ダミー
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 小池知事のモンスター化に自民党が編み出した奇策

 小池百合子東京都知事の人気がとどまるところを知らない。東京オリンピックや豊洲市場移転問題で、守旧派の長老組をやり込め、その立居振る舞いはまるで「和製ジャンヌ・ダルク」。7月2日投票の都議会選挙では、小池知事率いる「都民ファーストの会」(小池新党)が大勝し、都議会自民党や民進党の壊滅的敗北は必至とされる。
 機を見るに敏なことは昔から定評があった。政治の師、小泉純一郎元首相をならって、自分の主張に反旗を翻す抵抗勢力を仕立て、それに立ち向かう構図を作る。テレビのワイドショーは連日、小池知事が主役の「小池劇場」を放映、茶の間の人気をさらった。
 自民党はこれ以上、小池知事を「モンスター」化させると、都政は小池知事の思うように運ばれると危惧する。安倍晋三首相、菅儀偉官房長官はもともと小池知事とはそりが合わない。とりわけ菅官房長官は「小池潰し」に傾注しているという。首相周辺では、何とかこれ以上小池知事をモンスター化させない妙案はないものかと策を練ってきた。
 その1つが、小池知事を東京都知事兼務のまま地方分権担当相として閣内に取り込む「奇策」である。閣内に取り込んでしまえば、動きを封じることができる。今井尚哉首相秘書官(政務)らは、ポスト安倍に野心を抱く小池知事は要請があれば「受ける」と、安倍首相に進言しているという。
 もっとも、この要請を小池氏が受けるかどうかは不明だ。機を見るに敏な小池知事は、ほころびが見え始めた安倍内閣に抱き込まれることを忌避したいのではないか。こんな奇策を思いつくこと自体が安倍内閣の八方塞がり状態を示している。


 安倍昭恵夫人を囲む「女性官僚の会」の正体

 森友学園問題をめぐって安倍首相夫人の昭恵さんの軽率さがやり玉にあがる一方、世論には利用された彼女への同情もある。ところが霞が関では意外に彼女への風当たりが強い。「ちょっと同情なんてできませんよ。軽率なんてもんじゃない」
 ある官庁の課長はそう言って、知られざる事実を「告白」した。
 実は霞が関には「昭恵夫人を囲む女性官僚の会」なるものがある。各省の女性の審議官や課長らが集まり、夫人を囲んで懇談するという催しで、某省の場合は大臣官房から「悪いけれど、キミ、行ってくれないか」と指示が下りてきて、なかば業務の一環として40歳代後半の女性課長が出席することになった。ところが、女性官僚の会と思って行ったところ、意外にも会場には民間企業の女性管理職やベンチャー企業の女性管理職が少なくない。違和感を覚えていると、昭恵夫人が最近彼女のお気に入りという芸術家を連れてきていて、そこでその芸術家の作品の「即売会」がにわかに始まり、参集した女性経営者らが先を争って、高額な作品を買っていく。出席した女性課長は、あまりにも想像を超える展開に面食らった──。
 後日、その模様を女性課長から報告を受けた男性課長は渋い表情だ。
「そもそも首相夫人を囲む女性官僚の会があるだけでも相当おかしなことなのに、その場で金儲けのようなことをしては、まずいでしょう」
 昭恵夫人自身は「よかれ」と思ってやっているのだろうが、森友学園で判明した軽率ぶりはこんなところにも表れているのだ。


 「森友学園」騒動の余波? 政界ゴッドマザーに脚光

 「政界ゴッドマザーが叱責」「嫁姑戦争勃発」。森友学園騒動に関連し、一部の女性週刊誌などは安倍首相の母・洋子さんが昭恵夫人に対し、「安倍家を貶めた」と面罵したと報じた。その真偽は別として、洋子さんは「政界のゴッドマザー」として、改めて脚光を浴びることとなった。
 政界は言わずと知れた「安倍一強」状態。野党が求めた学園の籠池泰典前理事長の証人喚問を「民間人」を理由に拒否していた自民党が、「昭恵夫人を通じ首相から100万円を寄付された」との爆弾発言が飛び出すや、「首相を侮辱した」として方針を転換。「参考人」を飛び越して、一気に「証人喚問」に応じたほどだ。その首相に対し、正面からものが言え、時には叱りつけられる唯一の存在とみられているのが洋子さん。「政界のゴッドマザー」と呼ばれる所以だ。
 改めて説明するまでもないが、洋子さんは政界華麗なる一族の一員。父は岸信介元首相、叔父は佐藤栄作元首相で夫は安倍晋太郎元外相。幼少時に岸家に養子に出した三男の岸信夫氏は衆院議員(山口2区)だ。落選経験のある晋太郎氏の選挙を、地元で懸命に支え続けた。また、商社マンだった信夫氏は2004年の参院選に山口選挙区から初当選したが、弟の政界入りに消極的だった首相を説き伏せ、信夫氏の出馬を主導したのが洋子さんといわれる。
 もっとも、洋子さんは元来控えめで、目立つことを必ずしも好まない。自由奔放に対外活動を続けてきた昭恵夫人とは対照的だ。森友学園騒動の結果、「ゴッドマザー」として注目が集まったことで、嫁への怒りをさらに募らせたのかもしれない。


 幹部の相次ぐ辞任で民進党・蓮舫体制崩壊へ

 夏の東京都議選の候補が相次いで離党している民進党では、「共産党との選挙共闘は受け入れ難い」として長島昭久元防衛副大臣も離党届を提出した。また、環境相や幹事長も経験した細野豪志衆院議員も代表代行を辞任した。
 3月頃から、7月2日の都議選に向けて小池百合子東京都知事が率いる「都民ファーストの会」が独自候補の擁立を本格化。長島氏にしてみれば、「都民ファーストから立候補しやすくするため、このタイミングでの離党となった」(民進党関係者)。今後は、都議選後に小池知事が次期衆院選に向けて新党を発足させる場合は合流も選択肢の1つになる。
 一方で、長島氏と並ぶ党内保守派の代表格の1人、細野氏の代表代行辞任は唐突だった。細野氏は4月12日に野田佳彦幹事長に辞表を提出した。細野氏は辞任する際、「『提案型政党』(を目指す)と言いながら憲法については消極的だ」と、「提案型」から「抵抗型」に変節した蓮舫氏への強い不満を表明。辞任直前に発売された月刊誌に憲法私案を発表したのを機に役職を辞した。
 当然ながら、蓮舫執行部には大きな衝撃が走った。「憲法に対する考え方の違い」という細野氏の説明の裏に蓮舫代表降ろしの臭いを感じ取った」(民進党関係者)からだ。
 もう1人、忘れてはならないのが保守派の論客である前原誠司元外相だ。昨年の代表選に出馬したものの、蓮舫氏に大差で敗北している。その前原氏が密かに想定するのが、「都議選での民進党惨敗→蓮舫氏引責辞任→秋の代表選」という展開だ。近い将来の蓮舫体制崩壊をリアルに予感させる。


 北朝鮮への攻撃は無理、米国が抱える裏事情

 北朝鮮の核・ミサイル開発に対し、トランプ米政権は「すべての選択肢がテーブルに載っている」(ティラーソン国務長官)と先制攻撃を否定しない。レッドライン(超えてはならない一線)は六回目の核実験、もしくは大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射時とみられるが、米国が軍事オプションを選択する可能性は高くないものの、ゼロでもない。
 防衛省幹部は先制攻撃の可能性は低いと読む。なぜなら、核実験場の豊渓里(ブンゲリ)、ICBM発射施設の東倉里とも中国国境に近く、米軍の攻撃が中国を刺激しかねない場所にあるからだ。同幹部は「中国は朝鮮半島周辺の防空識別圏を公表しておらず、巡航ミサイルであれ、航空機による空爆であれ、中国軍が必ず出撃してくる。あえて北朝鮮は中国国境近くに施設を建設した」と話す。
 トランプ大統領は中国による北朝鮮への働きかけを期待している。ただ、北朝鮮の金正恩委員長は中国にとっても制御不能とされ、懐柔策が成功する見通しはまったくない。
 前出の幹部は北朝鮮の反発により、日本や韓国の受ける被害の甚大ぶりを次のように解説する。
 日本に対しては「ノドン」など中距離弾道ミサイルによる攻撃が想定される。自衛隊のミサイル防衛システムにより迎撃可能とはいえ、すべて迎撃するのは不可能に近い。北朝鮮軍は南北国境沿いに兵員の七割を配備し、砲撃の射程圏にソウルがあり、約2000万人が生活している。砲撃から逃れる方法はなく、やはり未曾有の被害となる可能性がある。
 防衛省幹部は「恐ろしいのはトランプ大統領が日韓両国の被害を矮小化して見積もり、攻撃に踏み切ることです」と言う。トランプ氏、金委員長という想定不能の両者によるチキンレースは始まったばかりだ。


 実現に動き出した馬毛島の米軍基地化

 米トランプ政権への好悪は別にして、北朝鮮リスクの高まりとともに、「馬毛島買収」は日本政府にとって、喫緊の課題となってきた。馬毛島は鹿児島県種子島の西方に浮かぶ面積約8八平方キロメートルの無人島で米軍基地になる条件は整っている。何より、無人島だから騒音問題の心配がない。米軍が想定しているのは、米空母艦載機の陸上離着陸の候補地だ。
 しかし、ネックがある。島の大半を所有する東京に本社を置く立石建設グループの存在だ。何度も交渉を繰り返しながら主張は平行線をたどった。ところが「朝鮮有事」への備えで再度交渉することになり、島の価格の算定で約40億円と弾いた。
 これに対し開発資金を投じていた立石建設グループが、当初要求していたのは約350億円。さすがにそれだけの金額は無理で、浮上したのが土地の価格に砂利採石費用の加算だ。「開発で大量に発生した土砂や瓦礫を政府が買い上げて、辺野古の埋め立てなどに使おうという案が浮上している。それだと最低百億円という立石サイドの思惑も超えられる」(防衛省関係者)
 ただ、課題も残っている。防衛省への売却までには、反社会的勢力と指摘される企業が設定した抵当権を外さなくてはならない。とはいえ、これも最終的にはカネがモノをいう。立石グループの借金問題は、立石建設グループが島を100億円で売却すれば解決するとみられており、そうなれば日米安保の「喉元の骨」の1つが解決する。


 蘇る「M資金」話に経営者の被害が続出

 連合国軍最高指令官総指令部(GHQ)のマッカート少将が、第2次世界大戦中の「日本軍資金を没収のうえ管理した」と伝えられるM資金は、何度も浮上して詐欺事件を誘引しているが、またも隆盛している。
「名を聞けば誰でも知っている大企業の経営者から老舗企業のオーナー、金融機関の経営トップまでが『申入書』や『確約書』にサインしている。確認できただけで、申込者は10人近くいて、複数のM資金グループが関与しているようだ」(事情通)
 この事情通のコメント通り、4月20日発売の「週刊新潮」では、ローソンの玉塚元一会長が「確約書」にサインしたことを認めている。この話は、関係者が録音された交渉内容をネタに暴力団周辺者から揺さぶりを受けているという話もあり、警視庁も重大な関心を寄せている。
 M資金の貸付金額は途方もなく大きく、数千億円は当たり前で、中には1兆円、2兆円と、「兆円単位の貸付」が喧伝される。普通に考えれば詐欺話なのだが、資金繰りに苦しむ大企業の資金担当幹部やオーナーの中には、藁にもすがる思いで申し込む人が少なくないようだ。過去には、大手航空会社社長や、大手自動車メーカー副社長が、関与を指摘されて失脚したこともある。
「皇室関係者や政財界の大物の名前を利用して近づいてくる。最初は眉唾だと思っても、打ち合わせを高級ホテルのスイートルームで行い、一流料亭などでの食事を重ねていると、だんだんとM資金グループのことを信用するようになってしまう。何より狙われるのは、資金が喉から手が出るほど欲しい人だからね。すると、『申入書』にサインぐらいしても大丈夫だろうという気になる」(前出の事情通)
 もちろん、1兆、2兆のカネが存在しているわけはなく、申込人は「やはり騙されたか」と思うだけなのだ。しかし、やがてサインの入った書類一式が、事件屋や金融ブローカーなどの間に出回るようになる。
 今回の騒動もそうだが、M資金を利用しようとしただけで経営者失格。マスコミに流れたら恥である。だから暴力団関係者が、「恐喝の材料になる」と、書類一式を買い入れることがあるし、金融ブローカーが別のM資金グループに「カモのリスト」として流す。
 しかも申込人は、申し込んだ段階で「つなぎ資金」や「経費の先取り」を要求され、それに応じて被害に遭っている場合が少なくない。踏んだり蹴ったりだが、「最低でも3グループ」といわれるM資金グループの荒稼ぎも、情報が流布し警視庁に狙われているのでは、先はそう長くなさそうだ。


 危うい高利回りで客引き、ソーシャルレンディング

 ファイナンスとテクノロジーを合体させたフィンテックは、「次世代金融」の柱として注目を集め、期待もされている。しかし、理解が深まっていないことを利用した危うい商法が流行っている。
 そのうちの1つが高利回りで客を呼び込んでいるソーシャルレンディング。ネットを通じて事業資金を募り、集まった資金を投資に回して利回りを確保する点でファンドビジネスと似ているが、株や債券でなく事業会社であるところが新しい。ところが、人気の秘密である予想利回りは、5〜8%というのが平均で、「そんな高利回りは高リスクと裏腹。どんな会社に投資しているのか」(金融関係者)と疑問視されていた。
 その正体が見えたのが、「最大で14.5%」と最も高い利回りを標榜していた「みんなのクレジット」だ。2015年5月の設立でこれまでに45億円を集めているのだが、証券取引等監視委員会の勧告を受け、関東財務局が3月末、1カ月の業務停止命令を出した。融資先がみんなのクレジットのグループ会社に集中し、契約では設定されているはずの担保がなかった。要は、集めたカネを好き勝手に使っていたわけだ。
 特に問題視されているのが白石伸生代表の経歴である。大学在学中にブライダルジュエリーの会社「シーマ」を立ち上げ、上場にまで持っていった手腕は買われているが、その後、ペット保険の会社、人工知能を利用した不動産会社、事業再生会社などを次々に立ち上げるものの、ビジネスを完結させるということがない。「趣味」であるプロレス好きが嵩じて全日本プロレスを買収したが、それもまたすぐに手放し、プロレスファンの顰蹙を買った。
 要は「新しモノ好き」で、正体が割れた時には次に移っているわけだ。ソーシャルレンディングも実態は、自社グループへの資金取り入れが第1の目的であり、4月末に処分が解けたとしても、客が戻ってくるかどうかは分からず、その時すでに、白石氏はまた次のビジネスに乗り出すかもしれない。
「みんなのクレジットだけじゃない。経営者はみんな若く、事業会社の将来を見通せる人はいない。結局、グループ内での運用や不動産投資でお茶を濁しているところが多く、いずれもっと大きな問題に発展しそうだ」と金融専門誌記者は言う。世の中、そんなにうまい金融などないということだろう。


 付け焼刃の東京五輪対策に農業現場からブーイング

 日本の農業現場で今、農水省の東京オリンピック・パラリンピック対策に不満が噴出している。
 農水省が出した対策指示は、EU(欧州連合)が中心になって食品の安全確保のため農産物の生産工程での農薬や化学肥料の使用を厳しく制限するグローバルGAP(農業生産物工程管理)という基準を、2020年の東京五輪開催時までに、国内の農業現場で目標達成に向け最大限努力せよ、というものだ。
 東京五輪を仕切る大会組織委員会は昨年12月、東京大会の選手村で選手、役員らに提供する食材、調理品に関しては安全基準の厳しいグローバルGAPをクリアしたものに限定するという基準案を打ち出した。日本の存在感アピールにこだわる首相官邸もこれに飛びついた。農水省を含めた関係機関に対して指示を出し、プレッシャーをかけた。
 農水省としては、和食が国連ユネスコの無形文化遺産に登録され、日本食文化の世界評価が上がっていることもあって、東京五輪をきっかけに日本アピールの絶好のチャンスと農業の現場に指示を出した。
 ただ、このグローバルGAPは、基準達成に向けての要件がかなり厳しいため、農水省は、この基準に準ずる日本版のJGAPなども対象に加え、まずは基準クリアの実績づくりが重要と躍起になっている。

一朝一夕に変えられない農業

 ここまでは東京の政治や行政の中枢にいる人たちの発想だが、問題は、農業生産現場の受け止め方。これが全く冷ややかでブーイングの嵐。
「工業製品の生産と違って農産物の生産は、種を蒔いてから栽培管理、収穫に至るまでにいったいどれぐらいの時間がかかるのか、霞が関の農水省官僚ならば、わかっているんじゃないのか」と、群馬県で首都圏の消費者向けに野菜の大規模栽培を行う農業生産法人代表は怒り心頭だ。グローバルGAPの基準達成にはかなりの対策コストや時間、経験などが必要で、右から左にスムーズにやれる筋合いのものでないという。
 山梨県で有機肥料による採卵鶏を飼育している同じく農業生産法人代表は「大手スーパーが『有機肥料の味のいい栄養価も高い卵はグローバルGAPの基準を満たすので、ぜひ大々的に取り扱いたい』と働きかけてきた。しかし簡単に大量生産などができる状況でないこともわかっていない」とあきれ顔だ。
 現時点で、東京五輪時の選手村の食材、調理品のニーズがどれぐらいにのぼるのかまだはっきりしない。前々回開催のロンドン五輪時には肉類100トン、野菜や果実が330トンなど桁外れの需要規模だったが、英国国内でグローバルGAPの認証を取得している農業生産者がかなりいたため対応できた。日本の場合、この基準要件が厳しいため、日本国内のグローバルGAP認証を取得しているのは400程度の農業生産法人や農業者に過ぎない。それに準ずるJGAPも4200程度と、選手村の多量な食材ニーズを満たすにはお寒い状況だと、専門家は述べている。
 事実、その専門家は「今後3年間でとてもニーズに対応する生産力は確保できず、大混乱状態になりかねない。今、大半の農業現場は、厳しい安全基準に見合った生産工程の変更など簡単にできず、時間的な余裕もない。早くから手を打ってこなかった農政が問われるだけだ」と厳しく批判している。


 第四銀行と北越銀行が経営統合を急ぐ理由

 同一県内で7割の貸出シェアとなる長崎県の十八銀行とふくおかフィナンシャルグループの経営統合が公正取引委員会の反対を受け、1年以上も棚晒しの状態が続いている一方、同様に市場独占が懸念される地銀同士の経営統合が浮上している。
 新潟県を地盤とする第四銀行(新潟市)と北越銀行(長岡市)が来年春の経営統合に向けて交渉に入っている。総資産は県内1位の第四銀行が5兆4438億円(16年9月末)、2位の北越銀行が2兆7320億円(同)で、実現すれば隣県の大手地銀の群馬銀行を上回る規模になるが、県内の貸出金シェアは単純合算で約70%となり、「市場独占を懸念する公正取引委員会がすんなりと認可するかどうかは微妙」(地銀幹部)という。なぜ第四銀行と北越銀行は経営統合を急ぐのか。
 その舞台裏について、地銀界では次のように囁かれている。
「実は北越銀行は外債投資でかなりの損失を抱えていると地銀界では噂されています。今回の統合は第四銀行による北越銀行の救済が目的ではないかというわけです。だから、公取委の反対が予想されるにもかかわらず統合を急いでいるのでしょう。当然、金融庁の意向に沿ったものです」(地銀幹部)
 1月19日、金融庁の森信親長官は地域金融機関首脳陣との会合で次のように指摘している。
「昨年11月の米国大統領選挙を契機として、米国金利は上昇トレンドにあるが、ヘッジ付き外債への投資の含み損が拡大した金融機関も少なからずあったのではないかと思う。足元で地銀が取っている円金利リスクは、自己資本対比で平均してメガバンクの3倍ある。証券運用から確実な収益を上げたいのならば、リスクテイクに見合う運用リスク管理態勢の確立が必要である」
 FRB(米連邦準備制度理事会)が金融緩和を停止し、利上げに動く中、債券価格は下落基調にある。そこに予想外のトランプ大統領の勝利が重なり、市場の変動は非常に高まっている。一方、日本国内では、日銀の金融緩和が続く中、債券価格は低位安定しているものの、ゼロ金利下、クーポン収入は期待できない。さらに昨年2月からマイナス金利政策が導入され、金融機関の預貸金利鞘は大きく圧迫されている。
 地域金融機関の行き場を失った資金は、残された利回りの場を求めて外債投資に向かっている。しかし、体力が乏しく、十分なリスク管理能力がないまま、外債に向かう地域金融機関の行動は危険きわまりない。第四銀行と北越銀行の統合も予断を許さない状況だ。


 野村HDと慶應大学が高齢者資産運用で共同研究

 高齢化が投資行動に与える影響を調べる「ファイナンシャル・ジェロントロジー」が注目を集めている。
 認知症患者は現在、推定500万人だが、2025年に700万人以上になると予測される。数十兆円から100兆円規模の金融資産が認知症の高齢者の財産で、これは年金積立金管理運用独立行政法人にも並ぶ巨大な規模になるという。
 資産の運用詐欺といったトラブル多発も予想されるため、高齢者の投資行動の研究を進め、運用を減退した認知症向けのファンドをつくるなど金融トラブルを未然に防ぐ手立てが必要となる。加えて、いわゆる生命寿命のほか、判断能力が十分の「健康寿命」、高齢者の医療・福祉・生活を支える個人や社会の「財政寿命」も関連してくる。健康寿命が延びても、将来の医療・介護資金に不安を抱えるならば、「長寿リスク」が露わになってしまう。健康寿命に合わせて、資産が尽きぬように「資産寿命」も延ばす戦略が求められるのだ。
 過去20年、判断力の鈍った高齢者に電話等で身内を装いお金を振り込ませる「オレオレ詐欺」は社会問題になった。高度成長を謳歌した今の高齢者が豊かであることも背景にあるが、資産の所有者の健康寿命が過ぎると、厄介な金融犯罪が生じやすくなるというわけだ。
 資本主義の投資の原動力となる金融資産の保持者の「シルバー化」を最初に嘆いたのはドラッガーで、隠れた名著の『見えざる革命』(1976年刊)だった。高齢者社会の到来と年金基金が将来の大問題となることを警告した問題作は「今夜の準備を今すぐしなければならない。もう間に合わない」と警告した。それは40年も前だった。
 かつて認知機能の低下したお年寄りに高額商品を売りつけて批判された金融界。4年前には、日本証券業協会が75歳以上に金融商品を売るときの自主規制ルールを設けた。仕組みが複雑な金融商品を販売する際に、営業マン・管理者が顧客と面談して勧誘が適正かどうかを見極めることを義務づけた。
 2020年に日本の高齢化率はいよいよ30%に迫る。こうした中、野村ホールディングスと慶應大学は高齢者の資産運用に関する共同研究を始めた。慶大のファイナンシャル・ジェロントロジー研究センターが舞台で、医学、経済学部が協力して高齢者の資産管理・運用も考えるという。高齢化時代の研究最前線になりそうだ。


 宇宙開発コスト削減で米露中の後塵を拝す日本勢

 テスラのイーロン・マスクCEOが共同設立者の米宇宙開発ベンチ
ャー、スペースXが、「ファルコン9」(写真)の打ち上げ後に回収した一段目のロケットの再利用に成功した。
 ロケットは機体が打ち上げコストの約八割を占める。スペースXはロケットの回収・再利用によって打ち上げ費用を従来の百分の一とする構想を掲げる。同社のロケットの燃料タンクは数千回、エンジンは少し補修すれば百回以上の再利用に耐える設計になっている。
 これに驚いたのが三菱重工業やIHIなど日本勢だ。三菱重工は「H2A」で連続二十七回打ち上げに成功しているが、「打ち上げコストはスペースXより三割高い。今回のロケット再利用でさらに差がついた」(大手証券アナリスト)。
 打ち上げの間隔が長いのも難点だ。このため、三菱重工が民間から受注したのはUAE(アラブ首長国連邦)など四件のみ。通信用や自動運転など将来の衛星の需要は高まるため、「宇宙ビジネスは米国では専用のファンドが立ち上がるなど、開発競争が進んでいる」(同)。
 衛星でも三菱電機がこのほど百十億円を投資して人工衛星増産のための設備を増強すると発表、「従来より開発コストや期間を三割削減する」としているが、こちらも米国やロシア、中国の後塵を拝している。日本の「ものづくり」を支える自動車に次ぐ産業として宇宙開発への期待は高いが、ベンチャーの台頭の中で急速に価格競争が始まる米国勢の背中はまだまだ遠い。


 東芝に続きニコンも利益低迷で解体の危機

 2017年3月期の連結最終損益が90億円の赤字(前期は182億円の黒字)に転落するニコン。原因はスマートフォンの台頭による主力のデジタルカメラが計画以上に売り込みが落ち込んでいることや、新商品の発売停止による棚卸評価損などによるもの。昨年11月に1000人の希望退職者を募ったところ、予想を上回る人数が集まり、早期退職金の支払いなども財務を圧迫した。
 ニコンのライバルはキヤノンで、東芝メディカルを6655億円もの大枚をはたいて買収し、医療機器分野に活路を見出す決断をした。しかし、ニコンはこれといったM&Aなどの決断はせず、たまたま好調な大型液晶パネル用露光装置の受注に安住しているだけ。しかし、この露光装置も「中国などでの受注がもうじき一巡する見通し」(大手証券アナリスト)で、ニコンは新たな成長分野を見つけなければならない。
 ニコンはたまらず参謀として三菱東京UFJ銀行から副社長を迎え、リストラ策などコスト削減を進め、急場をしのぐ考えだが、「いずれ新たな成長分野を見つけなければ、三菱自動車と同じ運命をたどるだろう」(同)との声は多い。実際、ニコンをめぐっては世界最大の半導体受託メーカーである台湾のTSMCのほか、鴻海精密工業や韓国サムスン電子などが食指を伸ばしている。
 これに対し、打倒・キヤノンに執念を燃やす富士フイルムなどが三菱東京UFJ銀行や経済産業省から支援要請を受けているが、「部門買収などには応じられるかもしれないが、まるまる面倒を見ることは難しい」(富士フイルム幹部)とされる。名門・ニコンも、東芝のように切り売りされる可能性が高い。


 早耳情報封じ込めでアナリストは生き残れるか

 証券業界では今、将来アナリストのなり手がいなくなるのではないかとの懸念が浮上している。金融庁が法制化に動いている「フェアディスクロージャー・ルール」のためで、18年にも導入される見通しだ。
 同ルールは、上場企業が特定の第三者に重要な内部情報を優先的に提供することを禁じるもので、未公開の重要情報をアナリストに開示した場合、同時にホームページ等で一般に開示することが求められる。この結果、いわゆるアナリストによる「早耳情報」が封じられるわけだ。
 3月3日に金融庁で開催された金融審議会でも早耳情報の問題が取り上げられた。新委員の朝田照男氏(丸紅取締役会長)は、フェアディスクロージャー・ルールについて、「企業のトップやIR担当役員がアナリストと面談する時は、1対1の相対になるケースが多く、そこでの会話は経営に係る数値や戦略など突っ込んだ内容となりがちである」として、企業IRの現場や実態に即した法整備が必要だとの見解を示した。
 しかし、フェアディスクロージャー・ルールが導入されれば、こうした慣行は法律違反となる。先行する米国では、2000年から同ルールが導入され、花形アナリストの時代は終わったといわれている。欧州では来年から、運用会社が顧客から預かった資産からリサーチ手数料を支払うことが禁止される予定で、リサーチ手数料の減少が避けられないとみられている。このためアナリストの報酬も大きく低下する見通しだ。
 アナリストの評価は、早耳情報の入手競争から本格的な企業分析の巧拙が問われる時代に入ったわけだが、果たしてどれだけのアナリストが生き残れるか見ものだ。


 小泉進次郎氏が父に贈る「こども保険」は税金?

 自民党の小泉進次郎・農林部会長ら若手議員が中心となって、保育や幼児教育無償化のための「こども保険」の提言をまとめた。小泉進次郎氏は「子供を社会全体で支えるメッセージを明確に伝える政策だ。高齢者偏重の社会保障から全世代型の社会保障にしなければいけない」と胸を張ったが、社会保障の専門家の中には「あまり筋のいい施策とは言い難い」「見えない税金だ」との厳しい意見も聞かれる。
「こども保険」は、個人と事業者から徴収する社会保険料を2020年以降、0.1%ずつ上乗せし、将来的に0.5%にまで上乗せ幅を引き上げるもので、これにより1.7兆円の財源を確保し、保育や幼児教育の実質無料化を目指す施策だ。しかし、独身者や子供がいない世帯からの反発が避けられないほか、高齢者は保険料徴求の対象外であるため、「社会保険料の名を借りた現役世代への増税」との批判が集中している。
 そもそも社会保険料には、年金、健康、介護、雇用の全てが含まれているが、「こども保険」は年金保険料との位置づけ。実はこの年金保険料は小泉政権下の年金制度の大改革で、保険料が毎年0.354%ずつ引き上げられており、今年9月に18.3%に固定化される予定だ。「100年後においても、年金積立額を給付額の1年分確保するとともに、将来においても年金水準を現役労働者の平均賃金の50%を確保する」ための措置で、いわゆる「年金の100年安心プラン」と呼ばれた。
 しかし、平均寿命の延びや現役労働者の減少を踏まえ、物価上昇によるスライド分から約1%弱を差し引いて給付水準の伸びを自動的に調節する「マクロ経済スライド」は、予想に反して物価が低下したため、15年度に1度しか適用されないなど、前提が崩れつつある。このままでは年金保険料を引き上げなければ、「年金100年安心プラン」は崩壊しかねなくなっているのだ。
 そのタイミングで浮上したのが、今回の「こども保険」であり、自民党は茂木敏充政務調査会長を委員長とする「人生100年時代の制度設計特命委員会」を設置し、4月13日から検討を開始した。初会合で茂木委員長は、政府が6月にまとめる経済財政運営の基本方針、いわゆる「骨太の方針」に盛り込むことを視野に入れ、「まずこども保険の問題を中心に議論する」と語った。
 小泉純一郎元総理が断行した年金大改革「100年安心プラン」が頓挫しかねない中、その窮地を救うために実子の小泉進次郎氏が「こども保険」を打ち出したと見るのはうがった見方であろうか。


 中国のワクチン大量投与で変異型鳥インフル流行か

 渡り鳥がシベリアに帰り、鳥インフルエンザのリスクは収束したが、それでも全国で猛威を振るった。ざっと挙げても、養鶏場での発生は北海道、青森、秋田、宮城、茨城、千葉、岐阜、宮崎、佐賀県と、九道県に及び、野鳥では東京でも感染が発見され、横浜市の野毛山動物園を筆頭に各地の動物園で鳥類の展示を見合わせたほどだ。
 今冬、各地で発見された鳥インフルエンザはほとんどが2年前に中国で大量発生したH5N6亜型だった。鳥インフルエンザウイルスの巣はシベリアにあるとされ、主にカモの腸に宿生する。この時点では弱毒性だが、カモは冬になると南に渡り、野鳥との間で感染を繰り返すうちに強毒性に変わる。鳥から人への感染はないが、臓器が人間に近い豚に感染すると、豚から人への感染が一気に拡大する。養鶏場で鶏への感染が確認されるや否や、すべての鳥を殺処分したことで人への感染を阻止。パンデミックになることはなかった。
 だが、新たな問題が出てきているのが中国での感染だ。中国では予防として家禽に大量の鳥用のワクチンを投与している。ワクチンの使用で発症は抑えられるが、感染は回避できずに潜在化する。そして変異したり、耐性を持ったウイルスになるといわれている。鳥用のワクチンはまだ効果が確立していないため、日本では使用を禁止しているくらいだ。
 実は中国には“前科”がある。日本では報じられなかったが、1990年代に中国政府は鳥インフルエンザ予防のため人間向けの抗生物質「アマンタジン」を鶏に大量投与させていた。その結果、アマンタジンへの耐性ウイルスが現れるという事態を招き、WHO(世界保健機構)が激怒したことがある。05年に高病原性鳥インフルエンザが大流行するリスクが高まり、世界中で抗生物質のタミフルとリレンザの確保、備蓄が大問題になったが、この元凶は中国のアマンタジン投与にあった。
 鳥インフルエンザウイルスは渡り鳥がシベリアに持ち帰り、営巣地で他の鳥に感染し、冬になると日本や韓国、インド、ヨーロッパに飛来し鳥インフルエンザを流行させる。今冬、中国で流行したのは最強とされるH7N9型だった。中国のワクチン大量投与で変異した鳥インフルエンザウイルスを持った渡り鳥が、今年も秋から冬にかけて日本やヨーロッパにやって来る。年末には変異型鳥インフルエンザが流行するリスクが高まっている。


 「頑張るローカル局」に総務省の本音が見え隠れ

 2016年10月に設置された総務省の第三者機関「放送を巡る諸課題に関する検討会」の分科会が4月、検討結果を取りまとめた。だが、サブタイトルにわざわざ「頑張るローカル局を応援する」と付けたため、放送界では「『頑張る』ってどういう意味だ?」「頑張らないローカル局は見限るということか?」などと不信や不満が噴出、果ては「政権の意向を忖度して運営しろというのか?」という穿った見方まで出て、騒動を巻き起こしている。
 取りまとめでは、「ローカル局が取り組むべき課題」として、地域番組の充実や自治体・地元企業との連携、4Kコンテンツの提供やネットの活用、IT人材の確保などを羅列。参考事例として、地上波放送局で初めて4K制作システムを導入し海外に4K番組を輸出しようとしている大分朝日放送や、地元のケーブルテレビに番組を提供するクロスメディアの取り組みを進める南海放送などを挙げた。
 総務省は、かねてからローカル局に対し、インフラ整備や番組の海外展開などにさまざまな形で補助金や支援策を実施しているが、今回の取りまとめでは、将来に向けた支援策は、ローカル局ごとに濃淡をつけようとするものと受け取られてしまったようだ。
 テレビのローカル局は、いずれも一六年度こそ黒字を確保したが、どこも経営は厳しさを増す一方だ。止まらぬ人口流出、若者を中心としたテレビ離れ、ネット動画配信サービスの台頭など、見渡す限り暗い材料ばかり。「護送船団政策」でローカル局を支えてきた総務省にとっても「お荷物」になりかねないというわけだ。


 ようやく出たがん治療の免疫療法ガイドライン

 医師から見放されたがん患者が1度は治療を考える免疫療法。普通の医師ならまず推奨しないのだが、こっそりと試す患者も多い。効果が証明されていないにもかかわらず、医療費は高額で、何百万円も出費して結局はだめだったという被害者も続出する一方、日本を代表する大学病院やがん拠点病院では免疫療法を先端医療として位置づけ、実際に治療を行っているところも多い。
 このように一口に免疫療法といっても玉石混交で、ほとんどのがん専門医たちは見て見ぬふりをしてきた。しかしこの状態を何とかすべきだという声が上がるようになり、がん専門医たちがようやく動き出した。
 先頃、日本臨床腫瘍学会が「がん免疫療法ガイドライン」を作成。日本がん免疫学会、日本臨床免疫学会も巻き込み、有望な療法から、有効性が証明されていない療法、医師の特殊療法で実施されているものまで、現行の免疫療法を取り上げ、その評価をした。
 画期的なのはこれまで専門医たちが無視してきた免疫療法も俎上に上げ、科学的根拠に基づいて評価したこと。昔から一部の医師が自由診療で行っていた療法(サイトカイン製剤、免疫細胞輸注療法)、臨床試験中のがんペプチドワクチンや遺伝子組み換え細胞輸注療法など、効果が証明されていないものまでピックアップしており、例えば一時期、大学病院などの研究で話題になったがんペプチドワクチン療法などは、「臨床効果をほとんど示すことができない」と紹介されている。がん患者にとっても大いに参考になるはずだ。


 LNGで1兆円損失? 東芝に新たな不安材料

 米原発子会社であるウエスチングハウス(WH)の巨額損失で経営危機にある東芝。その穴埋めのために半導体メモリ事業の売却を進めるが、情勢が緊迫する中、もう1つ不安材料が浮上してきた。
 シェールガス由来の液化天然ガス(LNG)事業における最大約1兆円の損失リスクだ。東芝は2019年から20年間にわたって米国産LNGを買い取る契約を結んでいるが、市況変動による価格競争力の低下で販売先探しが難航。「売り先が見つからなければ、19年3月期決算にも特別損失の計上を迫られる可能性がある」(大手証券アナリスト)という。
 東芝は13年にテキサス州フリーポートの液化基地で生産する年間220万トンのLNGを20年間引き取る契約を米企業と締結。東日本大震災後、国内では再稼働が進まぬ原発に代わって火力発電への依存が高まり、エネルギー各社にとってLNGの安価な調達が共通の課題となった。そこで、東芝は米国産LNGと火力発電設備のセット販売で事業を軌道に乗せる独自の戦略を描いた。
 しかし、この目論見は大きく外れる。購入契約を結んだ当時、米国産LNG価格は、原油価格に連動する東南アジアやオーストラリア産の通常LNGの半値以下だった。だが、その後の油価の下落で通常のLNG価格が下落。物流コストを含めると、足元では東芝が仕入れる米国産LNGの価格競争力は落ち、売り先探しが進まない状況に陥っている。
 東芝は220万トンのうち半分は売り手が見つかっているというが、「契約内容に法的拘束力がないものも多数ある」(関係者)という。これ以上損失が拡大すれば、さすがにメーンバンクからの支援も取り付けにくくなる。東芝経営陣の試練は続く。


 セブン&H2Oにみる業態別流通生き残り術

 昨年10月、資本業務提携を明らかにしたセブン&アイ・ホールディングスと、阪急百貨店や阪神百貨店などを擁するH2Oリテイリング。互いに約57億円の資本を持ち合ったうえで、セブン&アイ側が、そごう神戸店、西神店、西武百貨店高槻店の3店舗をH2Oに譲渡する一方、セブン‐イレブンの関西2000超の店舗で、H2Oグループ横断の共通ポイントプログラム「Sポイントカード」を使えるようにするという。ただ、4月中旬時点でまだ正式な契約には至っておらず、長引いている。
 H2Oはかつて、高島屋との経営統合交渉を発表しながらその後破談に至った過去もあるだけに、昨年10月、セブン&アイの井阪隆一社長は「H2Oさんとの提携はワクワクする」と並々ならぬ意気込みをにじませていた。仮に契約に至れば、セブン&アイとH2Oの提携はこれまで発表した内容にとどまらない可能性もある。
 H2Oでは「関西ドミナント」を標榜し、元々自社グループの阪急オアシスを買収して傘下に収めたイズミヤ、10%資本出資した関西スーパー等々、百貨店だけでなくデイリーに消費者と接点が持てる関西エリアの食品スーパーにも注力している。関西のセブン‐イレブンでSポイントが使えることで、関西圏でより大きくかつ細かい網で消費者を囲い込んでいくことが狙いだ。
 ではセブン&アイ側はどうか。セブン‐イレブンは全国区だが、イトーヨーカドーやそごう、西武などの業態は、効率性も考えると首都圏ドミナントがキーワードとなる。すると、コンビニは幅広く異業種とも提携を探っていけるのに対し、ヨーカドーやそごう、西武は首都圏以外での“補完”が探られることになる。
 そこで、関西ドミナントのH2Oだ。例えば、売り上げ規模が1兆円を超えているPBのセブンプレミアム。商材によっては、H2Oグループでも扱っていく余地は十分にある。一方で、歴史的に関西エリアが弱かったセブン&アイ側も、H2Oから関西ならではの商材を調達できる可能性がある。これらはヨーカドーやそごう、西武にも展開が可能だ。
 もっとも、同業他社と経営統合などで店舗を増やすのが可能な流通大手はコンビニだけ、他の業態は補完する業態やエリアの確保で生き残りを図る時代ともいえよう。


 中国製「有人ドローン」を今夏ドバイが世界初導入

 まもなく、中国製「人間搭載ドローン」が現地飛行することになる。今年7月、ドバイで予定されているこの運航計画は、中国のこの方面での実力を示している。
 1人乗りの同機は「億航184型」と呼ばれ、最大170キログラムの重量を乗せられる。これをドバイ政府が世界で初めて導入するもので、軍事技術や装備を輸出しようとする中国にとって、大きな宣伝効果を上げている。
 8枚のプロペラを持ち、時速100キロメートルのスピードが出せる。中距離の貨物、人を運べるところがドバイ政府の好みに合ったという。同政府は「ハイテク都市」樹立を目指しており、2030年を目標に全交通手段の1/4を「無人化」するとしている。
 中東政策を強める中国がこれに乗ったわけで、そのほかにもサウジアラビアとも交渉中である。


 メドベージェフ露首相が動画で告発され失脚確実

 ロシアのナンバー2、メドベージェフ首相の特権生活や腐敗を告発する動画がネット上で公開され、同首相の政治生命は終わったようだ。来年3月の大統領選を前に、誰が首相になるかがポスト・プーチンを占う鍵となる。
 この動画は反政府活動家で天才的ブロガー、ナバリヌイ氏が率いる反政府組織「反腐敗基金」が3月初めにユーチューブにアップし、すでに1900万回の視聴回数を記録した。
 それによると、メドベージェフ首相はロシア一の大富豪、ウスマノフ氏ら新興財閥から日本円で700億円の賄賂を「寄付」の形で集め、モスクワなどロシア各地や欧州に広大な別荘やワイナリーを保有。大型ヨットも持っている。首相の大学時代の友人や側近らが運営する慈善団体が管理、運営しているという。
 首相が73枚のTシャツ、20足のスニーカーを財団名義でオンラインで購入したとし、それらを着用する写真も公表した。
「民間団体がこれほど詳細な個人情報を集められるはずがない。政権の反メドベージェフ派がナバリヌイ氏側に機密情報を流したといわれています」(モスクワ特派員)
 来年の大統領選に出馬するプーチン大統領は選挙前に首相を交代させるとの見方が有力。プーチン後を狙う首相は政治生命を絶たれたようだ。
 後継の首相には、ソビャーニン・モスクワ市長、改革派のクドリン元財務相らの名が挙がっているが、実力者のソビャーニン市長が就任すれば、後継者候補として注目されそうだ。メドベージェフ氏は北方領土を3度も訪れた反日派。その凋落は日露関係にはプラスになりそうだ。


 EU離脱を機に注目される英国の「不透明取引」拠点

 英国は3月末、欧州連合(EU)からの離脱を正式に通知したが、これによりスペイン領に囲まれた英国の海外領土ジブラルタルの存在がクローズアップされている。英国との交渉に向けたEUの指針で、スペインがジブラルタルの扱いについて発言権を持つことが明記されたためだ。
 ジブラルタルは地中海から大西洋へ出る海峡に望む戦略拠点。英国はスペイン継承戦争中の1704年に占領した。しかし冷戦が終結した現在は、軍事的な重要性が薄れる一方、不透明な国際取引の温床となっていると批判されている。
 例えばタバコ。独自の税体系を持つジブラルタルが13年に輸入したタバコは1億1700万箱。全住民が毎日200本を吸った計算だが、もちろんこれはタバコに高い税率を課すEU諸国への密輸とみられ、4年間で7億ユーロ(約800億円)の税収に影響を与えたとの推計もある。
 また、同地に登録されている企業数は住民1人当たり2社弱の約6万社。ウズベキスタン、ナイジェリア、コンゴ、ガーナなどの企業がスキャンダルを引き起こしているほか、英国の大半のネットギャンブル企業30社の登記上の本社は同地にある。
 スペインは兼ねてからジブラルタルの返還を求めており、13年にはジブラルタル自治政府がコンクリート魚礁を建設して、スペインの漁民を閉め出したのを契機に緊張が高まり、両国の外交問題に発展した経緯もある。EUの交渉方針について、英国のメイ首相は「ジブラルタルの主権は対象外」としているが、スペインは英国のEU離脱通告を機に国境チェックの強化に乗り出した。スペインからジブラルタルへ通勤する約1万人の労働者が検問所で長蛇の列をつくるなどすでに混乱が始まっている。(本誌84ページ参照)


 「トランプの壁」建設にヒスパニック系企業名乗り

 米国への不法移民流入を阻止するウルトラCとしてトランプ大統領が打ち出したメキシコとの国境沿いの壁の建設に、多くのヒスパニック系企業が名乗りを上げ、波紋を呼んでいる。米南部は経済が低迷しており、同胞の米国入国阻止に加担したとみられても、背に腹は代えられないという事情があるようだ。
「どうしてヒスパニック系のあなたがヒスパニック系を排除する壁を建設できるのか」。テキサス州フォートワースに本拠を置く建設会社ペンナ・グループの社長は、多くの人からこのように質問されたという。抗議の電話は鳴り続け、殺害するとの脅迫を繰り返し受けた。
 壁建設に手を上げている約200社のうち、ヒスパニック系企業は30社以上。倫理感を疑問視されたとしても、仕事の確保、業績拡大のため、受注を目指す方針を決めた。地域経済を活性化し、壁の非人道性を軽減するには、ヒスパニック系の参入が必要と正当化する企業もある。
 アリゾナ州シエラビスタを拠点とするKWR建設の社長は「国境沿いで得られる仕事は何でも欲しい。従業員を守るためなら自分の信念は捨てる」と言い切った。ただ、社長は「社内には良心に基づいて建設に反対している社員もいる」と指摘。受注した場合、社員の一部は退社すると予想する。トランプ政権に反対する州政府や自治体は、壁建設に関わる建設会社との関係断絶を検討しており、受注で収入増との見方にも疑問符が付いたままだ。


 北朝鮮の核開発資金は銀行ハッキングで調達か

 核実験を強行し、ミサイル発射を繰り返すため国際社会によって経済制裁を受け、現金不足に陥った北朝鮮はハッカーによる銀行預金略奪、恐喝作戦を展開している。
 2016年、北朝鮮のハッカーにバングラデシュ中央銀行のニューヨーク支点が狙われ、9億5000万ドルが海外へ送金される寸前だった。8100万ドルが横取りされたものの後日回収に成功した。北朝鮮のハッカー・テクノロジーは格段に進歩を遂げており、類似の事件が近い将来必ず起こる。
 ロシアのサイバー・セキュリティ会社「カスペルスキー」によれば、北朝鮮が過去に狙ったのはエクアドル、フィリピン、ベトナムでの横領未遂事件だったとされる。ポーランド、台湾にもサイバー攻撃をかけ、実際に相当の被害が出ているともいう。ほかにもイラク、インド、インドネシア、ケニア、ウルグアイに北朝鮮がサイバー攻撃をかけていた証拠があり、それで得た外貨を核開発資金に回したとみられる。
「ロシアNOW」(15年6月30日)によると「アメリカとイギリスの諜報機関は、ロシアのアンチウイルスソフト会社『カスペルスキー・ラボ』や他の20社以上のアンチ・ウイルスソフト開発会社のソフトに対して、リバース・エンジニアリング(逆行分析)を行っていた。アメリカの中央情報局(CIA)元職員、エドワード・スノーデンが暴露した。ロシアで英雄扱いを受け、ハリウッド映画にもなったスノーデン情報が妙に活かされたわけで、日本の銀行、企業でも被害が出ている怖れがあるので要注意だ。


 中国政府が建設を続ける20億人分の空き部屋

 中国は06年に大気汚染から生活を守り、先端技術の粋を集める「新都市(エコシティ)」を天津につくると宣言したものの、高層ビル、高速道路、庁舎などが90%できた時点で挫折した。そこで新たに習近平主席が言い出したのが河北省での「雄安都市」の建設だ。百万人の新都市を新設し、エコシティのモデルにすると豪語している。
 その一方で、世界的に悪名高き「鬼城」(ゴーストタウン)は、内蒙古自治区のオルダス市カンバシ新区である。誰もいない目抜き通り、コンクリート剥き出しの高層ビルの残骸。住民がほとんど不在なためマンションは門に鍵が掛けられたまま。吹きさらしの大地に建材が散乱している。
 しかし、カンバシ新区にはハイテクパーク(工業団地)やら芸術文化村(ニューヨークのソーホー地区を模倣したヴィレッジ)までつくられ、144億元(約2300億円)が投じられた。
 李克強首相が主導した都市化政策は20年までに中国の都市人口を60%(現在は51%)とし、その時には都市戸籍と地方戸籍の問題は解決しているはずだと公言してきた。米国が20世紀に費消したセメント全量をしのぐ量が13年から15年までのわずか3年間に費消された計算となっている。
 実はこのようなゴーストタウンは中国全土に3500カ所もある。そのうえ中国政府に申請された新規マンション建設計画は合計34億人分と発表された。中国の人口は14億人だから20億人分の空部屋をつくることになる。
 住宅への異常な投資が過去の中国GDPを成長させてきたが、昨師走の「経済工作会議」で習主席が次の注意をしたのだ。「住宅とは人間が住むものである」と。


 韓国大統領選で注目、5月2日のテレビ討論

 先月の米中首脳会談に臨む際に米トランプ政権が決めていたことは、中国の北朝鮮への制裁強化への要求であり、それを中国が拒否するならば、先制攻撃という軍事的オプションも辞さないというものだった。
 そこでトランプ大統領はまず中国に北の生命線である原油50万トンの供給停止を要求したが、中国が応じなかったため、シリア攻撃を実施することで北への警告を行った。しかしシリア攻撃と違って、対北への作戦計画である「5027」は韓国軍上層部に潜む北の工作員により、ほぼその中身がリークされているため、作戦計画通りの実行は難しいとみられている。
 一方で5月9日の韓国の大統領選挙をめぐっては、親北派の文在寅候補がこれまでレースのトップを走ってきたが、朴槿惠大統領逮捕後は安哲秀候補の支持率が急速に接近、拮抗してきた。慰安婦合意破棄など反日政策を第1に掲げるなど、肝心な安保政策を忘れて低調な選挙レースになっていたものの、安候補は韓国の成長戦略を第4次産業革命の中でとらえるなど、他の候補とは違い、若者にアピールする戦略で追い込みを図っている。
 韓国の有権者はこれまで独走してきた文候補への好き嫌いで態度を決めるとされてきた。しかし、ここにきて安候補が政策で勝負できるなら、逆転できる可能性も出てきた。その意味で5月2日の最後のテレビ討論での両者の一騎打ちでどちらに軍配が上がるかで、次期大統領が決まる見込みだ。


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