ダミー
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 靖国参拝の稲田防衛相に党内からも批判続出

 昨年末の安倍晋三首相による米ハワイ真珠湾訪問直後の12月29日、稲田朋美防衛相が靖国神社を参拝した。これに対して中国や韓国が強く反発したことは稲田氏にしてみれば「想定内」だったはずだが、政権内からも批判が続出。特に稲田氏と共に首相の真珠湾訪問に同行した岸田文雄外相からは強い調子で叱責され、稲田氏が青ざめる場面もあったという。
 昨年の終戦記念日に防衛相として入閣したばかりの稲田氏は、アフリカのジブチに派遣している自衛隊部隊を視察。これによって毎年同日に行ってきた靖国参拝を「回避」し、同日の全国戦没者追悼式も欠席したが、稲田氏には年内の靖国参拝に強いこだわりがあったとされる。
 先の安倍首相の真珠湾訪問では、オバマ米大統領と共に「和解の力」を確認し、今後は中国や韓国といったアジアとの和解が焦点と目されている。そうした流れに水を差すような稲田氏の靖国参拝には米メディアも批判的に報じた。自民党国防族の1人はこう突き放す。「なぜ首相の真珠湾訪問直後に靖国参拝なのか。タイミングが悪すぎる。しかも、真珠湾にはただ首相について行っただけで、ハワイにある米太平洋軍司令部の幹部と会談する場面もなかった」。
 一方で、稲田氏が靖国参拝したその日から年末年始の休暇に入った首相は静養先の神奈川県茅ケ崎で、記者団から感想を求められたが、「ノーコメント」と口を閉ざした。
 ただ、稲田氏は事前に、首相には靖国参拝の意向を伝えて承諾を得ていたことを示唆しているため、「首相は真珠湾訪問後に稲田氏に靖国参拝をさせて、国内の反応を探ろうとした」(与党幹部)と見る向きもある。


 習政権の国内締め付け政策、国民反感の象徴「雷洋事件」

 対中国強硬派を揃えて発足した米トランプ政権に対し、中国はその対応に苦慮する一方、国内的には強硬な締め付けが始まっている。
 まず、すべての公務員の腐敗行為をこれまで以上に取り締まるために「国家監察委員会」を来年3月に創設、習主席へのさらなる権力集中が図られようとしている。また、中国に居住する外国人の「ABCランク付け」という前代未聞の制度導入もその1つ。この4月から始まるこの制度で中国所在の日系企業は大パニックに陥っている。ハイレベルな人材をAランク、専門的人材をBランクとし、Aランク、Bランクまでは居住可能としているが、Cランクとされる外国人は中国に今後も居住できるかどうかは保証できないという。中国で働いている外国人ビジネスマンの選別に大きく影響してくるものと思われる。
 こうした強硬姿勢はいくつかの冤罪事件も生み出している。その象徴とされるのが、北京市で起きた「雷洋事件」だ。昨年5月に、公務員だった雷洋氏が突然買春容疑で5000元を支払えと北京市の警察官グループから要求され、断ると暴行を受けた上、死亡した事件だ。夫人の努力で無実が証明され、それがネットで伝わると、全国各地で似たような公権力の乱用による冤罪事件が多発していることが露見してきた。
 このように習政権の下での国内引き締め政策に対する反感が中国全土で今後も急速に広がる可能性があり、中国の社会状況は特に注視すべき時期にきているようだ。


 国家的危機状況続く八方塞がりの韓国

 韓国は現在、国家として八方塞がりの状況だ。まず日本との関係悪化がある。慰安婦問題合意で10億円は先にもらいながらも慰安婦少女像をなかなか撤去できず、釜山市では新たな像の設置を強行した。そのため、日本側も堪忍袋の緒が切れた格好で大使の一時帰国をはじめ、一時的な外交関係の断絶に至った。
 韓国にとって最も痛いのが、サムスン電子をはじめ外貨を稼げる企業の不振が続く中で、外貨準備高が急速に減っていることだ。その解決策として日本との通貨スワップ協定は必要不可欠だが、それも中断してしまった。中国との関係もTHAAD配備をめぐり経済的な報復措置をこの数カ月受け続けている。
 一方で北朝鮮からの核・ミサイル脅威は続いている。金正恩政権は今後、韓国の大統領選までに大きな挑発行動を起こす可能性が高いと専門家たちは見ている。
 こうした情勢を分析しながら米トランプ政権は新しい駐韓大使をいまだ決めずにいる。日韓による慰安婦問題合意も実は安倍政権は乗り気ではなかったが、米国、特に民主党のバイデン副大統領が仲裁する形でしぶしぶ合意した経緯がある。トランプ政権の東アジア政策チームにもそれは認識されている。だが、韓国を在韓米軍の下で最後まで支援するのか、それとも朝鮮半島の激変を促す政策を日本と協力し行うのか、いまだ決めかねているところがある。
 韓国内でも経済を重視する「現実派」と国民感情を優先したいとする「感情派」で世論が分かれており、それを政治家が煽る立場に回っているため、国内状況は次第にメルトダウン化し、国家としての危機的状況が一段と進んできている。


 なし崩しの武器使用、集団的自衛権行使の恐れ

 安全保障関連法にもとづき南スーダンの国連平和維持活動(PKO)で自衛隊に「駆け付け警護」の新任務を与えた政府は、安保法成立に伴って自衛隊法を改定し、95条「武器等の防護のための武器の使用」の対象を米艦艇などへ拡大した。
 ただし、防護するか否かは現場の自衛官の判断に任されており、米艦艇を守るために武器使用すれば、集団的自衛権の行使とみなされる可能性が高い。米軍を攻撃した相手からみれば、米軍を守る自衛隊は敵になる。現場の判断次第で米国の戦争に参加することになりかねない。
 米軍は中国が環礁を埋め立てて基地化を進める南シナ海に駆逐艦を派遣する航行の自由作戦を展開している。自衛隊は参加していないが、トランプ政権が何を求めてくるかは分からない。安保法とトランプ政権の行方を注視する必要があるだろう。
 自衛隊法95条で守るのは米軍だけではない。日本の防衛にかかわるすべての国の軍隊を防護することになる。最近、米軍と自衛隊の共同訓練にオーストラリア軍が参加するケースが増えており、政府は防護対象とみている。
 しかし、オーストラリア軍は日本防衛のために訓練に参加しているわけではない。米軍や自衛隊の戦術・技量を学ぶのが目的だ。そんなオーストラリア軍さえ守るのだから、もはや憲法の制約などないに等しいのである。


 米新大統領につないだ安倍首相の盟友

 トランプ米大統領当選後、世界の首脳に先駆けて会談した安倍晋三首相だが、両者の仲を取り持ったのは、ニューヨークで弁護士をしている村瀬悟氏だ。村瀬氏は成蹊中学・高校で安倍首相の1年後輩で2人は盟友関係にある。村瀬氏は高校卒業後、ハーバード大学とジョージタウン大学ロースクールを卒業し、現在はモルガン・ルイス&パッキアス国際法律事務所に所属するロビイストである。トランプファミリーとも親しく、政府首脳も「村瀬氏がトランプ氏との接触の道を拓き、その後外務省のアプローチにつながった」と認める。
 村瀬氏とトランプファミリーとの付き合いは、日系?世米国人の父、故村瀬二郎氏の代にさかのぼる。二郎氏は「日本株式会社の顧問弁護士」とも言われた伝説の弁護士だった。自民党清和会(現在の細田派で、安倍首相が所属していた)創始者の故福田赳夫元首相の外交政策アドバイザーを務め、安倍首相の父、故晋太郎元外相も懇意にしていた。その二郎氏がドナルド・トランプ氏と親交を結び、家族付き合いをしていた。息子の悟氏は父が築いた人脈をそっくり引き継いだ。安倍首相が米国を訪問した際、宿舎のホテルで村瀬氏の姿は再三見かけられている。
 そして、トランプ大統領の長女、イバンカさんが1月末に来日した。日本のファッション・メーカーと専属契約して、今後日本でイバンカさんの「ブランド店」を展開するためのキャンペーンという。夫が顧問としてホワイトハウス入りし、イバンカさんも父親に対する「発言力」が強いと見込まれるため、外務省は北米局にイバンカ来日準備チームまで立ち上げていた。父娘ともビジネスに「アグレッシブ」だ。


 長時間労働問題の対応にマスコミ業界が戦々恐々

 今、大手新聞社を中心に通信社、TV局の労務担当役員、報道外勤記者を統括する編集部局幹部の間で、残業など長時間労働問題への対応に関して、自社内で問題になって外部から批判を招きかねない案件はないか、戦々恐々の状況にある。
 ある大手新聞社の政治部デスクは、「先日、政治家が『電通問題を契機に長時間労働が問題になっているのだからわれわれに対するメディアの夜回り取材も自粛してくれよ』と言うので、逆に『歴史は夜つくられる、などと馬鹿な発想をせず、健康的な政治家生活をしてもらえば問題解消する。それに国会論戦の質問状を政治家が早く出せば官僚も質問状取りで深夜まで国会待機がなくなるぞ』とやりあった」と述べた。しかしそのデスクは肝心の自社の働き方改革に関して「模範解答など出せるはずがない」と自虐的に述べており、現実はまさに暗中模索状態。
 そんな矢先、朝日新聞の財務部門で上司が部下の時間外労働の勤務時間の改竄事件が発覚、中央労働基準監督署から是正勧告を受ける、という問題が表面化したため、一段と戦々恐々状態にある。
 今、重要なのは、メディアが社説などの論調で電通問題を批判する一方で政府の働き方改革を問う場合、そのホコ先がメディアの対応に跳ね返ってきた場合にどう対応するか。ところが業界団体の日本新聞協会は「まだ対応に苦慮段階。残業対応1つとっても個別企業の問題で、協会として対応基準などつくれないのでないか」(関係者)という状況だ。
 とはいえ現実問題として、日本経団連経営労働政策特別委員会(経労委)が最近、会員企業向けに年休の100%取得、長時間労働是正の数値目標づくりを求める報告を出しており、企業批判するメディアも待ったなしの状況だ。


 「空売りファンド」上陸に怯える日本企業

 トランプラリーを背景に、投資ファンドが勢いづいている。米大手買収ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)による日産自動車傘下の自動車部品会社カルソニックカンセイ買収はその筆頭に挙げられるが、投資ファンドの活況は、買収案件だけにとどまらない。市場がボラタイルになる中、ショートセラーと呼ばれる「空売りファンド」も続々と上陸している。
 12月中旬に、マディ・ウォーターズという空売りファンドが、日本電産に攻撃を仕掛けた。同ファンドは日本電産について、「張りぼての広報活動によって誇張されてきた銘柄」とするレポートを公表し、投資家に売りを推奨した。マディが適正とする日本電産の株価は、実にレポート公表直前の半値以下というとんでもない水準で、公表に日本電産の株価は一時6%近く急落した。その後、日本電産株はV字回復したが、この間にマディはしっかり売り抜けて利益を確定しているはず」(大手証券幹部)という。日本電産や一般の株主はいいように振り回された格好だ。
 また16年7月に同じ手口で米ファンド「グラウカス・リサーチ・グループ」に伊藤忠商事が攻撃されている。同ファンドは事前に「空売り」のポジションを作ったうえで、「(伊藤忠商事は)過年度決算で利益の水増しを行っている」とするレポートを公表、株価が下落したところで買い戻すことで利益を得たとみられる。
 さらに8月には中国企業の空売りで世界的に名を上げた「シトロン・リサーチ」が上陸。血祭りにあげられたのは、筑波大学教授の山海嘉之氏によって設立されたサイボーグ型ロボットのベンチャー企業「サイバーダイン」(東証マザーズ上場)だった。
 続々と上陸する空売りファンドに日本企業は怯えている。


 仮想通貨法施行で高まるビットコイン人気

 仮想通貨のビットコインは、送金や決済の手数料が安いなど、数々のメリットがありながら、2014年、世界最大の取引所だったマウントゴックス社が突然に取引を停止して経営破綻。いまだに一般には悪いイメージが残り、関心を持たない人が多い。しかし、「未来の通貨」としての魅力は衰えず、ビットコインの価格は元に戻っただけでなく急伸を続け、世界の取引高も昨年末までに15兆円を突破した。
 ビットコイン人気がさらに高まると目されているのは、今年、仮想通貨法が施行されるためだ。昨年末には、金融庁が「仮想通貨交換業者に関する内閣府令」と「事務ガイドライン」を公開した。これが、今後、取引所の信頼性を担保する。
「仮想通貨といっても通貨が発行されるわけではなく、コンピューター上の暗号に過ぎない。国家は保証しておらず、犯罪が起きたらどうするのか、取引所は信頼できるのか、などの不安を利用者は持つ。それを金融庁が管理監督下に置くことで、送金や決済などの利用者に安心を与えようというものだ」(金融庁関係者)
 業者側としても異論はない。
「安全な金融制度に守られ、円に信頼が寄せられる日本では、一般の人を招き寄せるのは難しかった。金融庁認可は、そのあたりを払拭するだろう」(取引所幹部)
 今後もいろいろな課題が噴出するはずだが、「国が認めた決済手段」であるだけに、利用者が増えていくことは確実だろう。


 農協改革を諦めない農水省、税金で地方紙に全面広告

 昨年末に大揉めの末、農林族議員の猛反発を受け、どうにか穏当な線に落ち着いた農協改革だが、改革の旗を振る農林水産省は諦める気配がない。水面下で虎視眈々と反撃のチャンスを窺っている。その第1弾として打ち出すと囁かれているのが、1月下旬に政府広報予算を使って全国地方紙に一斉掲載される見通しの意見広告(全面)だ。
 全農を中心とする農協改革については、昨年11月中旬に政府の規制改革推進会議・農業ワーキング・グループ(WG)が突然、「農協改革に関する意見」を公表し、農業団体、農林族議員はハチの巣を突ついたような大騒ぎとなった。WGで議論されていなかった内容が唐突に盛り込まれたためだ。例えば、全農は1年以内に共同購入の窓口に徹する組織に転換する。全農も全中と同様に選挙で会長を選出すべき。農業系統組織の役職員の報酬・給与水準を公表し、農業所得の動向に連動させる──等々の劇薬が盛り込まれていた。
 この意見の原案を書き、WGを振り付けたのは「農水省の奥原正明事務次官と見られています」(全国紙記者)いう。昨年6月に事務次官に就いた奥原氏は、「農業が産業化し、農水省が要らなくなることが理想だ」と公言して憚らない改革派官僚だ。
 その後、農林族議員の猛反対を受け穏当な線に戻されたが、諦めない奥原次官は税金を使った地方紙の広告で農協改革アピールを目論む。
「地方紙を使うのは選挙を意識し、自民党の支持基盤である地方に改革を印象付けることが狙いだろう」(野党幹部)。国民の意思を無視した“改革のための改革”がまかり通ろうとしているのではないか。


 三井トラストHDの人事が金融庁の横槍で迷走

 三井住友トラスト・ホールディングス(HD)のトップ交代人事が迷走中だ。背景には大手銀行中、最長の8年超トップを務め、「天皇」とも呼ばれる常陰均HD会長兼三井住友信託銀行社長の後任指名に金融庁が不快の念を示していることがある。
 両者の確執が先鋭化したのは昨年実施された三井トラストグループへの検査だった。その検査結果の通知の際、金融庁は異例の「当局の所感」をまとめた文書を突き付けた。「内容は、投信の販売や住宅ローンばかりを顧客に訴求し、信託の本分を蔑ろにしている。海外与信を急激に伸ばし、大口信用リスクが懸念される状況にある。そして、トップの在位が長くガバナンスに問題があるというものだった」(金融庁関係者)という。
 さらに金融庁は金融審議会のテーマに「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」を乗せ、10月に打ち出す金融行政方針に「信託銀行においては、銀行業務と信託業務の双方を行うことに鑑み、信託業務において顧客よりも銀行部門の利益を優先することがないよう利益相反管理を行っているかなどについて検証する」との一文を盛り込む準備を進めた。交渉の末、トップ交代と引き換えに原案に挿入されていた「信託の利益相反」に関する文章は削られたが、常陰氏が示した後任人事について金融庁幹部から快い返答は得られなかった。
 金融庁による三井住友トラスト追い込みの真の狙いは、大手行で唯一残る専業信託・住友信託銀行の解体との見方も浮上している。この動きを察知したメガバンクの一角では、「幹部から三井住友トラストを研究しろとの号令が発せられており、買収を含めて検討している」との情報もある。三井住友トラストから目が離せない。


 日立製作所が中核事業強化に邁進

 日立製作所が非中核事業の株式売却などを通じ、事業構成の見直しを一段と加速している。直近では1月13日、東証一部上場の電動工具子会社、日立工機の株式について、グループで保有する全株式を米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると発表した。
 日立製作所は、インフラや情報通信などの社会イノベーション事業に経営資源を集中する方針を打ち出しており、昨年、日立物流をSGホールディングスに、日立キャピタルは三菱UFJフィナンシャル・グループに株式の一部をそれぞれ売却したばかり。しかし、今回の日立工機は売却先が投資ファンドで、しかも保有全株式を売却するわけで、これまでの“小出し”の事業構成見直しとは大きく異なる。
 東原敏昭社長は将来の事業構造の姿について常々、IT(情報技術)との組み合わせで効果が出る事業を取り込み、それ以外の非中核事業を切り離す考えを表明してきた。それは、日立が強く対抗心を燃やす米ゼネラル・エレクトリック(GE)や独シーメンスと、世界市場で伍して戦えるまでに中核事業を強化したい意向を表している。
 しかし、2018年度までの3年間でM&A(企業の合併・買収)や研究開発費などに過去3年から倍増となる1兆円を投じる方針を掲げた中期経営計画の具体像はいまだみえない。ライバル視する世界企業の背中はまだ遠いのも現実だ。


 “超高額薬価”の抑制策も大した効果は見込めない

 抗がん剤「オプジーボ」の高額薬価に端を発した薬価改定問題は、どうやら菅義偉官房長官が主導する「毎年薬価改定」と「年4回薬価見直し」に落ち着きそうだ。今までは2年ごとに実勢市場価格を調査し、薬価を引き下げたが、オプジーボが登場し超高額な薬価が問題になった。オプジーボは政治判断で50%引き下げたが、浮上した高額薬価問題が議論され、ようやく高額薬価を抑制する制度改正がほぼ決定した。
 1つは、薬価改定の中間年にも全品調査を行い、薬価と市場価格との乖離が大きい医薬品の薬価を改定する毎年薬価改定。もう1つは、オプジーボが患者数の少ないメラノーマから患者数が多い肺がんにも適用を拡大したように、適用拡大を承認する効能追加の収載時(年4回)に薬価を見直すという仕組みだ。
 この毎年薬価改定に反対しているのは製薬会社と医薬品卸会社だ。製薬メーカーが「新薬開発の意欲がなくなる」と言えば、卸は薬価調査に「協力できなくなる」と反対したが、官邸の強い意向で押し切られた。
 しかし、目論見どおり、高額薬価引き下げの特効薬になるのか。実は、当の医療業界から「大した効果はない」という声も上がっている。
 ある製薬メーカー幹部は「2年ごとの本調査での乖離率は8%前後。中間年調査で、想定される大きい乖離率とは倍の15%くらい。こんなに大きい乖離がある医薬品は1万6000品目のうち3970品目だが、この中に新薬はない」という。値下げ効果があるのはジェネリック医薬品だけで、高額薬価は期待できない。
 年4回の薬価見直しはオプジーボのような高額薬価を想定したものだが、「オプジーボのような画期的な医薬品はそうそう誕生しない」(製薬会社幹部)。少なくても今後、数十年は現れないと見られており、医療費抑制効果は少ないようだ。


 「カジノは地域密着型」で徳島・鳴門市が誘致活動

 昨年末に「カジノ法」とも呼ばれている「IR法」が成立した。IR法は1年以内に実施法案を作るというものだが、カジノを認めるのは10カ所程度を予定。早速、大阪市を筆頭に横浜市、佐世保市、北海道の留寿都村、釧路市……等々が、数百億円規模の経済効果を期待して一斉に騒がしくなっている。
 そんな中で徳島県鳴門市では「地域密着型のカジノ」誘致を叫んでいる。旗振り役は地元の心療内科医院「クリニック釈羅」の中西昭憲院長だ。自ら「鳴門IR健康保養リゾート誘致協議会」を結成。会長として誘致活動を続けていた。
「鳴門の渦でもまれた海水を温泉替わりにした『海洋療法』を考えています。ヨーロッパのカジノ還元金の使途は国によってまちまちで、スイスは年金に充当。ドイツのバーデン・バーデンは州法で使途が決まり、50%が還元されます」(中西院長)
 バーデン・バーデンのカジノは、かつてハリウッド女優のマレーネ・ディートリッヒが「世界一美しいカジノ」と評したカジノで、大富豪やヨーロッパの貴族が楽しんだことで知られるが、最近はごく普通の保養客がカジノで遊んでいるそうだ。
「私どものカジノは、業者からの特別徴収を考えています。それを還元金として健康長寿のために生活習慣病やロコモティブ症候群の予防を目的にした『健康保養施設』を作り、利用者にポイント付与します。さらに認知症村の建設も予定しています。これを進めていけば、医療費と介護費の削減になると考えています。
 鳴門には渦潮もある。ここを温暖な気候の瀬戸内海の美しい海を眺める保養地にすればいい。鳴門のカジノは健康・保養とカジノのコラボレーションです」(同院長)
 大型カジノばかりではなく、地域密着型カジノがあってもよさそうだ。


 旧富士銀ビル管理会社が高収益不動産に大変身

 不動産会社のヒューリック(東証1部)が好調だ。同社は2016年12月期見込みで売上高2140億円、純利益340億円。対して、例えば大手ディベロッパーの一角・東急不動産ホールディングスの17年3月期見込みは、売上高8300億円に純利益315億円(両社とも『会社四季報』ベース)。決算期は異なるが、ヒューリックの高収益ぶりが目立つ。一見、新興カタカナディベロッパーかと思いきや、ひと味違う。
 旧富士銀行の銀行店舗ビルの管理業務からスタート。経営統合でみずほ銀行が誕生し、旧富士銀行のクローズ対象店舗が増えた。好立地にあった支店も多く、その閉鎖する店舗が入ったビルをうまく運用、ないし老朽化していたビルについては建て替えて付加価値をつけることを軸にして成長してきた。地価高騰中の銀座にも多くのビルを所有。有楽町エリアでは自前ホテルも建設する。
 加えて人口減少をにらみ、オフィス賃貸ビルから徐々に、ホテルなどの観光分野や高齢者施設、あるいは環境分野へと軸足を移し始めており、将来をにらんだ布石も打っている。やがて、今の大手ディベロッパーの序列に割って入っていることになるかもしれない。


 私学関係者が湾岸に注視、豊洲市場も学校なら…

 五輪閉幕後は住宅に転用される晴海選手村など、中央区の人口爆発は予想以上のペースで進み、区は新住民用の学校の確保に四苦八苦する。こうした中、私学関係者は人口減少下でまたとない大市場の出現に「空き地はないか」と熱視線を寄せる。
 湾岸住民の行政への要望は「保育所や小中高校の設置」が圧倒的だが、近隣での新設学校は嘉悦学園と芝浦工大の付属中高ぐらいだ。ただ、混雑する大江戸線の勝どき駅(利用客1日5万人)は4年後には11万人となり、自由が丘駅を抜く。東京都が「とても学校はつくれない」というのはこうした制約がある。
 一方、私学関係者は「子供が増えない郊外の立地ではじり貧だ」「これからは湾岸エリアだ」の認識は共通する。しかし、八王子市の私学教諭は「大学のように都心回帰はできない」と悔しがる。大学より通学圏は狭く、寮住まいはさせない親が多い。また、大学付属以外は地域密着経営のため、地元自治体が移転を引き留めるのだ。
 それでも水面下では調査・検討が進む。学校法人のM&Aは今もご法度だが、系列化や経営者交代によるアライアンスは進み、芝浦工大への視察は多い。
 五輪問題も注目が集まる。実は過去に中央区は、選手村の跡地利用に学校を考えていた。今も「マンションより学校誘致を」のスタンスだ。
 新設の豊洲西小は、プールは地域住民も使え、スポーツ施設も併設する。湾岸の五輪用施設も学校を新設して使えば、「負の遺産」にはならない。汚染まみれの豊洲市場も「学校ならば」という話も聞こえてくる。


 姿が見えない池田名誉会見、創価学会内部に動揺

 現在89歳の池田大作創価学会名誉会長に異変が生じたのか? 創価学会関係者の間から、池田氏の体調を心配する声が漏れている。「聖教新聞」に昨年8月以来、池田氏の直近の写真が掲載されていないためだ。
 池田氏が創価学会の公式行事に最後に出席したのは、2010年5月。公の場から姿を消して6年半以上が経過しているが、それでも自身の誕生日や創立記念日、創価学会の日(池田氏が会長に就任した5月3日)といった節目や、衆参選挙や東京都議選の前には、直前に撮られた写真を「聖教新聞」に掲載してきた。
 ところが、昨年8月に長野県軽井沢町の創価学会研修道場でくつろぐ池田夫妻の写真が掲載されて以降、紙面上に載るのは昔の写真ばかりで最近のものはなし。昨年11月に「聖教新聞」は池田夫妻が東京・八王子の創価大学などを視察したことを紹介し、カメラ好きの池田氏撮影とされる学内の写真を載せながら、なぜか本人の写真は掲載しなかった。
 さらに新年には、池田氏の直近の写真が載らなかった以上の変化があった。「聖教新聞」によると、昨年は池田氏自ら行ったとされる元日の勤行・唱題をせず、原田稔会長を中心とする勤行会にメッセージを送るにとどめている。
 こうした状況に、ある古参会員は「どう考えても不自然」と戸惑いを隠さない。次の節目は5月の創価学会の日である。夏には創価学会が国政選挙並みに重視する都議選が控える。もちろん、元気な姿を突然載せて、会員をサプライズさせる可能性もあるが、そうした写真が載らない日が続けば続くほど、創価学会会員の間に動揺が広がる。


 「0円スマホ規制」で猛反発、意見公募に総務省批判続出

 総務省が通信大手3社にスマートフォン(スマホ)端末の行きすぎた値引き販売などを規制する指針について意見公募(パブリックコメント)を実施したところ、利用者から猛反発を受け、真っ青になっている。
「よけいなチャチャで、端末は高くなったのに通信料金は下がらず、負担が増えた」「規制して儲かったのは通信会社で、利用者はバカをみている」「近来まれにみる愚策で、非常に強い憤りを感じている」「通信会社に天下りした官僚を解雇してからモノを言え」「総務省は『総無能』と言われている」等々。まさに総務省批判のオンパレードである。
 総務省が打ち出した指針は、「0円スマホ」など端末販売の値引きの原資になっていた「販売奨励金」を、月々の通信料金の引き下げに充てて、長期契約者や端末を頻繁に買い替えない人にメリットを与えようという狙いがあった。
 しかし、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクとも、「販売奨励金」を大幅にカットして低価格の端末を一斉になくしたものの、通信料金の引き下げは一部に留まり、大半の利用者は値下げの恩恵を受けていないのが実情だ。
 高市早苗総務大臣は新年早々から「通信料金の低廉化に向け改善を進めていきたい」と火消しに躍起になっているが、本来、行政が民間企業に全面的な値下げを強いるのは筋違い。
 安倍晋三首相の「通信料金引き下げを」というツルの一声で始まった騒動だが、結果は一般国民の怒りを買っただけに終わりかねない。


 積極的M&A掲げる朝日、外部からプロ2人を招聘

 朝日新聞社がM&Aを積極的に展開することを掲げ、外部から大物のプロフェッショナルをスカウトしたことがマスコミ業界で注目を集めている。
 朝日が起用したのは2人の外部の専門家だ。1人は買収ファンドのアドバンテッジパートナーズ出身の岩本朗氏。筑波大駒場から東大経済学部に進学し、旧日本長期信用銀行に入行。米ウォートン大でMBA(経営学修士)を取得。長銀退社後、コンサルティング会社のATカーニーを経てアドバンテッジに入社した。アドバンテッジでは、不良債権の象徴的な存在だったダイエーの再生に関わっている。事業再生の専門家という触れ込みだが、投資銀行や投資ファンドの間では「どちらかというとエリート臭が漂うコンサル屋」(インベストメント・バンカー)という評判がもっぱら。
 もう1人のプロフェッショナルが国際興業やあおぞら銀行の再建や西武ホールディングスの株式取得で有名な米サーベラス出身の萩原利仁氏だ。萩原氏も東大経済学部卒で、M&A仲介業者のレコフに入社。創業者の吉田允昭代表に将来を嘱望されていたが、レコフの日本的な微温的なM&A助言に飽き足らず、より獰猛な資本主義的なサーベラスに転じた。業界内では「人柄はすごくいい」(あおぞら銀関係者)とされ、「朝日さん、なかなかいい人を採用した」(元投資ファンド幹部)との評価もある。
 岩本氏は主に経営改革などリストラを担当、萩原氏は朝日の売上高を補完するようなM&Aを仕掛けるチームのリーダーになるという。


 人工知能利用で検査ミスやがん見逃しが激減する!?

 日本医療の得意分野の1つに、がんなどの病気を発見するための検査や定期検診技術があるが、実際は検査ミスやがんの見逃しは日常茶飯事でもある。その理由の1つが、検査結果を正しく判断できる専門医の不足だ。膨大な画像データを知識や経験が不十分な医師がチェックするという体制では、どうしても診断ミスが多くなるからだ。
「集団検診の精度が低いのは当たり前。医師によって質の差があるからです」と話すのは、マンモグラフィー(乳房のX線検査機器)読影認定医の資格を持つ乳腺外科医。専門知識のない一般の医師が担当することが多く、数多くの検査画像を慣れない医師が見るため、見逃しや診断ミスの確率が高くなる。
 それをカバーするために期待されているのが人工知能(AI)による画像診断支援システムだ。AIはすでにがんや精神疾患の診断で一部試験的に使われているが、検査結果の診断にも利用しようという研究が始まった。近い将来、検診部門でもAIが活躍することになりそうだ。
 国立がん研究センターなど国内の複数の医療機関では、AIを使った検査画像診断を研究し、専門医でも見逃しがちの難しい診断ができるシステムの開発を行っている。蓄積された画像データから病気の判定をするというものだが、これまでの実験では、専門医の判定を上回る結果が出ているという。脳血管疾患やがんでは専門医でも見逃していた小さな病変の9割を検出できたという。
 AIが検査現場に応用できれば、画像診断の読影医や病理医がいない医療機関や検査機関でも、検査精度が高まると期待されている。これが普及すれば、検査見逃しによる医療ミスも激減するかもしれない。


 トランプ政権で懸念される中露軍事同盟の不気味さ

 トランプ米大統領が就任前に、蔡英文台湾総統と電話協議して、「1つの中国」政策見直しを表明するに及んで、中国は米国に対抗するため、ロシアと軍事同盟を結ぶとの未確認情報が流れている。
 これは、ロシア外交筋が流しているもので、中国が水面下でロシアに同盟条約の締結を働きかけ、ロシアは今のところ無視しているというものだ。仮に中露同盟が成立したら、日本にとっても脅威となる。
 中国とソ連は1950年に軍事同盟条約を結んだが、その後の中ソ対立で有名無実となり、80年に失効。新生ロシアと中国は2001年に善隣友好協力条約を締結し、そこでは「有事協議」条項があるものの軍事提携とはなっていない。
 国際舞台で米国に対抗して結束を強める中露は史上最良の関係にあるといわれるが、これまで両国とも軍事同盟には躊躇していた。しかし、トランプ政権の出方次第で中国は、ロシアとの同盟に走る可能性もないとは言えない。
「あくまで欧米や日本へのブラフ(脅し)でしょう。中国がロシアと軍事同盟を結ぶと、ウクライナやシリアの紛争への自動介入を余儀なくされる。ロシアにとっても、南シナ海で紛争が起きると中国に加担せざるを得ず、東南アジア諸国との関係が破綻する」(モスクワ特派員)
 たしかに中露双方にとってリスクが多いことも事実だが、仮に中露同盟が実現すれば、最大の脅威となるのは日本だろう。中国が尖閣への攻勢を強め、ロシアが北から威嚇行為に出たら、日本は「2正面作戦」を強いられることになる。日露の北方領土交渉も吹き飛ぶだろう。トランプ新政権発足で、中露の動向がいよいよ不気味だ。


 仏極右政党ルペン党首がECUへの回帰を提唱

 フランスで今春行われる大統領選挙を前に、反グローバルを前面に掲げてじわじわと支持率を伸ばしている極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首(写真)が欧州単一通貨ユーロからの離脱とECU(欧州通貨単位)型の通貨制度への回帰を提唱している。ECU型導入を訴えることで、ユーロ離脱に不安を覚える国民を安心させ、支持をさらに拡大させる狙いだ。
 ECUはユーロ導入の前段階として、1979年から98年まで欧州諸国で使われていたバスケット通貨。欧州通貨制度(EMS)に基づき、将来の通貨統合を視野に加盟国の為替レートを固定した。
 仏大統領選の主要候補の中で、ユーロ離脱を唱えているのはルペン党首のみ。同党首は、フランスが主権を回復するにはユーロ離脱が必須との主張だが、ユーロ離脱をめぐっては、特に高齢者から年金への影響を心配する声が上がっている。これにルペン党首は「ECUは各国の通貨とともに存在した。国の通貨と共通通貨が併存すれば、フランスの日常生活に何ら影響をもたらさない」と強調し、不安の払拭に努めている。
 欧州への難民の大量流入やテロの続発を背景に、反グローバルを旗印とするFNは有権者の支持を集めている。大統領選に関する最新の世論調査では、ルペン党首は第一回投票で首位に立つ勢いを見せている。決選投票では右派統一候補のフィヨン元首相に及ばないとの見方が強いものの、予断を許さない状況だ。


 経済危機に窮するトルコの弱みにつけ込む中国

 弱り目に祟り目のトルコは今、経済危機に直面している。この弱みにつけ込むのが中国だ。
 シリア内戦の煽りでトルコの観光産業が大打撃を受けている。海外からの観光客が4000万人から2300万人へと激減し、ホテル、土産物屋、バス会社などで人員整理が続く。
 テロの嵐も吹きやまず、元旦にイスタンブールのナイトクラブが襲撃されて39人が死亡。このうち27人が外国人でサウジ、イラク、モロッコなどから来ていた富裕層だった。最も安心して遊べる場所として近隣諸国に知られ、産油国の富豪等が通うので早くからISの標的となっていた。
 クルド過激派とISという2つの正面の敵を抱えたトルコの貧窮ぶりをチャンスとみたギリシアが懸案のキプロス問題で譲歩を引き出そうと、英国も交えた会合を重ねた。
 100年にわたって地中海の海洋覇権を唱えた英国も、しかしトルコ同様の凋落ぶり。これを奇貨としてスペインがジブラルタル返還を打ち上げ、中国はすでにスエズ運河から海軍艦船を多数、地中海に遊弋させている。
 まるでジグソーパズルである。
 このような中東の大混乱に乗じて裨益しているのは中国である。中国は、海外からの観光客激減に苦しむトルコへの団体ツアーを推薦し始め、イランに近寄って油田開発の権利を確保した。ギリシアのピレウス港を買収し、勢いに乗った中国はバルカン半島を南北につなげる鉄道の利権も漁る。こうした一連の強気の進出はシルクロード構想実現が目的だ。
 中国を敵視してきたトルコがインフラ投資を餌にした中国にすり寄るという奇妙な国際関係の図式も浮かび上がってくる。









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