ダミー
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 金正男氏暗殺と北東アジア、韓国に軍事クーデター構想

 金正男氏暗殺は今後、北東アジア情勢の激変につながる可能性が高い。何が起きようとしているのか。そもそも、なぜこの時期に暗殺が決行されたのか。注目の背景をさる情報関係者は「金正男氏の韓国への亡命が間近に迫っていたからだ」と明かす。
「韓国情報機関も米CIAと協力し、金正男氏の受け入れ準備を進めていた。だが、そうした動きがある状況を金正恩(朝鮮労働党委員長)が把握して、亡命前に暗殺を実行させた」というのだ。
 中国もこれまで身辺警護を引き受けていたが、韓国への亡命という動きを黙認して見捨てた格好になった。そして、この情報関係者の話は今後の北東アジア・朝鮮半島情勢の激変を予測する。
 まず、この事件は米国のトランプ政権にとっては、かねてより計画されていた金正恩委員長への排除作戦を“正当化”するチャンスをもたらした。トランプ政権の安保政策の優先順位はこれまで、イランとIS対策だったが、フリン大統領補佐官の辞任により、対ロシア対策が急務となっている。しかし、トランプ大統領自身がプーチン大統領から揺さぶられている今、決定的に分が悪いのは明かだ。そのため、国民の目をそらす思い切った手を打つ必要があり、金正恩排除作戦を実行する可能性が高まってきたという。
 その時期は韓国の政治情勢が一段と混迷し、大統領レースでも親北派の文在寅候補が当選する可能性が出てきた時だ。そうなれば朝鮮半島でのアメリカの力は大きくそがれる。そこでトランプ政権は韓国の軍部と協力し、まず軍部による軍事クーデターを起こし、情勢を掌握することを目論む。朝鮮半島の激変には軍事政権のほうが危機管理しやすいとの判断からだという。
 金正男氏暗殺は、そんな北東アジアのきな臭さをあぶりだしてもいる。


 トランプ大統領弾劾が現実味を帯びる状況

 そのトランプ政権についても見ておく必要がある。もともと、大統領選挙やその後のトランプ大統領の過激な言動で米国内は政治的内戦の状況にある。この動きを踏まえて民主党の一部や市民団体では大統領弾劾への準備が進められている。
 テロ危険国家7カ国の国民の米国への入国を90日間禁止する大統領令は米国最高裁への上訴を取りやめて新たな大統領令で対応することになった。その騒動の過程でトランプ大統領の三権分立無視や司法当局への反感、軽視など、歴代の大統領が越えてはならないとされてきた一線を越えた。第2次世界大戦後、歴代大統領が常に警戒してきたロシアと友好関係を構築したいとし、しかも「クリミア併合を行ったプーチンを尊敬している」との発言は、大統領不適格としている。そのため、改めて危険な大統領との認識が米国民に広がりつつある。
 さらに公私混同が激しく、一族の事業や取引に関し、公権力を使っていることも弾劾の対象となりうるとされる。もともとワシントンの専門家の間では、トランプ政権は持って4カ月から半年とみられており、弾劾の動きが加速しそうな状況だ。
 これに対して安倍政権もトランプ氏の不測の事態によるペンス副大統領の昇格を見込んで、日本側のナンバー2の麻生太郎財務相とペンス氏の経済対話という名のスキームを構築して事態に備えようとしている。


 露政府の拠出金停止通告は北方領土「日本化」の好機

 北方領土開発に資金を投入してきたロシア政府が、今年から3年間、連邦予算の支出を凍結すると地元のサハリン州政府に伝え、サハリンでパニックが起きている。北方領土のインフラ建設を中心としたクリル(千島)社会経済発展計画は2015年で終了。16年に始まった新計画は10年間で総額700億ルーブル(約1355億円)に上り、うち40%を連邦政府が支出するとしていた。しかし、政府は年末、財政難や地方交付金縮小を理由に、3年間資金拠出を停止、自前の調達を指示した。
「クリル発展計画は地元の汚職、腐敗でかなりの部分が着服されており、それへの制裁でしょう。疲弊する他の地方指導者から、北方領土ばかり重視するなと批判があった可能性もあります」(モスクワ特派員)
 以前は閣僚が毎年数人、北方領土を視察したが、昨年は1人も行かなかった。プーチン政権は明らかに、北方領土への関心を低下させている。
 地元の報道によれば、サハリン指導部では、「こうなったら日本に頼むしかない」との声が出始めているという。昨年12月の日露首脳会談は、4島での共同経済活動をめぐる協議開始で合意している。「特別な法制度」ができれば、日本企業が4島に進出することになる。
 サハリン指導部は、ロシア外務省などと協議してすでに共同経済活動での提案、要望を伝えたという。現地は日本からの資金頼みとなりつつあり、4島の「日本化」を図るチャンスとなる。3月に始まる次官級の日露協議は難航必至といわれていたが、ロシア側は経済的弱みから譲歩し、比較的スムーズに進む可能性が出てきた。


 小池知事が最終判断へ、豊洲移転中止も現実的視野

 東京都の小池百合子知事が築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)への移転延期問題について、豊洲移転中止も現実的判断と視野に入れた検討に入ったようだ。
「1月14日以前とその後では前提が大きく変わったな」。小池氏周辺の1人はそうつぶやいた。小池氏は昨夏の都知事就任直後に移転延期を決め、安全性が確認されれば、今年末までに豊洲移転を実施する方針だった。ところが、昨年11〜12月に実施された9回目の地下水調査が1月14日に公表され、ベンゼンやヒ素など有害物質が環境基準を大幅に超過したことが判明。本来存在してはならないシアンも検出された。
 さらに2月の千代田区長選では、小池氏自身が支援した現職区長が圧勝。求心力を増したことで、選択肢が広がる形となった。
 当面の焦点は、1月末から3月上旬まで行われる地下水の再調査の結果だ。3月中には発表される見通しだが、小池氏にとって悩ましいのは、「調査結果が仮に基準値内に収まったとしても、再び基準値を上回る結果が出たとしても、難しい対応が迫られる」(小池氏周辺)ことだ。
 前者の場合は昨年11〜12月の調査で大幅に悪い数値が出た理由の説明が必要となるし、後者なら、豊洲移転の可能性がほぼ断たれるからだ。ただ、小池氏が豊洲移転を決定した際の知事である石原慎太郎氏の責任追及に躍起となっているのは、「豊洲移転中止の場合に浮上する責任論を想定した『理論武装』のため」(同)と考えるとわかりやすい。


 武器購入で対米支援表明も、防衛を知らぬ防衛相に不安

 武器購入により、米国の雇用創出に貢献することを表明した安倍晋三首相。有力候補が弾道ミサイル迎撃に使う高高度防衛ミサイル(THAAD)だ。巨額の費用が必要なことから、実現すれば強力な対米支援となる。
 もとより自衛隊の主要武器の多くは米国製だが、購入方法は米政府から日本政府が購入する対外有償軍事援助(FMS)と商社経由の2通りあり、高性能の武器ほどFMSで売却される。問題はFMSが(1)契約価格、納期は見積りにすぎない、(2)代金前払い、(3)米政府は一方的に契約解除できる、という不公平な取引である点だ。米政府の「言いなり」にならなければ買えないというとんでもない商売だが、高性能の武器が欲しい各国は甘んじてFMS方式を受け入れる。日本も例外ではない。
 FMSによる防衛省の武器購入額は近年増え続け、2015年度は4705億円と前年度の2.5倍に上昇、16年度は過去最高の4858億円を記録した。ステルス戦闘機「F35」、垂直離着陸機「オスプレイ」、滞空型無人機「グローバルホーク」などの購入が響いた。THAADはもちろんFMSとみられ、導入費用は数千億円と見積もられる。
 稲田朋美防衛相は安倍首相の訪米直前にグアムを訪れ、THAADを見学して安倍首相、トランプ大統領の両方に「やる気」を見せた。だが、国会では南スーダンPKO参加の自衛隊の日報破棄問題で珍答弁を繰り返し、野党から「防衛相の資格がない」と退陣を求められる始末。新設される水陸機動団の武器を問われても満足に答えられなかった。
 防衛のことを知らない防衛相に、果たして武器購入の判断ができるだろうか。


 日米、日露交渉役に「ミスター外務省」登板

 昨年12月の日露首脳会談を受け、安倍晋三首相はロシアとの平和条約交渉に当たる外務省の布陣を一新し、交渉役に秋葉剛男外務審議官(政治担当)を据えた。秋葉氏はトランプ米新政権との同盟強化、パイプ作りでも外務省の中心となっており、日米と日露の双方を事務的に仕切ることになった。外務省嫌いの安倍首相が信頼を寄せる、数少ない幹部の1人。次の事務次官は当確で、「ミスター外務省」との声も聞かれ始めた。
 秋葉氏は神奈川県の名門・栄光学園、東大法学部を卒業し、1982年に外務省入り。「頭が切れる上、物腰が柔らかく、政治的な根回しもうまい」というのが、もっぱらの評判。「プライドが高く、根回し下手が多い」といわれる外務官僚にあって、異色の存在だ。
 その秋葉氏は、昨年11月のニューヨークでの安倍首相とトランプ次期大統領(当時)の会談を実現させた功労者の1人。政府関係者によると、秋葉氏は、自民党の阿達雅志外交部会長から紹介された現地で活動する村瀬悟弁護士のルートと駐米公使時代に培った独自の人脈を駆使。佐々江賢一郎駐米大使の働きもあって、トランプ氏の長女・イヴァンカさんの夫・クシュナー氏にたどり着き、会談にこぎつけたという。
 そのニューヨーク会談の冒頭、安倍首相はイヴァンカさんの娘がピコ太郎のPPAPを踊る動画に触れ「すごく可愛らしいですね」と持ち上げているが、「こういう面白い動画があります」と安倍首相に報告したのは秋葉氏だ。この会談で安倍首相がトランプ氏と打ち解けられたことが、2月10日の正式な首脳会談の成功につながった面は否定できない。


 経営危機の東芝の“虎の子”半導体事業を狙う鴻海

 米原発子会社、ウエスチングハウス(WH)の多額の損失計上で経営危機にある東芝。債務超過を回避するために「虎の子」である記憶用半導体フラッシュメモリー事業を分社化し、その新会社への出資企業を選ぶ入札が佳境を迎えている。この入札には東芝と半導体生産で協業している米ウエスタンデジタル(WD)や米半導体大手のマイクロン・テクノロジー、米大手投資ファンドのベインキャピタルなど10社前後が名乗りを上げている。
 その中で台風の目になりそうなのが台湾の電子機器受託製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業だ。東芝は経営権を維持するために、半導体新会社への出資比率を2割未満に抑えたい考えだが「鴻海は東芝が言う2割未満の出資比率では満足しておらず、過半の出資、あるいは34%以上を望んでいる」(大手証券会社幹部)という。
 鴻海は昨年8月にシャープを買収した。鴻海は自社では半導体を生産していないが、シャープが広島県で生産している。また、シャープが、現在最も高画質な4Kテレビよりさらに画質が鮮明な8Kテレビの先行開発を進めており、鴻海は東芝の半導体事業を取り込めば、シャープの液晶事業などとの相乗効果が見込めると判断、勝負に出た。
 この入札に関して、入札した企業の中からは、「東芝は外部資本の出資比率を2割未満にし、その2割についても複数社から出資先を募るとしている。これでは経営に何の関与もできない」と不満の声も少なくない。同じく売却した東芝メディカルは「全額売却したのでキヤノンに予想をはるかに超える6000億円で売れた」(同)が、東芝として半導体事業は「虎の子」であるため、そう簡単に他社に経営を譲ることはできない。
 東芝の希望としては気心の知れる米ウエスタンデジタルに高く買い取ってもらいたいところだが「独占禁止法の壁もあり、そう簡単に事は進まない」(東芝幹部)という。
 こうした状況をついての鴻海の参入。鴻海は半導体事業を手掛けていないため独禁法の問題はない。買収したシャープも当初は「リストラの嵐に遭うかと思ったが、生え抜きの日本人幹部を登用し、業績も順調に回復している」(シャープ幹部)。
 肝心の半導体新会社への出資比率が「最初は少額出資でもいいと折れてきている。東芝との信頼関係を築いてから出資比率を徐々に引き上げる考えに転じたのではないか」(同)とされる。入札企業の最高額は4000億円ともいわれるが、その額を提示しているのが鴻海ともいわれる。鴻海はシャープに次いで、東芝の半導体事業まで手に入れるのか。その動向から目が離せない。


 経団連副会長人事に見る財界の政権擦り寄り体質

 経団連が5月31日の定時総会で任期2期4年の最終コーナーを回る榊原定征会長を支える新体制が固まった。2月6日の会長・副会長会議で新日鉄住金の進藤孝生社長とトヨタ自動車の早川茂取締役専務役員に加え、大成建設の山内隆司会長、三菱電機の山西健一郎会長の4氏を新任の副会長に内定した。定時総会で正式に選任されたことに伴い、副会長は現在の16人から18人体制に拡大する。
 今回の人選で最も注目されたのは、任期満了で副会長を退任するトヨタの内山田竹志会長の後任だった。経団連にとってトヨタは豊田章一郎、奥田碩の両氏が会長を務めた重鎮企業であり、日本経済の顔というべき世界企業。首脳ポストから絶対に外せない存在だからだ。副会長への起用には出身企業の会長・社長が就く内規があるため、内山田氏の後釜には豊田章男社長を充てる線が順当だ。
 しかし、豊田社長は「本来であれば社長の私がお受けすべきと認識している」とした上で、「社長業と2足のわらじを履くことは現実的に困難と判断した」と固辞し、側近である早川氏を送り込んだ。このため、トヨタは4月1日付で早川氏を副会長に昇格する異例の対応で、榊原会長の要請に応えた。それは同時に、トランプ米大統領が日本車を狙い撃ちしかねない環境下で、榊原会長が腐心した人選だったこともにじみ出る。
 そして、今回の副会長人事で特筆されるのは、三菱電機の山西氏の起用により、経団連の首脳陣が一段と「三菱色」に染まる点だ。副会長の出身企業にはすでに三菱東京UFJ銀行、三菱商事、三菱重工業と日本郵船の三菱系4社が名を連ね、三菱電機が加わり副会長陣の1/4超を三菱系が占める。三菱系企業は防衛・航空宇宙分野、アベノミクスが成長戦略に位置づけるインフラ輸出などで国との関係は深く、ただでさえ「一強」の安倍晋三政権にべったりの経団連がその姿勢を一段と強めるとの指摘もある。
 談合体質を理由に建設業界からは首脳陣を起用しないとの“不文律”を破り、大成建設の山内氏を副会長に起用するのもインフラ輸出に狙いがあり、安倍政権に擦り寄る姿勢が見てとれる。さらに、三菱電機は不起訴となったとはいえ労働基準法違反で書類送検された事実は拭えず、「働き方改革」で旗振りを務める経団連が副会長に起用したのでは説得力に欠くといわれても仕方がない。


 出光創業家の代理人を辞任、浜田弁護士決断の背景

 出光興産と昭和シェル石油の合併交渉に再び暗雲が垂れ込み始めた。合併に反対している出光創業家の代理人として経営陣との交渉にあたっていた元自民党議員の浜田卓二郎弁護士が突然辞任したのだ。
 浜田氏は2016年6月の出光の株主総会で両社の合併に反対を表明。その後、創業家の出光昭介名誉会長は昭シェルの40万株(0.1%)を取得し、出光による昭シェル株の取得を阻止しようとするなど、対立姿勢を強めた。
 しかし、浜田氏は出光が英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)から昭シェル株約31.3%を取得後、話し合いに応じる姿勢に転じた。今年に入り、出光経営側の代理人弁護士と複数回、協議を進めていた。
 創業家との「決裂」が表面化したのは2月だった。浜田氏は経営側との対立を解消する道を探るべきだと昭介氏に進言したが、「昭介氏は明確な方針を示さなかった」(出光関係者)。これを受けて浜田氏は代理人の辞表を出し、昭介氏のもとを離れた。
「創業家は昭介氏の次男である正道氏を役員につけることを強硬に主張している。特に昭介氏の妻、つまり正道氏の母親である千恵子氏が1歩も譲らないのです」(ある関係者)
 日本航空(JAL)のキャビンアテンダント(CA)だった千恵子氏と浜田弁護士の妻で同じJALのCA出身のマキ子氏は先輩・後輩の仲だ。浜田氏は千恵子氏の懇願に応じて合併反対の論陣を張ったが、「千恵子氏の無茶ぶりに愛想をつかした」(同)との声が多い。
「正道氏には経営能力はない。出光の株式公開後、役員のいなくなった創業家が復権を狙ったものだが、正道氏を迎え入れたら出光は沈む」
──社内からも悲観の声が上がるこの騒動、結末はいかに。


 打つ手が続々裏目のキリン、企業風土の改善が必要

 キリンホールディングスが成長戦略に位置づけた打つ手打つ手が完全に裏目に出ている。2月13日、11年に約3000億円で買収したブラジル事業を、オランダの大手ビールメーカー、ハイネケンに770億円で売却すると発表。6年で撤退に追い込まれた。米コカ・コーラとの間で交渉してきた国内清涼飲料事業での資本提携も、協議打ち切りが決定。10年のサントリーホールディングスとの経営統合構想破談以来、誤算の連鎖を断ち切れずにいる。
 ブラジル事業をめぐっては、15年12月期に約1100億円の特別損失を計上し、自主再建に努めてきたものの、「単独で高収益事業に転換するには限界がある」(磯崎功典社長)と判断し撤退を決断した。買収したスキンカリオール(現ブラジルキリン)については、買収当時の「高値で掴まされた」という業界内での見方が的中してしまった。キリンは同日、コカ・コーラと交渉してきた清涼飲料事業での資本提携の断念も発表。業務提携の可能性は残しているとはいえ、国内第4位にとどまる清涼飲料事業の浮上をかけた「日米同盟」は大きくトーンダウンすることは避けられない。
 同業他社からは、キリンが旧財閥の三菱系に属し、国内市場でガリバー的存在だった頃以来の「公家集団」の甘さが遠因との指摘がある。国内ビール市場でもアサヒグループホールディングスの後塵を拝し、シェアは差が開くばかりだ。企業風土を変えるキリンの覚悟が試される。


 日本郵政株2次売却へ準備、ゆうちょ銀個人ローン参入

 「ゆうちょ銀行は個人向け融資に本格参入することで最終調整に入ったことが1月26日に分かった。2月にも政府と正式協議に入る。ゆうちょ銀行は日銀のマイナス金利政策などによる超低金利で多額の貯金運用で苦しんでおり、政府も収益源を拡大する必要があると判断した。早ければ2018年度中にも始めたい考えだ」(共同通信)
 この記事に政治的な意図を感じ取った地域銀行関係者は少なくない。なぜならゆうちょ銀行の新規業務については、日本郵政のゆうちょ銀行に対する持ち株比率が50%以下になって初めて認可されるとみられているためだ。現状、日本郵政はゆうちょ銀行の89%を保有しており、まだ50%にはほど遠い。
 それにもかかわらず、このタイミングで観測記事が書かれた背景には、日本郵政と政府の苦しい台所事情がある。
 日本郵政グループの16年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比7.5%減の9兆9895億円、経常利益は、25.9%減の5809億円、最終利益は22.6%減の2966億円となった。日銀のマイナス金利政策による運用環境の悪化などにより、利益の9割を依存するゆうちょ銀行、かんぽ生命が減収減益になったためだ。日本郵政の経常、最終利益はいずれも四半期決算を開示し始めた13年以降で最低に落ち込んだ。
 それなのに政府は日本郵政株式の2次売却の準備に入った。トランプ相場を追い風に、株式相場が好転している好機を捉え、早ければ今夏にも売り出す。このため3月末までに主幹事証券会社を選定する。
 ゆうちょ銀行の個人向け融資への本格参入は、この日本郵政株式の2次放出のテコ入れを意図したものだろう。トランプ相場で足元好調な株価だが、それ以前の日本郵政の株価は第1次の売り出し価格を下回った状態が続いていた。2次売却を検討する余地すらなかったというのが実態だった。
 トランプ相場は終焉し、いつまた株価が低迷するか分からない中、2次売却を確実なものとし、かつ相応の売却益を得るためには、儲け頭のゆうちょ銀行の業務拡大による収益増強策が不可欠というわけだ。
 特に、カードローンなどの個人向け融資は、貸金業者の融資には総量規制や厳しい融資金利の上限(15〜20%)が設定されているのに対し、金融機関の個人ローンには総量規制がなく、青天井で融資が可能。しかも一般の法人向け融資に比べ利幅は各段に大きく、ドル箱となっている。この市場にゆうちょ銀行が参入すれば収益効果は絶大だ。


 森金融庁長官続投説に戦々恐々とする地銀

 年明け早々から銀行界で密かな話題となっていることに金融庁の森信親長官の去就がある。15年7月に長官に就いた森氏が、この夏の幹部人事で勇退するのかどうかが焦点で、続投すれば大物長官として3年目に突入することになる。
 歴代長官で3年間続投したのは五味廣文氏、畑中龍太郎氏の2人しかいない。五味氏は与謝野馨氏、畑中氏は麻生太郎氏による、いずれも当時の金融担当相の留任要請を受けての続投だった。はたして森氏もこの列に並ぶのか、金融関係者は固唾を呑んで見守っている。
 森長官は外見こそ細身で神経質だが、信念の人である。金融行政の要諦は“金融機関はお客のためになっているのか”。それゆえ、顧客に支持されない金融機関は捨てられてもしかたないという厳しい哲学の持ち主でもある。
 その森長官が最も腐心しているのが、地方銀行をはじめとした地域金融機関の将来だ。年明け早々の1月中旬の地域金融機関トップとの会合でも次のように激を飛ばした。
「銀行業も、商品・サービスの供給側の銀行が一律に提供商品を決めるBtoCから、個別の顧客のニーズにきめ細かく対応するCtoBのビジネスモデルに変わりつつある。旧態依然とした供給者の論理でしか経営を考えられない金融機関は淘汰されていくのは必然かもしれない」
 地域金融機関は、人口減少に伴う地元経済の縮小によりジリ貧の経営を余儀なくされている。そこに日銀のマイナス金利政策が重なり、赤字経営を強いられている中小金融機関も少なくない。将来を見据えた経営を提唱する森長官にとって、地域金融機関の先行きは心配の種だろう。
 森長官の去就は官邸マターとなる。中でも菅義偉官房長官が森氏の手腕を高く評価しており、“三年長官”の可能性は高い。
「森氏自身は勇退の意向を周囲に漏らしているが、余人をもって代えがたいとなるのでは。仮に勇退しても内閣官房参与として残る可能性もある」(与党幹部)との見方がある一方、「森長官は今年7月に勇退して、シンクタンク等の中立的な組織に所属するのではないか、なぜなら森氏を次の日銀総裁に推す声があるためだ」(別の与党幹部)という見方もある。現在の日銀の黒田東彦総裁の任期は18年4月まで。それまで待機しろという意味だ。森氏の続投はあるのか、地域金融機関は戦々恐々だ。


 手元資金も枯渇して崖っぷちの大塚家具

 創業者である実父と経営路線で対立し、その父親を追い出す形で経営権を掌握した大塚家具の大塚久美子社長が崖っぷちに立たされている。このほど発表した2016年12月期決算は売上高が前期比20%減の463億円、最終損益は45億円の赤字(前期は3億円の黒字)となった。最終赤字は6年ぶりだ。
「会員制」や「カタログ販売」といった父親の経営手法を否定した久美子社長の経営改革は完全に裏目に出て、手元資金も現預金が1年で7割減り38億円と底を突き始めた。月次売上高(全店ベース)は昨年5月から9カ月連続で前年割れが続いている。中期計画で掲げた今期の最終黒字は14億円だったが、取り下げた。
 創業者で父親の勝久前会長と対立し、株主総会の委任状争奪戦(プロキシーファイト)で多数を得て、勝久氏を解任、袂を分かつことになったが、改装に合わせた2度の安売りセールの反動からなかなか立ち直れない。「父親の高級路線から中価格帯の商品を増やしたが、いずれも中途半端。ニトリやイケヤの勢いとは対照的で来客数の減少が止まらない」(大手証券アナリスト)だ。
 一方の勝久氏は別の高級家具店「匠大塚」を設立。高級家具を扱い、予約制で内覧を受け付ける、かつての大塚家具の販売手法を復活させている。「久美子氏の経営の迷走を見て、勝久氏のもとに職を移す社員も増え始めている」(大塚家具幹部)という。
 投資家もそっぽを向き始めた。その理由は「公約破りの減配」だ。15年の委任状争奪戦で掲げた「3年間80円配当を続ける」としていたが、業績不振で支払いに窮し、17年12月期末の配当は40円に減配する予定だ。「増配を目当てに久美子氏に票を投じたのに、話が違う」との声が株主からあがっている。「株主から訴えられる可能性もある」(大手証券アナリスト)ともいわれる。
 久美子氏は今後、売り場の面積を抑えて固定費を削減するのと同時に住宅メーカーと提携し、住宅メーカーを通じた販売を伸ばすという。親に啖呵を切ったのはいいが、そのけりをどうつけるのか、久美子氏には難問が突き付けられている。


 注目される森トラスト、銀座ホテルの誘致

 この3月2日、森トラスト・ホテルズ&リゾーツはマリオット・インターナショナルと共同で記者会見をする。内容は、さらなるインバウンド獲得のための新たな取り組みだという。
 森トラスト・ホテルズ&リゾーツの社長は、昨年、親会社の森トラストの社長に就いた伊達美和子氏だが、同氏はホテルの事業会社社長も引き続き兼務していることからわかるように、ホテルビジネスにはとりわけ情熱を持っている。今も海外のホテルを精力的に視察し、ホテル経営者たちとの親交も広く、とりわけマリオットグループとの縁が深いといわれている。
 2日の会見場となる東京マリオットホテルは旧ラフォーレ御殿山をリブランドしたものだが、この手法で旧ラフォーレの施設を次々とマリオットホテルに変えているのだ。また、新規ホテルも箱根、白馬、奈良、沖縄など目白押しだが、森トラストの悲願ともいえたのが銀座エリアでのホテル展開である。
 同社が銀座2丁目のホテル用地取得を発表したのは15年12月で、場所が場所だけにどのホテルを誘致するのか注目が集まっていた。
 そうした中、森トラストではその前段として、去る2月1日、ホテルの設計・内装デザインに建築家の隈研吾氏が参画することを発表し、会見も行った。
 だがその日も、どのホテルブランドを持ってくるのかは、交渉を詰めている段階で公表されず、伊達氏も「ライフスタイル系の、スマートなホテルと複数交渉しているが、すべて日本には未進出のホテル」と語るにとどめた。ともあれ、まだ日本には上陸していない外資系ホテルということのようだ。
 日本初お目見えということでは過去、翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都を開業させているが、これはスターウッドホテルの最高級カテゴリーのブランドだった。が、そのスターウッドはマリオットに買収されている。マリオットグループの中で、まだ日本に上陸していないブランドを誘致するという可能性もあるかもしれない。
 森トラストに対して森ビルも、これまで六本木ヒルズではグランドハイアット(03年開業)、虎ノ門ヒルズではアンダーズ(14年開業)と、いずれもハイアットグループと組んでおり、森トラストもマリオットとの付き合いが一番深い。
 伊達氏は、設計・デザインにあたって「隈さんの日本らしさの世界観を銀座に」と語っていたことから、かなり和を意識していると思われる。「トランプホテルを持ってくれば話題沸騰」と冗談を言う向きもあるが、派手なトランプホテルではコンセプト自体が合わない。
 果たして、伊達氏の渾身のホテルになるであろう銀座では、どのホテルが誘致されるのか──。


 Jリーグ離れで解約続くスカパー

 Jリーグの放映権を失った衛星有料放送「スカパー!」の解約が止まらない。年初からわずか1カ月で約10万件の顧客が離れたのだ。
「スカパー!」を運営するスカパーJSATが、Jリーグの試合を本格的に展開したのは2007年。以来、10年間にわたって、J1とJ2のリーグ戦を毎シーズン約700試合中継し、「Jリーグ=スカパー」といわれるまでに認知度を高めてきた。
 ところが、世界的規模でスポーツの定額動画配信サービス「ダ・ゾーン(DAZN)」を手がける英国の「パフォーム社」が、Jリーグの独占放映権を17年から10年間で約2100億円、1年当たり約210億円で獲得。日本国内におけるインターネット・モバイル配信、IPTVサービス、有料サテライト放送、ケーブルテレビなどを管理することになった。
 スカパーが支払ってきた放映権料は、毎年約50億円とされる。慌てたスカパーは放送継続に執念を燃やしたが、まさに「カネの切れ目が縁の切れ目」。ついに昨年末、「これまで通り放送できるよう交渉を続けてきたが、成立に至らなかった」と発表し、Jリーグのオフィシャルパートナー契約も解除することになった。これを受けて、一気に解約が進んだという。
 しかも、気になるのは、Jリーグ中継がテレビ放送からネット配信に移ること。視聴習慣が一変してテレビ離れに拍車がかかれば、スカパーの先行きはますます厳しくなる。


 PL教団の隠し金か、香港に3000億円

 1枚の残高証明が今後の事件展開を占うものだとして注目を集めている。発行したのは香港上海銀行で発行日は12年1月4日、口座名義人は実在する香港法人で代表は日本人。驚かされるのは残高で217.8億香港ドル、日本円で約3000億円だ。
「PL教団の隠し預金だといわれています。PLは2代目の御木徳近教祖の時に隆盛を誇り、米国への本格布教を考えて巨額資金を送っていた。ただ、3代目の貴日止(たかひと)現教祖が病弱であることもあって、教勢は衰え、米国布教に現実味がなくなった。そこで、教団周辺者の宇都宮貞史が政治力を使って米国から香港に送金したという」(PL教団関係者)
 それが表面化したのは、大阪地検特捜部の捜査がきっかけ。特捜部は、禅宗「黄檗宗」の末寺「安城寺」(愛媛県松山市)の住職・片井徳久容疑者と檀家総代の宇都宮容疑者を、昨年末、背任容疑で逮捕・起訴。今年に入ってからは1月末、建設保証金名目で3億円を詐取したとして逮捕・起訴し、今も捜査を継続中だ。
 住職の片井容疑者は、PL高校出身で徳近2代目教祖の養女である白日氏と養子縁組をして御木姓を名乗っていた。しかも貴日止3代目教祖の後継問題で教団は揺れており、弁が立ち、人脈も豊富な片井容疑者は、「4代目になる」と、公言していた。
 檀家総代の宇都宮容疑者はその側近だが、そのコンビがPL教団の教勢低下につけ込み、その威光を背景に出入り業者などから資金を引き出していたのが今回の事件。その仕事の中に、長年の懸案だったという米国資金の海外送金があったというのだが、資金の帰属やどうして法外な送金が可能だったのかといった問題もある。特捜部はこの資金にも着目、捜査を進めている。


 虚偽診断書事件は会津小鉄会綻びの象徴

 京都府立医科大付属病院をめぐる虚偽診断書事件は、2月中旬、京都府警が捜査着手。診断書を作成した吉村了勇院長にとどまらず、提携関係にある京都市内の民間大手・康生会武田病院に波及した。さらに府立医大の吉川敏一学長が、診断結果を受けて懲役刑の執行が停止されていた山口組系淡海一家の高山義友希総長と京都市内で複数回にわたって会食していたことが判明、「京都の医療界」が暴力団に汚染されている構図が浮上した。
 もともと古都・京都の暴力団を束ねていたのが会津小鉄会。150年の歴史を誇り、組織力や構成員数では西の山口組、東の住吉会、稲川会などの“大手”には劣るが、独特の存在感を認められて京都を支配。中でも口八丁手八丁の大物が高山登久太郎3代目だった。今回、問題となった高山義友希総長は、その長男である。会津小鉄会ではなく、なぜ山口組なのか。そこに崩壊しつつある京都の暴力団事情がある。
 登久太郎3代目は、息子に稼業を継がせず金融・不動産業を営ませていたが、1997年の引退で影響力を失い始めると、義友希総長の事業にも支障が出る。そして03年の3代目の死をきっかけに、意を決して頼ったのが山口組弘道会だった。以降、京都は山口組に切り崩された。今回の収監逃れは、京都の建設業界のボスを高山清司若頭(弘道会会長)とともに義友希総長が恐喝したというもので、懲役8年が確定。偽診断書は、収監を逃れる目的だった。
 今年2月、会津小鉄会は馬場美次6代目の引退騒動を経て、7代目会津小鉄会を名乗る2つの組織が誕生している。京都の医療界を巻き込む偽診断書騒動は、そんな京都の暴力団事情も映している。


 製造業は競争力没落、会社勤めは傍流が幸せ

 解体の危機の東芝は、銀座の旧東芝ビルなど全国の都市に約150もの優良不動産物件を持ち、営業利益がピークで200億円近くを誇っていた東芝不動産や、お宝の倉庫群をさっさと売り払ってしまった。将来性がある東芝メディカルシステムズ(医療機器)をキヤノンに売ったのも痛い。しかし、そこにいた傍流社員は、東芝と縁切りできて命拾いしている。シャープも、すでに売った事業のほうが中核事業で赤字を垂れ流した液晶より儲かっていた。三菱重工業は造船、航空機、軍事製品という不振の3枚看板を守り、フランスのつぶれそうな原子力事業会社の「救済」も目指すために、資産が豊かにある不動産会社をJR西日本に売ってしまった。
 残された本流部門の社員には厳しいリストラが課される。一方で、助かった社員はといえば、傍流や窓際部門だった非中核事業にいた人だ。
 東芝グループで不動産や医療機器の仕事をしていた社員は「野村不動産、キャノンの傘下に移ったが、そこではリストラにおびえることもなく、給与も悪くはない」、「運賃を値下げしないJRは競争相手も少ない。過当競争に慣れっこの東芝よりずっと安心」という。
 カネボウ(カネカが発祥)、富士通(富士電機が発祥)など過去にも時代の先を読んだ傍流が生き残った産業史がある。
 保守本流の事業のほうが将来リスクは高い場合も、中核事業が古ければ古いほど、「名門」を守るためと執着するのが歴史を誇る日本企業の経営者の特徴だが……。


 二階自民党幹事長に周囲が気をもむ理由

 「二階俊博幹事長の言っていることがよく分からない」という声がマスコミ各社の幹事長番記者のみならず、自民党員の間からも出ている。幹事長には定例の記者会見があるが、二階氏の表現は言葉不足や省略が多く、言葉を補っても意味が判然としないケースがある。記者泣かせである。
 国政選挙では、総裁(首相)が党の顔だが、幹事長が事実上仕切る。公認問題に始まり、選挙資金、政策論争まで幹事長の手腕が問われる。党職員の間では、テレビの各党による政策論争には「とても二階氏を出すわけにはいかない。票を減らすことになる。代役で下村博文幹事長代理を出演させるしかない」と今から心配する向きもいる。
 二階氏は今年78歳。政治家としては、政策的なキレというより行動力が売りだ。寝業が得意で政局になると裏工作で欠かせない1人。小沢一郎自由党代表と行動を共にしていたことで、政界渡り鳥と言われたこともあった。自民党に復党してからは親分肌と面倒見の良さを発揮して復活。谷垣禎一前幹事長の自転車転倒事故で急遽、登板した。
 二階氏が政界を引退して息子にバトンタッチする後継者話はここ数年、周辺で語られている。二階氏をよく知る人は「自分の手で衆院選の指揮を取り、権力の絶頂期に息子さんに譲るのが二階さんの希望ではないか」と現状を読んでいる。
 国会内の理髪店で、二階氏と隣り合わせた記者が見たのは、「SP1人を従えて入ってきた二階氏は、椅子に着くなり頭を垂れてすぐ眠りこけてしまった。激務で疲れていることもあろうが、理髪中、前後不覚でこんこんと眠り続けた」。権力の中枢でバリバリ差配する姿とは程遠かった。


 日本の「忘れられる権利」最高裁は判断を「スルー」

 グーグルは日本での法廷闘争に勝ったのか? 欧州(EU)では認められた「忘れられる権利」だが、日本では最高裁がその判断を「スルー」したことで、「検索」事業にお墨付きが出た。1月、最高裁判所は検索サービス内の中傷とされるコメントを削除するようグーグルに求めた訴訟4件を棄却したのである。
 最高裁は、係争案件は「児童買春が社会的に強い非難の対象とされる」点から、「今なお公共の利害に関する事項」と判断。検索サイト側の「表現の自由」と表示される側のプライバシー保護を天秤にかけ、表現の自由のほうが優先するといい、削除しないでよしとした。
 しかし、日々のマスコミ報道、ネットや「2ちゃんねる」の実名報道は、微罪による逮捕案件が多くを占める。たとえ、事後は不起訴でも第1報はネットから永遠に消えない。メディアは「逮捕」「検挙」を最大のニュースとして扱う。検察の「不起訴処分」や裁判所での「無罪」は、すでに既報した事案の延長としてほとんど扱わない。
 米国のグーグルもヤフーも胸をなで下ろしているだろう。最高裁は「日本においては忘れられる権利についての法的根拠がなく、検索結果を削除することは検索サイトの表現の自由を侵害することになる」と認定し、情報の削除については、「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」という新たな判断基準を示した。その一方で、最高裁は「情報流通の基盤として検索サイトは大きな役割を果たしている」と踏み込んだ。
 しかし、市井の民にとって、「忘れてほしいこと」の検索項目が何年たっても検索に出てくるようでは困る。たとえ刑期を終えた犯罪者でも、更生を妨げうる。ネット社会に内在する本質的な課題については議論を先送りした形になった。
 一方で、警察発表や司法事件に生ニュースのコンテンツの大半を頼るマスコミは、「知る権利」や「報道の自由」を訴えるのに、一部の有力企業や有力者からの名誉棄損訴訟を恐れる案件には、筆を丸めがちだ。
 しかし、地方紙は注目される。佐賀新聞では昨年から重大事件や政治家・官僚など公人が関わる犯罪を除き、容疑者は紙面上で実名であっても、ネット上では匿名表記とし、人権に配慮する。「ネット情報は1度コピーされれば、永久に名前が残るリスクがあるため」という。


 産経新聞の新戦略アプリ「産経プラス」に注目

 新聞社の中で、デジタル事業が1番目立たないのが読売新聞社だ。同社は紙の新聞の部数が新聞社でトップであり、それに伴って販売店も多いためといわれる。その対極で、デジタルに積極的なのは、まずは日本経済新聞社。デジタル会員における有料、無料の会員を合わせれば、紙の新聞とは打って変わってトップに位置している。次いで朝日新聞社だ。同社は不動産事業にも力を入れており、脱・紙の新聞という勢いを感じさせる。
 では産経新聞社はどうか。同社は新聞社の中でもデジタル事業への着手は早く、マイクロソフトと組んでMSN産経ニュースを提供していた時期もある。そして、1番支持されていたのが、延べ8年にわたって展開してきたサービスだ。これは7インチ以下の、つまりタブレットサイズでないスマホであれば、無料のスマホアプリで紙面がそのまま読めることだった。一方、紙の新聞は月額3000円超。まず、産経新聞のファンになってもらおうという狙いから始めた無料アプリだったが、いつかは改変が必要なことも事実だった。
 そこで産経(正確にはグループ会社の産経デジタル)は昨年末、新戦略に打って出た。それはいわば、無料と有料の併せ技である。有料のほうは、パソコンでもタブレットでもスマホでも、どんなデバイスでも読める代わりに、産経新聞で税抜き1800円、サンケイスポーツが税抜き2000円で購読できるようにしたもの。もう1つが、無料アプリの改定版である産経プラス。こちらはキュレーションアプリで、産経の強みの1つである、夕刊フジやサンケイスポーツ等々のコンテンツを含めて読めるようにしたのだ。
 ただし、こうしたニュースアプリはスマートニュースやグノシーなど人気無料ニュースアプリがたくさんある。そこで産経の強みになるのは、コンテンツメーカーとしてのオピニオンだ。左寄りの毎日、朝日に比べて右寄りの産経、読売といわれるが、スマートニュースやグノシーなどのように、広範なメディアから集めてきたニュースアプリに比べて、より、主張や立場を鮮明にした記事を欲する読者には、産経アプリはウケるかもしれない。
 もっとも、DeNAの失態を見てもわかるように、キュレーションアプリは、他社よりも早く情報を集めて見せるだけの競争に陥ると、危うい面も内包している。そういう点では、産経プラスは、オピニオンの好き嫌いは別にして信頼度は高い。要は読み手側の使い分けだが、産経発のニュースアプリ、これからの磨き込みでどれだけ伸ばせるか、注目を集めている。


 ライドシェア導入で国土交通省が神経質に

 米国や中国などで今やスマートフォン(スマホ)などを活用したタクシー配車アプリのビジネスが大人気だ。このグローバル世界の変化を感じ取った政府の規制改革会議(大田弘子議長)が最近、自家用車を他人に相乗りさせてビジネスにするライドシェアの議論を始めたため、管轄する国土交通省の政策担当者はタクシー行政とのからみで取り扱いに神経質になっている。
 今回のライドシェア・ビジネスの解禁をめぐる議論には、米ウーバーテクノロジーズが先鞭をつけたスマホなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用してタクシーやハイヤーの運転手と利用者の間をつなぐ配車アプリによるサービスを日本に本格導入しようという狙いがあるのは間違いない。
 すでに米ウーバーの日本法人が、京都府北部のタクシーがまったく走っていない中山間地域で「買い物難民」「医療難民」化した高齢者対策などのため、地元自治体と連携して試験的に利用度調査を行っている。規制改革会議では、これら中山間地域などタクシーがつかまらず不便を強いられる地域を対象に導入を考え、ライドシェアという形でシェアリングエコノミー時代下の新たな規制改革の議論につなげたい考え。
 ところがタクシーなど運輸行政にかかわる国土交通省は、2016年1月に米サンフランシスコで最大のタクシー大手、イエローキャブ協同組合が米ウーバーのタクシー配車アプリビジネスに顧客を奪われて倒産した事例を見ており、導入を認めたりすればタクシー業界の猛反発が避けられないなど混乱を招きかねない、と極めて慎重だ。
 確かにシェアリングエコノミーの課題は共有型経済になると、観光客向け個人住宅の空室活用のビジネスがホテルなどのビジネスを圧迫する、といった負の経済的側面をどう考えるかがポイントで、国土交通省も成長戦略との兼ね合いで慎重になっている。


 14倍の急成長見込む介護ロボット市場

 高齢者の定義を75歳以上にという提言が出され話題になった。元気な高齢者が増えているのも事実だが、一方、介護や医療の世話にならずに、自立して生活できる健康寿命は、男性71歳、女性74歳。多くは75歳以下で介護や医療の世話になっているというのが実態だ。
 そうした中で、注目されているのが介護ロボットだ。厚労省も昨年から介護ロボットの導入を推進する事業を開始し、先頃、介護ロボットメーカー11社の展示会が東京・秋葉原で開催された。人工知能(AI)と並んで、医療介護の現場では一足早くロボットが活躍する時代がやってきそうだ。
 現在、使用されている介護ロボットの代表は介護する人の腰の負担を軽減するロボット。介護で最も大変なのは高齢者を抱き起こしたり、ベッドから車いすなどに移す動作だ。それを補助するために開発されたのが小型リフトタイプのロボットで、入浴などの介助にも使われる。また、センサーを使って高齢者の様子を見守るシステムのロボットもすでに実用化されている。
 これらのロボットを介護保険施設や事業所が導入するためにかかる費用の一部を厚労省が助成するというのがこの事業だ。経済産業省でも「ロボット介護機器開発・導入促進事業」を行っており、この事業で採用された介護ロボットに厚労省が補助金を出している。例えば、腰部負荷軽減用HAL、介護用マッスルスーツなどだ。縦割り意識の強い省庁で厚労省と経産省の協力事業という点でも注目されている。介護ロボット市場は今後5年間で約14倍に なるという予測もあり、超高齢社会の有力なビジネスになりそうだ。


 台湾のレーダーを無力化、中国の電磁能力阻止作戦

 ここにきて、中国の空母「遼寧」が台湾周辺を1周したり、空軍機がバシー海峡を飛行して、台湾への「軍事行動」に圧力をかけたが、その真の目的は「台湾軍の電磁能力阻止」にある。
 これは台湾の軍事力を無力化させることを狙ったもので、「電磁作戦」と呼ばれている。簡単にいうと、台湾側のレーダーやミサイル、通信体制を無力化しようとするため、人民解放軍側が「妨害電波」を出すというものである。事実、1996年と02年、米軍側が中国大陸に向けて「電磁作戦」を実施した時、大陸沿岸は完全にレーダーなどが麻痺し、人民解放軍の軍事行動が大きく妨害されたことがあった。
 この「報復」として、中国側が「電磁作戦」を考えているもので、実施部隊は「第31集団軍」という台湾正面の軍区で、演習基地として南シナ海の「東山島」が充てられている。これから随時演習は行われる。
 台湾には「天弓3型」対空ミサイルや各種レーダー基地があり、この無力化を北京は企んでいるのである。
今後、両岸の「電磁破壊作戦」が熾烈化するとみられており、2月に中国空母が日本海を航行したのも日本の電磁作戦能力を収集するためであったという。


 FRB理事辞任で注目、金融規制緩和はどうなる

 今、メガバンクが最も注目するトランプ政権の人事に動きがあった。米国の中央銀行であるFRB(米連邦準備制度理事会)の金融規制を担当しているタルーロ理事がトランプ大統領宛てに書簡を送り、4月5日頃に辞任する考えを伝えたのだ。タルーロ氏の任期は2022年1月まであるが、残り5年の任期を待たずに辞任するという。
「トランプ大統領は2月3日に現行の金融規制を大幅に見直す大統領令に署名。これに従えないという抗議の表明です」(メガバンク幹部)
 タルーロ氏は銀行に厳格な規制をかけるべきとの持論の持ち主だ。しかし、雇用と経済の拡大を優先するトランプ大統領は、金融規制を緩和して銀行がもっと企業に融資するよう求めている。
 全銀協の國部毅会長は2月16日の記者会見で、トランプ氏の大統領令について聞かれ、「過度に厳格な規制が見直される可能性はあると思う。我々邦銀としては、米国中間持株会社の設立や、資本・流動性の積み増しを義務付ける規定等には見直しの期待もある。しかしながら、トランプ大統領が掲げる『アメリカ・ファースト』というスローガンに加えて、今回の(規制見直しの)基本原則にも『外国企業に対する米国企業の競争力の確保』といった項目が盛り込まれている。この項目の趣旨が『外銀に対する米銀の競争力の確保』という意味だとすると、私ども邦銀が期待するような規制の見直しが行われるかについては、慎重に見ておく必要はあると思う」と、期待とともに警戒心を解いていない
 一方、ウォール街では早くもタルーロ理事の後任候補が取り沙汰されている。名前が挙がっているのは、ション・ドゥガン氏(元通貨監督庁長官)、デービッド・ネイソン氏(GEエナジー・ファイナンシャル・サービスCEO)、ランドール・グイン氏(弁護士)、ポール・アトキンス氏(元SEC幹部)、トーマス・ホーニグ氏(連邦預金保険公社副総裁)など銀行規制緩和論者の面々だ。
 ドット・フランク法見直しを含む金融規制の緩和を先取りするように、NYダウは最高値を更新している。金融規制の緩和から目が離せない。


 注目の韓国大統領選挙、結果次第で在韓米軍撤退

 日本大使のソウルへの帰任見送りは長引くが、通貨スワップ協定に関しては、韓国政府は最近豪州と協定の拡大延長を行うなど、韓国サイドでも事態の長期化を想定している。混迷が続く韓国大統領選挙戦から潘基文氏は脱落、今秋からハーバード大学で教鞭をとることとなった。
 そのため、現在でも大統領レースのトップを走る「共に民主党」の文在寅候補が有利とされているが、彼の北朝鮮政策があまりにも北寄りであることが懸念されている。米連邦議会の公聴会でも、彼が当選した場合はTHAADの配備が先送りされるリスクがあるとして強い懸念を示している。
 現在、中国と米国の軍事力は1対6とされているが、中国のミサイル網封じ込めにはTHAADは欠かせないと米国は見ている。米国は2月にマティス国防長官をいち早く韓国に派遣したが、読書家としても知られる彼が、訪問前に読んだのが朝鮮戦争当時の米軍司令官であったリッジウエイ氏の自伝だ。同書には、朝鮮戦争の最中、多くの韓国兵が前線で武器を置いて逃亡した結果、多くの米兵が死亡したといった頼りにならぬ韓国軍についての記述もあり、マティス氏も仮に文大統領が実現しTHAADの先送り、または撤回がなされた場合は、在韓米軍を撤退させ、最前線を対馬海峡や南西諸島に切り替える覚悟はできているようだ。
 日本の軍事力強化の要求にはこうした背景がある。


 台湾が華僑教育工作強化、自国の地位向上を図る

 台湾が今、華僑教育工作を強化している。台湾の華僑教育体制は最も成功した政策の1つである。新南向政策と呼ぶ東南アジア並びに南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど十八カ国との関係を深める政策の充実を推進する台湾政府が、東南アジアを中心とした海外華人(いわゆる華僑)への働きかけを強めており、これからの注目点である。
 同時に、新南向政策により台湾の国際的地位を高めようともしており、大陸側のそれと比べて台湾に対する海外華僑の信頼感は高い。
 現在、台湾にいる華僑学生は、マレーシア出身者だけでも一万五千人。その数は年々増えつつある。渡米する者も少なくないが、華僑子弟の留学先としてきちんとした中国語や中国文化が学べる台湾は魅力的なのだ。
台湾の華僑子弟教育は60年の歴史があり、これまで「華僑子弟」として台湾の大学を卒業した者は12万人を超えている。
 国際情勢の変化に対応して、自国の地位向上を図る台湾は、特に東南アジアに力を入れようとしているわけで、海外華僑にとって窮屈になりつつある大陸と比べて、台湾への留学生が増えるとみられる。最近の対米関係緊密化がそれに拍車をかけようとしているのである。


 ロシアが意欲見せるパイプライン計画の復活

 ロシアが国家的プロジェクトとして着手しながら、2014年に断念に追い込まれた天然ガスのパイプライン計画「サウスストリーム」について、プーチン大統領(写真)が修正を加えた上での復活に意欲を見せている。
 サウスストリームは、ガス紛争でロシアと対立していたウクライナを経由せずに、欧州にロシア産天然ガスを輸出するパイプラインを建設する構想で、ロシアの国営天然ガス独占企業ガスプロムが〇七年に西側企業と計画を打ち上げた。計画では、ロシアからウクライナを通らずに、黒海経由でブルガリアへパイプラインを敷設。ブルガリアから北方のセルビアやハンガリー、オーストリア、また南方のギリシャ、イタリアへそれぞれパイプラインを延伸させる予定だった。
 ところが、ウクライナ紛争をきっかけに欧州連合(EU)とロシアが対立。サウスストリームの建設に絡み、欧州委員会がガスプロムによるEU競争法(独占禁止法)違反の疑
いがあると指摘したのが決定打となり、計画は挫折した。
 EUはその後、ロシアに再考を促したが、態度を硬化させたロシアは首を縦に振らず、代わりに黒海からトルコを経て南欧を目指すパイプライン「トルコストリーム」構想を公表。シリアをめぐるロシアとトルコの対立で頓挫しかかったが、関係修復を受け、実現へ動き出している。
 ロシア国家エネルギー安全保障基金のシモノフ理事長はブルガリアのラジオ局に対し、サウスストリーム計画をそのまま復活させるのではなく、トルコストリームのパイプラインをトルコからブルガリアに延ばす構想を披露した。ロシアはブルガリアとの関係を深めることで、ロシアに対するEUの強硬姿勢を緩和させたい思惑とみられ、パイプライン計画はEUとの関係改善に向けた絶好の機会となりそうだ。


 英国の教師不足が深刻化、EU等から50人募集

 ここ数年のべビーブームで教師不足が深刻化する英国で、政府がチェコ、ポーランドなど東欧諸国やドイツ、さらに米国での教師採用に乗り出した。当面は物理、数学で50人の採用を目指すが、将来的には一般の理科、IT、中国語などの他の教科にも広げることを計画している。
 英国は移民規制の強化に向け、欧州連合(EU)離脱の具体的な交渉を始めようとしているが、海外からの人材受け入れなしに英国社会が機能しないことを示した形だ。
 政府は2月に入って最大30万ポンド(約4240万円)の予算規模で、事業を請け負う企業の募集を始めた。これに対応して、政府の諮問機関である移民助言委員会も、EU域外からの移民を認める決定を下している。 
 英国では教育予算の削減に伴い、公立学校の教師の待遇も悪化。中学校を中心に人員不足が恒常化しており、1970年代半ばにも海外での教師募集を行ったことがある。また、英国は学校単位で教員採用が行われるため、貧困層の多い地区での教員募集が難しくなる傾向が強く、学力底上げが必要な児童・生徒に対応できない状況となっている。12年のロンドン五輪を機に英国で事業展開を始めた海外企業などからも、英国人労働者の基礎学力不足を指摘され、政府もようやく対策に本腰を上げざるを得なくなっている。


 インドが世界最多の衛星打ち上げに成功

 インド宇宙研究機関(ISRO)は2月15日に、人工衛星104基を搭載したロケットの打ち上げに成功した。インドは近年、衛星打ち上げビジネスに力を入れているが、1回の打ち上げとして104基は、世界最多記録となった。
 これまで、衛星打ち上げの最多記録は14年、ロシア製ロケットに搭載された37基だった。今回、これを大幅に塗り替えたことになる。
 打ち上げに使われたのは国産ロケットの「PSLV」。南部アンドラプラデシュ州の宇宙センターから打ち上げられた。衛星104基のうちインド製は地球観測用衛星3基のみ。残る101基は米国やイスラエル、オランダなど海外製だ。衛星の重量は合計1378キログラムに上る。
 インドは14年9月、アジアで初めて探査機の火星軌道投入に成功するなど、宇宙大国の仲間入りを目指して技術開発に力を入れている。昨年5月にはインド版のスペースシャトル「RLV-TD」の発射実験に成功。試験機のため本家である米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトルと比べるとはるかに小型で、人も乗れないものだったが、試験を重ね、30年頃をめどにNASAのスペースシャトルとほぼ同じ規模の全長40メートル程度の機体の運用を開始したいとしている。
 通常の使い捨てロケットと違い、スペースシャトルは再利用可能なため、将来的には打ち上げ費用は従来の1/10に抑えられるという。インドの宇宙開発は予算が限られていることもあり、もともと先進国に比べて安上がりだった。今後も格安を売りに、衛星打ち上げビジネスを強化する狙いだ。


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