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今や世界一の大富豪になったアマゾンのジェフ・ベゾスCEO


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■ビジネスモラル


躍進するアマゾンの社会変革が進行
巨大化封じ込めに動く規制当局

■EUでは330億円の追徴課税を受けた。トランプ米大統領も税逃れをやり玉に挙げた。
だが、次々に市場の寡占化を進めるアマゾンは独自の経営論理でビジネスを進める――

 株価上昇で年初には時価総額1000億ドルを超える巨大企業に成長したアマゾン。創業者のジェフ・べゾスCEO(最高経営責任者=写真)はビル・ゲイツ氏を抜き世界一の大金持ちに躍り出た。
 小さな書籍販売を手掛けるガレージ企業に過ぎなかったアマゾンは、いまやネットショッピングで既存の小売業を脅かすだけでなく、2017年には米国の大手高級スーパー「ホールフーズマーケット」を約一兆五千億円で買収、ネットと実店舗の融合を推し進めている。また、スマートスピーカー市場には「Alexa(アレクサ)」を投入、ビデオ・オン・デマンドサービスも展開するなど事業の多角化も急ピッチだ。

            ◇

アマゾンの進出は
「既存業界の破壊」


 アマゾンの日本への影響も強大だ。運送業界の働き方を変えただけではない。17年には生鮮食品の宅配にも乗り出した。大手スーパーの危機感は深まっている。世界の市場がアマゾンに食い尽くされかねない勢いだ。
 だが、ここにきてアマゾンの市場寡占化には反対の動きも出ている。欧州連合(EU)はルクセンブルクの優遇税制を利用した税圧縮が「国家補助規制」に抵触するとして、約330億円の追徴税を課した。
 また、トランプ大統領は、12月29日、米国の郵政公社(USPS)は、アマゾンに請求する料金を引き上げるべきだとツイートした。「年間何十億ドルもの損失を出しているUSPSがなぜアマゾンなどの小包配送にほんのわずかな料金しか請求せず、アマゾンをどんどんリッチにさせる一方、USPSはより間抜けで貧しくなっているのか?」と問いかけたもの。アナリストの試算では、15年時点で、アマゾンの配送量のうち約四割をUSPSが取り扱ったが、アマゾンはUSPSに対し、小包1つあたり2ドルしか支払っていない。この額は、宅配大手のユナイテッド・パーセル・サービスなどの半分の水準とされる。
 トランプ大統領は、たびたびジェフ・べゾス氏をツイッターで批判しており、昨年夏には、アマゾンが「納税している小売業者に大きなダメージを与えている」と、国際的なネットワークを利用して税逃れをしていると批判されるアマゾンをやり玉に挙げた。
 アマゾンの躍進は、社会そのものを変革するインパクトを与えつつある。その躍進ぶりは「既存業界の破壊」とも表現される。破壊的なイノベーターであるアマゾンが進出した業界は駆逐され、市場は独占されるという意味だ。


霞が関の官僚も批判
市場寡占の障害を懸念


 例えば、スマートスピーカー市場における「アマゾンエコー」ではAIアシスタント「Alexa」を搭載し、AI(人工知能)を駆使したデータ管理で消費者の行動が丸裸にされかねない。人間が日常の生活シーンで交わす会話などがアマゾンエコーを通じてビッグデータとして蓄積され、その解析を基に新たなサービスが開発されるというアマゾンにとっての好循環を生む。
 また、昨年買収した「ホールフーズマーケット」では、買収が完了した昨年九月以降、アマゾンは「365 エブリデー バリュー」というホールフーズの自然食品PBを、ネットで販売し始めて大きな成果を挙げつつある。生鮮食料品をネットで販売する「アマゾン フレッシュ」の昨年9〜12月の売上高は、前年比35%増の1億3500万ドルに達した。ただし、「アマゾン フレッシュ」は07年から展開しているものの、未だ米国の食料品市場シェアの約1%を占めるに過ぎない。「ホールフーズマーケット」買収をテコにどこまでシェアを拡大するか、注目される。
 鍵は、「アマゾン フレッシュ」、プライム会員向けに1時間以内に生鮮食料品を配送する「プライム ナウ」と「ホールフーズマーケット」、「アマゾン ゴー」(コンビニエンスストア)などの実店舗事業との相乗効果をいかに引き出せるかにかかっている。アナリストの予想では、アマゾンのネットを通じた生鮮食料品販売は、年率2桁の割合で増えていく可能性があると指摘されている。
 だが、こうした世界で1人勝ちのアマゾンには、各国の規制当局もその肥大化に対し、市場の寡占が「独占禁止法」に抵触する可能性があるとして調査に乗り出したとの情報もある。日本でも「アマゾンが進出した後にはぺんぺん草も生えない」(霞が関の某官僚)と問題視している。
 実際、アマゾンの膨張は、市場をコントロールすることで価格を破壊するだけでなく、独占による弊害を生じかねないと危惧され始めている。最大の問題は、現状ではコンペティターとなりうる競合相手がいないことであろう。
 アマゾンは経営理念として「顧客中心主義」「発明中心主義」「長期的視野」の3つを掲げて事業展開している。また、一般の小売業と異なり、売上高や利益を最大化することではなく、フリーキャッシュフローを最大化することを目的としている。このため通期決算で赤字になることもいとわない。また、1997年にナスダックに上場して以来、株主に対し配当をしたこともなく、無配を続けている。配当により資金を外部流出させるよりも、フリーキャッシュを確保して設備投資や買収に振り向けることでさらなる成長を担保し、株価を上昇させるほうが株主利益にかなっているという経営哲学が貫かれているからだ。

グーグルやアップルは
後塵を拝している


 既存の企業の枠にとらわれない、市場の異端児と言える特異なビジネスモデルは、いまや他の追随を許さないほど拡張している。2016年のアメリカにおけるオンライン購入の43%はアマゾン経由で、16年9月末時点のアメリカにおけるプライム会員は約6500万人に及ぶ。
 売上高の伸びも突出している。16年のアメリカでの売上高は903億4900万ドルで前年比28.0%の増加、ドイツの売上高は141億4800万ドルで同19.7%増、日本は107億9700万ドルで同30.6%増、イギリスは95億4700万ドルで5.6%増、その他は111億4600万ドルと、いずれも急伸している。16年の連結総売上高は1359億8700万ドルに及び、日本での売上高も初めて1兆円を突破した。
 そのアマゾンがとうとう日本のビッグカンパニー・トヨタ自動車と組んだ。1月15日、米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーでトヨタ自動車は、アマゾン・ドット・コムのAI「Alexa」を搭載した新型車を発表した。車内から音声で自宅のエアコンを操作できるほか、ネットでの買い物も可能になるという。トヨタ自動車は今年春にも「Alexa」を搭載した上級セダンを発売する予定だ。
 トヨタ自動車がアマゾンと組む決断をした背景には、AIスピーカー市場におけるアマゾンの圧倒的な存在感がある。音声操作機能のついたAIスピーカーで、アマゾンは米国のシェアの実に7割超を独占している。この分野で先行していたグーグルやアップルはいまやアマゾンの後塵を拝している。トヨタ自動車とアマゾンという日米のビッグカンパニーが組むインパクトは強烈だ。
 買収も駆使したアマゾンの多角化はとどまるところを知らない。進出した市場では低価格を武器に高い市場シェアをものにする。その勢いに既存の事業者は恐怖すら感じる。そうした既存の事業者が最後の砦と頼むのは、当局の規制強化と独禁法の網にほかならない。このままでは、先進国の規制当局とアマゾンとの戦いは一層先鋭化しかねない。
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