ダミー
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 カジノ法採決で結束崩れ、公明幹事長の威信低下へ

 先の臨時国会で成立したいわゆるカジノ解禁法の採決に際し、公明党は意見集約できず異例の自主投票で臨み、主要幹部も含め賛否が割れた。執行部が「採決までは行かない」と高をくくり、党内調整に入るのが遅れたことによる苦渋の選択。その結果、支持母体である創価学会の影響の下、一枚岩だった同党は初めて、結束への不安を露呈した。払わされた代償は少なくない。
 衆院採決で賛成したのは太田昭宏前代表、漆原良夫中央幹事会会長、北側一雄副代表ら22人。反対は井上義久幹事長、大口善徳国対委員長ら11人。参院では賛成が西田実仁参院幹事長ら18人に対し、反対は山口那津男代表、魚住裕一郎参院議員会長らわずか7人だった。
 この投票結果が深刻なのは山口氏、井上氏という党の「2トップ」が少数派だったことだ。公明党にあって、山口氏はあくまでも表の顔。実際の党運営を仕切っているのは、創価学会の元幹部で、創価学会側との調整を担っている井上氏にほかならない。それだけに、今回の判断ミスで井上氏の求心力低下は不可避だ。
 自民党が、慎重審議を求めた公明党の意向を無視し、カジノ解禁法の成立に舵を切ったのは、日本維新の会との連携を重視した首相官邸の意向だ。公明党にとって今回の一幕は、重要な情報が伝わらない官邸とのパイプの細さも露呈。カジノ解禁に動いた安倍晋三首相、菅義偉官房長官と反対した公明党2トップとの距離感も印象付けた。重要局面でしばしば同党へ配慮してきた自民党の二階俊博幹事長も、今回は傍観者に徹した。「今後はことあるごとに維新と天秤にかけられるのか」。党や創価学会幹部の不安は尽きない。


 トランプ、プーチン両氏にしてやられた安倍外交

 歯車が狂い始めたのは連立与党だけではない。安倍外交にも変調が見え始めた。やることなすこと裏目に出ている。
 トランプ当選決定直後、安倍晋三首相は各国首脳に先駆けて電話会談を行った。トランプ氏は何度も「エクセレント」と相槌を打ち、「グレート」を3度も使った。安倍首相は「あなたの選挙の戦い方もグレートだった」と応じ、会談に誘った。これにトランプ氏は「一緒に食事をしよう」と即答。電話口の傍にいた官邸首脳らは「首相はすこぶる上機嫌だった」と証言する。
 食事はオバマ政権への配慮から取りやめたが、ニューヨークのトランプタワーでの会談で、安倍首相はノートテイカーも入れずに通訳だけで臨んだ。会談の詳細は不明だが、安倍外交もここまでは順風満帆だった。
 ところが、その後のアルゼンチン・ブエノスアイレスでの安倍首相の内外記者会見で「TPP(環太平洋経済連携協定)は米国抜きでは意味がない」と語ったその1時間半後、トランプ氏が「TPPに加わらない」とちゃぶ台返し。TPPを成長戦略の柱に掲げる安倍官邸からはため息ばかりが漏れてくる。
 北方領土返還への期待が先行していた日露首脳会談も、プーチン大統領の老獪な「マッチポンプ」にしてやられ、領土返還はこれといった成果もなく終了。このまま衆院の解散・総選挙を断行しても議席大幅減は避けられないと、解散を先送りする声が官邸周辺から出始めている。


 “知トランプ派”として急浮上した住商出身議員

 来年1月20日の米大統領就任式を控え、トランプ次期政権との新たなパイプ役として一部で注目され始めたのが自民党の阿達雅志参院議員(党外交部会長)だ。自身の米国人脈を駆使し、安倍晋三首相とトランプ次期大統領との11月のニューヨークでの会談実現に貢献。夏の段階で「トランプ氏勝利」の可能性を菅義偉官房長官に伝えていたという。
 阿達氏は住友商事の元商社マン。ニューヨーク滞在中に弁護士資格を取得している。政府関係者によると、阿達氏が米国勤務時代に培った人脈の中に、トランプ氏につながる弁護士がおり、会談実現に当たり、そのルートが有効に働いたという。
 また、安倍首相とトランプ氏との会談には、長女のイヴァンカさんとその夫のクシュナー氏が同席。お土産にはゴルフクラブを持参した。会談で話が弾み、当初予定の2倍の1時間半に及んだ。これも、阿達氏が「トランプ氏は家族とゴルフの話になると、必ず乗ってくる」との情報を首相に伝えていたこともある。
 阿達氏は2014年12月に繰り上げ当選、7月の参院選で2回目の当選を果たしたばかり。故佐藤信二元通産相の娘婿で、安倍首相は親戚に当たる。政治的には、菅氏が後ろ盾だ。議員歴2年にして、8月の内閣改造・自民党役員人事で党外交部会長に抜擢されたのも、菅氏の存在があってのことのようだ。
 安倍首相は元来、外務省の情報を鵜呑みにせず、別ルートでも「裏取り」をしている。その安倍首相は大統領就任式直後の1月下旬に訪米し、正式な日米首脳会談を行うべく、トランプ氏サイドと調整中だ。阿達氏の独自情報が会談成功につながれば、政界で数少ない「知トランプ派」議員と位置づけられそうだ。


 自衛隊が手を焼く“ガキ大将”の中国軍

 中国国防部は12月10日、中国空軍機が同日午前、沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡から西太平洋に向かう訓練の途中、「航空自衛隊のF15戦闘機2機が近距離に接近し、妨害弾を発射した」と発表した。これに対し、日本の防衛省は翌11日、「妨害弾を発射し、安全を脅かした事実はない。事実と明らかに異なり、日中関係の改善を損なう」と中国政府を非難した。
 防衛省幹部は「『妨害弾』とは何のことか不明だが、射撃管制レーダーの照射を受けた場合、ミサイルの眼を錯乱させる『フレア』という火の玉が発射される。これを指しているのだろうか」と首をひねる。
 中国国防部の英語版ホームページによると、発射されたのは「jamming shells」とあり、直訳すれば「妨害弾」だが、自衛隊はそのような弾薬は持っておらず、やはりフレアのようだ。フレアはレーダー照射があれば自動的に発射されるが、手動でも発射できる。
 稲田朋美防衛相は12月13日の記者会見で「フレアや(ミサイルを避ける金属片の)チャフを発射したか」と問われ、「わが方の手の内を明らかにする恐れがあることから、お答えを差し控えたい」と述べ、フレア発射を否定しなかった。
 防衛省幹部は「先進国の軍隊なら自衛隊を含めて当然、承知しているルールを中国軍は理解していない。ようやく国際ルールを学び始めたというのが現状ではないか。図体のでかい“ガキ大将”に手を焼いている」と話す。自衛隊と中国軍が衝突すれば、手を焼く程度ではすまない。


 宮城県知事選に再出馬する村井知事の裏事情

 村井嘉浩宮城県知事(56)が12月5日、県議会で、任期満了に伴い2017年秋に実施される同県知事選について「私が策定した県震災復興計画(11〜20年度)に基づき、引き続き復興を成し遂げる重責を担っている」と述べ、出馬の意向を表明した。
 村井氏については国政転出の可能性が以前からささやかれていた。特に日本維新の会の橋下徹法律政策顧問(前大阪市長)とは、ともに大阪出身同士で気脈の通じる間柄。自身も16年夏頃までは周辺に「出馬表明は急ぐ必要はない」と漏らしていたことから、任期をほぼ1年近く残している段階での立候補表明には唐突さが否めない。
 その背景にあるのが女川原発の再稼働問題を抱える東北電力からの強い出馬への「圧力」だ。東北電力は、17年4月以降としていた同原発の再稼働を、国の審査が長期化していることなどを理由に延期。このため、立地自治体である県などへの再稼働に必要な「地元同意」は知事選後の大きな県政の課題となる。村井氏はもともと保守系だけに、「本心は容認」(地元関係者)とされる。
 また、東京五輪・パラリンピックの競技会場見直し問題では、小池百合子東京都知事が、宮城県の「長沼ボート場」を候補地に挙げ、村井氏も全面協力する姿勢を見せた。橋下氏との連携も視野に入れて新党結成を模索する小池氏の動向を注視しつつ、自身の国政転出の機を探ろうとしていたようだ。
 ところが長沼案はあえなく頓挫し、村井氏は周辺に「もう小池氏には協力できない」と怒りを露わにしたという。維新の会から次期衆院選に打って出た場合、小池氏と手を組むことも想定する必要がある。こうした事情も村井氏に四選出馬決断を促す要因になったようだ。


 線香花火で終わりそうなプレミアムフライデー

 経済産業省や日本経団連が中心になって17年春から実施予定の官民連携消費キャンペーン「プレミアムフライデー」は笛吹けど踊らずで、不発に終わる可能性がある。
 もともとは、米国で毎年11月末の感謝祭の翌日の金曜日にクリスマス商戦のスタート日として小売店が黒字経営につなげるため「ブラックフライデー」という特別安売りセールを始めたら大当たりで、これに刺激を受けた大手スーパーのイオンなどが消費拡大のヒントにした。
 経産省など政府の関係省庁も渡りに船で、働き方改革をリンクさせて月末金曜日に限って民間企業を中心に午後3時をめどに仕事を終えて早帰りしてもらい、家族で買い物や食事、イベント参加など生活の豊かさ、非日常を楽しむライフスタイルの変革に結びつけようとエスカレート。榊原定征日本経団連会長も呼応し、記者会見でアピールすると同時に会員企業にも同調を呼びかけた。
 しかし、具体化に動きだした関係企業の現場では「総論賛成ながら、各論段階でみんな一斉に動くかどうかが問題」と危惧する声も出ている。
 最大のポイントは、民間企業で、今の午後5時終業・早帰りによるノー残業運動も四苦八苦の状況下で、午後3時が可能かどうか、というのが1つ。もう1つは「プレミアムフライデー」と名付けているだけに、付加価値のついた商品にも消費の手が届く「プレミアム感」のあるセールにできるかどうか。これらが克服できなければ、文字通り笛吹けど踊らずになるというわけだ。


 何とも気が抜けたビール系飲料の税制改正

 自民・公明両党は12月8日、2017年度税制改正大綱をとりまとめ、ビール系飲料の税額を段階的に1本化することを決めた。3区分ある税額のうち主力の「ビール」を減税し、残る「発泡酒」「第3のビール」は増税となる。15、16年度の改正で議論になりながら2年連続見送られてきた税額1本化は、「3度目の正直」でやっと道筋がついた。
 しかし、実際の税額見直しはほぼ4年後の20年10月から3段階で実施され、税額統一は10年も先の26年10月となる。しかも、実際に見直すかは経済状況を踏まえ柔軟に判断する規定を設け不透明な要素も残る。確かなのはビール系の定義を「ビール」「発泡酒」に絞り、「第3のビール」が文字通り泡と消える点だけで、何とも気の抜けた内容に受け取られかねない。
 税額統一まで長期間をかける点については、消費者やメーカーに配慮したとの言い分はある。350ミリリットル入りで現在、税額77円のビール、46.99円の発泡酒が最終的に54.25円に統一されると、小売価格はビールが下がり、発泡酒は上がる。税額28円の第3のビールもいずれ発泡酒と同水準となり、値上がりすれば消費者動向も変化し、税収減を最小限に食い止めたい税制当局の意図も透けてくる。
 さらに、「一強」とされる官邸が支持率低下を嫌い、発泡酒の増税感を薄めたとも取り沙汰され、消費者、メーカーに説得力のない見直しにも映る。実際、ビール大手5社は今秋、ビール系飲料の減税を要望してきただけに、一本化への道筋がついたことを「前進」と評価する一方、キリンビールの布施孝之社長が「一本化時の税率は高い水準で満足していない」と語るなど不満も多い。
 ビール系で3区分が存在する税制は国際的に日本だけで、「ガラパゴス化」の典型だ。このため、メーカーは区分ごとに数多くの商品開発に明け暮れ、消耗戦の末に世界から取り残されてしまった。税額一本化の観点に国際競争力の向上もあっただけに、一本化に今後10年近くを費やす改正を不可解と感じる向きは多い。
 メーカーには商品開発を絞り込む猶予を与えたにせよ、大手各社の3区分の販売比率は異なり、評価にはかなり温度差もある。消費者が実際に評価できるのもまだまだ先であり、10年先に完全に実現できるかも不透明な税額一本化は誰のためか、説得性に欠ける。


 ちぐはぐな税制度に笑い止まらない高所得世帯

 配偶者控除制度だけが目の敵にされたかたちの17年度の税制改革。日本の税制全般を語る時、税金の支払いを問われるのは家族の中で「主たる世帯主」の所得のみで、3000万円以上の共働き夫婦の場合でも、「年収が少ないほうの所得」が考慮されない事実はほとんど知られていない。つまり夫婦で正社員、特に夫婦合計年収が2000万円を越す世代はかなりの「お得な状況」にあり、合計3000万円超の世帯は笑いが止まらない状況なのだ。
 過去の「子ども手当」導入の試算を検証しても、専業主婦世帯で夫の年収が970万円の場合は手当を得られず、共働き世帯で夫婦それぞれの年収が950万円の場合は手当を得られるという設定だった。
 つまり世帯年収1900万円の場合は手当を満額受け取れるという事態が想定された。世帯収入で2倍近い共働き世帯が、専業主婦世帯より優遇される日本の税制(所得課税)は、世帯単位に課税するのではなく世帯主の所得へのシングル課税が基本の1本足打法だからだ。
 フランスは、原則として世帯所得から子供を含めた家族1人当たりの所得を割り出して課税する。家族への支援が手厚いことで知られ、家族1人当たりの所得を基準に累進課税し、少子化対策にもなっている。
 日本では、相続のために借金までして借家を建てれば、不動産の相続税対象額は最大8割程度まで減額できる。そのため高所得の共働き夫婦等の不動産を使った富の2極化はこれからも進むだろう。
 政府は税制改正で20階建て以上の高層マンションについて、高層階の固定資産税を少しだけ引き上げた。中層階から上のフロアの税額は1階上がるごとに約0.25%ずつ増税、下のフロアは1階ごとに同じだけ減税とする。高層階の部屋は取引価格が高い割に税金が安く、富裕層の間では節税策として購入する動きが広がっていたため「不公平感」に配慮したという。
 都心のマンションだけ値上がりする現象は、勤労世帯の所得2極化も影響している。高所得夫婦が大好きなタワマンへの課税見直しもほんの微々たるもので、「やはりタワマンで節税」という動きが早くもぶり返してきた。国内での相続課税回避には不動産は最もお得な通貨である点が再認識されたのだ。
 過去3年で都心3区の中古マンション価格は5割近く上げたが、東京全体で見ると30%程度、神奈川・埼玉・千葉に至っては1割程度にすぎない。さらにいえば、こうした上昇は都心を中心としたマンション市場だけのもので、都心回帰を推進した高所得夫婦の仕業でもある。


 急増するアパマンローン、金融庁が実態調査へ

 金融庁は、年明けにも金融機関を対象としたアパート・マンションローンの実態調査に乗り出す。「このところ金融機関のアパート・マンションローンなどの賃貸業向け貸し出しが急増しているが、本当に顧客のことを考えた融資になっているのか検証する必要がある」(金融庁幹部)という問題意識を持っている。
 俗にアパマンローンと呼ばれるアパート・マンションローンは、昨年の税制改正で相続税の控除額が縮小されるなど課税対象が広がったことから、相続税対策として金融機関から借金をしてアパートやマンション経営に乗り出す富裕層が増えている。日銀の調査によると、9月末のアパートローンの残高は22兆円で、前年同月比4%増加した。「マイナス金利の中、比較的高い利幅が見込まれ、かつ焦げ付きにくい融資として各金融機関とも積極的にセールスしている」(メガバンク幹部)わけだ。
 しかし、あまりに急拡大したため市場が供給過剰になりつつあることも事実で、アパートやマンションを建て、賃貸業に打って出たのはいいが、競争激化から空き室が多く出て収支が狂うケースも発生している。だが、それでも金融機関のローン攻勢は止まる気配はない。
 金融庁が問題視しているのはまさにこの点で、「金融機関は他の貸し出しに比べて、アパート・マンションローンは担保力も高く、かつ、借り手が富裕層で、別途、他のいろいろな資産を持っているので安心ということで貸し込んでいるのではないか」(金融庁幹部)との懸念を深めている。万が一、賃貸収入がローンの返済額を上回る赤字経営に陥って、ローンが焦げ付く危険が高まっても、金融機関側には「借り手は他の資産を売却してローンの返済に充てるだろう」との読みがあるわけだ。


 「休眠預金活用法」成立、虎視眈々と狙う怪しい輩

 金融機関の口座に預けたまま10年以上お金の出し入れがない「休眠預金」を民間の公益活動に使う「休眠預金活用法」が12月2日、参議院本会議で可決、成立している。
 金融機関に滞留している休眠預金は「高齢化の影響もあり、預金者が亡くなるなどし、そのまま放置される預金口座は増加傾向にある。その額は年間1300万口座、850億円にも達する」(メガバンク幹部)という。このうち毎年、約4割に当たる350億円余りの休眠預金が払い戻されており、差し引き500億円が残るが、法人税を加味すれば、活用できる財源は300億円程度と見込まれる。この休眠預金を社会貢献活動を担う非営利組織(NPO)などへの融資や助成に生かそうというのが今回の法律の目的だ。
 これまでは10年たてば預金者の権利が消滅したものとみなし、金融機関の利益として計上されるだけだった休眠預金が社会的な弱者などに還元される意義深い法律と言える。
 しかし、金融機関から聞こえてくるのは意外にも先行きを不安視する声だ。「資金の活用の仕方や融資後の事後チェックをしっかりとやらないと、怪しい輩がNPOを隠れ蓑にして資金をかすめ取る懸念がある」(メガバンク幹部)というのだ。
 政府もこうした懸念を払拭するため、休眠預金を国が出資する預金保険機構にいったん移した上で、新設する「指定活用団体」がNPOなどへの資金配分方法を定めるとしているが、はたして効果は……。


 DeNA第3者委員会で村田マリ氏の責任追及へ

 不適正な情報まとめサイトを運営していたことについて記者会見を開き陳謝するとともに、医療情報の「WELQ(ウェルク)」など10サイトを閉鎖したDeNAは、12月15日、弁護士らで構成する第3者委員会を設置した。今後、3カ月をメドに調査を進め、報告書をまとめる。
“身内”で固め、言い訳のような報告書を提出する第3者委員会もあるが、DeNAでは社外取締役など内部関係者を排除、委員長には弁護士で元日本アイ・ビー・エム取締役の名取勝也氏を選定、客観性と独立性を保った調査を行い、役職員に対する処分も行う。
 その際、注目されるのは、現場責任者である村田マリ執行役員の責任である。シンガポール在住で「体調不良」を理由に記者会見には出席しなかったが、自ら立ち上げた情報サイトをDeNAに売却、会社入りして執行役員に就き、事業統括責任者となった。
 検索エンジンの上位に表示されるような情報を集め、それで広告料を稼ぐビジネスモデルを確立した人で、「AERA」(2015年6月1日号)では「日本を変える最強人脈」の1人に選ばれた。ネット関連の事業を立ち上げ、それを売却しては巨万の富を築いた成功者として、普段は情報発信しているだけに、沈黙への批判が高まるのも無理はない。
 シンガポール在住で、会議などはネットで行うというビジネススタイルもそう。シンガポール在住の理由として「育児環境の良さ」を挙げているが、住宅・インテリア関連メディア「iemo」を数十億円でDeNAに売却した村田氏にとってシンガポールは株式の売買などに対する課税が優遇されており、投資家でインキュベートファンドを運営する夫ともども都合がいい。そうしたライフスタイルは個人の自由だが、世界共通の2極化の流れの中で、資産を持ち、仕事と納税地を自由に選択する富裕層に対する風当たりは強い。
 村田氏の「報道サイトは伸びればいい、ページビューを稼げばいい」というあけすけな発想は、すでに公知の事実となっており、「モラルなき情報まとめサイト」を、村田氏が築き上げたのは事実。第3者委員会が出す結論で、最も厳しい指摘を受けるのが、DeNAにビジネスモデルを持ち込んだ村田氏であるのは間違いなく、その報告書が公表されると、ネット企業の成功者としてのライフスタイルと意識も含め批判されることになりそうだ。


 「検索社会」で肥大したまとめサイトの落とし穴

 ヤフーやリクルート、サイバーエージェント、LINEら名だたるネット関連大企業がピンチだ。DeNAのキュレーション事業は10媒体の公開を中止した。「他サイトからの文言の転用を推奨しているととらえられかねない点があった」と釈明したが、マニュアルには仰天の編集方針があったと認めざるを得なかった。
 クズ情報が検索結果の上位を占めるよう細工する手法は、検索エンジンというロボットが価値観を支配する「検索社会」の末路だが、批判は紋切り型にとどまっている。「検索結果が上位でなければ、存在しないのと同じ」という検索社会は異常だ。
 肝心の読者を集めるには、グーグルなどの検索結果の上位に表示されるように、検索エンジンの「癖」を分析する「SEO(サーチエンジン最適化)対策」だけが関心事になっていた。検索サイトで上位に表示されるようなキーワードを埋め込むことが推奨されてきた。DeNAは過去に、「日経メディカル」などの記事執筆で活躍した人物を編集責任者に抜擢した経緯もあり、日経が珍しく批判の急先鋒になったのも痛かった。
 手間暇のかかる校閲作業もなく、検索対策だけの情報の氾濫は深刻だ。ただより高いものはない。
 こうした事業を支えてきたのは、1ページ500円程度で「記事」の作成を請け負うワンコインライター。「コピペ職人」とも揶揄される彼らは疲弊している。そのうえに首切りに直面する。「キュレーション」が話題になった当初は消費者が記事のリンクを貼り付け、それを要約したりする「まとめサイト」だった。「品質より検索対策を優先した」という罪は深く、内容は結局2ちゃんねると大差のないレベルに陥ったのだ。
 それでも、今も無料で広告のような情報はネット上に溢れ、依然としてグーグルやヤフーの検索エンジンが反応するコピペ情報記事が粗製濫造される。これは社会全体に「検索社会」への反省や疑問がないからだ。DeNAの南場智子会長は「社内体制の見直しなど、もう1度ゼロから会社を作り直す気持ちで進めていく」と謝罪したが、「検索社会」で儲ける方針は不変だろう。
「知」はネット上では大衆のものになったが、検索しても上位に来るのは、検索対策を施した「ゴミ情報」ばかりとなった。良貨は悪貨に駆逐されつつある。「B層」という民度の低いネット民が政治を動かし、紙の媒体や従来の知識人を「サヨ」といって侮蔑する風潮も広がっている。
 個人の失敗が好んで暴露され、尖った意見は炎上する──そうした知識層叩きの温床ともなってきた勢力は、自ら墓穴を掘ったのか。


 家電業界の異端児Ankerが台風の目に

 モバイルバッテリーでトップメーカーの「Anker」が、ジワリと家電事業に参入し、拡大を始めている。2016年9月に別ブランドの「eufy」という名を冠し、ロボット掃除機、LEDデスクライト、加湿器の3種類の販売を開始した。さすがにモバイルバッテリーほどの人気には、まだなっていないが、同社は開発する商品のジャンルへのこだわりをあまり持っていないという。それは、これまでの販売の大半がアマゾンであることにも起因する。
 Ankerの商品には他メーカーの製品に比べて、アマゾンでのレビューの数が圧倒的に多い。そこで出たユーザーの不満点を日々吸収し、次の商品開発に向けて素早くフィードバックしていることが、Ankerの最大の強みになっている。
 その、膨大なユーザーのレビューコメントを含めた分析でニーズが高いと判断されると、家電製品の種類を問わずに開発し、販売していく意向なのだという。さすがに冷蔵庫やエアコン、洗濯機などの白物大型家電は考えにくいが、それ以外はかなり幅広く検討しているようだ。
 そして、Ankerは昨今、盛り上がりつつあるIoT商品にも打って出る。それが、17年に発表を予定しているアマゾンの、クラウドベースの音声アシスタントサービス「Alexa」と連携した商品だという。音声アシスタントサービスは、すでにアップルやグーグルも手がけているが、スマホやタブレットの開発、販売では成功したとは言い難いアマゾンが、Ankerと組んでいったいどんな商品を世に送り出すのか、今から注目を集めている。


 パネル大手JDIは経営統合で一矢報いるか

 合理化が進まないうえ米アップルのiPhone(アイフォーン)向けパネルの伸び悩みで業績の悪化に歯止めがかからない液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)。たまりかねた官民ファンドの産業革新機構が間に入り、パナソニックとソニーの有機ELパネル事業を統合したJOLED(ジェイオーレッド)と統合させることを決めた。
 液晶パネルと、ポスト液晶と言われる有機ELの成長を同時に狙う「2兎を追う」戦略だが、「日立製作所や東芝、ソニーの各メーカー、さらには経産省、ファンドがそれぞれの縄張りを主張しあう寄り合い所帯のJDIの合理化がままならないなかで、さらにJOLEDを統合させても組織が混乱するだけ」(JDI幹部)との声は多い。
 また、この統合に伴い革新機構は750億円の資金援助を実施するが、「1兆円単位で液晶パネルや有機ELに投資する韓国サムスン電子やLGディスプレイとは規模が違う」(大手投資銀行幹部)と市場も手厳しい。革新機構は法律上、企業救済に資金を使うことを禁じられているが、JOLEDと再編させることで「理屈上」、資金供出を認めさせた。
 JDIは当初、シャープとくっつけようとしたが、鴻海精密工業にシャープが買収されて孤立してしまった。「毎月、月末に来る資金繰り不安に対して、革新機構を主導する経産省も看過できなくなった。目線を変えるためにこれまた韓国勢に押しつぶされそうなJOLEDを吸収させた弥縫策」(大手電機幹部)というのが実情のようだ。今回の統合が韓国勢に一矢報いる起爆剤になるのか、その行方はまだ不透明だ。


 海を漂流する微細なゴミ「MP」が深刻な環境問題に

 新しい環境問題が浮上している。マイクロプラスチック(MP)の海洋汚染だ。MPとは、レジ袋、ペットボトルの蓋、プラ容器などの破片が劣化した、5ミリ以下の微細なプラスチックのゴミ(プラゴミ)を言う。
 MPの難点は次の通り。(1)海の小さな生物が餌と間違え、あるいはプランクトンと一緒に食べる、(2)MPを食べた魚介類を人間が食べても排出されるが、MPの中に含まれる有害物質が魚の脂肪に残留し、これが人体に害を及ぼす、(3)MPを食べた魚には肝機能と生殖能力、さらに孵化率などが低下する──などだ。
 MPの研究に取り組んでいる東京農工大学の高田秀重教授は、実際に東京湾でカタクチイワシを釣り、その胃腸の中を調べたところ、1ミリ前後のMPを発見した。64尾のうち49尾、8割程度の高率だった。日本沿岸のMPは世界の海の中でも濃度が高い。中国、インドネシア、フィリピンなど人口が多く、生活廃棄物の処理インフラが整備されていない国々からプラゴミが海に流れ、やがてはMPとなって漂流してくる。
 高田教授は「現在のままプラスチックを使い続けると、20年後は10倍に増える。海の生物の資源量が減るだけでなく、人間の健康にも影響する。プラスチックの生産を国際的に規制することが重要だ」という。
 今年の5月、G7サミットの前に開かれたG7環境相会議でMP問題が指摘されたが、すでに対応に着手した国もある。米国カリフォルニア州はレジ袋の提供禁止法を15年に世界で初めて成立させている。フランスは16年9月に、プラスチック製の使い捨て容器や食器を禁止する法律を成立させている。


 活況の投信に浮上する「タコ足配当見直し」の機運

 米国のトランプ次期大統領の経済政策への期待などを背景に世界的な株高が進行している。日経平均株価も1万9000円台を回復し、市場には活況が戻りつつある。そうした中、国内で販売された投資信託の残高も大幅に増加しており、11月末で93兆1100億円(前月比3兆4900億円増)と、半年ぶりに90兆円の大台を回復した。しかし、残高の急増の一方で新たな問題も浮上している。
 フィデリティ投信が運用する国内最大の投資信託「フィデリティ・USリート・ファンド」が11月から分配率を引き下げた。投資対象となる海外の不動産投資信託(REIT)市況が停滞していることに加え、これまでの円高で収益が悪化しているためで、1万口当たり100円だった分配金を70円に引き下げた。2012年以来4年ぶりの引き下げとなる。
 だが、今回のフィデリティ投信の分配率引き下げは、単なる引き下げにとどまらない、より重要な意味を含んでいると金融関係者は指摘する。いわゆる「タコ足配当の見直し」だ。
 主に海外REITを投資対象とする投信は、毎月決まった一定額を分配金として支払うタイプが主流で、安定・高配当商品として高齢者に人気を博している。最大の売り文句は、「公的年金を補完するには最適の運用商品」(大手証券会社)だ。
 しかし、本来、投信は実績配当であり、運用環境が悪化しても分配率を維持するには無理がある。その打開策として組み込まれているのが、毎月の分配金の支払いを確保するために元本を取り崩して自らを食う「タコ足配当」という仕組みだ。
 一見、配当金を受け取る顧客にとってはありがたい仕組みと映るが、実態はタコ足で配当するため投信の純資産は減少し、運用効率は低下する。それでも資金が流入しているうちはいいが、資金が流出超となれば商品そのものを維持することが難しくなる。
 また、「毎月分配金を支払う投信は支払いの都度課税されることから、課税繰り延べ効果を失い、かつ利益を元本に元加して運用する複利効果を損なう」(金融関係者)とも指摘される。金融庁もこうした投信の慣行が、個人の中長期的な資産形成を阻害しているとみており、投信の過度な乗り換え勧奨(回転売買)やタコ足配当の是正を求めている。
 毎月分配型の投信がこれほど人気を得ているのは日本だけで、米国ではタコ足配当は禁止されている。顧客ニーズの違いといえばそれまでだが、そろそろ見直しの時期かもしれない。


 カジノ法成立で狙われる横浜の「裏カジノの帝王」

 カジノを中心とした統合型リゾート(IR)整備推進法(カジノ法)が、12月15日に成立した。施設を建設するゼネコンやカジノに集客を期待するホテルや地方自治体、カジノ関連機器を扱う業界などが歓迎する一方で、ギャンブル依存症やマネーロンダリングなど懸案事項の積み残しを心配する人は少なくない。
 ただ、論議が先走りし過ぎている。カジノ法が成立して、すぐにでもカジノが建設される勢いだが、現実的にはカジノ法は解禁のための法律で、実際にどのような規制のもと、どのようなカジノを設置するかは、今後、一年かけてカジノ実施法を整備して決められる。規制はその際の論議だが、それとは別に警察が総力をあげて摘発すべきは裏カジノである。
 裏カジノ摘発のニュースは、バドミントン五輪候補選手の出入りが確認されて大きく報じられたが、通常の摘発はマスコミのニュースにもならない。しかも、海外で、スピードが早く動く金額が大きなバカラなどを経験した人が、特別なルートで出入りするために一般人には無縁。そのため、普段は意識はされないが、全国では数百軒の裏カジノがあり、暴力団の有力な資金源になっている。
 カジノ法が成立、カジノが合法化されたのに裏カジノがあったのでは矛盾、というより警察の面目が立たない。そこで当局はいまメンツにかけた摘発を狙っており、そのターゲットにされているのが、「横浜の裏カジノの帝王」である。
 どんな人物か──。
「表では、横浜を中心に東京、札幌などに数多くの風俗店が入居する社交ビルを保有。その中で自らバーやキャバレーを経営。形態ごとに会社が違うので1社当たりの規模は小さいが、100店舗以上を持ち、日本の風俗王であるのは間違いない。同時に、そんな自社物件で裏カジノも経営、数十店舗を持つ」(捜査関係者)
 現在、60代後半で、過去に風営法違反での摘発はあるが、賭博で逮捕されたことはない。ダミーの経営者、店長などが逮捕された時は、手厚くフォローするので彼らが情報を漏らさない。最近も、2016年10月5日、神奈川県警生活保安課と港北署が新横浜の裏カジノ「タイガー」を賭博開帳図利の疑いで摘発。逮捕されたのは50代の責任者2人だが、神奈川県警は「裏カジノの帝王の店」であることを掴んでいる。
 裏カジノを全国展開する人物をのさばらせておくのは警察の恥。神奈川県警は壊滅作戦に乗り出す考えだ。


 NHKのネット同時配信で翻弄される民放界は悲鳴

 NHKは、12月13日に開かれた総務省の有識者会議で、放送とネットの「同時配信」の具体案を初めて明らかにした。主な内容は、(1)2020年の東京五輪を前に19年から地上放送で「同時配信」を常時実施する、(2)受信料徴収は新たにネット視聴の手続きをした場合に限り、契約済みの世帯には追加負担を求めない、(3)運用費用は年間数十億円〜100億円──など。
 これを受けて、有識者会議は同時配信を解禁する方向で議論することを確認。さらに、高市早苗総務大臣は「民放各社に強いニーズがあれば、NHKと民放で共通の基盤を作ってコストを抑えるモデルがつくれるかもしれない」と、民放サイドに「同時配信」の早期開始を促した。
 驚いたのは、民放界だ。NHKと総務省が足並みを揃えた急展開は予想していなかった。
「視聴者ニーズがどれだけあるかわからないのに膨大なコストがかかる」「著作権処理の手間は半端ではない」「ネットにCMをそのまま配信することは難しい」「キー局の番組を地方でも見られるようになるとローカル局の存在価値がなくなる」など懸案が山積。ネット配信そのものに及び腰のうえ、「同時配信」となったらビジネスモデルの構築を見通すのは容易ではない。
 しかも、日本テレビやTBSのようにネット配信に前向きな局がある一方、フジテレビなどは消極的といわれ、民放界が一枚岩といえる状況にはない。
 このため、有識者会議では「国民の合意が不可欠で、拙速な議論や制度改正は避けるべきだ」とブレーキをかけるのがやっと。だが、NHKの鼻息の荒さに、悲鳴にも似た民放の叫びはかき消されそうだ。


 再生可能エネルギー事業を米アップルが中国で強化中

 米アップルは、中国で風力発電事業に乗り出す。同社はすでに中国で太陽光発電を手掛けており、再生可能エネルギーにより自社の事務所やデータセンター、販売店網などで必要な電力を全量賄うことを目指す。
 アップルは、新疆ウイグル自治区の風力発電機大手、新疆金風科技の傘下にある風力発電会社4社に30%ずつ出資する。すでに15年には、中国企業などと共同で四川省と内モンゴル自治区でメガソーラー事業に着手している。同社は当面、発電能力140万キロワットを目指す。
 同社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、再生可能エネルギーによる発電能力を中国で200万キロワット、全世界で400万キロワットに高める目標を掲げている。同社が中国での発電能力強化を推進する背景には、iPhoneなど主力製品の多くが中国で製造されていることがある。
 グーグルやフェイスブックなどの米IT企業も、電力消費量の全量を再生可能エネルギーによって賄う目標を打ち出している。グーグルは、17年中に目標を達成できる見通しという。マイクロソフトは、14年以来、すでに電力消費量の100%を再生可能エネルギーによって賄っているとしている。グーグルによると、過去6年間で風力発電のコストは60%、太陽光発電も80%低下しており、経済的にも合理的な選択肢とみている。
 ただ、ブランド力を重視するIT企業としては、再生可能エネルギーを使用することによって企業イメージを高める狙いもあるようだ。


 トランプ次期大統領は米国史上最悪の独裁者?

 1月20日のトランプ大統領就任を前に株高が続く米国市場だが、現実を見れば、このトランプラリーの最大の受益者は著名な投資家バフェット氏をはじめ、一部の大金持ちや機関投資家に限られ、トランプ氏を当選させた原動力である、肝心の中西部の貧しい白人労働者たちは一向に恩恵にあずかれていない。貧富の差は開くばかりだ。
 トランプ政権の経済ブレーンの考え方は次回の中間選挙が行われる2018年までにできるだけ高い成長率である4〜5%を狙うことで企業収益増加を図り、それによって増えた税収分を軍事力の増強、特にサイバー空間での覇権を目指すことで米国一極支配を再び狙う意図がある。
 この高い成長率を実現するには、大幅な規制緩和と巨額な赤字国債発行でインフラ事業を進めることになる。だが、やがて長期金利の上昇に伴い、インフレと財政赤字拡大に直面し、次のリセッションは18年以降、深刻な局面を迎えると予想される。結局トランプ政権は一期限りに終わる可能性が高い。
 こうした見通しに加え、次期政権のブレーンたちが心配しているのが、トランプ氏自身の政権運営の稚拙さと強引さがやがて主要メディアや一般国民の反感を買うのではないかという点だ。その象徴がトランプ氏によるツイッターの過度な使用だ。
 すでにトランプ氏はツイッターを使って自分の意に沿わない企業を攻撃しているが、その内容は極めて不透明で、政策決定過程が明らかにされていない。欧米の主要メディアではすでにトランプ政権は法治国家でなくツイートが支配する国になるのではないかと危惧している。
 このツイッター使用は娘婿のクシュナー氏の勧めだが、そのやり方は側近や一族のネポティズム(縁故主義)の象徴とみられる可能性がある。
 現在トランプ氏のもとには世界各国から政商といわれる富豪たちがトランプ詣を行い、利益誘導に走っている。だが、本来は国家利益の公平な分配を心掛けるべき国家主導者が依然としてビジネスリーダーの感覚として振る舞っていることに、大多数の国民が強い違和感を覚えているのが現状だ。
 そのトランプ氏の室内を分析した専門家によると、置き物やデコレーションはサダム・フセインの部屋に似ており、自己顕示欲の強さが表れた独裁者の嗜好だという。これはつまり、アメリカ史上最悪の独裁者を生み出す可能性を示唆している。


 ウォール街が注目する初代銀行担当FRB副議長

 そのトランプ氏の経済閣僚人事では、財務長官に元ゴールドマン・サックス幹部のスティーブン・ムニューチン氏、商務長官に知日派で著名投資家のウィルバー・ロス氏を起用するなど、ウォール街に近い大物が名を連ねた。さらに、注目されたゴールドマン・サックス社長兼COO(最高執行責任者)のゲーリー・コーン氏は、国家経済会議(NEC)委員長に就くことが決まった。
 こうした重要閣僚人事とともに内外の金融関係者が最大の注目点と指摘するのは、空席となっているFRBの2理事の人選と銀行監督担当の副議長ポストだ。同ポストは、10年に成立した米金融規制改革法(ドット・フランク法)で新設されたものだが、共和党が支配する上院での承認が難しいとみたオバマ大統領は任期中に指名することはなかった。非公式にはタルーロ副議長が同ポストを務めている形にはなっているが正式ではない。また、同氏は銀行に厳格な規制をかけるべきとの論者で、ウォール街はトランプ氏が史上初となる銀行監督担当の副議長を正式指名することで、タルーロ氏が外れることを望んでいる。
 候補に挙がっているのは、ション・ドゥガン氏(元通貨監督庁長官)、デービッド・ネイソン氏(GEエナジー・ファイナンシャル・サービスCEO)、ランド─ル・グイン氏(弁護士)、ポール・アトキンス氏(元SEC幹部)、ホーニグ氏(連邦預金保険公社副総裁)などだ。
 トランプ次期大統領はFRBのイエレン議長について、選挙中の5月の演説で、「彼女(イエレン議長)の任期が切れた際に、彼女を交代させることになる可能性は極めて高い」と述べ、自身のテレビ番組「アプレンティス」の決め台詞「おまえはクビだ」を言い放った。理由はイエレン議長が共和党員ではないためで、18年2月の任期切れで再任しない意向を示している。
 しかし、財務長官に決まったムニューチン氏はイエレン議長について、「良い仕事をしている」と高く評価しており、大統領に対して再任を要請する可能性もある。一方、事実上、FRBを仕切っているフィッシャー副議長(18年6月で任期切れ)については態度を明確にしていない。
 トランプ氏の経済運営の中核は、保護主義と財政出動、減税そして規制緩和でその代表が金融規制の緩和になる。サブプライムローン問題が発覚し、リーマン・ショックで終焉を迎える前まで、米国のGDPの実に2割は金融セクターが叩き出していた。トランプ氏が目指すのはその夢の再現だろう。


 原発白紙撤回のベトナム、対日関係へ最大限の配慮

 ベトナム政府は2016年11月、経済発展に応じて今後も増大する電力需要を満たすための「切り札」と位置づけてきた原発計画を白紙撤回した。成長戦略の中で海外へのインフラ輸出に取り組んできた日本政府の思惑と合致する形で、良好な日越関係を象徴するプロジェクトだっただけに、日本政府関係者や産業界の一部には失望感が広がっている。ベトナム側も日本の落胆を見越し、友好関係を維持するために撤回に当たって最大限の配慮を示した。
 ベトナムは10年、中南部ニントゥアン省に建設予定だった第1、第2原発のうち、第2原発の2基を日本へ発注することを決定。日本は官民挙げて準備やベトナム側の人材育成支援などを進めてきた。
 しかし、東京電力福島第1原発の事故によって噴出した原発不信で、環境が急変。ベトナム政府は安全対策の追加や津波被害を避けるための建設予定地変更などを余儀なくされ、稼働予定時期の先送りを繰り返した上に事業費が当初の2倍を超える2兆円規模に膨れ上がる見込みとなった。公的債務の増大で財政運営が厳しい中、今後の経済成長や電力需要の伸びが当初予測を下回るとの観測もあって「インフラ整備にメリハリを付け、効率的な資金配分を行う」(ベトナム側関係者)として撤回を決断した。
 ただ、日本にとってベトナムの原発計画への参画はインフラ輸出の試金石。それが頓挫したとあっては、他国への原発売り込みに悪影響を与えかねない。そこでベトナム政府は白紙撤回の正式決定前の11月中旬に、インフラ部門を統轄するチン・ディン・ズン副首相を「原子力特使」として日本に派遣。菅義偉官房長官や世耕弘成経済産業相と会談してベトナムの事情への理解を求め「礼を尽くした」(関係者)。
 また、撤回に併せて公表した文書では、建設を取りやめた理由を「ベトナムの経済状況のため」と説明し、日本の原発関連技術を「最先端のものであり、安全性が高い」とわざわざ明記した。
 17年は天皇皇后両陛下のベトナム訪問が春に予定され、安倍晋三首相も1月中旬にハノイを訪れる方向で調整している。ベトナム側は、それらの機会に「原発計画の撤回を埋め合わせる意味も含めて、日本との親密な関係をアピールする」(日越消息筋)可能性が高い。新たな大型インフラ計画を打ち出す案などが検討課題に上っている。


 サッカー版ウィキリークス、スターのスキャンダル暴露

 欧州を舞台に活躍するサッカー選手の脱税や、選手の移籍をめぐる裏取引が次々と暴露され、サッカー界を震撼させている。サッカー界の闇の部分を暴いているのは、サッカー版ウィキリークスと呼ばれる「フットボール・リークス」。サッカー少年の夢を壊すようなスキャンダルが相次いで浮上し、ファン離れにつながる恐れも指摘されている。
 16年の年間最優秀選手「バロンドール」は、スペイン1部リーグの強豪レアル・マドリードに所属するポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドが選ばれた。ロナウドは4度目となる受賞に、満面の笑顔で「夢がかなった気分」と喜んだ。しかし、この10日ほど前、フットボール・リークスはロナウドがタックスヘイブン(租税回避地)に1億5000万ユーロ(約180億円)の肖像権収入を隠しているとの脱税疑惑を伝えていた。
 フットボール・リークスは、イングランド・プレミアリーグのアーセナル所属のドイツ代表MFエジルが移籍の際の不正な財務処理で200万ユーロ以上の追徴課税に応じたほか、罰金の支払いを求められたことや、レアル・マドリードがウェールズ代表FWベイルを獲得した際、経営難に陥っていた銀行に注入された公的資金が移籍金のための融資に使用された疑惑など、有名選手や監督のスキャンダルをすっぱ抜いている。
 フットボール・リークスは15年9月にインターネットのホームページを立ち上げた。ドイツの「シュピーゲル」誌、英国の「サンデー・タイムズ」紙など欧州のメディア12社に情報を提供。各社が情報を精査した上で報じている。「シュピーゲル」誌によると、選手の契約書や密約文書、Eメール、写真などで、情報量は聖書50万冊分に相当する1.9テラバイトに達する。「シュピーゲル」誌もフットボール・リークスがどのように情報を入手したかは知らされていない。
 暴露された情報から読み取れるのは、選手の代理人がサッカー界の「ゴッドファーザー」として君臨し、最大の利益を得るためには手段を選ばず、脅しも辞さないことだ。クラブは代理人の顔色をうかがい、好調な選手ではなく、代理人のお気に入りの選手を試合に出すこともあるという。「シュピーゲル」誌が接触したフットボール・リークスの関係者は「チケットやレプリカのユニフォームの購入や、(中継を放映する)有料テレビの受信契約は、極度に腐敗した体制を潤すことになるだけだとファンは理解しなければならない」と指摘している。








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