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日本の報道の独自性が脅かされていると報告した国連人権委員会のデービット・ケイ特別報告者


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「停波」に言及した高市総務大臣


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■<シリーズ>メディア激動時代(100)──神余 心


世界的に窮屈さ増す「報道の自由」
政権の圧力で狭まる「知る権利」

■2010年には世界11位だった日本の報道自由度は、安倍政権になって下がり続け、現在はG7最低の72位。「権力のチェック機能」の役割を果たしているといえるのか──

 民主主義の根幹である「報道の自由」が窮屈さを増している。
 国連人権理事会の「言論と表現の自由」に関する特別報告者のデービッド・ケイ米カリフォルニア大教授は、日本で「報道の独立性」が脅かされていると懸念を表明。米国務省も、2016年版人権報告書で、安倍晋三政権によるメディアへの圧力が高まっていると指摘した。
 実際、特定秘密保護法の制定で「知る権利」が損なわれる恐れが強まり、政府が放送法に基づき放送局の停波の可能性を示唆する事例も問題化している。
 一方、海外では、米国でトランプ大統領が自身に不都合な報道を「フェィク(偽物)」と決めつける前代未聞の事態が発生。ロシアや中国は徹底したメディア言論統制を続行、トルコなどでも言論に対する締め付けが強まっているとのニュースが届く。
 一部メディアの「忖度」も話題になる中、権力に対峙すべきジャーナリズムの真価が問われている。

国連人権理事会で
日本政府に勧告


「特に懸念しているのは、日本政府がメディアに対して直接的または間接的に圧力をかけていることだ」
 ケイ特別報告者は6月12日、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、日本の「表現の自由」について報告し、こう断言した。
 そして、「報道の独立性」を強化するため、日本政府に対し、いくつもの勧告を行った。
 まず、総務省に放送局を規制する権限を与える枠組みはメディアの自由と独立に対する不当な制約につながると指摘、放送の規制は政府から独立した第3者機関が行うべきとの見解を示し、「政治的公平」などを記した放送法4条の撤廃を求めた。
 次に、特定秘密保護法は、「知る権利」の範囲を狭めていると強調、特定秘密に指定できる事項を適切に定義していないため、公共の利益に資する情報を発信したジャーナリストや情報源の政府関係者が刑罰を科される危険性に言及した。そのうえで、メディアを萎縮させないよう、安全保障上問題がなく一般市民が関心のある情報を開示しても処罰されない例外規定を設ける法改正を促した。
 さらに、従軍慰安婦問題など第2次世界大戦中の犯罪事実の記述をめぐる教科書検定問題について、政府は歴史的出来事の解釈への介入を慎むよう求めた。
 国連特別報告者は、国連人権理事会の任命を受け、特定の国やテーマ別の人権状況について調査を行う専門家で、現在30人以上が活動している。いかなる政府・組織からも独立して調査にあたり、結果を理事会に報告するのが任務だ。
「言論と表現の自由」に関する対日調査は初めてで、ケイ氏は、16年4月に政府の招待で訪日し、政府高官、報道関係者、学識経験者、人権活動家らと面談し、報告書にまとめた。

結束に欠ける
日本のジャーナリスト


 国連人権理事会に先立ち、国連人権高等弁務官事務所は今年5月30日、ケイ氏の「対日調査報告書」を公表。6月2日にはケイ氏が再び日本を訪れ、上智大学で記者会見した。
 日本政府は、「報告書」の公表直後に「(報告書の)多くが伝聞や推測に基づいている」とする反論書を国連人権委員会に送ったが、ケイ氏は「伝聞ではなく事実に立脚している。意見の違いはあるかもしれないが、報告書の事実は正確だと自信を持っている」と一蹴した。
 また、放送メディアの独立性について、政府の「現政権も以前の政権も、放送法により放送の停止を命令したことは一度もなく圧力に使ったこともない」という主張に対し、「それは、いわばダモクレスの剣(ギリシャ神話に登場する頭上につるされた剣、常に身に迫る一触即発の危険な状態をいう)であり、放送局にダモクレスの剣が振りかざされている。例えば、政府を厳しく批判すれば、政治的公平に欠けていることを理由に放送免許を取り上げられることがあり得る」と批判した。
 さらに、「表現の自由」を保障する日本国憲法21条について、自民党の改憲草案が「『公益』や『公の秩序』を害することを目的とした活動は認められない」との文言を加えようとしていることに触れ、「『表現の自由』を深刻に傷つけかねない」と警鐘を鳴らした。
 一方、「ジャーナリスト自身ができることがあるのではないか」と、メディア側にも注文をつけた。
 ケイ氏は「日本にはジャーナリスト同士の連帯を担保する組織がない」と語り、その理由として「日本のジャーナリストは第1に会社員であり、ジャーナリストであることは2の次」という日本特有の事情を挙げた。「ジャーナリストの結束がないため、結果的にメディアに対する規制や圧力を助長している」との見方を示し、プロの立場で会社を超えた連帯を強めるよう訴えた。
 また、記者クラブ制度にも疑問を投げかけ、「記者クラブに加入していなければ記者会見に参加できない制度は、情報制限の象徴であり、『(情報を得るために権力の歓心を買おうとする)アクセス・ジャーナリズム』を助長する。政府が描くストーリーを発信しがちになり、政府に厳しい調査報道に影響が出る」と述べ、「こうした環境では政府が少し圧力をかけただけでも跳ね返せない」と危惧した。
 つまり、「報道の独立性」を確保するためには、メディアも自らを律する姿勢を示さなければならないというのだ。
(以下、本誌をご覧ください)
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