太子と結んだ奇妙な提携から説き起こし、皇太子が孫氏に44兆9200億円を提供したのが呼び水となり、UAEのアブダビ(150億ドル)やアップル(50億ドル)からも出資が集まったとし、次のように指摘する。
▼ITバブル期は歴史上誰よりも損失を被ったのが孫氏 ▼人工知能が人間の頭脳を超えるという孫氏の行為はただの奇人に終わらせるかもしれない ▼ファンド資金の約半分は借金であり、利払いを迫られ、浮かれたITブームの最後の絶頂期となるかもしれない ▼投資先の起業家が事業拡大に躊躇したとたん、ライバル社投資でけん制する脅しはどうか?──と手厳しい見解が続く。
 孫氏の投資に逆張りを打つことを勧めるような視点で、孫銘柄に空売りを仕掛けることもヘッジファンドは厭わないとする。
 一方、ロイター通信は孫氏とファンド事情に詳しい2人の関係筋に、「ソフトバンクグループがサウジアラビアに事務所を開設する計画であることが、事情に詳しい2人の関係筋の話でわかった」と語らせて提灯をつける。
 サウジは石油依存からの脱却を図り、海外の金融・ハイテク大手の呼び込みに力を入れているが、オイルマネーを流し込んだ孫氏のファンドも頼りだ。
 ほかにもアップルやアマゾンがサウジへの投資に向けライセンス関連の協議へ、あるいはゴールドマン・サックスがサウジで株式トレーディングの認可を得て事業拡大、といったソフトバンクの動きにつられるようなニュースが米シリコンバレーのほか、シティ(ロンドン)、ブルックリン(ニューヨーク)を駆け回り、孫氏は時の人になっているのだが。


 好調マックと明暗分ける正念場のモスバーガー

 「モスバーガー」を運営する、モスフードサービスの業績がこのところ足踏み状態で冴えない。2018年3月期も売上高こそ微増だったものの、営業利益、経常利益、純利益は3指標とも前年比では2ケタの減少で、危機的な状況から復活した日本マクドナルドと明暗を分けている。
 モスバーガーといえば、オーダーしてから待つ時間が同業他社より長く、その分、作り置きではないハンバーガーとして支持を集めてきた。また、日本発のハンバーガーチェーンだけに国産の契約農家による野菜や安心感のあるパティなども相まって、根強いファンをつかんでいる。だが、15年秋ぐらいから潮目が変わった。米国のグルメバーガー店「シェイクシャック」の上陸以後、外資系のグルメバーガーチェーンが相次いで日本に攻め込み、前後して「ロッテリア」や「フレッシュネスバーガー」も神戸牛や松阪牛、黒毛和牛を使用したグルメバーガーを投入。
 モスバーガーは総じて言えば、マクドナルドの低価格メニューほど安価な商品は少なく、といって高級パティを使った高価格帯とまではいかず、どこか中途半端な印象が強くなってしまっている。モスフードでも、「モスクラシック」という単価1000円の高級バーガーを供する店舗もあるが、その1号店を出してから2年半余、いまだ2号店は出せていない。
 昨年は定番強化ということで、改めて基幹商品の「モスバーガー」の強化に取り組み、バンズも一新したものの大きな底上げまでには至らなかった。また、モスの店はフレンドリーでアットホームな雰囲気を大事にしてきたが、特に外資系チェーンと比べると店のお洒落感で劣後する。モスはしばらく正念場だ。


 マツダは最も個性的で危なっかしいメーカー?

 自動車メーカーの中で最も個性的で最も危なっかしいメーカーは、マツダかもしれない。
 まず個性的という点では、電気自動車が主流になりつつある中、ガソリンエンジンへのこだわりが1番あるのがマツダで、来年にも登場するスカイアクティブXという次世代エンジンがどの程度の燃費向上を見せるのか注目を集めている。もう1つが6年前から導入した「鼓動デザイン」と呼ばれる統一感のあるクルマのフロントマスクやフォルム。ドイツのBMW等も統一感のあるフロントデザインを施し、それがブランドアイデンティティーにもなっている。マツダは日本メーカーの中で最も欧州的と言えるかもしれない。
 一方、電気自動車分野では資本業務提携したトヨタ自動車に依存。立て直しが急がれる米国市場でも、トヨタとの合弁で現地生産工場を立ち上げた(2021年稼動開始)。また、得意だったディーゼルエンジンもフォルクスワーゲンの燃費不正事件以降急速に萎んでしまうなど逆風続きだ。これらの要因から、19年3月期の予想では売上高営業利益率が3%と、国内7メーカーの中で最下位の見込み。純利益では三菱自動車にも抜かれて最下位になる予想だ。
 世界販売で見ても、米国で強いSUBARU、インドで圧勝のスズキ、東南アジアで優位性を持つ三菱自動車などに比べて、マツダが抜きんでた市場がない。現在、マツダ、スズキ、SUBARUがトヨタと資本や業務上の提携関係にあるが、この3社の中で今後、最もトヨタとの関係が深まりそうなのがマツダだという声も聞かれ、いずれマツダへの出資比率を引き上げる可能性がある。


 オムニ7減損処理に見るセブン&アイの内情

 セブン&アイ・ホールディングス(以下、セブン&アイ)は5月10日、「ネットコンビニの展開を開始する」と発表した。「スマホで注文、自宅で受け取り」を謳い、今年はまず北海道・札幌市の百店舗で始め来年上期までには北海道全域の約1000店舗で実施。早々に全国化を図るという。
 ただ、1つ払拭しきれない疑問がある。セブン&アイのネット通販はグループを横断し「リアル店舗とネット通販の融合」を進める、いわゆる「オムニチャネル戦略」の展開の上で登場したもの。同戦略は2015年11月、絶対権力を有していた鈴木敏文会長下でスタートした。
 だが先に発表された18年2月期決算(純益1851億円と4期ぶりに過去最高を更新)で、オムニチャネル戦略の推進主体となってきた「omni7(オムニ7)」の建物・ソフトウエアに関し234億9200万円の損失が計上されているのである。広報担当者はこう説明した。
「戦略の大転換とは認識していない。ネット通販は今後も多様化し継続する。経営戦略の軸足の遷移とご理解いただきたい」
「オムニチャネル戦略」は小売業者の間で一気に関心が高まったが、その牽引役となったオムニ7の減損処理。この間、鈴木会長は16年5月に退任し、鈴木氏の2男でオムニ7の責任者だった鈴木康弘取締役も同年12月に退任している。「鈴木親子の退任はオムニチャネル戦略失敗の引責」とするアナリストもおり、「オムニチャネル戦略が座礁に乗り上げた」ことは否定できない。


 東芝幹部は子会社売却で最後まで右往左往した

 東芝がようやく中国の独禁当局の承認を得て、6月1日付で半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却手続きを終える。しかし、米ベイン・キャピタルなど12社で構成する日米韓連合に2兆円で売却することが昨年秋にまとまったものの、その裏で東芝首脳陣はできれば売らないで済む可能性を模索していたのだ。
 昨年暮れ、東芝は60もの投資ファンドへの第3者割当増資によって6000億円もの資金を調達。これによって債務超過を脱し、株主資本は7000億円になった。その後、三井住友銀行出身の車谷暢昭氏が会長兼CEOに就任すると、車谷氏はこれからの東芝の将来像を考えた時にエレベーターや重電、POSシステムなど残る事業だけでは成長の見通しが立たないと不安がった。デジタル家電や情報端末からの撤退や大幅縮小を決めた東芝にとって、次代の飯のタネがないからだ。
 そうした中「審査期限の5月28日までに中国が承認しなかった場合、ベインへの売却を諦め、違約金を払ってでも東芝メモリを傘下に置いておく」と役員の1人は自分の考えを示唆。経済産業省にとっても売らないで済むのであれば、それにこしたことはない。東芝の役員や関係者の間で売却断念の雰囲気が濃厚になりかけたところ、突如、中国が一転して売却を承認。審査がパスし、売却されることになった。この間、東芝の経営陣は右往左往するばかり。二転三転の挙げ句、振り出しに戻ることまで考え出す。あまりにも子どもじみた指揮・采配ぶりだった。


 カジノ法案成立を先取り、大阪で進む拠点づくり

 6月20日までの予定会期の今国会でIR(統合型リゾート)関連法案、通称カジノ法案が成立すれば、第1弾となるIR開業は2020年代半ばとなる見通しとなった。そんな中、誘致に積極的な大阪に拠点を置く民間事業が出てきた。
 そのIRの舞台と目されているのは大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)。日本維新の会代表の松井一郎・大阪府知事や市長、経済界がこぞって旗を振るのは、関西の斜陽化をストップさせる切り札と見ているからだ。とにかくインバウンドの経済効果が爆発しているうちに何とかしたい。東京のように「賭博で経済成長しなくてよい」という甘い考えはない。アベノミクスの成長戦略の1つである観光立国については「A面(表面)はインバウンド誘致、B面(裏面)はカジノ」という解釈もある。
 そして、国内初のIRの展示会が開かれたのは4月末。場所はやはり大阪市で、世界のカジノ大手6社の首脳が日本への並々ならぬ進出意欲を示した。ソフトバンクと太いパイプのある米ラスベガス・サンズはシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」への投資額の2倍近い100億ドル(約1兆900億円)超を大阪に投じる方針だという。また、カジノディーラーを養成する日本カジノスクールは大阪・中央区の「なんばマルイ」に大阪校を新設。香港のIR運営大手メルコリゾーツ&エンターテインメントは御堂筋沿いに大阪オフィスを開設した。
 ちなみにIR実施法案では、日本人客の入場を週3回、月10回までに限り、1回当たり6000円の入場料を徴収する。さらにカジノ事業者は収益の30%の納付金を課されるほか、施設全体に占めるカジノの面積を3%に抑える方針だ。


 密約説が囁かれるコインチェックの買収

 マネックスグループ(松本大社長)による仮想通貨交換所のコインチェック買収が4月16日に完了したが、話題が尾を引いている。買収額は36億円だが、松本社長は今後3年間に利益の最大半分を現株主に追加で支払う「アーンアウト条項」を提案。買収額を巡り低すぎると主張するコインチェックの現株主とマネックス側の企業価値評価が折り合わなかったためだ。
 仮想通貨NEM(ネム)流出前のコインチェックの営業利益率は何と73%もあった。だが、信用が失墜したコインチェックが今後も高い利益を上げられるかどうかは未知数との懸念も捨てきれない。しかし、金融関係者は杞憂と見ている。
「買収に当たって金融庁幹部とマネックスの松本氏の間で密約があるとの情報がある。引き受け手がないコインチェックをどうしても救済させたかった金融庁は、松本氏に泣きついた。一方、仮想通貨に出遅れていたマネックス側も渡りに船だった」とメガバンク幹部は解説する。
 実は、マネックスによるコインチェック買収は、法的には難しい案件だった。マネックスは静岡銀行が25%の株式を保有する持ち分法適用会社。そのマネックスがコインチェックを買収すれば銀行が間接的に仮想通貨交換会社を支配することになる。これは兼業を禁止する銀行法に抵触する。それを金融庁は個別案件の「特例」として認可したわけで、密約が囁かれるのも無理はない。
 一方、セキュリティー対策など過大な負担を嫌気して廃業する交換所も増えている。プレイヤーは急減しており、マネックスなど生き残った業者には有利に働きそうだ。


 「電子投票」が終焉、コスト負担にギブアップ

 ネット選挙が解禁されて5年。有権者も候補者も徐々に慣れつつある中、地方選挙に限って解禁されていた「電子投票」が、コスト負担に耐えきれず消え去ることになった。
「電子投票」は、投票所に設置された専用端末のパネルに触れて候補者を選ぶ方式。投票が容易で、案分票や疑問票・無効票がなくなり、開票作業も大幅に短縮できるなどメリットが大きいとされてきた。2002年の岡山県新見市の市長・市議選を皮切りに、京都市や広島市の政令指定都市から三重県四日市市や福島県大玉村まで十市町村で導入された。
 ところが、専用端末のレンタル代が割高で自治体のコスト負担が大きい上、岐阜県可児市で投票機の異常が原因で選挙そのものが無効になる「事件」が起きた。システムのプログラムが書き換えられて投票データが改ざんされる懸念も消えず、結局、全国には広がらずじまい。国政選挙での実施も見送られたままだ。
 このため、「電子投票」を取りやめる自治体が相次ぐ中、電子投票システムを唯一提供していた「電子投票普及協業組合」が17年末、「採算が取れない」と更新時期が来ていたシステムの開発を中止。最後まで残っていた青森県六戸町は、更新システムの供給を受けることができなくなり、19年春に予定されている町議選での休止に追い込まれた。
 総務省は17年末から、マイナンバーカードを活用して自宅のパソコンやスマートフォンで投票できる「ネット投票」の検討を進めている。しかし、「電子投票」さえ普及させられなかった「負の実績」を思えば実現に向けたハードルは高い。


 抗菌薬の「乱用阻止」に反対する保団連の身勝手

 昨年、厚労省から出された抗生物質などの抗菌薬の使用制限が、この4月から診療報酬にも反映された。
 従来、日本の医師は風邪に対しても効果のない抗生物質などを処方してきた。その結果、抗生物質などが効かない耐性菌が蔓延、耐性菌MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)の院内感染で命を落とす患者が出た。WHOなどの指摘もあって数年前から抗生物質など抗菌薬の乱用に歯止めをかけようと学会や行政が動き出した。今回、厚労省から出された「手引き」では風邪を含む上気道炎、気管支炎、副鼻腔炎、感染性腸炎などには抗生物質・抗菌薬は不要とされ、手引きに基づいて抗生物質・抗菌薬を使用すれば、診療報酬上、加算が付くことになる。
 ところが、保険医の団体である全国保険医団体連合会(保団連)が厚労省に対し、「手引き」の撤回を求めている。理由は、「もし、手引き通り抗菌薬の使用制限をすれば、場合によっては患者の病気が悪化して死に至る危険もある。患者のためには抗菌薬の使用はこれまで通り医師の裁量に任せるべきだ」というもの。
 これは昔から延々と続けられてきた科学的根拠の希薄な主張だ。それを医師の団体がなぜ続けるのか。
 20年以上前から、抗菌薬乱用を批判してきた小児科医が語る。
「科学的根拠よりも、医師の主観や思い込みがまかり通っているからです。これまでやってきた方法を変えたくないという守旧派の医師と製薬メーカーが一緒になって必死で最後の抵抗を試みているのでは」
 患者の健康や安全より、医師の都合や製薬メーカーの利益優先という構図だとしたら情けない。


 スマートデイズ破綻で「スルガ銀行事件」に

 「かぼちゃの馬車」という絶妙なネーミングで人気を集めた女性専用シェアハウスを運営するスマートデイズの経営破綻は、オーナー側被害弁護団が私文書偽造などで警視庁に刑事告発、事件化が確実となった。
「預金残高の偽造などは、スマートデイズに限りません。他のシェアハウス業者はもちろん、スルガ銀行が経営の柱としていた個人向け不動産ローンの顧客全体に及んでいます。ということは、審査を甘くして高利で顧客に貸し付けるスルガ銀行の融資姿勢に事件の芽があるということで、今後、スルガ銀行事件として展開することを意味します」(被害弁護団の弁護士)
 当初、問われたのはスマートデイズの販売手法である。「金利8%で30年の家賃保証」という触れ込みで30代から50代の中間所得層を勧誘、スルガ銀行の融資を受けさせてオーナーにしていった。その過程で審査書類を偽造、不動産売買の過程で中抜き、建設工事業者からはキックバックとやりたい放題で、「スマートデイズという悪質業者の事件」と思われた。実際、スマートデイズの創業者は石油安売りで一世を風靡、後にアダルトビデオ販売を全国展開して風営法違反で逮捕されるなど、うさん臭さが漂っていた。創立5年で売上高300億というのも、「急成長」の範囲を超える異常さだった。
 その商法を裏で支えていたのがスルガ銀行であることが明らかとなり、5月15日の記者会見で米山明広会長は、「多くの社員が不正を知っていた」と語り、謝罪した。それが黙認のレベルではなく主導していたとなれば、まさに「スルガ銀行事件」となる。そうなれば経営基盤を揺るがし、他の地銀への身売りといった事態になりかねないだろう。


 CRCがTBS人気ドラマ『ブラックペアン』に抗議

 「治験コーディネーター」とも呼ばれるCRC(臨床研究コーディネーター)の団体「日本臨床薬理学会」が、TBSの看板番組「日曜劇場」の人気ドラマ『ブラックペアン』に「あまりにも実態と懸け離れた内容に描かれている」と抗議している。
 ドラマは医師で作家でもある海堂尊氏の小説『ブラックペアン1988』(講談社刊)が原作だが、原作にはないスーツ姿の美人女性CRCが登場。治験責任医師を高級てんぷら店や寿司屋で接待したり、医療機器の治験に参加する患者に治験参加の見返りとして300万円の小切手を「お納めください」と手渡したりする場面が登場する。こうしたシーンにびっくりした臨床薬理学会が「事実誤認も甚だしい」と、TBSに抗議文を送ったのだ。
 実際のCRCは医療知識が必要なため、看護師や薬剤師、臨床検査技師出身で、臨床薬理学会に認定された医療側の人材。彼らは治験担当医師の指示を受けて臨床研究を支援する職種で、製薬会社や医療機器メーカーとはまったく関係ない。具体的には患者に治験の内容や副作用を説明したり、治験中には患者の体調や副作用の有無、あるいは、患者の要望を聞いたりするとともに診察にも立ち会い、患者をサポートするのが仕事である。ドラマに出てくるような医師を接待することなどあり得ないという。
 抗議文では「医師接待や患者に多額の現金を渡したりするシーンは事実に反するだけでなく、CRCという職種や治験に不信感を持たせる。今まで善意で治験に協力してくれた患者に失礼なうえ、治験を歪めるものだ」と強調している。


 池田大作氏に体調不良説、重要記念日にも写真なし

 御年90歳になる池田大作創価学会名誉会長の体調が相当良くないのではないか? こんな声が政界の一部でささやかれている。
というのも、創価学会の節目の日である池田氏の誕生日、1月2日と池田氏や2代会長の戸田城聖氏が会長に就任した5月3日(創価学会の日)に池田氏の近影が機関紙「聖教新聞」に載らなかったからだ。創価学会の重要記念日3つのもう1つ、創立記念日(11月18日)直前の昨年11月16日に夫人と東京・八王子の学会施設を訪れた際の写真が、同年12月1日の紙面に掲載されて以降、近影は紹介されないまま。
 池田氏が公の場に最後に姿を見せたのは、2010年5月。「不在」は8年に及ぶが、それでも3つの記念日の頃や国政選挙の前、夏休みには夫人とともに椅子に座っている写真などを掲載。老いは隠せないものの、会員に健在ぶりをアピールしてきた。今年5月3日の聖教新聞は、池田氏が4月30日に戸田2代会長ゆかりの東京・西神田を訪れたことを紹介しながら、なぜか本人の写真ではなく、池田氏が撮影したとされる風景写真を掲載した。
 昨年10月の衆院選で議席を減らした公明党は、来年4月の統一地方選や夏の参院選で雪辱を果たすべく、支持者の拡大に全力を挙げている。こうした事情を考えれば、元気な写真を掲載し、会員の士気を高め、組織の結束を高めるのが自然だ。
 創価学会はいつ池田氏の写真を載せて、体調不安説を打ち消すのか。当面注目されるのが、夏休みだ。


 相談役・顧問制度見直しで役員報酬も米国並みに?

 六月の株主総会を控え、相談役・顧問制度の廃止が提案される企業が増えているが、この見直しに伴い、現役トップなど役員の報酬が引き上げられるとの観測が浮上している。
 日本の相談役・顧問制度は、元役員の現役時代の貢献に対する報酬の後払いのために設けられたポストという意味がある。そのため、その期間が短縮もしくは廃止されるのであれば、現役時代の報酬を引き上げなければ帳尻が合わないことになるからだ。邦銀でも欧米の銀行トップ並みの高報酬を得る時代が来るかもしれない。
 米銀トップは、目をむくほどの高報酬を毎年手にしている。シティ・バンクのマイク・コルバットCEOの2017年の年報酬は2300万ドル(約25億3000万円)、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは2950万ドル(約32億4500万円)、バンク・オブ・アメリカのブライアン・モイニハンCEOは2300万ドル(約25億3000万万円)を得ている。これに比べ日本の邦銀トップの年報酬はせいぜい数億円程度だ。
 米銀トップと一般行員の報酬格差も拡大している。JPモルガン・チェースでは、ダイモンCEOと一般行員の年報酬格差は364倍、シティ・バンクのコルバット氏は369倍、バンカメのモイニハン氏は250倍に達する。
 米国の上場企業は、10年制定の金融規制改革法(ドッド・フランク法)により今年から、経営トップの報酬が自社の平均的な従業員給与の何倍かを示す比率(ペイ・レシオ)の公表が義務付けられた。ちなみに、AT&Tは366倍、マクドナルドに至っては3101倍に達することが分かった。


 タイ有力英字紙で内紛勃発、軍政批判の編集局長を解任

 軍事政権下にあるタイで5月中旬、有力英字紙バンコク・ポストのウメシュ・パンディー編集局長が解任された。ウメシュ氏はフェイスブックに「理由は皆さんご存じの通り。トーンダウンしろと言われたが、従わなかった」と投稿し、社幹部が求めた軍政への「忖度」に応じなかったため、更迭されたことを示唆。報道の自由をめぐる議論に火がついた。
 ポスト紙はマレーシア総選挙で勝利したマハティール首相が返り咲きを果たした翌日、1面トップに「軍政への教訓」との見出しを掲載。マレーシアのナジブ前首相をめぐる腐敗に触れつつ、「汚職にまみれた政府は責任を問われる」という識者コメントを載せ、軍政に警鐘を鳴らした。
 ウメシュ氏は「ポスト紙を世界クラスの新聞にしようと取り組んできた。おとなしく指示に従うより、職を失うほうを選ぶ」と主張。一方のポスト紙側は、ウメシュ氏は昨年から規律違反や仕事上のトラブルを繰り返した。更迭したとは言え、副社長補佐の重職に異動。これまでと同じ給与が保証されており、最大限の配慮をしているとの立場だ。
 ポスト紙は発刊から72年を迎えた老舗新聞。ネーション紙と並ぶタイの2大英字紙の一角で、ライバル関係にある両紙はしのぎを削っている。ウメシュ氏と社の主張は真っ向から対立しており、泥仕合の様相を呈しているが、有力紙の内紛は、クーデターから4年が経過しても民政移管しようとしない軍を利するだけという懸念も広がっている。


 注目される台北市長選、与党が柯文哲現市長と対立

 台湾の中間選挙である6大市長(台北、新北、桃園、台中、台南、高雄)選と地方議員選挙の投票日は今年11月25日。熾烈な闘いがすでに始まっている。特に6大市長は「閣僚級」として扱われ、台湾政治への影響力が強い。前回は民進党の5勝1敗で、地方選挙では退役軍人が集中する地区や農協など組織票が鉄壁といわれる国民党が、民進党の躍進ぶりに青ざめた。
 2014年の6大市長選で世界的な注目を集めたのは首都・台北市長に外科医で政治未経験の民進党候補・柯文哲氏が当選したことだった。台湾大学医学部卒で、臓器移植の権威とされるが政治業績はゼロ。政治信条もなく、人見知りで演説も下手という人物が、国民党の選挙プロが精密に区分けして構築した台北選挙区で当選するはずがないと言われた。
 だが、不思議な風が吹いた。
 第1は過去の市長が馬英九前総統ら国民党のエリートであり、14年に柯文哲氏が争った相手は連戦(国民党名誉総裁)の息子・連勝文だった。言わば「台湾の太子党」が続き、柯文哲氏は台北市民が飽き飽きしていたムードに乗れた。
 第2の勝因は新世代とスマホである。選挙のやり方を根本的に変え、各地で音楽会、自転車の行進、木訥な話し方に台北市民はカリスマを見たのかもしれない。柯文哲氏は自転車好きで、自ら自転車レースにも出場するほど。それがスマホ、ネットで好感度をつくり出した。
 しかし4年間の台北市政に輝かしい実績は皆無。やはり政治はプロでなければ都市計画も進まない。というわけで与党・民進党は「独自候補」を擁立し、柯文哲氏と対立することに方針転換した。


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