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元木昌彦(もとき まさひこ)
編集者。1945年生まれ。「週刊現代」や「フライデー」の編集長として権力批判の誌面づくりを貫いた。メディア規制の動きに反対の論陣を張る。2006年11月、講談社を退社。オーマイニュース元社長。上智大学、明治学院大学、大正大学などで講師。インターネット報道協会代表理事。


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近藤大介(こんどう だいすけ)
1965年生まれ。東京大学卒業、国際情報学修士。講談社入社後、中国・朝鮮半島を中心とする東アジア分析をライフワークとする。講談社北京副社長を経て、『週刊現代』特別編集委員。Webメディア『現代ビジネス』に連載中のニュースコラム『北京のランダムウォーカー』は連載350回を超え、日本で最も読まれる中国分析として定評がある。2008年より明治大学国際日本学部講師(東アジア国際関係論)も兼任。新著『活中論』(講談社)をはじめ『パックスチャイナ 中華帝国の野望』(講談社現代新書)、『中国経済「1100兆円破綻」の衝撃』(講談社+α新書)、『日中「再」逆転』(講談社)など23冊の関連図書がある。


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■元木昌彦のメディアを考える旅(232)
 ──今月の同行者/近藤大介氏(「週刊現代」特別編集委員)


トランプvs.習近平の米中新時代
日本は嫌中より活中の道を選べ

■米中首脳会談の日程発表が間際になった背景

 近藤大介さんは講談社の「週刊現代」の特別編集委員で、主に中国や朝鮮半島問題について取材し、署名で執筆している。
 彼が中国に深く関わるのは、私が「週刊現代」編集長の時、彼を北京大学に留学させた頃からだろう。中国語を学び、多くの人脈を作り、中国の名家の美人を奥さんにしている。
 彼は「語学の天才」である。英語はネイティブのアメリカ人が驚くほど流暢で、韓国語も話し、北朝鮮でも通訳なしに取材ができる。
 こうした語学力があるから米・中・韓、もちろん日本を俯瞰して見ることができる。そうした視野の広さが彼の強みであり、他の研究者とは違う近藤史観とでもいうべきものを形作っていると思う。最近出した『活中論』(講談社)はこれまでになかった中国論である。
 彼のスマホを見せてもらったが、そこには中国のテレビや、中国版ツイッター、ブログ、フェイスブックなどのアプリが入っていて、日本にいながら中国の情報を瞬時にとれるようになっている。
 世界が注目していた習近平国家主席とトランプ大統領の米中首脳会談が終わった。そこで何が話し合われ、これからのアジア情勢はどう動いていくのか。新聞などでは分からないマル秘情報を聞きに行ってきた。(敬称略)

              ◇

元木 まず4月6、7日に行われた米中首脳会談から聞かせてください。日本の新聞報道では、何が話し合われ、何が話し合われなかったのかが分からない。
近藤 首脳会談を発表したのは、1週間前の3月30日でしたが、通常ではあり得ないことです。普通、中国の外交日程は2週間前に発表します。しかも国家主席の外交日程ですから3カ月ぐらい前には決まっているはずなのに、それがギリギリになったというのは、やっぱり揉めいていたんだと思います。
元木 何で揉めていたんだろう。
近藤 台湾とTHAAD(弾道ミサイル迎撃システム)、この2つで揉めていたと思うんです。
元木 どういうところが争点になったのですか。
近藤 中国は、台湾が中国の一部であるという「1つの中国」をアメリカが認め、かつ台湾への武器輸出をやめるよう要求していました。また韓国にTHAADを配備することだけは絶対にやめてほしいとも、要求しています。ところがトランプ政権は、「1つの中国」は一応、認めるけれども、自国の軍需産業を活性化させるため、台湾への武器輸出を拡大させたい。また、THAADの韓国配備も譲れない。なぜなら、付属の監視レーダーによって、朝鮮人民軍全体と、中国人民解放軍の北部戦区、中部戦区、北海艦隊、東海艦隊の動向を丸裸にできるからです。
 逆に中国とすれば、THAADによって、北部の陸軍中心から東部・南部の海軍中心の軍隊へという習近平の軍事改革が滞ってしまう。これが滞ると、今年後半の第19回中国共産党大会に向けて、政局になってしまいます。トランプ政権としては、こうしたことも織り込んで配備するのでしょうが。

トランプが仕掛けた
信じ難いディール


元木 これまでの首脳会談とは違って「アメリカの指導者が傍若無人に、中国のリーダーが品行方正に振る舞った」と報じたところもありましたが、習近平のほうが余裕があったように見えましたが。
近藤 習近平は、自信のない時は紅い口紅を差して首脳会談に臨み、余裕綽々の時は薄桃色の口紅を差して臨むのですが、今回は薄桃色でした(笑)。
 それはともかく、中国側は貿易不均衡、北朝鮮、南シナ海という「3大争点」で、トランプからサンドバッグのように叩かれることを恐れていました。
 そのため、ごく大雑把に言えば、経済貿易問題ではアメリカに譲歩し、北朝鮮問題はのらりくらりと面従腹背。そして南シナ海については、絶対に譲歩しないという戦略で臨みました。
 ところが、トランプ大統領はやはり「想定外の男」でした(笑)。
 まず、シリア空爆で頭がいっぱいだったため、全体的に中国に対して友好ムードだった。シリア政府軍を空爆すれば必然的にロシアを敵に回すので、もう一方の大国である中国は味方に付けざるを得ないわけです。
 それから、貿易不均衡問題と南シナ海問題の「ディール」(取引)を目論んでいた中国に対し、トランプが提案したのは、何と北朝鮮問題と南シナ海問題の「ディール」だったのです。つまり、北朝鮮を叩くから協力してほしい、その代わり南シナ海は中国が勝手にやっていいと。これは中国にとっては、俄かには信じ難いことでした。オバマ政権時代にあれほど苦悩していた「航行の自由作戦」が、あっさり消滅したからです。
元木 首脳会談前にトランプはシリア攻撃を指示し、習近平にはディナーの最後、チョコレートケーキを食べている時に伝えたようです。顔に泥を塗られた格好の習近平ですが、これについては容認したと報じられていますが。
近藤 最初はピンと来なかったようです。国際問題には反応が鈍いほうなので(笑)。でも中国側は内心ほくそ笑んだはずです。前述のように、シリア攻撃はロシアを敵に回すことになるので、当分タマはこちらに飛んでこないと。
元木 貿易赤字を減らしてアメリカの雇用を増やすというトランプ側の要求に対して、習近平はどうするつもりなのですか。
近藤 こう言っては語弊があるかもしれませんが、習近平は安全保障問題のため、というより究極的には台湾統一ですが、そのためなら自国の経済が落ち込もうが構わない。だから100日以内に米中の貿易不均衡を是正する方策を立てる「100日プラン」に同意しました。
 また今後は、BIT(米中投資協定)の締結が焦点になってくると思います。BITは先の大統領選直前まで、米中で31回も交渉しても平行線。その理由は2つあって、1つはアメリカが、中国企業は共産党および人民解放軍と一体だとして、先端企業への投資を禁じていること。もう1つは中国側が、自国の市場で国有企業と外資系企業を平等に扱わないことです。どちらもハードルは高いのですが、「ディール外交」をやるトランプ&習近平なら、あっさり締結してしまうかもしれません。

(以下、本誌をご覧ください)
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