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横浜で開催されたADBの創立50年記念年次総会で「反保護主義」の共同声明を出した麻生太郎財務相


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米中関係は急速に親密化している


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■東アジアの地政学――八牧浩行(ジャーナリスト)


北朝鮮を“触媒”に米中が急接近
日中関係も改善で「協調の時代」へ


■北朝鮮の核開発をめぐり緊張が高まっていた東アジアで大きな地殻変動が起きている。
米中首脳会談を機にして対話・協調の動きが進んでいる――

 東アジアで地政学的地殻変動が起きている。4月上旬のトランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談で、ミサイル実験を繰り返す北朝鮮核開発抑止を“触媒”に「ディール(取引)」が成立した。中国は北朝鮮の非核化へ制裁強化で協力し、米朝対話をお膳立て。米国は対中経済要求を緩和し、中国主導のインフラ投資銀行(AIIB)加盟機運も高まっている。中国提唱の経済圏構想「一帯一路(海と陸のシルクロード)」が5月中旬に開かれ、日米韓はじめ130カ国代表が出席した。日本から出席した二階俊博自民党幹事長は習近平主席と会談、日中関係改善への道筋が見えてきた。また、韓国では文在寅革新政権が誕生、南北対話を探る動きも出始めた。

              ◇

アジアの発展へ結束
ADB横浜記念総会


「ともに開くアジアの未来」をテーマに、アジア開発銀行(ADB)の創立50年記念年次総会が5月上旬に横浜市で開催された。「米国第1」を掲げるトランプ米大統領の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱問題など欧米を中心に保護主義的な動きが強まる中で、「反保護主義」を貫くことを確認した。
 ADB総会には加盟67カ国・地域から政府、国際機関、民間企業幹部ら約5000人が出席。アジアの持続的な経済発展と住民の生活向上へ、インフラ整備や金融の安定、医療制度の拡充・感染症問題などについて、課題と対応策を協議した。
 会期中に、日中韓3カ国と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国による財務相・中央銀行総裁会議、日中財務相会談なども開催され、アジア経済のさらなる発展に向けた取り組みの強化を打ち出した。総会期間中に開催された日中韓3カ国財務相・中央銀行総裁会議は「あらゆる形態の保護主義に反対する」との文言を共同声明に初めて盛り込んだ。

膨大なインフラ需要に
AIIBと協力可能


 いまや世界最大の経済成長センターに躍り出たアジア地域では鉄道、道路、空港、発電所などのインフラ資金だけで年1兆7000億ドル(約190兆円)の需要が見込まれるが、ADBの年間融資等承諾額は2016年の1年で約175億ドルと資金需要のわずか1/100にとどまる。
 創設以来50年にわたりアジアの成長を支援してきたADBだが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)がライバルとして浮上した。今回総会で、ADB加盟国からはAIIBとの協調を求める声が相次いだ。多様なニーズに対応するために、ADBの増資や中国主導のAIIBとの協力は不可欠。中尾武彦ADB総裁は「膨大なアジアの資金需要を満たすためにAIIBと協力できる。すでに協調融資をしている」と発言。黒田東彦日銀総裁(前ADB総裁)も「ライバルではなく協力できる」と指摘した。
 アジアの成長の要因として中尾総裁は、インフラへの投資、教育や保健など人的資本への投資、マクロ経済の安定、開放的な貿易・投資体制、民間セクターの促進、政府のガバナンス(統治)、将来ビジョン・戦略、政治や治安の安定など八つの条件が満たされた点を列挙した。中南米など他の開発途上地域に比べ、これらの長所が際立っているとも指摘した。
 中尾総裁は、強力なインフラ開発支援、貧困の撲滅、金融の安定、医療制度の拡充・感染症問題、気候変動・災害への対応など「戦略2030」目標を掲げた。今回総会では、多くの出席者からアジアの将来への「大きな期待」と「協力の必要性」が表明された。

「一帯一路」北京会議に
米朝含む130カ国出席


 5月14、15日には中国が主導し“現代版シルクロード”と呼ばれる「一帯一路」構想の初の国際会議「一帯一路国際協力フォーラム」が北京で開催された。ロシア、イタリア、インドネシア、フィリピンなど29カ国の首脳と米国、北朝鮮を含む130以上の国から代表団、1500人以上が参加。1国が呼びかけた国際会議としては、異例の規模となった。「一帯一路」は習主席が13年に提唱した構想で、中国からアジアを通ってヨーロッパまでつながる“陸の道”と南シナ海からインド洋を経て紅海、地中海を通る“海の道”で、大々的にインフラを整備し、交易のルートをつくる計画。
 習主席は「一帯一路は時代の流れと発展に適応し各国人民の利益にかなうものだ」と豪語、関係諸国と中国の双方に経済発展をもたらすと訴えた。しかし、「中国にとっての経済的メリットを追求したもので、国際的な影響力を高めるのが狙いではないか」(会議出席者)と警戒する声が根強いのも事実で、透明性が求められる。
 一帯一路構想国際会議に米国代表団を率いて参加したポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は、同構想を歓迎すると述べ、米国企業が価値の高いサービスを提供できると表明。米国企業などが「一帯一路作業部会」を立ち上げることを明らかにした。
 自民党の二階幹事長は経団連の榊原定征会長らと共に一帯一路国際会議に出席し、AIIBについて「参加をどれだけ早い段階に決断するか、ということになってくる」と言明、日本の早期参加が必要との考えを示した。AIIBはすでに77カ国・地域が加盟。ADBの67を大きく上回っている。さらに8カ国が加盟を希望している。主要7カ国(G7)でAIIBに加盟していないのは日米だけ。安倍晋三首相は「疑問点が解消されれば(参加を)前向きに考えていく。米国とも緊密に連携していきたい」と述べ、米国の出方を注視する意向を表明。日本には「米国に出し抜かれる」(財界首脳)との懸念が高まっている。
 二階幹事長はこの会議出席後、北京の釣魚台迎賓館で習近平国家主席と会談。二階氏は「習主席をはじめとしてハイレベルの方に来てほしい」と中国首脳の訪日を要請し、習氏は「検討したい」と応じた。習氏は会談で「両国が歩み寄って妨害を排除し、中日関係を正しい方向に向けて発展させていきたい」と明言。二階氏は日中首脳の相互訪問を呼びかける安倍晋三首相の親書を渡し、足踏みが続く日中関係改善への首相の意欲を伝えた。
 昨年延期された日本での日中韓首脳会談の早期開催、7月にドイツで開く20カ国・地域(G20)首脳会議の際の日中首脳会談、安倍首相の訪中などの調整も進められる。
(以下、本誌をご覧ください)
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