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停滞の時代にあえぐプーチン大統領


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後継が消えた(?) メドベージェフ首相


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■ロシア「内政の季節」──名越健郎(拓殖大学海外事情研究所教授)


プーチン大統領早期退陣のシナリオか
ブレジネフ時代を彷彿させる停滞を読む

■異例の長期政権となったプーチン体制の綻びが目立つ中、ロシア国内では権力の暗闘が密かに始まりつつある。唯一、日本の安倍政権だけが寄り添う外交分野でも孤立感が目立ってきた──

 来年3月11日の大統領選を控え、ロシアが「内政の季節」に入った。ロシアでは、重要な選挙前になると謎めいた事件が頻発するが、それは今回も同様だ。加えて、原油価格下落、米露関係の低迷など、クレムリンにとって不都合な展開が続く。プーチン体制は表面的には盤石で、来年の選挙も「当選確実」との見方が支配的だ。だが、内憂外患が深まる中、プーチン大統領が後継者を指名し、出馬を断念する──との憶測も一部で出始めた。

              ◇

汚職告発や
相次ぐ不審死


 ロシア各地で3月26日に起きた反腐敗デモは、若者を中心に数万人が参加し、予想以上に膨れ上がった。反政府活動家ナバリヌイ氏が作成した、メドベージェフ首相の腐敗・汚職を告発する動画に呼応したデモは、若者を扇動し、SNSなどを通じて自然発生的に広がった。就職難や失業増、政府高官の汚職に反発する若者の閉塞感の強さを示した。治安当局は1000人以上を一時拘束したが、これほどの一斉拘束も異例で、当局が受けたショックの大きさをうかがわせた。
 ナバリヌイ氏は4月、極右活動家に化学物質の入った液体を顔にかけられ、片眼が見えなくなり、スペインで治療を受けた。
 4月2日にサンクトペテルブルクで起きた地下鉄爆破テロでは、15人が死亡、約50人が負傷した。捜査当局は、キルギス生まれのロシア人の若者が起こした自爆テロと発表。事件に関連した約10人のイスラム教徒を逮捕した。しかし、ロシアのメディアによれば、容疑は立証されていない。過激派組織「イスラム国」も犯行声明を出しておらず、事件の背景は依然謎だ。
 南部のアストラハンなどでも、イスラム教徒による小規模なテロ事件が数件続いた。ロシアでは、イスラム教徒の出生増や中央アジアからの移民増で、イスラム教徒の人口が全体の20%近くに拡大している。それとともに、ロシア人が利権を独占して格差が拡大することに、イスラム教徒の不満が高まっている。
 暗殺や不審死も続いている。3月にウクライナの首都キエフの繁華街で、反プーチンの活動家、ポロネンコ元下院議員がウクライナ人によって殺害された。ポロネンコ氏はプーチン政権のウクライナ政策を非難してウクライナに亡命。警察に射殺された実行犯はロシア情報機関のエージェントだったと報じられた。プーチン体制下では、反政府勢力の怪死事件が続く。
 過去半年間にロシアの外交官6人が相次いで死亡したことも謎だ。昨年12月、駐トルコ大使がトルコの警官に銃殺されたのはロシア軍のシリア攻撃への報復だったが、その後も国連大使、駐インド大使、駐ギリシャ総領事が「病死」した。ニューヨークでは、治安担当の外交官も死亡している。中南米担当の外務省当局者もモスクワで何者かに射殺れた。ロシアの一部メディアは「西側の陰謀」と報じた。
 過去2年マイナス成長に落ち込んだロシア経済も上昇の兆しはない。原油生産調整で1バレル=50ドル台に上昇した原油価格は、5月に入って同40ドル台に下落した。米国のシェールオイル増産による供給拡大が背景にある。資源開発を掲げるトランプ政権下でシェール石油の増産が続くだけに、価格上昇は難しい。ロシアの輸出の7割をエネルギーが占めるだけに、原油価格低迷は痛手だ。
「コメルサント」紙によれば、ロシア家庭の平均支出額は4月時点で前年同期比4.9%の減少となり、過去5年で最低水準となった。経済危機が長期化する中、ロシア人は節約に走り、それが不況色を強め、経済の悪循環を招いている。景気を反映する新車販売台数は、2015年が前年比▲36%、16年が▲11%と沈んだ。

親露派敗北の欧州と
ロシア寄りの日本


 プーチン大統領は昨年12月の教書演説で、「経済の苦境にもかかわらず、国民は愛国主義的な価値観で団結している」と述べた。5月9日の対独戦勝記念日は、モスクワなど各地で盛大な軍事パレードが行われ、大衆動員のイベントも行われた。国威を発揚させて苦境を突破する方針だが、72年前の戦勝をいまだに盛大に祝うのもグロテスクだ。
 経済苦境の大きな要因の1つは、欧米の経済制裁にある。14年のウクライナ危機で、欧米諸国はロシア企業の借り入れ制限や先端技術の投資禁止を決め、ロシア経済にじわじわと打撃を与えている。石油・ガス企業は新規油田、ガス田開発に欧米の資本、技術を導入できず、開発が停滞したままだ。フル稼働してきた既存油田・ガス田の一部に枯渇化が見られる。
 プーチン政権はトランプ米政権との関係改善によって経済制裁の突破を狙ったが、トランプ陣営が選挙戦中、ロシア情報機関にクリントン陣営へのサイバー攻撃を依頼したとの「ロシア・ゲート疑惑」が噴出。これが足かせとなり、トランプ政権は対露外交で新機軸を打ち出せていない。米露関係はむしろ悪化しており、トランプ大統領も経済制裁を維持する構えだ。
 そんな中でロシアが狙ったのは、仏大統領選で「対露制裁解除」「欧州連合(EU)離脱」を掲げる極右のルペン候補の当選だった。ロシアは国営宣伝機関を通じて、「マクロン候補は米国のエージェント」「米国から秘密資金を受けている」などとフェイク・ニュース(偽情報)を流し、マクロン陣営へのサイバー攻撃を行ったと報じられた。しかし、結果はルペン候補の惨敗だった。ロシアの選挙干渉を非難していたマクロン大統領が対露制裁緩和に舵を切るとは思えない。
 クレムリンは9月の独総選挙でも、親露派政党「ドイツのための選択肢」を支援しているが、世論調査ではメルケル首相与党の勝利は動きそうにない。結局クレムリンが今年望んだ欧州の重要選挙で、親露派政党は敗北を喫し、選挙工作は裏目に出そうだ。
 外交の不調の中、プーチン大統領は今年2度訪中し、再び中国に傾斜しようとしている。だが、中国は4月の米中首脳会談で米中関係を軌道に乗せ、トランプ政権と友好関係を築きつつある。米中貿易は中露貿易の約七倍、米国の対中投資額はロシアの100倍以上に上り、中国にとって米中関係こそ「核心的利益」にほかならない。ロシアの経済規模は中国の12%にすぎず、中国外交に占めるロシアの比重は低下している。
(以下、本誌をご覧ください)
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